三つ葉のクローバーを踏み潰したんだろうか
幸せを掴むには誰かを蹴落とす以外に道はないのかな
-gadoro-
校長の話と女の子のスカートは短い方がいい。
というのは残念ながら理想論で、校長の話は当然長いし、スカート丈2cm詰めて飛んでいるような女の子もいない。
その儀式的な入学式と軽い敷地説明で今日は終わりのようで、昼前には解散の流れとなる。
教員側の意図を読むなら、午後は校内の施設を体験してみろというところだろうか。
(いや、それよりもあからさまだな…)
自己紹介の場にいた者といなかった者。
初日して、クラス内が二分化されているように感じる。
…それもそのはずか。平田の意向に従った者と須藤の暴走に便乗してこの場を逃げ出した者とでは成層圏と日本海溝くらいの差がある。
1日でも早く友達に。皆仲良く。
小学校低学年のクラススローガンのような綺麗事を掲げた、自己紹介の立役者の平田と櫛田の目的がこれなら中々の策士だ。
刺さるような視線と彼らとの間に明確に感じる壁。
俺の友達作りは難航もとい遭難中だ。
「いつまでそうしてるつもり?」
教室内をつぶさに観察していた俺に、とうの昔に帰る支度が済んでいた堀北が話しかけてくる。
律儀に俺のことを待っていたらしい。
「そうだな。もうそろそろ行くか」
「…どこに連れて行くつもり?手短に済ませたいのだけど」
「この学校に来て、最初に気になった場所だ」
訝しむ堀北を連れてきたやってきたのは、俺が兼ねてより強い興味を抱いていた場所。そう…
「ただのコンビニじゃない」
日本全国に約57000もの店舗を展開する小規模な小売店。
日本人にとっては馴染みが深く、それはもはや当たり前の存在だ。
だがそれは、顧客の需要を見極め本当に必要な物だけを選び抜き、限られたスペースに効率よく陳列する。そんな企業努力があってこそ成し遂げだ偉業だ。
俺はそこに緻密な計算とミニマリズムを感じていた。
一つ気になる点があるとすれば…
「この看板、既視感を感じないか?」
「何を言ってるのか理解出来ないわ。景観条例で色を変えられている訳でもない。本当に何処にでもある極めてベーシックなファミリーマートじゃない」
…学校の敷地内にドンとファミリーマートがあるのはだいぶ変だと思うけどな。
いや、社内にスタバがあるような企業も少なくないと聞く。俺が知らないだけでこれが一般的なのかも知れない。
「Sierra Leone」
「そう、それだ。その国旗にそっくり…」
突如として齎された答えにモヤモヤが晴れて勢い良く振り返る。
そこには、SPとしか思えない風貌の生徒が俺達と同じ制服を着て立っていた。
…え、現地の方ですか?
「あ、悪い」
可視光線透過率が5%くらいしかなさそうなサングラスの奥底の眼光から、『ソコ、ドケ』という意思を汲み取って俺が道を開けるとそのままコンビニへと吸いこまれていった。
2mに近い巨体。日本人規格の入り口が窮屈そうだった。
「あれ、まさか同級生じゃないよな…。スーツと間違えてうっかり制服着てしまったお茶目なSPだと信じたい。…って堀北?」
無反応な堀北に視線を戻すと、スマホの操作に熱中してる様子だ。
SNSのメッセージに躍起になっている訳ではないだろう。そもそも一匹狼の彼女のことだ。公式LINEくらいしかメッセージ相手がいるまい。…俺もでした。
「シエラレオネの国旗にそっくりだろ?これ」
「…箸にも棒にもかからない雑学ね。まさか、これを披露するために私をここに連れてきたんじゃないでしょうね?」
「まさか。俺がそんな演技派に見えるか?」
わざわざ、コンビニに連れてきて実のない雑学を知らないフリまでして知識マウント取ろうなんて思っていない。
だが、堀北はそれでは気に入らないらしい。自分が知らなかったことを俺が知っているという事が癪に触っている様子だ。
…完璧主義だな。
何でもは知らない。知ってることだけ。
そんなつばさキャットスタイルが一番楽なのにな。
「…もういいわ、さっさと入りましょう」
「ああ」
自己完結で納得した堀北に続いて店内に入ると、民間住宅のドアファンのようなメロディが迎えてくれる。
だがそれは怒号によってすぐに掻き消された。
「あ?なんか文句あんのかオラ」
坊主にした桜木花道みたい風貌で店員と周囲の客を威嚇してる彼は記憶に新しい。
自己紹介の場でも思ったが、あの協調性の無さはどうやったら養われるんだろうか。
「どうしたんだ?」
「あ?何だお前」
興味本位で声をかけてみたのは失敗だったかもな。
目が合っただけでキレるとかエンダーマンかよ。
「同じDクラスの綾小路だ。困ってそうだから声をかけた」
「…そういや、見たことあんな。学生証忘れたんだよ。今日からあれが金の代わりになることを忘れてたんだ」
「なるほどな。良ければ立て替えようか?そっちが構わないならだが」
「そうだな。取りに戻るのはぶっちゃけ面倒だ。ムカついてたしよ」
俺は電子決済の要領で専用の端末にスマホを翳して、決済を済ませる。
カップ麺一つ200ptか。相場価格だな。
「…俺は須藤だ。綾小路だったか?今日はお前の世話になるぜ」
「気にしなくていいからな。困った時はお互い様だ」
購入したカップ麺を須藤に差し出すと、分捕るよう取って出て行った。
自分が原因で作った長蛇の列の刺さるような視線に嫌気がさしたのだろう。
多勢に無勢なのは須藤とて変わらない。
「…Dクラスだってよ。お里が知れるぜ」
「所詮不良品だな。すぐに消える」
「だな。そうじゃなくても地獄を見る。今ぐらいイキがらせてやろうぜ」
須藤がいなくなるとコンビニには軽快なBGMだけが残り、すぐ後ろに並んでた客のそんな陰口も明瞭に聞こえた。
『Dクラス』『不良品』『地獄を見る』。それに加えて軽蔑するような視線。
…なるほどな。社会には差別や格差が付き物。この学校にもその側面はあるようだ。
「まるで舎弟ね。帰ってこないわよ。さっきの200pt」
「別にいいさ。安い勉強代だ。むしろお釣りが出たくらいだ」
「…お釣り?どういうことかしら」
まだ、俺はこの学校の核心に一歩近づいただけ。
堀北に伝える段階じゃないな。
「恩は売ったって話だ」
「相手がチンピラなら返ってくるのは恩ではなく仇じゃないかしら」
「その時はその時だ。それより、俺は少し生活品を買おうと思う。堀北はどうする?」
「…ついでね。私も必要なものを揃えるわ」
買い物籠を手に取り、生活品コーナーへと向かう。
堀北は化粧品がズラリと並んだ陳列棚に手を伸ばして商品を手に取った。
美肌。モチモチ肌。タマゴ肌。購買意欲を掻き立てる広告をかき集めたみたいなパッケージだな。
「化粧品等の美容製品は薬事法で効果効能を謳えない。逆に言えば、効果が無くても消費者の自己責任だという責任逃れの大義名分を得ていることになる」
「貴方は随分蘊蓄が好きなようね。何が言いたいのかしら」
「そのエビデンスのない美容液を顔に塗りたくるくらいなら、生活習慣を整える方が経済的かつお肌に効果的って話だ」
言っておいて何だが、きめ細やかで綺麗な肌をしてる堀北に対して言うことでもない気がするな。
「貴方は碌に人付き合いをしてきてないんでしょうね。会話の組み立てが下手だもの」
手に取っていた化粧品を棚に戻した堀北はこちらを向き直る。
見透かしたような目と威風堂々としたオーラ。思わず一歩退きそうになる。
「かもしれないな」
「貴方みたいな人が『この青の服と白の服、どっちが似合う?』と聞かれた時に、繊維が〜とか素材の伸縮性が〜とか的外れなこと言い出すんでしょうね」
…それ、的外れなのか。
俺が思っているより、世間一般ではディティールに拘らないらしい。
「悪かったよ。余計なお世話だった。だから死体蹴りはやめてくれ」
「言い方は気に入らなかったけれど別に余計なお世話とは思ってないわ。無駄な浪費はしない方がいいという貴方なりの忠告でしょう?」
それでか。会話の組み立てが下手という評価が下されたのは。
一歩先の会話を先読みされると、思考をトレースされてる気分になるな。
「何故そう思ったかそろそろ聞かせてもらえるかしら?」
俺が答えると約束した10万ptについてどう思うか。
この質問から逃げれば、堀北は俺から逃げていくだろう。
「単純計算だが在校生480人に毎月10万ptを配れば月4800万。年間だと5億7600万の出費だ。いくら教育費とという項目で税金を使い込むとしても無理がある」
正直、茶柱先生の話をまともに聞いていたらもう少し真実に近づけたかも知れない。
だが、あの時は不可抗力でそれどころではなかった。おかげで推測の域を出ない答えだ。
「甘い生活はいつまでも続かないってことだ」
「…それで無駄遣いしないように私に忠告したのね。一度生活レベルを上げてしまえば、下げるのは難しいから」
一人暮らしに慣れたOLが結婚できない一番の原因もそれだというしな。
「貴方は一緒にいるだけで品位の下がりそうなクラスの人達は少し違うようね」
「品位がどうこう言う割には毒舌なんだな」
「事実だもの。それにお嬢様だって毒くらい吐くわ。グリム童話を知らないの?」
平和一辺倒の日本昔話とは違い、グリム童話は人間の汚い部分の描写も多分に含まれる。
堀北の言う通り、品位と毒舌は確かに別の話だったかもしれない。姫が平気で兵士に殺しの依頼をしてたりするしな…。
「ブレーメンの音楽隊やヘンゼルとグレーテルくらいは知ってる」
「ふっ、絶望的に似合わないわね」
「ほっとけ」
吹き出すのを堪えるように笑った堀北は憎たらしいほどに……可愛かった。
狡いな。男は女の可愛さの前ではいつも無力だ。
だいぶ打ち解けた空気を感じた俺はここで一つ打診することにした。
「堀北、連絡先交換しておかないか。情報交換のために」
「…そうね、本当は嫌だけど仕方ないわね。情報交換のためだもの」
スマホの進化は著しく、ものの1分で連絡先は交換出来る時代。
喉から手が出るほど欲しかった友達。LINEの画面には軽々しく『友達1 堀北鈴音』と表示されていた。
「言っておくけど、私達は友達ではなくクラスメイトよ」
俺と同じく、LINEの画面を見た堀北が釘を刺してくる。
どれだけ俺と友達になりたくないんだか。
「重々承知してるよ」
◆
2日目。
眠りが浅く早く起きてしまった俺は、欠伸を噛み殺しながら教室に入る。
…どうやら、早く来すぎてしまったらしい。一番乗りだ。
教室で1人することもないし、何より次に入ってくる誰かと2人きりにされたら溜まったものじゃない。
俺は時間潰しも兼ねて校内を探索することにした。
(…薄々感じていたことだが異常だな。監視カメラの数が)
死角が出来ないように張り巡らされた包囲網には中国の社会信用システムすら彷彿させる。
社会信用システムとは日々の行動データを収集して、それを数値化してランク付けするシステム。そして、そのランクに応じて賞罰が与えられるのだ。
このシステムは監視効果によって、人の行動を道徳的にして健全な社会の構成に役立つという考えが土台にある。
…これは俺の妄想に過ぎないが、日本でそれを試験的に導入しようとしているんじゃないだろうか。
「…見ない顔ですね。生徒会室に何か御用ですか?」
ぼーっと廊下を歩いていると、すぐ側の扉からひょっこりと顔を出している女の子に声をかけられる。
立ち止まって、上を見るとそこには『生徒会室』と書かれていた。
「いえ、早く学校に来すぎて時間を持て余してしまったので、校内を回ってたんです」
「私の早とちりでしたか。見たところ新入生のようですが勤勉なのはいいことですね」
納得したように頷く彼女に連動するように薄紫色のお団子ヘアが揺れる。
恐らく上級生である彼女にこういう表現はあまりよろしくないのかもしれないが、小柄で小動物のような可愛らしさが全面的に出ていた。
「申し遅れました。私は3年Aクラスの橘茜です。生徒会書記を務めてます」
扉を後ろ手で閉めて、廊下に出てきた橘先輩はそう自己紹介してくる。
3年生だったのか。中学生と言われても信じるあどけなさなのに。
「ご丁寧にありがとうございます。俺は1年Dクラスの綾小路清隆です」
「…Dクラスですか」
倣って挨拶を返すも微妙な反応を返される。昨日のコンビニの彼等のこともあるし、これは偶然じゃないだろう。
この学校のDクラスという肩書きは、マイナスイメージが付きまとうようだ。
「そうですっ。新入生の案内も生徒会員としては立派な業務なんですっ。綾小路君さえよかったらですが案内しますよっ」
パンッと手を合わせた橘先輩はまさに今思いついたかのようにそんな提案をしてくる。
時間的にそろそろ教室に戻ろうと思っていたんだが、断りづらいな。仮にも先輩だし、何か懇願するような目だし。
「…是非お願いします」
「はい。任されました」
年齢詐称してるのでは?そう疑いたくなるような年相応とは言えない胸を張って、橘先輩は先導するように歩き出した。
そして、くるっと振り返りながら、
「どうですか?学校生活は?もう友達は出来ましたか?」
アイドルに好きな銘柄を訊くくらい失礼…とまではいかなくてもvtuberに年齢を訊くくらいセンシティブな質問をしてくる。
入学して1日目で友達が出来るようなら、朝早くから1人でこんな閑静な廊下を散歩してないというのに。
「一応友達と呼んでも遜色ない相手は1人出来ました」
すまん。堀北。俺のくだらない見栄とプライドと尊厳のために名前を貸してくれ…。
新入社員に訊く『もう仕事慣れた?』くらい答えにくい質問にはこう答える他なかったんだ。
「妙な言い回しですね。先輩からのアドバイスですが、困った時に頼れる友人は多ければ多いほど安心できますよ」
「…肝に銘じます」
「大丈夫です。綾小路君ならすぐに馴染めますよ」
ポケモン序盤でポケモンを碌に捕まえずにストーリー進めた時にライバルから言われそうなバッシングを受けた挙句最後には同情される始末。
辛辣なことを言ってる自覚はなさそうに見えるが、これは天然なのかサバサバ系なのかどっちなんだろうか。俺には判断がつかない。
先輩風を吹かして上機嫌になった橘先輩の学校案内は可愛さこそあれど面白くはなかった。
「この学校、思ったよりも普通ですよね」
「生徒会の一員としては聞き逃せない発言ですね。参考までにどういうのを期待してたのか聞かせてください」
「奇天烈で摩訶不思議な口承伝承や最先端の近代的テクノロジーとかですかね」
まだ全貌が見えない今だから感じることかもしれないが、ここは学校としても教育機関としても中途半端に感じる。
少なくとも教育という面で一切の余念がなかったホワイトルームの方が間違いなく教育機関として優れているだろう。
あくまで倫理観を抜きにして考えた時の話だが。
「うう。生徒の理想を実現する生徒会としては綾小路君の期待に沿いたいのですが、中々ハードルの高い要求です」
「所詮は自分の妄想です。冗談半分でしたし、聞き流してください」
「株価が急落したっきり行方不明になった2年生や特別棟は人件費削減のためにAlexaを搭載したルンバを何百台も徘徊させて校内放送で操作してるとかそんな話じゃ満足できないですよね」
「何ですかそれ。詳しく聞かせてください」
俺は少し大袈裟に食いついて橘先輩を乗せて、根掘り葉掘り訊きだすことにした。
橘先輩の校内観光ツアーより断然面白そうだったからだ。
すると出てくる出てくる珍エピソードの数々。
生徒を洗脳してネットワークビジネスを謳ったマルチ商法で荒稼ぎした生徒が立ち上げた団体『ネクストドア』が行政処分を受けた話。
教員室の監視カメラをハッキングして、教師の不倫現場を目撃した生徒が学校側に消された話。
校内限定のネットワークに2chのような匿名掲示板を何者かが作ったことで、学校の風紀が著しく乱れて生徒全員が強制的にデジタルデトックスさせられた話。
エトセトラエトセトラ。
「…碌な学校じゃないですね」
「あ、あくまで噂話の域を出ない話ですからねっ」
だとしてもだ。学校の七不思議として犯罪まがいの噂が流布されていることがもはや七不思議だ。
相場は無人の音楽室でピアノが鳴るとか、理科室の人体模型の目が夜になると光るとかだろう。
「心得てます。聞かせていただきありがとうございました。退屈しない学校ですね、ここは」
「そうでしょうっ。そうでしょうっ」
自分が褒めれらたかのように喜ぶ橘先輩。無邪気な人だな…。
「教育機関としての能力には疑問符が浮かびますが」俺はそんな言葉を飲み込んだ。
「そろそろ、教室に戻ります」
「あ、もうこんな時間っ。って、まずいっ!!上半期の部費の予算表を今日までに作らなきゃでしたっ!」
…雲行きが怪しくなってきたな。嫌な予感がする。
「そういえば、今日の放課後に部活動の説明会があるんでしたっけ」
「そうっ、そうなんですよ~」
焦燥感満載の橘先輩を見るに、どうやら、説明会がある放課後までには部費の予算表とやらをまとめなきゃならないらしい。
生徒会、大変そうだなぁ。絶対に入りたくない。
「それは大変ですね。自分がこれ以上邪魔する訳にもいかないのでここでおいとま…」
「ああ、迷える子羊のような新入生に慈悲をかけなきゃこんなことには…。グスグス」
「慈悲て…」
初対面の後輩相手になりふり構わず下手くそな泣き真似をするくらいには切羽詰まっているらしい。
だが、他責もいいところだ。俺は案内なんて頼んでいないのだから。
「橘先輩。案内してくれたことに感謝はしてますが…」
「感謝っ!!感謝してるんだよね?恩を感じてるんだよね?綾小路君は鶴だよね?蛇じゃないよね?」
俺が揺らがないことを見てか、怒涛の質問攻めに切り替えた橘先輩。
日本昔話の鶴の恩返しとイソップ寓話の蛇と農夫をわざわざ例にあげて説き伏せようとしてくる。
恩着せがましいに留まらず、まさに今、その恩を取り立てにくるとは。ウシジマくんでももう少し遠慮があるぞ。
「私、本当に困ってるんです」
ウルウルと潤ませた瞳で見上げてくる橘先輩にもはやどうすることもできないと悟った俺は白旗をあげる。
イソップ寓話の蛇も助けられたのがむさ苦しい農夫じゃなく、あどけない美人であればきっと嚙み殺していないだろう。
「…何をご所望ですか」
「ありがとうっ。綾小路君。じゃあ、昼休みに生徒会室で待ってるから」
橘先輩はそう言いながら怒涛の勢いで連絡先を押しつけるように渡してきた。
逃げることは出来なさそうだ。
「待ってるからっ。ずっとずっと待ってるから~」
恋愛映画のラストシーンのヒロインのような台詞を捨て置いて、橘先輩は去っていった。
無論、感動などありもしない。むしろ気が滅入る気分だった。
…もしかしたら、橘先輩は俺に声をかけた最初の瞬間から、俺に事務作業を手伝わせるつもりだったんじゃないだろうか。…いや、これは流石に考えすぎか。
◆
橘 茜 5月6日 牡牛座
ルックス :A
スタイル :C
性格 :A
趣味 家事全般(特に裁縫は得意)
好きなもの 男性と男性がくんずほぐれつしてる作品全般
苦手なもの ホラー全般
将来の夢 嫁入り(相手は知的な男性が好ましい)
キャラの個性については原作から大きくブレない範囲で色々と脚色してます。
原作では深掘りされていないキャラクターもどんどん出す予定です。