【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~ 作:マカーブル
本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。
いや、作者的には『1話につき3~4000字くらいで投稿は数日おき』くらいのペースで無理なくやろうと思っているんですよ。
何かまとまりが悪くてキリが良いところまで書いてると微妙に文字数が増えまくるの、SSあるあるなんでしょうか?
そのくせして物語の進行自体はスローペースだし、書きたいネタばかりがまとまりも無く溜まっていくと言うね。
さて、前話でようやく第1話冒頭にたどり着きましたので、今回からガイア連合に合流するまでの過程を描きたいと思います。
よろしければどうぞお楽しみください。
気分転換で殺されてから、久々の当たりくじを楽しみながら殺そうと思っていたら、ちょうどそのタイミングで初めての異界訪問者が訪れた。
この異界は極めて隠蔽性が高く、
その証拠に───
「むぅ、折角の当たりくじだったのだが……」
「その当たりくじとやらが何なのかはなんとなく分かるが、一応、聞いても良いか?」
───
「さっきまでそこに居たエリゴールだ。察するにお前たちが殺ったのだろう?」
「ああ、異界に入ったらエリゴールがあんたを切り刻んでる場面だった。しばらく観察してたが、あんたが死んだ後しばらくエリゴールは動かなかったよ。もうしばらくしたら突然動き出して、こっちを見つけたら襲い掛かって来たんで倒したって経緯だな」
「おや、こんな可憐な少女が嬲られていると言うのに、助けてくれなかったのかな?」
「
「それはそう」
長い銀髪を無造作に後ろへ流した少年が
「そろそろ互いの自己紹介をした方が良いでしょう。私たち3人はガイア連合よりこの異界の調査に来た者です。貴女の事を教えていただいてもよろしいでしょうか?」
極めて長い黒髪の道士服の少女……少女?*1 が話を進める。こちらは竜吉公主か。こちらも見た目は元ネタよりも若い。と言うか、外見年齢だけなら私よりも若いな。
ともあれ、あちらから自己紹介を始めたのなら、返すのが礼儀だろう。
「ああ、既に察しているのだろうが、私がこの異界の主だ。こう見えてれっきとした人間だ。それにしても『ガイア連合』とはな」
まぁ、女神転生の世界観で既にメシア教の関係者にも会っているんだ。
ガイアの側があっても不自然ではないか? あの司祭は知らなかったようだが。
「ふむ、それにしても初めての客人がコスプレイヤーとは正直意外だった。先ほどは見苦しいところを見せてしまい、すまないな」
「いえ、別にこれはコスプレと言う訳では……正直否定できませんね」
「まぁ、ノリノリでやってる奴らも多いからな」
「と言うか、そう言うあんたも見た目は『HELLSING』の少女姿のアーカードに見えるんだが?」
「そうなのか? 他人のコスプレは分かりやすいが、自分が誰かに似ているかと言うのは気付きにくいものだな」
いや、本当に気が付かなかった。
一応、鏡は
『これは以前の自分の姿だ』と認識すると、『あの作品のキャラクターに似ている』とは中々思えない物だな。
「……これ、確定だろ」
「……ですね」
「……こう言う方向だったか」
こちらを警戒はしているが敵意は無いな。
と言うか、まるで同類を見るような目で見るのは何故だ?
私は別にコスプレ趣味がある訳ではないが?
「確定と言うのは?」
「
「………………ああ、そう言う事か。と言う事は、
なるほどな。単に既存の作品のコスプレをしているのかと思えば、私と同じで『前世の創作物のキャラクターと似た容姿の転生者』と言う訳か。
してやられたとは思わない。この状況であればこの確認をするのは当然の事だ。
何なら最初にコスプレイヤー扱いしたのは私の方だ。
「そういう事だな。こっちの事情は話すから、そっちもどんな経緯でここに居るのか話してくれると助かる」
「それは構わないが、そちらの事は何と呼べば良い? キャラ名か?」
「いや、俺たちはネットの掲示板での
「私の事は『探求ネキ』と呼んでください」
「俺は『セッツァー』だな。まぁ、いつの間にか略されて『セツニキ』で定着したが」
随分と古式なコテハン文化だな?
いや、仕入れたこの世界での現代文化からしたら最新なのか?
「ふむ、そうなると私も何かハンドルネームを名乗った方が良いか?」
「無理に名乗らなくても良いぞ。まずはお互いの話を聞いてからでも良いしな」
「そうするか。ではまずガイア連合とやらは、この世界ではどんな組織なんだ? そしてお前たちがここに来た目的は?」
「ああ、それは───」
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そして彼らから聞いた話は想像以上に複雑でいい加減だ。
この世界が女神転生やペルソナ等、前世で言う【ATLUS】作品のごった煮の様な世界観である事。
戦後に日本の霊的組織は軒並み解体され、当時の最大戦力のライドウは自害に追い込まれ以後空席。
世界中のGPは活性化しつつあり、メシア教の天使どもが跋扈し世界は終末間近。
もはや個人では対処など不可能と言った状況で、目の前の『セツニキ』は後のガイア連合の盟主である通称『ショタおじ』と出会い、紆余曲折の末に『後にガイア連合と呼ばれる組織』を発足。なお、『ガイア連合山梨支部』は安価の結果だとか?
ガイア連合自体は寄り合いサークルの様なノリで、キャッチコピーは「終末後もファミチキを」。
ネット掲示板を通して募集したところ、私たちの様な前世の記憶のある転生者は数百人を超え、連日の様にガイア連合への合流が成されている。
転生者たちの霊的な素質は例外なく高く、覚醒者となるべく日夜修行をしていて、修行には【楽な方】と【厳しい方】がある。
覚醒者の中でも『
ガイア連合の本拠地の神社には魔界へ通じるほどに深い異界があり、湧き悪魔の間引きも兼ねた修行場になっている。
高性能な式神を基に、実体を持たせた理想のデザインの式神。通称『俺の嫁』の低価格での配布。
etc. etc ───
「……情報量が多すぎるし、突っ込みどころも多すぎるな」
「まぁ、言いたい事は分かる」
「ですね。私と霊視ニキもネットでの募集を見て集まった側ですから」
この話が本当なら、まさしく私が期待せずに待っていた『変化』そのものだ。それも文字通り望外の。
この異界以上に色々と
「それにしても、ガイア連合の盟主『ショタおじ』か。シャーマンキングのハオの容姿で、実年齢が30代だから、と?」
「俺も最初は早熟な天才少年かと思ってたわ」
「彼がいるからこそ、ガイア連合が成り立っている。といった人物ですね」
「……私から見て、お前たちも十分強いようだが、そのショタおじはそれ程の超越者であると?」
「俺の"目"に映る俺たちのレベルが30台。あんたが40だな。ショタおじは『測定不能』だ」
「は?」
「とりあえず200は間違いないとして、400とか、いっそ1000越えでも不思議じゃないな」
何それ、バグ?
「この世界の詰みっぷりに悩んでた俺は、ショタおじに出会った時点でコロンビア状態だったわ」
「所詮は『俺ら』な転生者たちが何だかんだまとまってるのも『トップが最強だから』だ。単純だろ」
「……では、そのショタおじの手で行われている【厳しい覚醒修行】と言うのは……」
「ショタおじの用意する『この世のありとあらゆる死因』を体験する事ですね」
え、何それ
想像もつかない超越者手ずからの『この世のありとあらゆる死因』を日常的に体験できる?*2
十分な実力者であるこいつらと同格の連中が多数いて、日常的に修行と言う名の殺し合いをしている?
連合の支部(と言う名の本部)である神社には魔界まで通じる異界があり、日夜強力な悪魔と戦い放題?*3
「……せ……ろ」
「ん?」
「今……私を………せ……ろ」
「すいません、よく聞き取れないのでもう少し大きな声で」
「今すぐ!! 私を!! ガイア連合に登録させろ!!!!」
「「「──!?」」」
理想郷過ぎる!!!!
何だその素晴らしい環境は!!!???
この異界も十分楽しいが、比べ物にならないだろう!!!!
いっそ話半分でも構わないから、その環境に身を置きたい!!!!
「登録の条件は!? 何か試練でもあるのか!? 上納が必要ならこの異界で溜め込んだマッカと素材ならいくらでも出すぞ!!
「いや待て落ち着け」
「急にキャラ崩壊するな。登録とかショタおじと面談して問題なければそれで良い」
「それに、ガイア連合の事は話しましたが『この異界に来た事情』を話すのはこれからです。そちらの事情と合わせて冷静に判断してください」
………確かにそうだ。
あまりにも理想的な話に我を忘れてしまった。
「……少々取り乱した。失礼したな、すまない。話を続けてくれ」
「少々? いや良い。気にするな。で、俺たちがここに来た理由なんだが……あんた、前世で【女神異聞録ペルソナ】【ペルソナ2罪】【ペルソナ2罰】ってゲームをプレイした事はあるか?」
「あるな。一応全てクリア済みだ」
前世は前々世とはあまりにも違い過ぎたからな。好き勝手に享楽にふけった人生だった。
ここで寄りによってその3タイトルが出ると言う事は……
「なら話は早いと思うが、それの『黒幕』についてだ。詳しく言わないのは
「理解した。そう言う事ならお前たちがここに来た理由も察しが付くし、私も
3人を代表して話すセツニキに、こちらも事情を話す必要がある事がよく分かった。
「ではまず、私がこの異界の主をしている理由についてだが───」
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そして私は彼らに語ったのは今世での今までの経緯だ。
母は一神教徒で、父は回心*4した元メシア教徒だった事。
私は母の胎にいた頃から前世と前々世の記憶があった事。
メシア教の司祭を名乗る男が両親に
逃げようとした両親を、司祭と
母の言葉に付け込んで現れた
この異界に設定られたルールについて。
母の命を賭した策により私が生れ落ち、その寸前に私はフィレモンと出会っていた事。
生まれた私が母を殺し、結果的に異界の主としての権限を二重取得する事でこの異界を完全に乗っ取った事。
父との別れと、その後の後片付けについて。
そして今に至るまで、この異界を満喫していた事、だ。
無論、事細かにではなく
「「「いや、重いわ!!」」」
「そうか?*5」
「そっちはそっちで突っ込みどころが多すぎますね……」
「それにしても、まさかここまでがっつり関わっていたのか……」
「まぁ、異界を乗っ取った時点で完全に縁切り状態だがな。その辺りは感覚の話になってしまうが」
「いや、話を聞いて意識して"見てみた"が、確かに『切れた縁』が見えた。 ……何かやけに沢山『切れた縁』が見えるんだが?」
それは知らんが、別に気にしなくて良いような気もするな。知らんけど。
「それにしても、お前はこのクソルールの異界を"楽しんでいた"と?」
「ああ、常に殺したり殺されたり、死んだり死なせたり出来る素晴らしい環境だな」
「つまり、お前からしたらこの異界は『S〇X依存症のビ〇チが、好きなだけイけて、イき死んでもすぐに生き返ってまたイけて、セ〇レのヤリ捨てし放題の部屋に閉じ込めてもらえた』みたいなものだと」
「おい、セツニキ、言い方ぁ!?」
「的確な例えですね」
「探求ネキ、お前もか!?」
「ふむ、確かにそんな感じだな。実に満たされる日々だった」
「おい、本人!?」
さっきから思っていたが、この3人だと何気に一番常識的なのが見た目仁侠の
他二人も決してデリカシーが無いわけではなく、言う相手とタイミングを選んでいるだけだ。
実際に不快感など感じないし、上手いものだ。
「正直、この環境をプレゼントしてくれた
「「「──うわぁ……」」」
失礼な反応だネ? 素晴らしい贈り物を受け取ったら、感謝するのは当然の事だろう?
「それに、マジ感謝してやった方があいつ嫌がるだろ?」
「お前、いい性格してるな」
「正直、良いぞもっとやれって言ってやりたくはある」
「それですね」
3人とも
「ただ、最近はわざと殺されないと死ねなくてな。片手落ちだと感じていた所だ」
「ああ、それでさっきのガイア連合とショタおじの話に喰いついた訳ですね。納得しました」
「ま、退屈しない事だけは保証するさ」
ああ、期待させてもらおう。
まさかここまで望外の『変化』の切っ掛けが向こうから来てくれるとはな。
「最後に、ご両親の事ですが……」
「ああ、人として尊敬するぜ。それだけに『あいつ』とメシア教のクソ共はやっぱりクソだって事が良く分かっちまうがなぁ」
霊視ニキはメシア教に恨みでも……あるようだな。
ただまぁ、誤解は解いておくか。
「私個人は連中に恨みなど無いがな。私の今世の両親は確かな信念を持って人としての生を全うし、死を想って
「……ああ、無粋な事を言っちまった。すまねぇ」
「(恨みが無いのは本当だが、同時に連中の生死に何の価値も見出してないな。生き方に対してはこいつなりに評価の基準があるんだろうが、
「……セツニキ、分かっているとは思いますが」
「ああ、分かってる。判断はショタおじに任せるさ」
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「さて、これで互いの事情は開示し合えたかな?」
「ああ、細かい所はまだあるが、必要な事は確認できた」
「で、ガイア連合としてはこの異界は無い方が望ましいかね?」
「ええ、あなたは知る事が出来ていないでしょうが、この異界はとある霊脈をせき止める形で存在し、以前と比べ大きくなってきています。放置すればいずれ霊脈そのものを飲み込み、どこまでも膨張してしまうかも知れません」
「質が悪いのは、この異界が隠蔽性に優れ過ぎていて、仮にそうなったとしても気付けなかった可能性まであった事だな。そんな訳で、ガイア連合としちゃ放置できない」
「私としてもこの異界を放置していたのは、先ほども語った通り『他に良案も無く、無策で外に出るメリットが無かった』からでな。こうして望外の『変化』が訪れた以上、この異界を閉じる事に異論はない。私の異界の主としての権限で、閉鎖条件を満たせば『私個人の権能』として霊脈を傷つける事なく分離できるだろうな」
「そりゃ良かったよ。……で、この異界を閉じる条件なんだが……」
「ああ、分かっているんだろう?」
異界の主として、当初はともかくシステムを完全に掌握した今となっては、異界のルールそのものも変更しようと思えば出来た。
だが、特に変更する必要は感じなかったから今まで放置していたし、
折角のおあつらえ向きの状況なんだ。この異界での最後のお楽しみを堪能させてもらおうじゃないか。
「これから世話になるにあたって、先輩方には是非胸を貸してもらおうじゃあないか。まさか、否とは言うまい?」
「言う訳ないだろ。来いよ引きこもりのクソガキ。世の中の厳しさを教えてやんよ」
「結局、いつもの通りですねぇ」
「異界のボスを討伐して異界を閉じる。ああ、いつも通りだな」
ああ、同格以上3人との
どうすれば殺せるのか、どうやって
「さあ、殺したり殺されたり、死んだり死なせたりしようじゃあないか、先輩方」
「うっわ、ヤバいわその顔。官憲に通報しないとダメなやつじゃねーか」
「こんな可憐な少女に向かって何を言うかな、このショタジジイは」
お読みいただき、ありがとうございました。
『まだ戦闘シーンに入らねぇのかよ』とお思いの方々、マジすいません。
互いの事情の確認もなく、いきなり戦闘って流れじゃないのでご勘弁ください。
と言うか、この状況で即戦闘とか頭修羅でもなければあり得ませんよね。修羅だったわこいつら。
いや、修行場じゃなく仕事で来た出先だし(震え声
霊視ニキ、探求ネキ、セツニキの3人は『チート主人公が全力で戦っても、同レベル帯で順当に勝ってくれる相手』として当初から予定しておりました。
おかげで『どうやれば魅せる描写になるのか』で自分の首が締まりっぱなしなんですけどね。
次回以降でようやく『チート主人公 VS 本家最強格、器用万能、ジェネリックショタおじ』の開始です。
主人公の負けは確定していますが、頑張って喰いつこうと思いますので、お楽しみにお待ちください。
・四条 灯(後の黒死ネキ)
引きこもりライフでガチャを満喫していたら無断訪問してきたコスプレイヤーに当たりくじを持って行かれた。
ガイア連合の自分的理想郷っぷりに脳が焼かれてキャラ崩壊。そりゃ行きたくなるよね。
滞りなく話し合いをしているようで、画面外で湧いてくる悪魔どもを片手間に殺していた。
本人的には梱包材のエアークッションを潰しながら話をしている感覚。意識していなくても楽しいよね、あれ。
とても順当に異界を閉じる事に合意するが、「ルールだから仕方ないよネ」と3人と殺し合いするつもり満々。
何となく決め台詞にしているフレーズが元ネタでは宿敵が言ってたセリフだけど、別に気にしていない。
・霊視ニキ
この場で一番の常識人。と言うか、他の連中が自由過ぎる。
主人公の両親に脳を焼かれつつ、ニャルとメシア教へのヘイトは相変わらず。
主人公の状態を"見て"いるのでどうしても対応に戸惑う。
・探求ネキ
礼儀正しい常識人に見えるが、この人も『俺ら』である事に変わりはなく、TPOに応じて結構自由。
セツニキ同様、主人公の言動の端々から「あ、こいつヤベェ奴だ」と理解している。
主人公が常時展開している術式(【魔装術】)に興味が湧いている。けど、今は仕事中だし、また後で。
・セツニキ
どんな無茶な設定でも彼がいれば解説してくれると言う、カオ転三次の教導官。
年の功と知識と洞察力で主人公のヤバさに早々に気付くも、「ヤベェ奴だけど危うくない」と言うのが一番ヤバいと、判断はショタおじに放り投げる事を決める。
引きこもりのクソガキに、大人として世間の厳しさを教えてくれる予定。