宇宙の様々な星々では、今日も戦いが続いている
怪獣たちがぶつかり合い、異星種族が策略を巡らせる
その手に色とりどりのデバイスーバトルナイザーを手にした宇宙人たちが何かを感知し、空を見上げる
『この気配は…』
『ようやく、見つけました』
『……あの星に、眠っているのか…』
ーキシャァァァァオォォォウゥゥゥッ!!!
砂だらけの惑星でアントラーを踏み潰し、勝鬨をあげるレッドキング
その足元にいたスーツの人物も愉快そうに空を見上げ、イヤリングを鳴らす
「……楽しそうな予感がするじゃねぇか。なぁ、レッドキング」
ーキシャァァァァァァァァオォォォウゥゥゥッ!!!
三角形の宇宙艇が地球を見下ろす位置で停泊する
その中から青い星を見下ろし、深い紫の髪を三つ編みに纏め肩から流した女性が微笑む
「この星に、アレがあるのですね」
根源的破滅招来体の離れた地球
そこに、新たな危機が迫りつつあった
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
かつてGBCTの移動拠点・スターゲイザーベースがあった場所
破滅魔人との戦いの中、落とされてしまったそれの代わりに新たな拠点がそこに滞空していた
GBCTの新たな拠点として作られたスターゲイザーベースII
その指令室では、今日も業務が粛々と行われていた
「はぁ……穏やかな日々、ですねぇ」
新たに再編されたGBCTはスターゲイザーベースIIを新たに製造し、再び怪獣たちの保護や対処、異星人たちとの交流に勤しんでいた
破滅招来体が去ったことで地球の環境はだいぶ安定してきており、特殊自衛隊の理解もあり怪獣出現のペースも落ち着いてきていた
今日の地球も、皆が守った平和な日々が続いていた
「平和なのが一番だろ。隊長もきっとそう言うぞ」
「ですねぇ…」
にへら、と気の抜けた笑みを見せながら水輝がコーヒーを傾ける
「しかし…この司令室というか、チームも少し寂しくなりましたね」
「それは……確かにそうだな」
大介が司令室を見回しながら同意する
「賑やかだった隊長がいなくなった分、常駐してるのは俺たちくらいか」
「ですです。大介さんなんか特に寂しくないですか?ルシルさんは岩神諸島に住み込みですし…」
水輝がいたずらっぽく大介に水を向ける
ルシルは新生GBCTで晴れて怪獣たちの管理を任され、岩神諸島に残されていた研究所跡を清掃・リフォームして住み込みで怪獣たちの面倒を見ている
大介はフッと勝ち誇ったように微笑みそれに答える
「問題ない。俺もこの前から岩神諸島住みだからな」
「なっ…⁉︎そうだった…この前からラブラブ新居だったこの人…」
「悪かったなラブラブで」
水輝が机に乗っかって伸びをしながら呟く
「……この平和が、続いてくれたらいいんですけどね」
「……だな。それは違いないことだ」
そんな2人の言葉を遮るかのように、基地内にアラートが響いた
水輝が即座に解析を開始し、大介に報告する
「
水輝の言葉に頷き、大介がGBCTパッドで通信を繋ぐ
「リュウ、
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アラートが鳴り響く数分前
金西町の商店街
買い出しのために歩いていたリュウと苑樹
隣を歩くリュウの横顔を見て苑樹がはぁ、とため息を吐く
「?どうしたんだ、苑樹?」
「……なんでもないです」
頭上にはてなマークを浮かべるように首を傾げるリュウを見ていっそうため息を吐く
(あれから結局何も無し…全くこの人は…)
苑樹はひそかにやきもきした気持ちを抱いていた
グリーザとの一件以来、リュウのことはかけがえない存在として想い続けている。それこそ、その気持ちを恋心と呼んでいいとも思えるほどに
ただ、当のリュウ本人からはあれから特にアプローチは無い
玲武神社に住み込みで、共に勉強したり、鍛練をしたり
新しい日常が始まってからもう半年は経とうとしているが、仲良く日々を暮らしているがそれ以上のことは特に無い
(まあ……そもそも
そう、リュウのことでやきもきしてしまう最大の理由がそれだ
苑樹は今の今まで、玲武の巫女として真面目に過ごしてきた
それ故に、恋愛のしかた進め方など微塵も知らないのだ
今現在でも、水輝たちから借りた恋愛漫画をバイブルに勉強している真っ最中なのだ
「………」
そんな1人ソワソワする苑樹を横目で見ながら、リュウは自分の胸に手を当てて考える
でも、自分は本当に歩夢たち無しでこの星を守れるのか?
漠然とした不安が、リュウの中にも渦巻いていた
開いた手にリュウが視線を下ろす
グリーザに呑まれた先、金色のウルトラマンが導き、闇の魔人に見送られ、手に入れたビクトジャグライズの力
それがあったのに、リュウは苑樹の大切な、家族同様のはずだったティグリスを守ることができなかった
その後悔がまだ、リュウの心の底には残っていた
(ー俺にもっと力があれば…ティグリスは、守れたのだろうか…)
同時に、リュウの悩みはもう一つあった
兄貴と慕う大介とルシルの結婚式に以前参加した時から思っていたこと
愛し合う2人をはじめて見て、リュウは苑樹への『想い』はなんなのか悩んでいたのだ
(……大切なことに変わりはない。でも、俺のこれは…兄貴やルシルが持っているようなものなのか…?それとも、アルマに感じていた愛情と同じものなのか……)
横目でチラチラと苑樹を見ながら眉を寄せてリュウが思い悩む
(ー俺は、口下手だし無愛想だから…苑樹にもいつまでもこのままじゃ…)
「ー見つけましたわ…!」
と、悩む2人の前に黒いフリル付きのドレスーいわゆるゴシックロリータのドレスを纏う赤紫の髪を編み込んだ女性が日傘を片手に現れ、手にしていた日傘を取り落としながら呟く
「…?なんだ?」
「…なんなのですか?突然」
困惑する2人を尻目に女性は苑樹を軽く押しのけてリュウの手を掴む
「ーわたくしの、運命の王子様!!!」
「………は???」
「ーはぁッ!?!?!?」
突然のことにリュウは困惑し、苑樹は半分怒りまじりに声を裏返らせる
「まさか、この星に来て早々に巡り会えるなんて…やはり貴方様はわたくしの王子様ですわ」
熱っぽく顔を寄せる女性にたじろぎ、目をしばたかせるリュウ
「いきなり、なんの、話、ですか!?」
代わりにその握る手を振り払って苑樹が遮る
「まぁ、乱暴な…」
「こんな往来でいきなりそんなことするあなたに言われたくありません!!!」
怒る苑樹の方を見て女性は不敵な笑みを浮かべる
「わたくしが用があるのはそこのお方のみ。貴女には何もしませんので安心してくださいまし」
「安心できるかッ!?私にも関係大アリですッ!!」
「あら、そうでしたの?もしや…ご兄妹、とか?」
女性の言葉にリュウがかぶりを振る
「違う!苑樹は……その……大切な仲間だ」
その言葉に苑樹の肩が少しだけ揺らぐ
「なるほど?じゃあ、わたくしの想いを伝えてしまっても良いのですわよね?」
「それは……」
苑樹が言い淀む
と、それまでにこやかにしていた女性が何やら表情を険しくし、眉を顰める
「………まぁ、よろしいですわ。わたくしの名前はデューサ。どうか覚えておいてくださいまし」
デューサと名乗るゴスロリの少女はスカートの端をつまみ、優雅に一礼をして去っていく
呆けていた2人に大介からの通信が入る
『リュウ、苑樹!お前たちの近くに謎の飛来物が迫ってきている!対処を頼めるか!?』
通信を受けたリュウと苑樹が頷きあって共に走る
「ああ、わかった。現場に急行する!」
『俺たちもすぐに向かう!それまでを頼む!!』
苑樹も巫女服の上からホルスターとワッペンを装備し、2人で現場に急行する
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
金西町の上空から飛来したそれは、盛大な土煙を巻き上げながら着地する
どこか笑い声のようにも聞こえる電子音のような音を響かせながら、それは摩訶不思議なポーズで着陸していた
トーテムポールのように3つの顔が連なった石像のようなそれはポーズを解くと、頂上の怒り顔が目を光らせる
『はん、何やら辺境の星で腕自慢どもが集まると聞いたが、一番ノリだったようジャジャ…?』
中央の笑い顔が点灯し、騒ぎだす
『ボクちんたちにビビって逃げたヤツらもいるかもでシュラ…』
最下段の真顔が点灯する
『そんな雑魚ならそもそも相手する価値も無イン』
『それもそうでシュラね』
ーギャハハハハハハハハハハ!!!!
3つの頭がカラフルに点灯しながら石像ー宇宙三面魔像ジャシュラインが爆笑を響かせる
それを近くのビルから見上げる人物が一人
パラソルの下、黒いミニテーブルとチェアに腰掛け、アフタヌーンティーセットを嗜みながらその人物ーフリルの目立つ黒ドレスを纏う女性ーデューサは金色の瞳を細める
「あらあら、わたくしのお次はあんな野蛮人ですの?」
はぁ、とため息をつきながらマカロンを一つつまむ
「面倒ですわ……」
ジャシュラインはひとしきり笑った後、左腕の盾をブーメランへ変形させて構え、投擲する
ブーメランに町が蹂躙され、爆破が起こる
『どれ、戦い甲斐のあるヤツが来るまでは遊んでやるジャジャ!』
街並みを破壊し始めるジャシュラインを駆けつけたリュウと苑樹が見上げる
「あいつ…‼︎」
「リュウ!避難は
苑樹の言葉にリュウが頷き、テライグナイターを構える
イグナイターを引き伸ばし、現れたテラスパークドールズを読み込む
《ウルトライブ!!》
《ウルトラマンテラ!!!》
ーテァァァァァァッ!!!
蒼白の光を纏う巨人がジャシュラインの目前に降り立つ
地球の力を纏う巨人ーウルトラマンテラが油断なく構え、三面の魔像に向き合った
紅茶を嗜んでいたデューサは、現れたテラを見て蕩けたように微笑む
「ーいつ見ても、素敵なお姿」
『お前は…この星のウルトラマン、ジャジャか?』
『だったらどうする?』
『どうするも何も決まっているでシュラ!!』
『この星での連勝街道爆進の前祝いに、コレクションにしてやるでイン!!!』
いないいないばぁをするように三面を交互に隠したジャシュラインが真ん中の笑い顔を点灯させ、軽いフットワークと共に構える
『行くぞシュラぁ!!!』
『こい!!!』
ーテァッ!!!
ジャシュラインとテラが衝突する
目にも止まらぬスピードでジャシュラインが格闘を繰り出し、テラはそれを受け流していくが、それを上回るスピードで放たれる拳がテラを追い詰めていく
『どうした?この程度でシュラかぁ!?』
『ーッ⁉︎このぉッ!!!』
《ウルトランス!》
《マグマイーター・ソウル!!!》
マグマイーターの魂を纏ったテラの鉤爪がジャシュラインを切り裂き後退させる
更に尻尾を振り回した一撃を見舞うが、ジャシュラインはそれを掴んで引き寄せ、テラの背中を蹴り飛ばす
そこにGBCTアルバトロスとGBCTヘラクレスが到着し、それぞれの機銃を放って援護を行う
瞬間ージャシュラインの最下段の面の目が光る
『キェーーーーッ!!!』
一喝と共に、アルバトロスとヘラクレスの放った弾が空中にぴたりと静止してしまう
「嘘ぉ!?」
奇妙な現象にアルバトロスのコクピットにいた水輝の声が思わず裏返る
『雑魚どもは引っ込んでろだイン!!!』
ジャシュラインが手を払うと共に弾丸が跳ね返され、エンジン部にかすったアルバトロスが姿勢を崩し、脚部に直撃したヘラクレスが倒れ伏す
「きゃあッ!?い、一旦着陸を…‼︎」
「ぐぅっ⁉︎クソッ!!」
『水輝姉、兄貴ッ!!!』
テラが倒れふすヘラクレスへと手を伸ばす
『お前の相手はオレ様たちジャジャぁ!!!』
ジャシュラインが怒り面を点灯させ、ブーメランを放つ
間一髪で身を翻したテラがそのブーメランを蹴り上げる
『これならどうでイン!!』
最下段の真顔面が点灯し、手をかざす
蹴り上げられていたブーメランがそのままテラへと方向を転換して突き刺さる
ーテァァァッ!?!?
帰ってきたブーメランを手斧のように持ち、ジャシュラインが怒り面を点灯させる
『ジャジャァッ!!!』
無防備となったテラへブーメランが振り下ろされる
ーグォオォォォォォォンッ!!!
そのブーメランを割り込んできた巨体が防ぎ、押し返す
「しっかりしなさい、リュウっ!!」
ビルの屋上まで来た苑樹が手すりを掴んで身を乗り出しながらリュウに呼びかける
呼び出されたホロボロスはテラを助け起こすと、しゃんとしろと言わんばかりにテラの背を小突く
「……あの怪獣は…」
紅茶を一口含み、デューサが興味深そうに笑う
「なるほど、この星のレイオニクス。恐らく、あの時の…」
ふふっ、と笑いながらデューサはあるものを取り出して手元に置く
「ーお手並み拝見、としましょうか」
手元に置かれた黒紫の六角形のデバイスーネオバトルナイザーが妖しく輝きを放った
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『怪獣…?面倒な邪魔を…』
ジャシュラインが苛立たしげに拳を握る
最下段の真顔面が輝く
『ならばワシらも、怪獣を使ってやるまでだイン!!』
『その手があったでシュラ!!!』
ジャシュラインは徐に懐から細長いデバイスを取り出した
金色のカラーリングをした3つウィンドウが備わったデバイスがキラりと輝く
それを見ていた苑樹が突然の頭痛にこめかみを押さえてフラつく
「あれは…まさか…⁉︎」
『この前コレクションにしてやったヤツが持ってたものジャジャが…趣味のいい色だと持ってきといて正解だったジャジャ!!』
ジャシュラインが手にしたデバイスを突き出す
《バトルナイザー・モンスロード!!!》
デバイスーバトルナイザーが光を放ち、ウインドウから光のカードが1枚飛び出し、側面でリードされた後飛び出す
《グラール》
ーギャオォォォォォォン!!!
リードされたカードが回転しながらジャシュラインの前に降り立ち、カードから怪獣へと姿を変える
大きなトサカを持つ赤い四つ目の黄金獣
凶悪な面相を歪ませ、黄金の凶獣ー暗殺怪獣グラールが咆哮を上げる
「新手…いや、アレは…!?」
苑樹が思わず自分が手にしていたバトルナイザー:EARTHを見下ろす
(
「あらあら。あの怪獣…確かダークマター銀河の王が作り出した怪獣兵器の類でしたっけ?」
頬杖をついてマカロンを喰みながらデューサが呟く
「野蛮人が手にしてるにしては、強力な怪獣ですわね」
ーギャオォォォォォォォン!!!
グラールは獰猛な咆哮を上げるとホロボロスに掴みかかり、ツノから放つ光線をぶち当てる
『ホロボロス!!』
『よそ見は厳禁でシュラァッ!!!』
苦戦するホロボロスに気を取られたテラにジャシュラインが組み付く
「ッ、ホロボロス!!!」
《ホロボロス、レイオニックバースト!!》
ーグオォォォンッ!!!
苑樹の発破と共にホロボロスが赤い光に包まれ、エネルギーを迸らせる
グラールを振り払い、鋭い爪撃を当てながら退かせると、ガチン、ガチンと爪を打ち合わせ、爪の間に赤いエネルギーを凝集させる
「ー
ーグォォォォッ!!!
破滅魔人をテラと共に葬った真紅のエネルギーを纏う爪撃が放たれる
グラールはそれを受け、退きながらもそのまま受け止める
ーギャオォォォォンッ!!!
受け止めた爪撃のエネルギーをそのままこねるようにして丸めると、グラールはそれを黄金のエネルギーと変えて飲み込んでいく
「ーな」
呆ける苑樹を他所にグラールは背鰭と口に黄金のエネルギーを充填していく
「ホロボロスッ!!!」
苑樹がホロボロスを動かそうとするが、コンマ一秒遅かった
ーギャオォォォォンッ!!!
グラールの口から放たれた黄金の光線
地を這い、爆発させながら迫ったそれは足元から頭に向けてホロボロスを薙ぎ払い、大きく吹き飛ばした
「がはっ!?」
ホロボロスとリンクした苑樹の半身に凄まじい激痛が走り、視界が赤く明滅。意識が揺らいで片膝を突く
『苑樹ッ!!!』
組み付くジャシュラインを蹴り飛ばしたテラがホロボロスたちに手を伸ばす。その隙を見逃さず、ジャシュラインは怒り顔を点灯させてブーメランを振りかぶる
「リュウくんッ!!!」
「やらせるかぁッ!!!」
そこに地上から水輝と大介のGBCTマグナムによる援護射撃が命中し、ジャシュラインが体勢を崩す
苛立たしげに2人を見下ろしたジャシュラインが地団駄を踏む
『鬱陶しい雑魚どもが!!しばらく眠っていろジャジャァッ!!!』
ジャシュラインが手にしたブーメランをハンマーのように地面に叩きつける
間一髪直撃は回避した2人だが、衝撃で大きく吹き飛ばされ、そのまま気を失って倒れてしまう
『水輝姉ッ!!兄貴ィッ!!!』
『ジャーッハッハッハ!!!雑魚どもがイキがるからこうなるのジャジャ!!!』
勝ち誇ったように笑うジャシュラインを睨み、テラが拳を握る
『ふざけるなァァッ!!!』
《ハイパーウルトライブ!!!》
《ウルトラマンテラ・ビクトリウムジャグラー!!!》
ーテァァッ!!!
ビクトリウムジャグラーへと強化変身したテラは黄金のマフラーをたなびかせながら、ジャグラーモードのビクトジャグライザーを振るう
ブーメランを腕に格納したジャシュラインは笑い顔を点灯させ、力任せな太刀の連撃を腕でいなしながら受け止め、テラのマフラーを掴んでぐい、と引き寄せる
『ふざけてる?どっちがでシュラ』
『ワシらはつよーいウルトラ戦士をぶちのめしてハクを付けるつもりだったのに、とんだ拍子抜けでイン』
『ッ!?のぉッ!!!』
無理矢理ジャシュラインを振り払い、再び斬撃を放つが、ジャシュラインは再び易々とそれを受け止め、ブーメランを取り出す
『オレ様たちの足元にも及ばない雑魚が!さっさと倒れるジャジャ!!』
受け止めた刀身にジャシュラインのブーメランが振り下ろされる
ーギャリィィィィィィィンッ!!!
鈍い金属音と共にビクトジャグライザーの刀身が欠ける
『ーな…?』
あまりのことに驚愕し、テラの動きが止まる
そこを見逃さず、逆袈裟にジャシュラインのブーメランが叩きつけられ、テラの体が大きく吹き飛ぶ
ーテァァァァァァッ!?!?
倒れ伏すテラ
そのカラータイマーが赤く点滅し、警告音を鳴らす
ーギャォオォォォンッ!!!
ーグォオォォォ……
ダメージ故にレイオニックバーストが解除され、脱力するホロボロスにグラールの容赦ない攻撃が叩きつけられる
「んッ、が、はっ…!」
全身を襲う痛みに倒れ伏しながら、苑樹はホロボロスと、同じく倒れ伏すテラに手を伸ばす
「ホロ、ボロス……リュウ…ッ」
同じく手を伸ばすテラをジャシュラインが何度も踏みつける
かたん、と空になったティーカップが置かれた
「ーはぁ、下の下ですわ」
デューサが苛立たしげに髪を払いながら立ち上がる
「別に、この星のことなんかどうでもいいのですけども…」
踏みつけられるテラを愛おしげに見つめると、殺意すら感じる冷気の籠った視線をジャシュラインとグラールへ向ける
「わたくしの、王子様を、足蹴にするな…下衆がッ!!!」
激怒の叫びと共にデューサが黒紫のネオバトルナイザーを振りかざす
《バトルナイザー・モンスロード!!!》
《ゴキグモン》
ーキュイィィィアァァッ!!!
《ガーゴルゴン》
ーキャアァァァァァァッ!!!
ネオバトルナイザーから飛び出したカードがジャシュラインとグラールの方にそれぞれ飛来し、実体化する
ーキュイィィィィィィッ!!!
『なぬ?シュラァァッ!?!?』
ジャシュラインのもとにゴキブリと毒グモを組み合わせたような醜悪な怪獣ー宇宙怪獣ゴキグモンが翅を広げて突撃して吹き飛ばす
ーキャアァァァァッ!!!
グラールの背後に現れた三つの蛇頭を持つ怪獣ー石化魔獣ガーゴルゴンが女性の悲鳴のような声を上げながら電撃を放ち、周囲の街もろともグラールを吹き飛ばす
ーギャォオォォォァァッ!?!?
『あ、新手でシュラッ!?』
ーキュイィィィッ!!!
応戦しようとするジャシュラインを両手の鉤爪で器用にいなし、ゴキグモンの爪撃が直撃する
「少し黙っていなさいな」
ゴキグモンが口から泡のようなものを放ち、ジャシュラインの体が覆われていく
それは即座に固まり、ジャシュラインの動きを瞬く間に封じてしまった
ーキュイィィィ…
ゴキグモンは満足げに爪を鳴らすと、ビルの屋上にいる主人に向けて一礼をするような動作を見せた
ーキャアァァァァァァッ!!!
なおも電撃を放ち続けるガーゴルゴン
グラールはその電撃を背中で受け続けることしかできない
が、グラールは受けたエネルギーを黄金のエネルギーへと変換し、口の中に貯めていく
ーギャオォォォォォォッ!!!
エネルギーの充填が終わったグラールは電撃を振り払って立ち上がり、ホロボロスを沈黙させたあの黄金の破壊光線を放とうと立ち上がり、ガーゴルゴンを睨む
「ワンパターンですわね、読んでいましてよ。ガーゴルゴン!」
ーキャアァァァァァァオゥゥ…!
立ち上がるグラールの目前
ガーゴルゴンの中央の口が開き、邪悪なる一つ目が開かれる
グラールが光線を撃つが早いか、ガーゴルゴンの邪眼から螺旋に渦巻く光線が放たれる
その光線はグラールの頭部に直撃すると、黄金のエネルギーを霧散させながら、グラールの黄金の体を瞬く間に冷たい黒の石へと変じさせる
ガーゴルゴンはすかさず身を翻し、二又に別れた尾で石化したグラールを打ち据え、真っ二つにへし折るとダメ押しとばかりに崩れたグラールへ尻尾を叩きつけ、粉々に砕く
ーキャアァァァァァァァァオゥゥゥ…!!!
ーキュイィィィアァァァァッ…!!!
勝鬨のように咆哮を上げる2体の怪獣を、立ち上がりながらテラが睨む
『こんなタイミングで…新手、だなんて…ッ』
『ジャジャァァァァッ!!!』
とその時、固められていたジャシュラインが拘束を無理やり爆散させて脱出してくる
それを見据えていたデューサは隠すことなく舌打ちを鳴らす
「本当に、しぶといこと。この際、葬ってしまうのもアリですわね」
ゴキグモンとガーゴルゴンが並び立ち、ジャシュラインを睨む
『ぐげッ⁉︎あの怪獣、もうやられてるジャジャ!?』
『あぁ〜もう、使えない雑魚でシュラ…ッ』
『面倒事ばっかりで、ウンザリだイン』
地団駄を踏んでいたジャシュラインは笑い顔を点灯させ、何かを思いついたように手を打つ
『いっそ、ボクちん達の必殺技で仕留めちゃえばいいでシュラ!』
『おお、いいアイディアジャジャ!』
ジャシュラインは手をクロスして3面を順に光らせる
同時にその全身が黄金の光を放ちはじめた
「ー!あれは流石にまずいですわね。戻りなさい!」
悔しげに爪を噛みながらデューサがネオバトルナイザーをかざす
ゴキグモンとガーゴルゴンが光るカードとなってネオバトルナイザーへと戻っていく
立ち上がったテラがジャシュラインを見据える
『あいつ…何をする気だ…⁉︎』
『まずはお邪魔ムシなそこの怪獣からでイン!』
『さぁ、金に変わってしまうでシュラ!!』
エネルギーをチャージし終えたジャシュラインは全身から黄金の必殺光線ーゴールジャシュラーをー倒れ伏したホロボロスに向けて放った
『ー苑樹!!!』
テラは傷ついた体を起こし、ホロボロスを庇って立ち塞がる
ーテァァァァァァッ…!?
気を失っていた苑樹が目を覚まし、叫ぶ
「リュウッ!!!」
傍観していたデューサも柵を掴み、身を乗り出す
「テラ様…⁉︎なぜ!?」
『邪魔者め‼︎だが好都合ジャジャ!!!』
ゴールジャシュラーを受けてテラが苦しみもがく
同時にテラのカラータイマーが悲鳴を上げるように点滅が早まっていく
カラータイマーの光が失われ、テラが項垂れる
同時にテラの体を黄金の光が包み、その体が金へと成り果ててしまった
「リュウ……」
苑樹が脱力し、くずおれる
『ジャーハッハッハァ!!!お前もオレ様たちのコレクション入り決定ジャジャ!!!』
ジャシュラインが三面を点滅させながら愉快そうに爆笑する
ひとしきり笑った後、倒れ伏したままのホロボロスに顔を向ける
『今度はお前ジャジャ…!』
迫るジャシュライン
苑樹は立ち上がる気力すら出せずにいた
ブーメランを高く構えたジャシュラインが、ホロボロスに向けてそれを振り下ろすー
『ビクトリウムシュート!!!』
ーシェアッ!!!
空を切り裂く一条の黄金の光
掲げたブーメランに直撃し、それを破壊してジャシュラインを後退させる
ーシェアッ!!
ジャシュラインの前に新たな巨体が降り立つ
赤と黒とシルバーに彩られたボディ。腕や脚、肩、そして頭には黄金に輝くV字状のクリスタル。胸には同じくV字型の青く光るカラータイマー
「…ウルトラマン…⁉︎」
現れたのは、ウルトラマン
どこかその姿は、テラにも似ているウルトラマンーウルトラマンビクトリーがそこに立ち上がった
『新手のウルトラマン⁉︎』
『ハッ、ミイラ取りがミイラになりにきたでシュラ!!』
笑い面を点灯させたジャシュラインがファイティングポーズをとる
それに合わせてビクトリーもボクシングのような構えをとり、衝突
力強い拳や蹴りを打ち合わせ、互角の戦いを繰り返していく
《ウルトランス!!》
《EXレッドキング・ナックル!!》
ビクトリーの右腕にマグマのような赤い光が宿り、膨張
赤黒く力強い腕が形成される
ーシェアァァッ!!
ーグァァアッ!?!?
炎を纏う巨大な拳がジャシュラインに突き刺さり、盛大な火花を上げながら吹き飛ばす
『猪口才なぁッ!!!』
怒り面を点灯したジャシュラインが新たなバックラーをブーメランにして投擲する
《ウルトランス!!》
《キングジョー・ランチャー!!》
機械的な光と起動音と共に今度はビクトリーの右腕がランチャー砲へと変化し、そこからの射撃でブーメランを弾くと共にジャシュラインをエネルギー弾が襲う
『舐めるなでイン!!!』
真顔が点灯して念動力で弾丸が空中に止まる
《ウルトランス!!》
《エレキング・テイル!!》
が、それすら追い越しながらビクトリーが跳躍し、鞭状になった右腕から放つ電撃の一撃がジャシュラインを吹き飛ばす
ーグァァアッ!?!?
身を翻して降り立つビクトリーを見ながら苑樹が呟く
「あのウルトラマン…テラみたいに、怪獣たちの力を使って…⁉︎」
苛立たしげにジャシュラインが立ち上がる
『クソが…ッ次から次へと邪魔が入る…ッ!!!』
『あ〜あ、なんか冷めちゃったでシュラ…』
『今日はこれまで。首を洗っておくがイン!!』
捨て台詞を残したジャシュラインは空へと向けて飛び立っていき、すぐに見えなくなるまで飛んでいってしまった
黄金像となったテラを見上げ、苑樹が顔をしかめる
『安心しろ。コイツを助ける方法ならある』
苑樹のいるビルにビクトリーが歩み寄る
その体が金色の光に包まれ、苑樹の前へと降り立つ
切れ長の目を持つ、背中にUPGと書かれたオレンジの隊服を着た青年が光の中から姿を現した
「貴方、は…?」
「オレはショウ。ウルトラマンビクトリーだ」
「ビクトリー……」
苑樹に歩み寄りながら青年ーショウが自己紹介をする
「この地球に向けて妙な連中が集まっていることに気づいてな。駆けつけたんだが…一歩遅かったか…」
悔しそうな顔を見せながら、ショウはテラの胸元を睨む
T字型のカラータイマーは光を失い、その端からじわじわと黄金が侵食しつつあった
「…今ならまだ助かるが、コイツはちょっと重症らしいな」
「ーッ」
ショウの言葉に苑樹が目に見えて動揺する
その頭をポンポンと撫でてショウが微笑む
「安心しろ、絶対に助ける。お前の大切な仲間を失わせやしない」
「ーそれに、コイツは他人でもないみたいだしな」
ショウはその手にした人形ービクトリーのスパークドールズを見下ろして決意を固める
ショウはビクトリーランサーを銃の形態から変化させ、ビクトリーのスパークドールズの足先を中心に当てる
《ウルトライブ!!》
《ウルトラマンビクトリー!!!》
ーシェアッ!!!
黄金の光と化したショウは、テラのカラータイマーの中へと飛び込んでいった
その様子を見て、祈るように手を合わせていた苑樹
「はぁ、下の下ですわね。地球のレイオニクスは」
その背後に、いつの間にかデューサが現れていた
苑樹は振り返り構える
「貴女はッ!?」
「改めましてご機嫌よう。もう一度名乗らせていただきますわ」
デューサはスカートの端をつまみ、優雅に一礼する
「わたくしの名はデューサ」
そして取り出したネオバトルナイザーでたおやかに口元を隠しながら、金の目を細めて微笑む
「ーゴルゴーネ星の、レイオニクスですわ」
黄金像となってしまったテラの内
ショウはリュウへと呼びかける
「お前にとっての強さとはなんだ?」
邂逅する2人の「ビクトリー」
リュウの苦悩を晴らすべく、ショウは拳を構える!
一方、苑樹の前に現れたのは
ゴルゴーネ星のレイオニクスを名乗るデューサ
「この星には、あるものが眠っていましてね」
「わたくしたちはそれを探していますの」
それに呼応するかのように、新たなレイオニクスたちが地球へと降り立ってくる
『ハッ、手当たり次第に燃やし尽くせ!!』
『景気付けにこの島を凍らせてしまいましょうか』
次回ウルトラファイトテラ
「激突と開戦」