綾小路は恋がしたい   作:Кудрявка

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愛を歌えば言葉足らず
踏む韻さえ億劫
花開いた今を言葉如きが語れるものか
         
               -ヨルシカ-


入学〜無人島試験開始まで
#1 夢見草のような夢


 

彼女が欲しい。切実に彼女が欲しい。

悶々とした思いを胸に秘めた十五の夜。

俺はホワイトルームから抜け出す事を決める。

 

目的はただ一つ。

年齢=彼女いない歴なんていう不名誉な称号から脱却するためだ。

 

 

 

 

都営バスに揺られて向かう先は高度育成高等学校。

そこはホワイトルームの魔の手から逃れるべく選んだ俺の桃源郷。

 

入学以前に、建屋すら拝んでないが、俺は自信を持って言える。

この学校に進学することを決めた俺は慧眼だったと。

 

何せ、隣に座っている俺と同じ制服を見に纏った女の子が可愛い!!

 

進学率就職率100%。政府監修の教育システム。

学校のそんな表向きの魅力が霞むほどの美人。

キリリとした切れ長の瞳。健康的に白い肌。濡羽色の髪。

陳腐な表現をすれば清楚系。出生は何処かの令嬢だろうか?きっと性格もお淑やかであるに違いない。

 

何だか車内が少し騒がしいが、俺はホワイトルームを出た恩恵を早々に感じていて気にならなかった。

 

そのままバスに揺られる少女を横目に見る事数分、豪奢な門が俺を迎えた。

そこで、改めて感じることとなる。

周囲の女子のレベルの高さに。アイドルや俳優業をやっていたって不思議じゃない。

学校の採用基準に顔面偏差値という項目は無かったはずだが…あからさますぎて闇を感じるな。

 

そして、綺麗な花というのは花畑の中でも輝きを放つもの。

一際周囲の目を惹きつけていた茶髪のボブカットの女の子がいた。

舞い散る桜が霞むくらいの存在感だった。

その子は門をバックに撮影してるようだ。あれは…snsに投稿すれば万バズは確定だろうな。

 

…彼女のように普通は記念に写真の1枚くらいは撮るものなのかもしれないな。

 

一般的な高校生の価値観を学ぶ機会に恵まれなかった俺にとってその光景は新鮮そのものだった。

だが、習うより慣れろだ。

俺は見様見真似でスマホの内カメラを起動して、そのまま天に翳し…

 

「ちょっと」

 

刺々しい声にピタリと俺の手が止まる。

自分の格好に羞恥心を覚えながらも恐る恐る振り返るとそこにはさっきの少女がいた。

凛々しい瞳が真っ直ぐにこちらを見据えている。

 

み、見せ物じゃねーぞ!!

 

「さっき私の方を見ていたけれど何なの?」

 

暗黒舞踏のようなポーズで固まった俺に一切触れることないほど、彼女はお怒りのようだ。

どうも、他人の視線に敏感なタイプらしい。

いくら俺が高校生ライフ幕開け早々のビッグチャンス到来に浮かれていたとはいえ、ジロジロと視姦するような真似はしていない。

俺はあくまで視界の端に収めていただけだ。

 

「同じ制服を着ていたからな。これから、同級生になるなら話しかけるべきか迷ってたんだ」

「理解に苦しむわね。仮にその理屈が罷り通るとして、車内には同じ制服を着た生徒が他にもいたはずだけれど?」

「そうだったか?いや、その状況でも真っ先に隣に目が行くのは自然じゃないか?」

「はぁ。そんな短絡的な思考でジロジロと見られていたなんて不快ね。入学早々、友達作りに励むのは結構だけれど他を当たって貰える?不快よ」

「…不快にさせたなら悪かった」

 

ジロジロなどと言われるのは心外だったが彼女の目が謝罪を強く要求していて、反射的に頭を下げる。

まあ、俺の安い頭で不毛な言い争いを終わらせれる本望だ。

俺の目的は彼女と喧嘩することじゃない。

 

「先行き不安ね」

 

彼女は誰に向けたかわからないそんな捨て台詞を吐いて、長い髪を靡かせ大きな門をくぐっていく。

 

入学早々、名前も知らない女の子相手に頭下げることになるとは…。波瀾万丈の幕開けだ。

 

それに、自分のコミュ力の低さを見誤っていたようだ。

女の子相手に会話一つまともに成立させられないのに彼女が欲しいだなんて、大言壮語もいいところ。

…コミュニケーション能力の向上が急務だな。

それが分かっただけでも、頭を下げた価値はあるだろう。……うん。あるに違いない。

 

 

--1年Dクラス--

 

 

教室に入って真っ先に思い出した事がある。

俺は年齢=彼女いない歴どころか友達すらできたことがないということだ。

 

つまり、同年代相手に対して会話の切り口が思い当たらないのだ。今までは話しかける必要性がなかったしな…。

極座標のラプラシアンの導出とか二分探索とかが無難に盛り上がるだろうか?

 

……だめだ。勇気が出ない。もしも、何言ってるの?って顔されたらトラウマを植え付けられる自信がある。

 

俺がもし平野紫耀のようなjkホイホイフェイスならこんな悩みも抱える必要がなかったのだが…。

残念ながらクラスの女子のお眼鏡にはかなっていないようで、向けられる視線はゼロだ。

今朝出会った彼女よりも遥かに他人の視線に敏感になってしまう環境で育った俺が言うのだから間違いない。

 

人は外見より中身だ!フ⚪︎ックルッキズム!

 

頭の方の偏差値にはちょいと自信があるが、こんなものは披露する機会に恵まれなきゃ隠れステータス同然。頭がいい奴がモテるというのは眉唾だ。

 

こんな無駄な回想中にも、クラスの連中は徒党を組みつつある。

このままでは、折木奉太郎よろしく灰色の高校生活に…。

 

せめて、何か糸口さえあれば……

 

「厄日ね。初詣に参拝しなかった事を後悔しそうだわ」

 

隣から手荷物を机に置く音と共にそんな独り言が聞こえてくる。

…まさか、彼女が隣の席とは。

しかし、これは考えようによっては好都合だ。

 

当たって砕けろの精神でクラスの渦中に飛び込むのは流石にリスキー。しかし、既に砕け散っている彼女ならノーリスクも同然だ。

まるで隙の糸を見つけた竈門炭治郎の如く、俺は彼女に切り込んだ。

 

「随分な言われようだな。俺、そこまでのことしたか?」

「これは祟りね。除夜の鐘まで聞こえてくるわ」

 

彼女はこめかみを揉みながら腰を下ろして、読書を始める。

私に話しかけるな。彼女の横顔が雄弁にそう語っていた。

 

…最初に彼女を見たときに可愛いなどと思ってしまった俺を殴りたい。清楚要素は何処へ。

今や、憎悪以外の感情を抱けようはずもなかった。

 

ほぼ初対面の人間の言葉を煩悩扱いとはな。

もしかしなくても、会話が成立しない原因は彼女の方にあるのではないだろうか。

 

「随分といい性格してるな」

「言ったはずよ。私に話しかけないでと」

「…いや、俺が聞いたのは友達探しなら他を当たってだったな」

「偏差値が離れすぎると会話が成立しないというのは本当ね。含みという言葉をご存知?」

「無理があるだろ。それは」

「無理があるのは貴方ね。思った通り友達作りは難航中のようで。挙句の果てに嫌な偶然が重なっただけの私に飛びつこうだなんて煩悩以外の何だというのかしら?」

 

先行き不安というのはやはり俺への捨て台詞か。

いやそれよりも、俺の言葉への瞬発力や対応力。

一に対して十を押しつけて無理矢理黙らせてくるその手法は気に入らないが…頭の方は相当キレるようだ。

 

「お前、絶対友達いないだろ…」

「貴方には己を顧みる時間が必要じゃないかしら?」

 

思わず口を衝いて出たそれは跳ね返ってきて、俺の心に深く突き刺さった。

売り言葉に買い言葉で適当な言葉を吐くものではなかった。

 

「これに懲りたら金輪際話しかけてこないことね」

 

勝ち誇ったようなその横顔は憎たらしいにも程があった。

彼女との安い押し問答をしているうちにチャイムが鳴り、教師らしき人物が教室に入ってきた。

 

当たり牌をつかまされた気分だった。

目の前に垂らされた糸は罠だったのだ。俺は見事にスタートダッシュを失敗した。

 

 

 

 

茶柱佐枝。

教壇に立つ彼女は1年Dクラスを受け持つ担任である旨と共にそう名乗った。

 

第一印象は大人の女性の魅力を詰め込んだような美人。

きっちりとしたスーツと口調から感じる堅苦しさと谷間を大胆に見せた格好がアンバランスでミステリアス。

 

ちょっと高校一年生には刺激的すぎる光景だが…

 

「10万ポイントってマジ!?!?」

 

…隣の席の彼女が言う通りだ。

俺は煩悩に支配されているかもしれない。

周りの高校生は金に目が眩んで、茶柱先生の谷間がニーチェばりにこちらを覗いている事に全く気付いてない。

 

「…マジかよ」

「流石に驚いたわね。優遇されすぎていて怖いくらい」

 

俺が驚いたのは目の前の女教師の露出具合への周りの無反応さなのだが、そんな思惑はつゆ知らず隣の彼女も乗っかってくる。

…乗っかってくる…だと…?

 

「…何?入学する新入生全員に10万円を配る学校を目の当たりにしたようなその間抜けな顔は」

「そのまますぎるだろ。…話しかけてくるなとか言ってたよな?」

「お粗末な記憶力ね。いつ、私がそんなこと言ったかしら?」

 

『友達作りに励むのは結構だけど他を当たってもらえるかしら?』

『金輪際話しかけてこないことね』

 

彼女は話しかけてくるなオーラは出しながらも、関係を断絶するような決定的な言葉は言ってない。

ミステリーなら叙述トリックだ。しかし、それは現実なら屁理屈や詭弁の類だ。

 

「都合が良すぎるだろ」

「都合が良いのは良い事じゃないかしら?それよりも、貴方はこれについてどう思うのかしら?」

 

そう訊かれても非常に豊かですねとしか……無論、10万ptの話だ。

俺はこちらを真っ直ぐ見る彼女に目を合わせる。

どういう風の吹き回しだ。俺に意見を求めるなんて。…色々とムカつくし適当に流すか。

 

「官僚は増税したら出世できる職業だ。社会保障は何も変わらないのに税率を青天井に吊り上げて、そうやって国民から鱈腹搾取した税収の捌け口がこの高育。納税した恩恵を直に感じられる機会なんてそうないんだ。喜ぼうぜ」

「聞くに耐えないアンチテーゼね。私が訊いたのは最近のTwitterのトレンドではないのだけど?」

「要は知らねえってことだよ。まだ実感がないのに、何とも言えるか」

 

俺は世間一般の価値観を知らない。それには当然金銭感覚も含まれる。

どれだけ睨まれたところで何も出ない。

 

「使えないわね」

「そもそも使おうとするな」

 

その悪態に返ってくる言葉はなかった。

会話を始めるも終えるも全ては彼女次第のようだ。何ともやり辛い。

 

「質問はないようだな。ではよき学生ライフを」

 

クラスの大半が浮かれて聞き流していたことで、茶柱先生への質問タイムはあっさり終わってしまう。

くそ、誰か彼氏はいるんですかとか質問しろよ。お約束だろうが。金よりも大事なものがあるやろがい!!

 

後悔先に立たず。

茶柱先生が退室すると、間髪入れずに一人の好青年が即座に声をあげた。

初日から息をつく暇もないホームルームだな。全く。

 

「皆、ちょっといいかな。僕らは今日から同じクラスになる。自発的に自己紹介をして、一日でも早く友達になれたらって思うんだ。入学式まで時間もあるしどうかな?」

「いいね~っ!!賛成~!!」

 

好青年の彼の提案にはすぐに賛成の声が集まる。

…自己紹介か。そういえば、隣の彼女ともして無いな俺。

しかし、この自発的な自己紹介が果たしていいものかは疑念が残るところだ。

 

「僕の名前は平田洋介。気軽に洋介って呼んでほしい。趣味はスポーツ全般だけど特にサッカーが好きで、この学校でもサッカーをするつもりなんだ。よろしく」

 

流石に提案しただけはある。お手本のような自己紹介だった。黄色い歓声が湧き、既に平田信教が樹立しつつある。

彼は間違いなく、このクラスの中心となっていくだろう。

 

しかし、ここにいる全員がそれを出来ると思ってはいけない。(俺含む)

 

「わ、私は、井の頭、こ、こっ―」

「がんばれー」

 

「俺は山内春樹。小学生の時は卓球で全国。中学は野球部でエース4番。けど、インターハイでケガしてリハビリ中だ。よろしくぅ」

「「「………………」」」

 

「俺は池寛治。好きな物は女の子で嫌いなものはイケメンだ。彼女は随時募集中なんでよろしくっ!」

「池くんかっこい〜」

「え?マジマジ〜?」

「マジ〜」

「もう、みんな可愛いなっ。纏めて彼女にしちゃうぞっ」

「「「キャ〜ッ」」」

 

……大学の飲みサーのような地獄みたいなノリになってきたな。

 

どこの学校でもありそうな義務的な自己紹介と悪ノリ。

こうなると、もはや誰が得をしてるのか分からないな。

 

「あ、次は私かな」

 

気取らない可愛い声と共に少し明るい髪色のボブカットが揺れる。その所作だけで周りの生徒の目を一気に惹きつける。

その子は可愛いが服を着て歩いてるような女の子だった。

あれは、今朝自撮りをしてた…

 

「私の名前は櫛田桔梗です。中学からの友達は1人もこの学校には進学していないのではやく顔と名前を覚えて友達になりたいです。私の目標はここにいるみんなと仲良くなることです。この自己紹介が終わったら連絡先を交換してください」

 

「それから、放課後や休日は色んな人と沢山遊んで、沢山思い出を作りたいのでぜひ誘ってください!長くなりましたがこれで自己紹介を終わります」

 

パチパチと、今までには無かった拍手が沸く。

彼女は自己紹介1つでこの場を完全に自分の所有物とした。

先に自己紹介した面子はどこか居た堪れなそうにしている。

可哀想に。君達は悪くないぞ。…いや、アガり症はともかく虚言癖とお調子者に関しては自責だな。

 

「じゃあ次―」

「俺らは餓鬼かよ。自己紹介なんて必要ねぇよ。やりたいやつだけでやれ」

 

考え事が吹っ飛ぶような声量でこの場の空気をぶち壊したは、ヤンキー漫画から飛び出してきたような男。

偏見だがGALFYとかBoomBapとか好きそうだ。趣味が俺とは合いそうにもない。

 

「僕に強制するようなことは出来ない。でも、クラスで仲良くしようと―」

「うっせぇ。こっちは別に仲良しごっこするためにココに入ったわけじゃねぇよ」

 

髪を真っ赤に染めあげた少年は臆することなく平田を睨みつける。

イケメン相手にそんなことをすれば囲いが黙っているわけがないというのに。

威圧的なその態度でクラスメイト達からの評価は地に落ちただろう。

 

総勢20人にも及ぶ視線に耐えられなくなった彼は舌打ちして乱暴に教室から出ていった。

後先考えずに行動してしまう気持ちは全く理解できないが、この場から逃げ出したくなる気持ちは分からなくないな。

 

やり方は何もかも間違っていたが、彼はこの自己紹介の場に一石を投じた。

波紋が広がるように、席を立ち彼の後に続く人は2人や3人じゃなかった。

 

そして、それは隣の席の彼女も例外ではなかったようだ。

いや、ある意味では例外だ。

気まずそうに出ていった前者の彼らとは違い、堂々とした佇まい。集まる視線を諸共せずに教室から出て行く。

 

「彼らは悪くないよ。僕が勝手に時間を設けたのがいけなかったんだ」

「平田君は悪くないよ。"あんな人"たちほっといて続けよ?」

 

平田の近くにいた女子からその決定的な一言が出たことで俺のやるべきことは固まった。

俺は物音を気にせず勢いよく立ち上がり、

 

「…盛り上がってるとこ悪い。トイレに行ってくる」

 

波風を立てないようにこの場から逃げ出した。

 

 

 

 

「おい待てって」

 

俺が呼びかけは虚しく、廊下を早歩きする彼女の足取りは変わらない。

荒技はあまり使いたくなかったのだが仕方がない。無視を徹底されるのも面倒だ。

 

「堀北。ちょっと待てって」

 

俺が彼女の名前を呼ぶと、何とか足を止めさせることに成功する。

不快感を露わに、歪めた表情で彼女は振り返った。

 

「貴方に名乗った覚えはないわ」

「そうだな。だが、俺も堀北に名乗っていない」

 

自己紹介などするまでもなく、俺達はお互いを認知している。

クラス名簿に配席表。クラスメイトの名前を得る機会は転がっていたからだ。

それに…

 

「賢明な堀北が名前も知らないクラスメイトに意見なんて求めないだろ」

 

情けないことに、俺は堀北に人となりを見せている。

他人と接することに慣れておらず、集団に馴染む努力もできない無様な姿を。

 

彼女自身は無自覚かもしれないが、彼女にとって俺は既に得体の知れない人間ではなく、得体の知れた人間にカテゴライズされているのだ。

 

「…本当に、面倒な人に目をつけられてしまったものね。…綾小路君」

「やっぱりクラス名簿で俺の名前を知ってたんだな」

「嫌でも目に入ってしまうものね。自分の名前に並ぶ存在というものは」

 

彼女の言う通り、俺達の名前は並んでいた。

しかし、それはクラス名簿ではなく配席表の方だ。

 

「…まさか、もうクラスメイト全員の名前を覚えてるのか?」

 

彼女の綺麗に整った眉がピクリと動く。

まさか、俺と同じことをしている奴が他にもいたとはな。

まあ、喉から手が出るほど友達が欲しくてやった俺と動機はまるで違うだろうが。

 

「合点がいった。堀北があの自己紹介の場から去ったのは、既にクラスメイトに求めるだけの情報は得ていたからなんだな」

「貴方は事件を解決できないシャーロックホームズね。洞察力は認めるけど、推理力の方は素人に毛が生えた程度」

 

事件を解決出来ない探偵なんて、現場の邪魔者でしかない。

皮肉混じりに鼻を鳴らした堀北は当然のように二の句を継げる。

 

「あの場を去ったのは、身の毛もよだつような程度の低さに嫌気がさしたからに決まってるじゃない」

 

あの場を去った全員の代弁者であるかのような立ち振る舞い。

確かに俺も寒いノリだとは思ったが、中々の酷評っぷりである。

 

…大和撫子のような外見のくせに、日本人が誇るべき慎ましさは持ち合わせてないようだ。

 

「同感だ。傷の舐め合いは好きじゃない」

「同調しないでくれる?私は馴れ合いも嫌いなの。言っている意味が分かるわよね?」

 

クラスメイトの情報など、個人名だけで事が足りると思っている奴だ。

俺のように、恋人と過ごす充実したキャンパスライフもスタバのコーヒー片手に親友と語り明かす放課後も求めていない。

 

綺麗な華には毒があるなんて古臭い言い回しがあるが、彼女の毒は他人を寄せ付けることさえ許さない。

 

「それは俺もその内の一人ってことだろ」

「そうよ。貴方と彼らの違いは群れているかそうでないかだけよ」

 

それって、俺は教室で馬鹿騒ぎしていた彼らよりも下に見られているってことでは…?

堀北はそんな俺の内心を見透かしたのか、小馬鹿にするように肩を竦めた。

 

だが、馴れ合いは不要と言いつつ、そこまで見下している俺と会話したのは何故か。

それは、無視を決め込むよりも、理解を示してもらう方が都合がいいと考えたからだ。

 

彼女の人物像が見えてきた気がする。

彼女が嫌っているのは馴れ合いではなく、無益な時間だ。

 

「話は終わりかしら?」

「そうだな。無駄話は終わりだ」

 

明確な意図を持った俺の言い回しに眉を顰める堀北。

思わず耳を傾けてしまった彼女に隙を与えずに俺は追撃する。

 

「さっき、はぐらかした質問に本気で答えてやるよ」

「…いいわ。私が見定めてあげる」

「放課後。少し付き合ってもらう。それで分かるはずだ」

 

入学式への時間が迫っていることを確認した堀北はそれには素直に頷いた。

 

後は俺が彼女に有益性を示せるかどうかが鍵。

全く興味がなかったが、少しこの学校について本気で考えてみようと思う。

 

 

 

 

堀北鈴音 2月22日生まれ 水瓶座

 

ルックス :A

スタイル :B

性格   :D

 

趣味 読書・勉強

好きなもの 猫 

苦手なもの 他人・虫

入学動機 憧れの人に認められるため

 

 






不定期更新ですがよしなに。


※文体を見て察した人はついでに色々察してください。
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