VRお散歩系ゲーマーアユムちゃん 作:アユム@お散歩中
「みんな、聞こえてる?音量大丈夫?」
<こんにちは!>
<大丈夫>
<待ってた>
<こんにちは〜>
<ちょっと小さいかも>
「わかった、ちょっとだけ上げる」
<真っ白〜>
<初見>
<アバター設定中?>
「そうだよ、さっき起動したばっかり」
<音量ありがとう>
<今日は何のゲーム?>
<配信初見です>
「あれ、タイトル書き忘れたかな。Magic Spirits Onlineってゲーム。昨日の夜配信開始したやつ」
<概要欄に書いてた。ごめん>
<タイトル散歩しか書いてないよ>
<サムネ定型だからわからんでもしゃーない>
「ごめん、サムネは後で写真撮って差し替える予定。タイトルは……お兄ちゃん、書いといて」
<恒例のぶん投げ>
<まあやることはいつも同じだし>
<また散歩ゲーだと勘違いしてるな>
「うん、今回も世界を歩き回る配信になる。とりあえずアバターはいつもの流用」
<親の顔より見たアバター>
<もうタイトル変わってて草>
<今日は何時間くらい?>
「もっと親の顔見て。今日は2時間くらいかな。用事があるから。お兄ちゃんありがと」
<お兄ちゃん助かる>
<スキル何取るの?>
<なんかスキルいっぱいあるらしいな>
「とりあえず体力系。あとは耐性幾つかと回復魔法かな。PVに毒沼あったから対策したい」
<一個くらい戦闘取れや>
<相変わらずのガンジー>
<敏捷系は取らないの?>
「敏捷系取ると人間よりも車っぽい見え方になりそうで嫌」
<そんなことある???>
<妙なこだわりだな>
<人間縛り定期>
<毒耐性は人間じゃねぇだろ>
「己の足で歩き回ることに価値があるのです。じゃあ、始めるよ」
<いよいよか>
<wktk>
「設定完了、同意完了。ポチッとな」
『行ってらっしゃいませ、旅人の方。魂の故郷、カレイドへ』
「長いローディングを抜けると人混みであった」
<重いな>
<人集中してるからかな>
<頭がカラフル>
「とりあえず新世界に来たということで、まずは深呼吸」
<いつもの>
<深呼吸助かる>
「思ったより再現度高いね。空気の匂いとか音とかしっかり感じる」
<ベンチャーなのによくやっとる>
<ベータの時点で完成度高かったからな>
<動きも滑らか>
「ベータの人いる?私の配信はネタバレしても良いよ。鳩を飛ばすのはダメ。概要欄確認してね」
<はーい>
<ネタバレオッケーなんだ>
<鳩?>
「うん、私がメインストーリーとかに関わるとは思わないし、綺麗な景色とか見つけたら教えて欲しい。
鳩を飛ばすってのは、別の配信者さんに私のことをわざわざ伝えにいくこと。例えば、配信者さんが私の名前を出して会話してるなら、コメントに私の名前出しても良いけど、そうじゃないなら控えるべき。荒らしみたいになっちゃうからね」
<なるほど>
<常識やな>
<ピンチでもダメなの?>
「ダメだね。その人に私を助ける義務は無いから。迷惑になっちゃう」
<わかりました>
<周知大事>
「ただ、私に飛ばすのはある程度許すよ。おもしろそうだから」
<マジ?>
<面倒ごとになりそう……>
「まあ出来ることなんて回復くらいだけど、普段のスタイルだと誰とも会わないからね」
<たしかに>
<コラボ配信無いよな>
<向いてなさすぎる>
「さて、じゃあとりあえず地図でも買いに行こうかな」
<地図ならギルドで配布されてたぞ>
<ついでに登録したら?>
<あとは靴か>
「ギルド?オッケー、行ってみよう。靴はお金足りたらね」
「受付嬢さん可愛かったね」
<鼻の下伸びてますよ>
<地図もらえて良かった>
<ロリコンめ>
「可愛いは正義。地図によると南が海っぽいから、先に平原がある東に行こうか」
<いつか船とか出そう>
<大工で派生しそうよな船大工>
<モンスターどうするの?>
「避ける。こちとら丸腰なのよ」
<もう縛りプレイだろこれ>
<今日は何回死ぬかな>
「見てなよ。私の培ってきたモンスター回避スキルを」
<親の声より聞いたイキリ>
<回復スキルモリモリ伸びそう>
<特技ゾンビ特攻>
「お、門見えた。あの先だね」
「広い平原だねぇ。のどか」
<あんまモンスターいないな>
<狩られたんじゃない>
<あるいは非敵対>
「ポツポツプレイヤーはいるけど、先頭はもう平原抜けた感じかな」
<マジで散歩してるだけなの草>
<散歩配信の面目躍如>
「世界を歩き回るのが目的だから良いんだよ。見どころ無いけど」
<お前の雑談を聞きに来てる>
<二窓してます>
<ラジオ代わり>
「画面見なよ。おっ、モンスターくん発見。非敵対かな」
<狼か>
<寝てる?>
<有効範囲調べるか>
「とりあえず近づいてみる。……5メートルくらいかな?」
<こっち見たな>
<普通に敵対っぽい>
<イッヌprpr>
「コレサムネにしようかな。カメラこの辺にして……」
<ガチ恋距離やめろ>
<顔良……>
<後ろ動いてね?>
<範囲入ってるぞ>
「良し、大丈夫かな」
<おい後ろ>
<後ろ見て>
<狼来てる!>
<コメント見て>
「はい、チーズ!……グバァ!!」
<あ>
<草>
<頭から行ったな>
<ワンパン?>
<クリティカル的なそれじゃね>
<本日のカウント、1>
「……死んだかと思った」
<しっかり死んだぞ>
<おかえり>
<無かったことにするな>
<イッヌ怖い……>
<写真撮れたの?>
「あ、そうだ写真写真……何コレw」
<草>
<草>
<迫真の狼w>
<コレサムネ決定だろ>
「そうしよっかぁ。お兄ちゃん、データ送ったからよろしく」
<コレはサムネバキューム>
<新規増えそう>
<定着しないんだよなぁ>
「そのうち防具揃えないとね。急所クリティカルあるタイプだコレ」
<生存系スキルも欲しいところ>
<ベータだと食い縛りとかあったぞ>
<身代わりもあったな、忍術系>
「そこら辺も検討しよう。とりあえず今日はもう時間無いし、ギルドに戻って情報収集しようか」
<もう1時間半か>
<今日何もしてないな>
<クエスト見ようクエスト>
「じゃあ今日はここまで。多分また明日、同じくらいの時間にやるから」
<はーい>
<お疲れ様>
<やろうかなMSO>
「オススメよ。生きてる感じするから。また明日ね〜」
<乙>
<お疲れ様>
バーチャルヘッドセットを外した少女は、ベッドから身を起こした。
いつものように深呼吸。
嗅ぎ慣れた薬品の匂いと、窓から差し込む日光。
バーチャル世界より鮮明で鋭利なそれは、現実に戻ったんだな、なんて陳腐な感想を呼び起こした。
「立木さん。立木歩夢さん。そろそろ」
「ああ、はい。よろしくお願いします」
看護師さんの手伝いで車椅子に移る。
この後は、いつものリハビリ。
動かない足で、現実を歩む練習。
カラカラと音を立てて、車椅子は進む。
自身の一歩よりも速いその速度が、少女は憂鬱だった。
「早く続きやりたいな」
あの場所でなら、余計なことを考えずに済むから。
見切り発車です
不定期に投稿します
主人公ちゃんは立木歩夢と書いて、たつきあゆむと読みます
最初は足利にしようと思ったのですが、先人とダダ被りしたので辞めました
掲示板やりたいけど書き方わからないからやらないかもです