長屋エリアを天誅し回っていると、ミステリアスなランカーである、ランキング7位の「デュラハン」こと藻屑海蘊に声をかけられた。
「灰狼、お前手慣れだよな?将軍暗殺しに行かねぇか?」
「あぁ、デュラハンさんか・・・良いよ、丁度猛者との戦闘を求めてたし」
「決定だな。それと、藻屑海蘊で良い」
「やぁ灰狼。一緒に首だけになろうねー」
横に居るのは「銭鳴」ハル・・・あれ?ハルの目が死んでる。
もしかして軽いノリで参加したが、ヤバいのに参加したか?
集まったメンバーは俺と藻屑海蘊、ハルの三人・・・暗殺には適した人数か。
「・・・気になったんだが、難易度は?」
「今回の将軍はどこまで見れるかなー」
「灰狼。期待してるぜ」
死にゲー開幕らしいです。楽しそうじゃないか。
そうして、三人は注意事項を確認して、将軍の元へ向かう。
将軍の居る城へ忍び込んだ三人は今、忍者と幕臣に追いかけられている。
理由は少し前に城内に響き渡った音のせいだ。
「ハル?音を出すなって言ったよなァ?」
「ごめんね?躓いちゃったわ」
「本当に二つ名持ち?」
追いかけてくる幕臣達から逃げながら、前に立ち塞がる幕臣達を天誅しながら将軍のいる場所を目指す。
先頭を俺と藻屑海蘊が走る、殿はハルが務め、忍者の遠距離攻撃を防ぐ・・・殿がハルなのは当然だろう。
この騒動の元凶だ。
「将軍はこの先に居る。灰狼、せっかくだ戦ってこい」
「良いのか?自分は行かなくて」
「あぁ、ハルと一緒に幕臣共を食い止めといてやるから、行ってこい」
「どうせなら挑みたかったな〜」
自業自得の奴が居たな?
藻屑海蘊、意外と良いやつだな。摩訶不思議な異常者だと思っててすまん。
ありがたく将軍に挑ませてもらおう。
将軍のいる場所は城の最上階にある広間。その最奥に将軍は佇んでいた。
自分と将軍の間にはかなりの距離がある。これぞまさしく、ボスエリアという雰囲気だ。
さて、どれほどの強さかな?
「お初にお目にかかります、将軍様。さて、死んでもらうぜ」
「・・・」
話さない系か、それはそれで貫禄がある。
俺が一歩前に踏み込むと、同じく刀を抜いた将軍も一歩こちらに踏み込む。
俺は刀を握り、いつでも抜刀のできるように構える。
「藻屑海蘊」と「ハル」のためにも少しは情報を持って帰りたいところだし、最初の一太刀で天誅されるのだけは避けなければ。
二歩目を踏み込むと同時に将軍の手が霞む。
「・・・っ!」
一閃。上段の構えから振り下ろされる刀を抜刀で弾く。
重い一振りだっため少ししか弾けず、将軍はすぐに構えをとる。
俺は将軍の刀がギリギリ届かない距離を取り、相手の出方を見る。
しかし、AIが操る最強の剣士と言われていだが、剣技はレイドボスさんのが上か?
・・・さすがレイドボスさんだぜ。
「堅実な剣撃で戦うタイプか?」
「・・・」
なら、剣筋は祖父のタイプか。
俺の言葉に反応することなく、ただ寡黙に機を待つ将軍。
ドッ、と踏み込み袈裟斬りのように将軍が斬りかかってくる。
それを刀で受け流し、将軍へ斬りかかる。
すぐさま後ろへ避けまた距離を取る。
一進一退の攻防が続く。
数分間の攻防。
そろそろ、一太刀入れたいな。と思った俺は将軍を見て唖然とした
「・・・は?」
集中力が切れる程に予想外の攻撃。それはビームによる遠距離攻撃。
目の前には赤黒いビームを放つ将軍の姿・・・ここ「幕末」の世界だよな?
唖然としていた俺はそのビームを避けることができず天誅されてしまった。
・・・祖父とは全然似てないわ。
いつも通りリスポーンし、ハルと藻屑海蘊を探そうかな。
と思っていたら、横には首だけのハルと藻屑海蘊が居た。もちろん俺も首だけだろう。
あぁ〜これがハルの言っていた「一緒に首だけになろう」ってやつか。
察するに将軍、いや幕府を襲撃しそれが失敗したらこの状態、晒し首にされると言うことだろう。
・・・いや、いつまでこの状態なんだ?
「はぁ、意外と長かったな晒し首状態」
「あれはね、打首獄門って言うんだよ」
リスポーンし、ハルと合流し、藻屑海蘊を待つ。
ありがたいことに、ハルが打首獄門についての説明をしてくれた。もうなりたくはないがな。
「ここに居たか。どうだった、将軍との戦闘は」
「強いね。ビーム出すのか、あの将軍」
「ビームを見れたのか。良い体験になったな」
藻屑海蘊の発言からしてビームを見れるのは少ないのか。
「大規模一揆にも呼ぶから、頼んだぜ」
「予定が合えばな」
・・・NPCの天誅への熱意本当に凄いな、この人。