【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~ 作:マカーブル
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リアル職場の都合で休日が消えた。ふぁっきん!!
書き溜めさん、どこいったの?(´・ω・`)
「あの野郎、滅茶苦茶やりやがる……」
「探求ネキ、残りは?」
「25秒です。 彼女の言う『趣向を変える』とはこういう事ですか……」
現在、私は【死の宣告*1】状態で残り時間は25秒。
相手が彼女でなければ速やかに自殺して蘇生させてもらうところですが、今回はダメですね。
彼女は恐らく、自分の傍で死に逝く者の全ての情報を把握し理解できる。
戦闘前の彼女との会話の端々で、それを示唆する言葉が出ていました。
流石に無条件とは思えませんが、仮にレベル差が条件だとしたら、私が死ねば私の情報は全て把握されると見て良いでしょう。
そうなるとこちらの勝率はダダ下がりですね。
彼女は明らかに死神系統のスキルに長けた転生者。素直に蘇生させてもらえるかどうかも怪しそうです。
結論としては、やはり【死の宣告】の成立前に彼女を倒す事ですが、彼女が『
よって先に『
彼女の戦術は
① 戦闘で死亡した際、ペルソナによる潜在復活の途中に割り込み、自身に【ドロイド】をかける事で『
② 【死の宣告】で対象一人を確実に殺害できる状態にする。
③ 【変化】で自身に翼を生やし、上空へ退避。
④ 生成したマシンガンで大量の【ガンド*3】を撒き牽制。彼女の固有能力で【ガンド】の呪いは成立すれば即座に最深化される。
⑤ 時間経過で【死の宣告】が成立するのを待つ。
と、ちょっとしたギミックの様な物。
最初の大鎌を用いた接近戦とは真逆ですね。
言葉の端々で、戦闘に関しては『戦闘そのものより、殺し殺される事を好む』傾向が見えていましたが、今は『殺し殺され』ではなく『殺す』を優先していると言う事ですか。
もっとも【ガンド】の威力自体はほぼ無いに等しく、着弾地点の廃墟や地面がえぐられたような様子もありません。
だからこうして私たちは、廃墟の陰で障壁を張るまでも無く凌いでいる訳ですが。
【ドロイド】の効果時間切れを待てない以上、術式の破壊が必要ですが、それが可能なのは
彼女もそれを良く分かっているからこそ、上空からマシンガンで弾幕を張っている訳です。
何らかの手段で霊視ニキの射程内に入ってもらう事が必須ですね。
……と、彼女が
確かに私とセツニキは繰り糸が見えませんが、霊視ニキとの念話で繰り糸が確かに存在する事は伝わっています。
直接見えずとも、
実行するのは第一案で良いですね。セツニキ、霊視ニキもサポートはお願いしますよ。
現状はまだ様子見です。彼女が対策をしていないとは思えませんが、あの程度の【ガンド】でもこの速射性でこの弾数を吐き出し続けるには消耗も大きくなるでしょう。
弾切れがあるのなら、それに越した事はありませんが───
「【サバトマ*4】」
───ああ、そう言う補給ですか。
なら、狙うとすれば次の隙ですね。二人とも、よろしくお願いしますよ。
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「──からの、【
あいつが【サバトマ】で召喚したこの異界の悪魔どもが、召喚される端から【パンデミアブーム】で生み出された黒い獣や虫に集られて病に侵され、【
その過程で同時発動させている【ソウルドレイン】で死体はMAGに分解されてあいつの元へ。
マシンガンで【ガンド】を乱射する為の『追加の残弾』になるって訳だ。
なんて酷い奴だ。異界の主として、配下の事とかどうでも良いのかよ。良いに決まってるよな。厳密には配下じゃねぇし。
それにしても……
「俺も良くやるけど、されるのは嫌だよな」
「ええ、全くです」
「気持ちは分かるが、言ってる事は最低だぞ、お前ら」
実際、これをされるのは面倒だ。マシンガンから【ガンド】を吐き出す勢いはそのままで、あいつ自身は『召喚+即死+吸収』のコンボを文字通り片手間にやっていて、その隙もわずかだ。
まぁ、その『わずか』で何とかするんだけどな。ソロだときついが、今回は頼りになる仲間もいる事だし。
「それじゃあ、タイミングは各自の判断って事で良いな」
「おう」 「構いません」
探求ネキの『残り時間』は18秒くらいか。まぁ、間に合うとは思うが、あいつの補給のテンポ次第か?
やる事を考えたら、待てて数秒だな。このレベル帯だと短いようで長い時間だ。
あいつは上空からこちらの場所は把握しているし、この【ガンド】の嵐もあからさまな時間稼ぎだ。
逆にこっちが何もしないと警戒感を持たれるだろうな。ここは牽制も含めて下準備をしておく。
グミ撃ち*8で【コウハ*9】を乱射して反撃を演出する。多少わざとらしくてもやらないと不自然だからな。
あっちの【ガンド】も豆鉄砲とは言え5,6発も当たれば【コウハ】の1発と相殺か。牽制目的なら十分だな。
あいつの補給はこれまでのペースを崩さないなら数秒後か。
そして、更に数秒が経過して、あいつがもう一巡『召喚+即死+吸収』のコンボを
「え? あ? なん……だと……」
突然【ガンド】が止み、見上げるとあいつの手に持っている頭部が目を見開いて呆然とした表情を見せ、身体も固まっている。
【サバトマ】で湧いた悪魔どもがまだ残っていたが、そいつらは【パンデミアブーム】ですぐに病死する。
にもかかわらず、【ソウルドレイン】は飛ばず、あいつは「え? 嘘だろ?」とか言いながら呆然としたままだ。
これ、何かの罠じゃないよな? 俺の目には本気で呆然としているように見えるんだが?
正直釈然としない物は感じるが、望外の展開である事に変わりはないな。
それじゃ、始めるか。世の中『これさえやってりゃ大丈夫』なんてハメ技は、ほとんど無いって事を教えてやるよ。
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上空から地上の様子を把握しつつ、愛銃で【ガンド】をばら撒き牽制。時間経過で【死の宣告】が成立するのを待つ。
私自身は『
ちょっとしたシステムの悪用だが、彼らはどう突破してくれるのかな?
ああ、もちろん
【ドロイド】の繰り糸を"見る"事が出来る霊視ニキを何らかの手段で私の元へ送り込むか、逆に私を彼の元へ叩き落すか、と言ったあたりがオーソドックスだろうが、当然それは警戒している。
さぁ、どう来る? 残り時間が18秒ほどになったあたりでセツニキと探求ネキはグミ撃ちで【コウハ】を乱射して来たので優先的に撃ち落とす。
霊視ニキは彼らの傍を離れこちらへ接近しようとしているか?
素直に読むなら二人が私を牽制している間に霊視ニキが接近して、と言う策なのだろうが、ありきたり過ぎるな。
残り時間的に動き出した彼らに集中すべきだろう。片手間でこなしていた『弾丸の補給』は次で最後にして【死の宣告】の成立まで全力で鬼ごっこに興じるとしよう。
そして、最後の補給をしている最中に、
「え? あ? なん……だと……」
思わず声を上げ、補給の手も止めてしまった。
左手に持つ頭部でも、呆然とした表情を隠す事が出来ない。
戦闘中に呆けるなどあってはならない。当然だ。だが、
有り得る事ではあるが、有り得ないと思い込んでいた。
「え? 嘘だろ?」
だから、思わず否定する言葉が吐き出されるのが止められない。
呆けた表情を直せない。
彼らから切れた視線を戻せない。
だから───
「ふんッ!!」
───霊視ニキの投げた彼のこぶし大の瓦礫を、右手の銃で防げたのは偶然であり───
「【ソウルドレイン】」
───セツニキの放った『戦槌の形状*10の【ソウルドレイン】』に、銃を弾き飛ばされたのは必然だった。
そして───
「【破魔の雨*11】」
───探求ネキの放った弾雨が私を穿ち、人間の霊核故の破魔耐性と『
「【トラポート*12】」
───探求ネキの私の眼前への転移に、予想は出来ても
───ダメ押しの彼女?*15の技に、大半の繰り糸はその衝撃で千切れ飛び、私の頭部と身体は地面へと叩き落された。
これにより【ドロイド】は解除され、私の扱いは『
【死の宣告】の残り時間? たっぷり10秒は残っていたぞ? やっぱり40秒って長すぎだろ。
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……さて、【ドロイド】の効果も切れた事だし、頭部は所定の位置へ戻すか。
地面に倒れた身体を起こし、同じく地面に落ちた頭部を拾い上げ、上下の首の切断面を合わせて癒着させる。
放っておいても勝手に戻るが、気分の問題だ。軽く首を回して問題が無い事を確認する。
本来なら【ドロイド】の効果終了時は体力など欠片しか残らないが*16、今回は
「見事な連携を称賛する前に謝罪が必要だな。無様に呆けてしまい、すまなかった」
「正直、唐突過ぎて罠を疑ったんだがな。何か想定外の事態でもあったのか?」
「ああ、余りにも想定外で我を忘れてしまった。この無様の謝罪がてら説明をしたいのだが、その前にお前たちに確認したい事がある」
「確認? 何だ?」
是非とも確認しなければならない。
「お前たちの中に、常識では考えられない程の『運』の持ち主、あるいは『
「「「………………………………………………………………………」」」
私の問いに、彼らは割と長い間沈黙した後……
セツニキは、探求ネキと霊視ニキの方を見て、
探求ネキは、霊視ニキの方を見て、
霊視ニキは、そっぽを向くレベルで二人から目を逸らした。
ああ、実に良く分かる構図だ。と言うか、お前たちは普段から互いの事をそう言う風に思っているんだな?
「良く分かった。なら、
「……何か正直馬鹿にされてる気分なんだが、
「お前たちも薄々気付いているのだろうが、
「やはりですか」
「それがお前の根源に関わる異能って訳か」
だろうな。私の
「その力で、この異界で湧く悪魔どもを殺す過程で情報を抜いていてな。端的に言うと『悪魔のプロフィール』や『欲しいスキルの設計図』を蒐集していた」
「あの翼やデュラハンもどきも、そうやって手に入れたスキル、って訳か」
「その通りだ。もちろん、実際に修得できるかは相性次第でもあるがな」
何でもかんでも修得できれば、まさにチートなのだろうが、私の場合は主に攻撃やデバフとの相性が良いな。
「で、ここでその話をするって事は……」
「ああ、さっき上空で悪魔を弾の補給目的で殺していた時に、そうとは全く意識していないタイミングで
「………おめでとうございます、で良いんですかね?」
正直、呆然自失になるくらいには望外の事態だったが、そのせいで無様を晒して地面に叩き落されたからな。
自分のせいなのは理解しているが、何か釈然としない物も感じるな。
「ここで呆然として無様を晒した理由になるんだが……読み取れたスキルは
「は? 多くね?」
多いな。
「そんなに一度に読み取れるものなんですか?」
「そこまで都合の良いものではないな。そもそも殺した悪魔が目当てのスキルを持っているかなど、完全に運次第だ。だからこそ有り得ない確率なんだ。私も未だに信じられん」
こんな事が起こり得る霊視ニキの運命力とは、一体何だと言うんだ?
「………これはあれか? 霊視ニキが運命に愛されてるせいで、『乗り越えるべき壁』が必要以上に高くなって、より強くなる為の試練的な扱いにされたのか?」
「恐らくは。彼女は十分強大な壁だと思いますが、霊視ニキの運命力なら有り得る事ですね」
「そうか、これは霊視ニキが主人公で勇者の物語で、私は章ボスだったのか」
「さっきから黙って聞いてりゃ、好き勝手言ってんじゃねぇぞお前らぁ!!」
私たちは割と真剣に考察をしていると言うのに、霊視ニキは何故かおかんむりの様だ。
とは言え、私は彼の運命力のお陰で狙っていたスキルだけでなく、その次くらいに欲しかったスキルを更に三つも得る事が出来たのだ。
「霊視ニキ──」
「──ん?」
ならば、ここは誠意と礼を示すべきだろう。
「ありがとう*17」
「マジでぶっ殺すぞテメェ!!」
「それは望むところだ*18」
「こいつはこう言う奴だった!! 畜生が!!」
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「で、もう新しく手に入った『スキルの設計図』は『構築済みのスキル』に出来たか?」
「ああ、出来た。長々と付き合ってもらって感謝するぞ」
「いえ、こちらも胸を貸すと言いましたからね」
「それで、次はどんな初見殺しが来るんだ?」
失礼だネ。まるで私が一発屋のようではないか。
本来なら
「ああ、至極単純だぞ。単に私が強くなるだけだ」
「(絶対何か仕込んでんだろ)」
「(絶対何か仕込んでいるんでしょうね)」
「(絶対何か仕込むんだろうな)」
三人からの信頼の目が痛いな。
では、もったいぶる物でもないし披露するか。これが私の新スキルだ。
私のMAGが黒い靄となり、両腕を中心に渦巻いていく。
この身体と衣装を形作るのと同様に、あえて特定の属性をそのまま凝縮する事で、その形を成していく。
魔晶変化と呼ばれる、熟練度を限界まで高めたペルソナを心の海へ帰還させる事により得られるアイテムの生成と、システム的には近いな。
私の得意属性は降魔系だ。暗黒魔法系に分類され、主に状態異常を引き起こす魔法やスキルが揃っている。
魔法もスキルも、大本となる属性に方向性を持たせて放つ事により、現象として発現する。
なら、あえて方向性を持たせる事なく、そのまま凝縮すればどうなるか。答えがコレだ。
「……なぁ、あれって」
「……すごく見覚えがありますね」
「……そう言えばあいつのペルソナって初代仕様のアンクウだったな」
ああ、見覚えはあるだろうな。私も初めてこれを試した時はそう思ったとも。
前世でコレを見る機会に恵まれた者にとっては印象深いだろう。
全体的に黒を基調とし、肘当て部分には赤いカラーリングの施された、鋭い爪先を持つ機械的な手甲。
その名は───
「 右 魔 暗 黒 掌*19 」
禍々しくも力強い、洗練されたデザインだ。これは素直に気に入っている。
「さて、待たせたな。第三ラウンドを開始するか」
「「「いやそれ、マスターガンダム*20のアームパーツだから!!」」」
やはりそう思うか? 私もそう思う。
お読みいただき、ありがとうございました。
感想欄で「死闘の筈なのに楽しそう」等のご感想をいただいております。
感想欄でも返信していますが、作中の現状だと、この四人は割と平和的に話し合いが進み、『異界を閉じる』『ガイア連合へ合流する』といった互いの目的が一致していますので、本来なら戦う必要などありません。
が、この異界は『主が人間に殺されるか自殺しないと出られない』と言うクソルールの為、それにかこつけて「んじゃ、殺り合おうか。先輩、胸貸してな」「仕方ねぇな、ええよ」的なノリで始まった戦闘です。
やや変則的ですが、星祭の修羅勢がいつもやってる『挨殺』とか『模擬戦』みたいなもので、言ってみれば『ブック無しのプロレス』な訳です。
互いに本気で殺すつもりで攻撃していますが、なりふり構わない全力ではありませんし、死合ですが死闘じゃありません。
だからこそ合間にふざけた会話を挟む余裕がある訳で、ここ何話かのノリになっている訳です。
シリアス一辺倒の死闘が見たかったかもしれませんが、そうする理由が作中のキャラにはありませんし、仮にそうなるとこの面子のガチ戦闘になる訳で、展開を想像しても『遊びも無くどちらかが即死してすぐ終了』になっちゃうんですよね。
状況的に話の趣旨も変わってしまうので、ご了承ください。
今回の右魔暗黒掌はやりたかったネタの一つですね。
P1時代から多くのプレイヤーに突っ込まれてきたネタなので、作中で三人にも突っ込んでもらいましたw
さて、現在のレイドボス戦は、
第二形態の、クソギミック式カウントダウン型弾幕シューティングが攻略されました。
第三形態の、非正統派近接格闘特化型のボス戦が開始されます。
イメージとしては『攻撃全部にデバフが乗って、攻撃されたらデバフカウンターの東方先生』です。
既にイメージも固まってるでしょうから、この程度ならネタバレにならんやろ(慢心
今後もよろしけれは本作をお楽しみいただければ幸いです。
・四条 灯(後の黒死ネキ)
素材にするつもりのコモン目当てでガチャを引いていたら、全く意識していない所で欲しかった最高レアの四枚抜きで呆然自失。
戦闘中にぼーっとしてたら、そりゃ殴られるよね。自業自得。
霊視ニキの運命力のお陰で、運命さんからガチャ神引きをプレゼントされる。やったぜ。
きちんとお礼を言ったのに怒られた。なんでや?
・霊視ニキ
運命力の高さから、ただでさえヤベェ相手が『超えるべき壁』として強化される。
頑張れ霊視ニキ、頼りになる味方は後ろから茶々入れてくるぞ。この件に関しては味方が居ねぇ。
ところで、この時期の霊視ニキって近接系の拳スキルとか使えても良いよね?
・探求ネキ
特に焦らず【死の宣告】状態を突破。第一案で普通にクリアできて一安心。
本当は後衛でサポートに徹するつもりだったので、今回出しゃばったのは戦況全体としては微妙だったかなと思ってる。
主人公の現状や特性には興味が湧いているので、これが終わったら色々調べさせてもらうつもり。
・セツニキ
的確に自分の役割をこなしつつ、全体を見渡し参加者を盛り上げて、マジギレさせない程度にGMを困らせるTRPGプレイヤーの鑑。
この勝負も『先輩』として振舞っているが、それはそれとして油断したら死ぬから対処自体は真面目にやっている。
「ソロだったら死闘だったわ」とか考えてる。