一発に全てを込めろ   作:サーチ&デストロイ

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弓場さんカッケェし強えなぁ………
せや!もっと銃弾の数切り詰めて射程もギリギリまで削ったら最強になるんちゃうか!

まさに典型的なアホの考えである




第1話

リボルバー型の銃手トリガーを握りしめ、眼前の隊員と対峙する。緊張なんてするだけ無駄だ。集中しろ。

 

距離は15m。あと少し、あと少しで有効射程。しかしここでかかってはいけない。冷静に見極める。

 

発汗しないはずのトリオン体で手汗が生じるようなこのひりつく状況の中、リボルバーが出番はいつかと俺をせっつく。安心しろ、すぐに火を吹く羽目になる。

 

そして事態は急転する。俺は一気に踏み込み相手の体にドでかい風穴をぶち開けようとするが、読んでいたとばかりに相対する隊員は旋空弧月をかましてくる。

 

ゴウと伸びた弧月が俺に斬りかかる。だがなぁ、俺だってそれくらい承知の上よ。最速で斬りかかる弧月を左手を代償にしてリボルバーを構える。

 

「勝負は先の先じゃねぇ、後の先が勝つのさ!」

 

待ちかねた俺のリボルバーが歓喜の声をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだね、後の先で勝てたよ」

 

「くそがっ!!!」

 

あの後普通に負けた。俺の痛恨の一撃を体を捩って避け、後隙だらけの俺は弧月でバラバラにされた。

 

俺の一撃を避けやがった隊員、辻新之助隊員はにこにことこれまた女子にモテそうな笑みを浮かべのたまう。辻は俺と同期の隊員で、昔からよくこうして模擬戦をし合う仲であり俺に勝ち越している憎いやつだ。今のところのリザルトは7対3。勿論俺が3だよ畜生。

 

「俺は、弱い!」

 

俺が苦悩にまみれた弱音を吐くと、今度は女子にモテそうな苦笑を浮かべた。なんでどんな顔してもそんなイケメンなんだよ少しぐらい分けてくれよ。

 

「だって(はじめ)の攻撃手段がそれだけなら幾ら火力が高くても避ければおしまい。きっと普通のトリガーなら5対5くらいにはなるのに…」

 

「そうしたら意味ねぇだろ!一発に全てを込める、これが俺の戦闘に対する心意気だ!」

 

「心意気は自由にすればいいけどそれで勝てなければ意味ないよ」

 

辻の容赦ない言葉に俺は吐血する。どうして、どうして君はそんな冷たい言葉を投げ掛けるの?君には人の心とかないんか?

 

そうして俺が咽び泣いていると俺の救世主が舞い降りてきてくれた。

 

「まあまあ、そこが彼の良いところじゃないか~。一発に全てを賭ける、その浪漫には惹かれるものがあるからね」

 

「柚宇さん!俺の理解者は貴女だけですよ!」

 

のんびりとした声で俺を庇ってくれたのは、ボーダーのゲーム仲間である国近先輩だ。流石柚宇さん!一発というのがいいんですよね!激しく同意します!

 

「褒めても何も出んよ~」

 

「あ、えと、そ、その……」

 

さっきまでの勢いはどこへやら、辻は柚宇さんが近づいてくるとあたふたとし始めた。

 

「やべ、辻がトランス状態に。昔からこればっかりは全く治る気配しねーよな」

 

「ありゃまこれは失敬。それならさっさと撤退しますかね~」

 

そうしてそそくさと撤退しようとした柚宇さんに、俺はふと思った疑問を投げかけた。

 

「そういや柚宇さん。なんでこのブースの近くに寄ったんですか。何か近くに用事でも?」

 

オペレーターの人が個人ランク戦のブースに寄るなんて珍しいことだ。催しがあるならたまに集まるが、今はそんなこと行われていないし、基本ここは戦闘員の人しか用がない。

 

その言葉にビクン!と分かりやすい動きをして、そうだったそうだったと、どことなく白々しい動作で振り返る。

 

「いや~、ね。あれだよあれ。そう、最新作のゲームを買いに行こうとしたときに見かけたからつい寄ったんだよ。ほんとたまたまね。偶然、偶然~」

 

「ふ~ん、そうなんですか。ふ~ん」

 

怪しい、とてつもなく怪しい。ここまで胡乱な言動をされると気になってしまうではないか。それならば暴いてみせよう、柚宇さんの腹の底を!

 

「じゃあ俺もついていっていいですか?どんなゲームなのか気になるので」

 

「えっ、いや、別に、わざわざ付き合うものでもないからな~、サッと買ってくるだけだよ?」

 

「それでもいいですよ。俺も他にどんなゲームあるか気になりますし。……そこまで俺が来るのが嫌なら流石に引き下がりますが……」

 

「いやっ、別にそんな意味ではなくて、ええと……」

 

ひとしきり慌てた後、急に静かになったと思いきや覚悟を決めた顔で俺を見てきた。

 

「うん、なら一緒に行こうか。それなら早速行こう、ほられっつご~~」

 

(そんな覚悟を決めないと俺とは一緒に行けないのか…。今度から言うのやめよ)

 

そして俺たちは最寄りの家電量販店のゲームコーナーで新作ソフトを柚宇さんと物色するのであった。いろいろ面白いやつがあったのは大きい収穫だった。

 

 

 

一方、トランス状態から帰還した辻。

 

「一はいつも俺のことモテてるモテてるって言ってるけど、自分のことになると一気に鈍感になるよね。なんだか無性に腹が立つなぁ、はぁ………」

 

無人となった個人ブースで一人ため息を吐く辻。何故あそこまでわかりやすい反応をしているのに何も気づけないのだろうか?目が節穴なのだろうか?

 

そんなことを一人思う辻であった。

 

 

 

 




相生一…アホでもあったがクソボケでもあった。

辻ちゃん…被害者。アホの偏見に付き合わされてる。

柚宇さん…アホの先輩。ゲームの師匠でもある。
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