一発に全てを込めろ   作:サーチ&デストロイ

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実際一発限定にしたらどれだけ威力が上がるんでしょうね……

追記 国近さんの呼び方間違ってました!隊長じゃなくて太刀川さんでした!すみません!


2話

今日も今日とて個人ランク戦じゃあ!

 

この前辻にやられたことによって俺のポイントは7450から7250まで落ちてしまった。アイツがマスターまでいってるからポイントの変動率はそんなに高くはなかったが、それでも俺は負けたことに対する怒りで今にも体が爆発しそうである。

 

ポイント、ポイントだ。俺の怒りを鎮めるには怒りの原因でもあるポイントでしか解決できねぇ!誰か、カモになりそうなやつはいねぇのか……。

 

「おっ、一じゃねぇか。今日もランク戦か?」

 

「荒船パイセン。そうです、今俺は猛烈にポイントを欲している真っ最中なんです。なので一戦お願いできませんか?」

 

「いいぜ、久しぶりにやるなぁ一とは。まだあのスタイルでやってんのか?」

 

「勿論。後にも先にもこれだけですよ」

 

お前は変わんねぇな、と苦笑を浮かべる荒船パイセンはあの辻と同じく弧月のマスタークラスの人だ。普通に考えれば厳しい戦いだが、今はチャンスの時期でもある。

 

何故ならこの帽子パイセンは今狙撃手に転向中だからだ!なんでもぱーふぇくとおーるらうんだーと言うものになるべく、弧月がマスターになった瞬間狙撃手に移り変わるほどの熱量だ。

 

つまり、前ほど弧月の練習をしていないということ!ぶっちゃけ弧月のマスタークラスで今一番弱いのは荒船パイセンでは?と勝手に思ってるので、ガッポリポイント稼がせてもらうで~~!

 

 

 

 

 

 

 

『トリオン体活動限界。緊急脱出(ベイルアウト)

 

やべぇ、全然強いわこの人。初手3本取られてしまった。クソッタレ、なんで最近イーグレットをメインで使ってる人の弧月でやられてんだ俺は。

 

流石に集中しなきゃ1本も取れねぇまま終わってしまう。それだけは避けなければ。後で辻に何言われるかわかったもんじゃねぇ。

 

集中だ、集中。これくらいしか俺の長所がない。*1だから極限まで集中する。俗に言うゾーンに入るというやつだ。俺はそれを自由にできるからな!

 

ここからは本気でいかせてもらう。

 

 

 

 

 

「まだ俺の腕も鈍っちゃいねぇようだな」

 

一がリスポーンするまでの間、少しの休息を取る。最近イーグレットの練習にかまけて弧月の練習量が明らかに少なくなってしまった。だから少しの不安があったがどうやら案外いけそうだ。

 

まぁ相手が特殊なことも大いにあるだろうが……。だが舐めてかかると文字通り一撃でやられるだろうから、気持ちは引き締めることを心がける。

 

簡易的な精神統一をしていると、一が復帰の準備を終えたことを合図する。よし、このままの勢いで7本取るぜ!

 

 

 

 

 

 

『試合開始』

 

その機械音声と同時に荒船と相生が転送される。距離はおよそ25m。まだどちらの射程範囲外。故に両者は距離を詰めるため走り出した。

 

距離20m。ここで相生は今までとは違う動きを見せた。腰に付けたホルスターからリボルバーを取り出した。

 

荒船は疑問を抱く。何故ここで銃を抜いたのか?相生の有効射程は13mのはずだ。別の何かに撃つつもりなのか、それともブラフか。何れにしても目的が不透明だ。警戒をしておこう。

 

そして距離18m。荒船の心臓に拳大の穴ができた。何が起こったのか理解せぬまま、荒船は緊急脱出した。

 

そしてその後の5、6本目も同じように13m以上の距離から撃ち抜かれたことによって漸く理解した。

 

"コイツ、射程距離が伸びている!"

 

最低でも20mで撃ち抜かれた。本来の射程より7mも伸びているという驚異の事実に荒船は動揺を隠せないでいた。

 

(どういうことだ?3本目までは手を抜いていたのか?にしても雰囲気がまるで違った。だとしたらどういう仕掛けだ?)

 

7本目が始まる前の僅かな間で、急激な変化の推測をするが、どれもしっくりくるものはなかった。悩みに悩んだ荒船は、今だけ一の有効射程は25mとして対処することに決めた。

 

そして7~9本目。距離の警戒をしたのが功を奏したのか1本は取られたものの、2本取り返すことに成功する。

 

この時点で荒船の勝ちまたは引き分け以上は確定した。しかしだからといって勝負から手を抜くのは荒船の矜持が許せなかった。

 

そして10本目。荒船は市街地の住宅を盾にしながら相生に近づいていく。対する相生はその場からぴくりとも動かず、ただ荒船を待っていた。

 

相生から距離25m付近にまで近づくと、荒船は住宅の壁を弧月で切り崩し侵入する。相生の銃がどれほど高威力なものであろうと、壁越しで当ててくるのは至難の技であるだろうという思惑のもとから生じた行動だ。

 

幾らレーダーがあるとはいえ、あれは高低差を示す機能はないし、ほんの少しだがラグが生じるものだ。荒船はその差で相生を斬れることを確信していた。

 

距離15m。万が一の可能性も考慮して荒船は心臓の位置にいつでもシールドを出せるように警戒しながら、家の中を斬り進んでいく。今までの試合全てで心臓を撃ち抜かれたのでそれの対策だ。

 

そして距離10m。二階の窓越しに相生の姿が見えた。レーダーの反応からこちらの方角を向いているが、相生は一階を注視していた。

 

貰った!荒船は旋空弧月を無言で起動して相生へと振りかぶった。

 

その瞬間、荒船の視界はスローモーションのように作用した。旋空弧月の起動と同時に相生がこちらを向いた。

 

弧月が相生の首まで後5m。リボルバーの銃口がこちらに固定された。

 

弧月が相生の首まで後3m。銃弾がカウンター気味にこちらへと音を立てて向かってくる。そしてそれを見て荒船は心臓の前にシールドを出現させた。

 

弧月が相生の首まで後1m。銃弾が()()()()()()()()()()。荒船の弧月は途中で力を失い、相生の脚を斬るだけで満足した。

 

『トリオン体活動限界。緊急脱出』

 

「ふっ、俺も弧月の練習しねえとなぁ……」

 

そんな言葉を残し、荒船は一筋の光へと姿を変えた。相生は残心を取ったあと、ホルスターにリボルバーを仕舞った。

 

「ポイントなしかぁ……」

 

情けない言葉を吐きながら。

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、やっぱりゾーンに入った一はカッコいいな~。あの一発で決める姿、惚れ惚れするね~」

 

国近は荒船と相生の試合中継を見ながら、ほへぇと感嘆の息を溢した。特に最後の荒船の眉間を撃ったところが気に入ったらしい。

 

「部屋にいいとこのどら焼きあったかな~?まぁもし無くても代わりに太刀川さんの餅もらうか~」

 

試合後の相生を労うために、国近は部屋へと小走りで駆けていった。

 

 

 

 

*1
俺のサイドエフェクトは過集中状態というらしい




相生一…サイドエフェクトの影響で一定の時間だけ有効射程を23mまで伸ばせる。柚宇さんから貰った餅が美味しいのでまた食べたい

荒船哲次…ポイントを奪われた人。この日を境に弧月の練習量が増した

国近柚宇…あげた餅が好感触だったので定期的に渡すことを決めた

髭餅…最近餅の減りが早い
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