夏祭りと各話のキャラクターたちが出ます。
作者様には無許可ですので、作者様にだめと言われたら静かになくなります。
チナツ達はいつものメンバーで夏祭りの準備をしていこうと、半年前から色々前述の通り、準備をしてきた。
佐藤チナツ、元地球人の日本人。
電車の脱線事故にてたくさんの人達が亡くなり、チナツもその一人。
そこからこの異世界に強制とも言える状態で送られ、スキルの食い溜めというものを使い、色々とチナツを無意識に強い存在へとさせていた。
今でもあまり己が強いと思っていない。
転生者、佐藤千夏
光竜の子供、タマ
魔物の子、コムギ
犬獣人、セレナ
人間の貴族、アルフォンス
アルフォンスの執事兼教育係、エド
狐獣人、リル
セレナの剣に宿る妖精、シルフィン
水と氷の竜の青年、レオン
このメンバーは基本的に共に活動している。
トンコツショウユという名前でパーティー登録されており、勇者パーティーとして周りの国から認められている。
千夏は別に勇者の称号などいらないのだが。
そんな勇者パーティ達は夏休み企画という夏祭りを成功させる為に、色々動き回っていた。
準備も佳境。
その合間にギルドの依頼もこなす。
他でもない冒険マニアでもあるアルフォンス。
冒険がしたいと言い始め仲間達はまたかと苦笑し、エドはアルフォンスの頭をばしりと叩く。
「痛いぞ、エド」
いつものツッコミ(?)を終わらせて、みんなは丁度良い依頼を探しにギルドまで転移した。
転移とは一度行った場所に移動出来る魔法の一種。
「さて、どんな依頼があるかな」
「強いモンスターがいるといいの」
セレナが上機嫌に言い募る。
それに同意するのは魔物三兄弟。
タマ達も力を求めている。
レオンはそこまでだが、竜としてはそれなりに強くなりたい気持ちはある。
しかし、今はタマとコムギの強化が優先されるところだ。
「どれがいい?」
リルが優しい笑みを浮かべて、彼らに声をかけ、依頼が貼られている壁を見えるように抱き上げる。
彼らは身体能力が高いので目は良い。
普通に見ても隅々まで見えるが、彼らはリルに抱き上げられたいので、それを言うことは無い。
レオンも抱き上げたそうな顔をしていたが、たくさん視線がある中、抱き上げられず断念していた。
「これはなんの魔物でしゅか」
タマが舌足らずな口調で尋ねてくる。
タマはまだ生後一年も経過してないという竜なのだ。
たどたどしくて当然だ。
尋ねられた千夏達は首を傾げたが、何故か魔物に詳しいエドがメガネをあげてスラスラと説明する。
「これは陸のタコと呼ばれるイビルオクトパスです」
「たこ焼きに良いかもしれない」
千夏はもうそれしか考えられない。
タマ達も狩る気満々で、コムギなんて尻尾を勇ましく上へ伸ばして気合いを溜めている。
千夏はたこ焼きを食べたいが戦いたいとは地理も思わない。
基本、だらりとしていたいと常々思っている。
それに対する体育会系のやる気は有り余るものがあり、千夏は一人残りたいと言っていたが、タマ達が彼女と離れるのは嫌だとお腹にくっ付いたりしたので、強制的に行くことになる。
アルフォンス達はもう準備が出来て居るので、ついていくだけの存在になった。
勇者プラスアルファの御一行はてくてく、転移も駆使しつつことを進めていく。
夏祭りの準備はあらかた終わっており、準備が直前でなければ必要になるのは新鮮な魔物だ。
売り物として、衛生面は地球人として厳しくやっている。
そんなふうに、忙しさとまったりな日々を交互に送る中、ついに夏祭りが始まると、空気は一気に地球へ戻された。
あくまで空気だけであって、本当は異世界だけど。
チナツは二人のドラゴンとネコ科の魔物がヒト型として着る甚平に、可愛いと褒めた。
彼女よりも更に可愛いと悶えるのは周りだ。
二人ともぷにぷにのほっぺを持つ黄金の見た目をしているから、余計に可愛くて仕方ないのだろう。
カメラがないので、やはり開発する誰かに頼みたいところだ。
頼んだところで実現するのはずっと後になるだろうな。
祭り当日。
千夏も村人の女衆らに強制的に着替えさせられる。
何故かリルも男衆に連れて行かれる。
「女物はいやだーっ」
いつもは叫ばない男の叫びを聞き届けたレオンが飛んでいったが、女と男の違いをまだよく分からないドラゴン。
「似合うぞ」
「うう……褒めてくれるのは嬉しいけど、嬉しくないよ」
レオンは純粋な気持ちで言っている。
リルの姿に見惚れる、男衆や女衆とは違う。
「ち、千夏!」
千夏がリルと合流すると、女物の着物をきた千夏が見れてポーっとなる。
ちーちゃん可愛い、と喜ぶタマとコムギにチナツは満更でもない様子。
「ち、チナツカワイイヨ」
「ありがとう」
おべっかと取られたかもしれないとショックを密かに受けているキツネ獣人。
次々と話しかけられる千夏。
招待していた面々から挨拶される。
シャロンを伴った夫妻も祭りに誘ったので数日前から国へ滞在していた。
「シャロン!」
「タマー!」
二人は抱き合い、タマにも緩く抱擁するシャロン。
シャロンもタマ達とお揃いの柄で、色違いが着せられている。
「色んなものがあるね。たこやき食べた?あれ美味しいね!熱いけど」
「食べたでしゅ。こりっとしてぐにゅぐにゅしたでしゅ。海のある国に行ったときにたべたんでしゅよ」
「どこ?あ、もしかして手紙に書いていた」
話し込む子供達。
光竜のタマの生みの親の夫妻も、タマたちの様子をニコニコと見守る。
「楽しそうだな」
「ええ。あなた。タマにもリンゴ飴を買ってあげましょう。子供達の分も」
「そうだな」
リル達はそそくさと、千夏が話し込むのを横目に花火を用意している場所へ行く。
エドはくねくねと相変わらずの女装をする筋肉ムキムキの元S級冒険者に冷たい目をする。
「ランドルフ。私はあなたにフリルのついてないものを送ったのですが勝手に改造しましたね?」
男ものを送った。
出来るだけ中間の柄になるようにしておいたのに、まるで千夏たちの世界でいうゴスロリ風になっていた。
「いやん!らんちゃんよ!もうっ」
エドの手がランの後頭部に伸びたり避けたりと騒がしい。
シルフィンとセレナは風の妖精王と射的に挑んでいた。
「そこ、そこなの、腰を落とすの」
「なってへんな!もっとあんじょうせいやぁ」
「私は肉体で戦わないから、言われても分からないのだけど」
困惑する妖精王に水の妖精王がふふふ、と笑う。
隣ではヨーヨー釣りをしていて取っている。
「妖精王様っ。そんなことせんでもサービスであげるから普通にとってけれ」
村人が屋台主をするヨーヨー釣り。
水を操ってポンポンとする妖精王はこの村、この国の村人の気質をたいそう気に入った。
「おー、すごいべ!」
「もっとしてほしい!」
「ふん!任せなさい」
村人をびしょ濡れにしても笑うだけ。
彼らを優しく見守る、アルフォンス。
「祭りなんて最高だ。太鼓はおれがするから聞いてけよ!」
闇竜が巨大な太鼓を作ったので、すごく自慢げに開催準備日の間ずっと同じことを周りに吹聴していた。
「ああ。踊りには参加するから聞くぞ」
村の一人、元地球人のタロウは売るために植物屋を開いている。
告白などにいいかな、と思ってかわいい花を選んでいた。
「タロウ、これくれ」
「はい、どうぞ」
村人たちも続々会に来てくれる。
そのついでに屋台で買ったものを差し入れしてくれるから、歩かなくても十分夏祭りを楽しめる。
「タロウ、これはたい焼きっていうだ」
「甘いべ。タロウも食べるといい」
「ありがとう。この花もサービスにつけるよ」
この国には他国人もきているが一際高い地位を持つ王妹も当然きていた。
招待される前から行くわと全員に告知しているくらい、視察を楽しみにしているらしいので。
「セラ様、あれはなんでしょう」
付き添いの老女も転移で共に来ていた。
「あれは、焼きそばというらしいわ」
「焼きそば。美味しそうですね」
「すべて買う気で持ってきているから、あなたも食べれるわ」
「セラ様……無理です」
老女にはきつい。
しかし、セラはにんまりと笑う。
「今は無理でもあとから千夏たちのレシピを買えばいいわ」
セラの発言を苦笑して聞く彼女にすれ違うフェルナー。
フェルナーは父と共にネバーランドへ招待されていたので、その規模や光景に驚きながらも興奮して周る。
「うちからのトールバードも元気に走っているな」
ヴァーゼ侯爵は満足そうに顎を撫でた。
千夏の従姉妹であるマフユとガエンも祭りを楽しむ。
「千夏ちゃんはやっぱりすごい」
「マフユ……よかったな」
懐かしさしかない夏祭りに真冬は涙を流して唐揚げを頬張っていた。
それを拭うガエンは千夏の優しさに再度天に向かって感謝する。
朝倉は二人とは別行動で輪投げをして、子供達にヒット連続を見せつけて大きく盛上げていた。
その近くでは国の王子であり魔物をお城で飼うランスロットが、女騎士を伴ってプチラビットのダンスを絵に描いていた。
ルナはその進行役だ。
「主人様……早くきてほしい……」
なかなか来ない千夏を恥ずかしそうに待つ、オーバーテクノロジー。
多分まだまだ来ない。
「千夏!千夏ー!」
セレナが走ってきたのでチナツは彼女の方へ向く。
「もう直ぐ花火が始まるの。全員で見ないとってシルフィンが急かすからみんな呼ぶの」
耳の魔道具で集まる場所を決めて、みんなが集まる。
「チナツ、に、似合ってる」
もう一度チャレンジしたリルは言い逃げしてまた花火設置会場へ蜻蛉返り。
「え、あ、うん?」
戸惑う千夏の手を、タマ達はキュウと握る。
「ちーちゃん!タマも花火をあとでうちあげるんでしゅよ。またあの指輪を貸してほしいんでしゅ」
「いいよ」
「たー、ちーもいく」
コムギがぽてぽてと、フランクフルトのケチャップで口元を汚しながら近づいてくる。
それをチナツは、持たされたハンカチで拭いていく。
「コムギ、こけちゃうでしゅ」
「食べるのうまくなったね」
二人に話しかけられて胸がキュウッとなったコムギは、ギュッとチナツに抱きつく。
横でレオンがちらりとタマを見る。
「レオン兄。祭りは迷子になるから手を繋ぐでしゅ」
「祭りだから仕方ないな」
がっしり繋ぐ手にレオンは口元を緩めた。
「はじまるで!」
シルフィンの声が聞こえる。
「今日は花達が騒がしい」
土の妖精王が現れて、他の妖精王達にねぼすけねと笑われて、場はあたたまる。
ヒュルルル
音が耳に到達する頃には、全員が空に顔を向ける。
バーン!
「たまやー」
パーン
「「たまやー」」
異世界人も地球人も分け隔てなく、交差した場所に集まり、異世界の魔法と文化に向けて笑顔を咲かせた。
「花火で終わりじゃないぞお前らああああ!!」
しみじみと地球を懐かしむ面々などを現実に引き戻すドラゴン、ナル。
ドーン!
太鼓を鳴らして、でかいバチを手にナルは音楽を鳴らす者達と共に、夏祭りの本番はこれからだぞ!と彼らを再び祭典へ招く。
「踊れ!飲め!今夜は夜通しやるぜええええ!」
「おおおおお!!!!」
村人たちや招待客の声は、花火に負けないくらい夜空に響き渡った。