VRお散歩系ゲーマーアユムちゃん 作:アユム@お散歩中
「聞こえてるかな?音量大丈夫?」
<こんにちは〜>
<初見>
<待ってた>
<音量大丈夫そう>
「良かった。今日は毒をお試ししながら森に行くよ」
<やっと森行くのか>
<先頭もう森抜けたぞ>
<サムネ変えたのね>
「あ、気づいた?ネタバレ注意をサムネに移動したの。タイトル見てない人いたっぽいので」
<サムネの方が印象強いのはそう>
<現状言うほどネタバレでもなくね?>
<ネタバレ出来るくらい進んでくれ>
「それで毒スキルなんだけど、このパッシブスキル、今のレベルだと若干持ち腐れなんだよね。基本は武器に塗って刺すんだけど、私まだ突っ込んで死ぬくらいしか出来ないし」
<付与成功率とか継続時間アップとかだからな>
<毒特効的なのが欲しい>
<また武器に阻まれてる>
<遅すぎて離脱出来ないのはもう見飽きたよ>
<毒もまだ微弱だしなぁ>
「隠密上げれば気づかれずに背後取って刺せるけど、それでも補助無いからヒットマンスタイルで首切れないという」
<暗殺も毒殺も出来ない忍者とは>
<もう忍者廃業しろ>
<かくれんぼは出来るから……>
「というわけで、敵に使うのはもうちょい色々スキル上げてからね。今日は毒の試飲をやって行こうと思います」
<お試しって試し飲みかよ>
<ラリってんじゃねぇ!>
<まあ効率的ではある>
「そうなのよ。耐毒スキル最初に取ったは良いけど、近場で育てられる場所が無くてね。自前で用意することにした」
<一周回って暗殺者っぽくなったな>
<最近漫画でも読んだか?>
<てか耐毒って忍者で取得出来ないの?>
「この先出来るよ。毒扱うのにそれで死んでちゃ世話ないからね。ただ、そっちは職業スキルだから、忍者外したら使えなくなるんだよ。初期スキルは職業に左右されないから便利」
<なる>
<めっちゃ重要じゃん>
<尚更なんで耐性ばっかにしたの???>
<一周回ってバカが発覚した>
「忍者外した時に役立つからいいんですぅ。現状その未来見えないけど」
<忍者が便利すぎる>
<お前が貧弱なのが悪い>
<無職だと耐性と回復しか出来ないのはどうなんよ>
<無敵の無職>
「とりあえず、森に向かいながら毒を飲んでいくよ。資金注ぎ込んで幾つか買ってきたから味比べしよう」
<毒の味に拘るやつとかいんのか?>
<混ぜる毒なら気づかれない方がいい>
<不味いとバレやすいからな>
<無味の方が楽>
<怖いわ>
「なんか毒のプロ集まってきてる?味覚の再現度も気になるから試したかったんだよね」
<飯を食うでごわす>
<最初に味わうのが毒でいいのか>
<舌がバカになりそう>
「1本目は……何か渋い……?微妙な味、料理に混ざってたら気づきそう。美味しくは無いかな……」
<食レポが下手すぎる>
<これを食レポと呼んでいいのか?>
<毒レポ>
<効果は?>
「んーと、まぁ普通に時間制限付きスリップダメージだね。よくあるやつ。定数ダメっぽいから硬い敵とか雑魚には使えそう。耐性有れば軽減できるね。次」
<DoT戦士御用達になりそう>
<中身わかんねぇもん買ったのかよ>
<福袋形式で毒売るな>
<毒味ビーンズやん>
「うわ、何これめっちゃ甘い……果物的な甘さじゃなくてすごいケミカル……お薬みたい。ちょっと吐きそう」
<結構味の再現度が細かいな>
<体に入れたらヤバいタイプの甘さなんだろうな>
<何に混ぜるんだよこの毒>
「効果は……耐性低下!?えっ待って困る、普通に死ぬ!」
<つよ>
<思ったより有用>
<毒のちゃんぽんするのが悪い>
<回復魔法あれば死なんやろ>
「ちょくちょくヒールかけるか……あ、でもさっきの毒より毒耐性の伸びが大きい!めっちゃ有能!」
<耐性下げるだけなら問題無いし便利だな>
<俺も買ってこよ>
<ちゃんぽんはするなよ>
「街に帰ったら、これ買い込んでおこう。ガチャじゃなければなぁ……」
<そのうち誰か作るやろ>
<普通に攻略で欲しい>
<この先耐性強いやつとかいるだろうしね>
<忍者なんだから自分で作れよ>
「んー、ベータ情報を調べた範囲に毒作成がないんだよねぇ。まだ出てないレベルだったのか、他の職業との派生だったのか。あり得そうなのは生産系職業だよね。調合とか」
<転職できるから職業の派生が多めなんだろうな>
<上位職業かも知れん>
<というか毒と銘打ってないだけでは?>
「あー、ありそう。毒として作ったんじゃなくて、結果的に害のある効能ができたものを毒判定してるのかも。だったら普通に生産系で作れそう。いつか取ろうかな」
<生産職はいいぞ>
<お前もトンカチを握らないか?>
<鬼が湧いたぞ>
<第1次産業の誇り!>
「大工は第2次じゃないの?まぁいいや。この調子で耐性を伸ばしていこう」
「森が見えてきたけど、期待したほど耐性伸びなかったね」
<まだ初期の毒だからそんなもん>
<あんだけちゃんぽんしたのにな>
<道中虫おじさんみたいだった>
「さすがに虫が体内這ってるのはヤダなぁ……まあ回復魔法が伸びて弱体回復出たのは良かった。また飲めるね」
<お薬を免罪符にするな>
<血圧低下薬をドカ食いに使うタイプやん>
<そろそろ他人を回復しろ>
「今日の目標は森に行くことだったんだけど、実のところやること決めてないんだよね」
<行き当たりばったりすぎる>
<もうちょっと考えて行動しよ???>
<考えてたらガンジーしない定期>
「まぁ散歩なんてこんなもんでしょ。森まで歩くのが目的って言っても過言ではない。森の先ってもうマッピングされてるの?」
<さっき村っぽいのが見つかった模様>
<村あるよ>
<村でリスポーン更新できる>
「村かぁ。さすがに今回ではたどり着けないよね。次次回あたりを目標にするとして、今日は森で死んだら終わりにしようか。用事あるし」
<はーい>
<了解>
<今日も早いなぁ>
「短くてごめんね。そのうち時間が取れたら、長時間配信もするかも」
<ええんやで>
<短い方が見やすくて助かる>
<あんま長いのもなぁ>
「ありがと。さてさて、森に入るわけですが……木も草もデカくない?雑草が私の身長超えてるんだけど」
<田舎ならこんなもんだろ>
<これだから都会の若者は……>
<田舎をなんだと思ってんだ>
「視界が悪すぎるな……森を抜けた報告が遅かったのも納得かも。迷ったら終わりだ」
<NPC曰く中心になんかおるそうな>
<巨大樹の森と言うらしい>
<ベータにはおらんかった>
<絶対ボスやん>
「そのボスが原因だったりするのかもね。とりあえず次は迷わない仕込みを考えるとして、今日は適当に進もう」
<草に隠れて魔物いるから注意>
<先頭はどうやって抜けたんやろ>
<最先頭は走ってたら抜けたらしい>
<野生児かよ>
「イノシシかな?まあ最悪そうする。多分モンスターから逃げ切れる速度前提だろうけど」
<隠密スキルの出番ですよ>
<おう、隠密しろよ>
<この女隠れる気ねぇな>
<音立て過ぎだろ>
「うるさいですねぇ。草が邪魔なの。普通に前見えなくて転けそうなのよ」
<お前のアバターが小さいのも難点>
<条件はモンスターも同じなんよ>
<野生を思い出せ>
<野生魂を見せろ>
「……たしかに屈んでも大差無いな……さすがに平原よりは進みにくいだろうけど」
<出た四足歩行w>
<自然すぎる>
<なんか前の草動いてね?>
<これは†野生魂†>
<モンスターおるぞ>
「地面は見やすいから安心ではある。まあ今回はやらないけ、ど……」
<デッカ>
<いやクマやん>
<立ったクマこっわ>
「……わぁ、おっきい。目ぇばっちり合ってる。えっ、死?グベェ!!」
<草>
<モンスターに隠密されてる件>
<クマってほんとに抱き付きするんだな>
<クマの鯖折りが決まったァ!>
<ちょっとエッッッ!>
「……腰もクリティカルだったりする?」
<お早いおかえりでしたね>
<いや普通にHP削れて死んでる>
<クマの目撃例あったっけ?>
<クマ見覚えない>
「レアモンスかぁ……適正レベル高かったのかねアイツ。まあいいや、ちょうどいい区切りでしょ」
<クマ狩り挑戦してくる>
<徘徊タイプかな>
<出現条件とかは無いやろ>
<森散歩辛すぎるっピ>
「クマ避けの鈴とか要る?いや隠密投げ捨てるほどじゃ無いな。とりあえず次までに視界不良をどうにかしよう」
<歌おうぜ>
<超久しぶりの歌枠来る?>
<忍者が歌うな>
<おい、忍者差別やぞ>
「歌は最終手段ね。じゃあ今日はここまで。次はちょっとわからないけど、また今度ね〜」
<乙>
<またね>
<待ってる>
ヘッドセットを外す。
時計を見るとそろそろ12時になろうとしていた。
遠くでガラガラと音がする。昼食を運ぶ配膳車だろう。
病院食はそんなに好きでは無い。
世間で言われるほど不味い訳では無いし、希望を言えば少しは融通が効いたりする。そりゃあ、病院側だってわざと不味いものを食べさせてるわけじゃないし、患者にはたくさん食べてほしい。栄養だって考えられている。
少女はとっくの昔に慣れてしまっていた。
じゃあ何が不満なのか、と聞かれると、ちょっと困ってしまう。
味が濃いものは好きな方だ。入院する前は、お母さんの作るオムライスに、ケチャップをたっぷりかけて食べるのが好きだった。だが、薄味が嫌いというわけではない。
レパートリーはたしかにちょっと少ないけど、そこまで不満は無かった。
量もたしかに育ち盛りの少女には少ないけれど、リハビリ以外は日がなベッドの上にいる身体に必要なエネルギーは賄えている。
思うに、健康的な食事であることが問題なのだろう。
たまには深夜にカップラーメンを食べたい。背徳的で、身体のことを考えない食事をしたい。
だがそれは許されない。健康的な食事を摂らなければならない。
何故?
少女が入院患者だから。
要は、入院していること自体が嫌なのだ。
元を辿れば普通に歩けなくなったことが最悪で、そこから全て地続きの悩みだった。
だから、あの毒の味は。
渋くて、甘過ぎて、苦くて、不味くて、無味な罪の味は。
背徳的で、身体を傷つける代替物で。
少女には得難い甘美でもあって。
ゾクゾクして、ちょっとハマってしまいそうだった。
風邪かインフルかを拗らせて遅れました。現在も継続。皆さんもお気をつけください。
ちなみに、この作品のMSO内の食事は満腹感を覚え、それを少しの間現実に残します。これはVR世界の設定次第ですが、そのためこの世界ではVRをダイエットに活用したり、過食症対策に使ったりもしています。ただ、短時間であり現実の身体はちゃんと空腹なので食事は必要です。
身体に不具合が起こるとVRヘッドセットがエラーを吐いて強制ログアウト&一定時間ログイン制限が発生します。ちゃんとご飯は食べようね、ということです。
歩夢ちゃんは昼食前なので、ゲーム内で普通の食事は摂らないようにしています。飲み物程度なら大丈夫。夜配信はあんまりしないので、結局ゲーム内でご飯を食べることは少ないです。
以上、作品内で触れるかわからない小ネタでした。いつか回収するかもしれない。