【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~ 作:マカーブル
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誤字脱字の指摘等も、いつも助かっております。
作中の挿絵として画像生成AIによるイメージイラストを表示しております。
AIによる生成画像に不快感を感じる方はご注意下さい。
うーむ、最近筆の進みが悪いですね……
やっぱ戦闘シーンとか、全体のプロットとは別モノだから余計に時間がかかるのかも。
後は、自室にエアコンが無いから暑さで体力の消耗が早くて、気力が湧かないせいかなぁ(言い訳
ここまで投稿が遅れたのは、決してP5Xでジョーカーが来てくれるまでリセマラしてたからじゃ無いと思いたい。(42敗
まさかのモルガナとの2枚抜きだったから、ついついテンション上がってやり込んじゃったのは、きっと幻に違いない。(6日
ガイア連合山梨支部 星霊神社 修行場異界
後に『上層』と呼ばれる、レベル15~30程の悪魔の湧くエリアは、かつてない混乱に陥っていた。
一口にレベル15~30程と言っても、全てのレベルの悪魔が満遍なく沸くと言う訳では無く、上限のレベル30の悪魔など早々に見かける事は無い。
このエリアでの狩りでレベルを上げ、「そろそろ次のエリアへの資格試験に挑もうか」と考える者たちでも、普段相手にしている悪魔は、精々レベル25~28程度。
それ以上のレベルの悪魔自体を、あまり見かけないのだから、これは致し方ないと言えるだろう。
転生者たちの中でも、自身のレベルを上げる為に積極的に修業場異界へ潜る者は、どちらかと言えば少数派であり、ましてこの
修羅勢と呼ばれる、それなりに人数の居る一部例外たちも、今では後に『中層』と呼ばれるレベル30~50の悪魔が湧くエリアへと狩場を移し、なおさら今この
つまり、現状における本来の『上層』とは、湧き悪魔はレベル30どころか25~28程度が普段よく目にする『一番強い悪魔』であり、上限のレベル30の悪魔など滅多に見ない。
狩りをしている転生者たちも、弱くは無いがまだまだ『強者』とまでは言えない程度の力量しかないのである。*1
だと言うのに───
「くっそ!! 何でこんなに強い悪魔がこんなところに!?」
「駄目だ!! 俺ら程度の攻撃じゃビクともしねぇ!!」
「撤退だ!! お前たちは先に逃げて助けを……!!」
───明らかにレベル30以上であろう
「馬鹿言うな!! お前を置いて行けるわけが……」
「くそッ、こいつら、何時でも俺たちを全滅させられるのに、追い立てるようなマネしやがって……」
その
力量差からいつでも殺せるにも関わらず、まるで「さっさと逃げて助けを呼んで来い」とでも言わんばかりに、トドメを刺さずに彼らを追い詰めている。
また、これと同じような光景は、この修業場異界の様々な場所で見られており、既に戦闘から撤退して異界から脱出した者たち、未だに踏みとどまって戦闘中の者たちと、常に無い混乱をもたらしていた。
しかし、それも唐突に終わりを告げる。
「え?」
「何だ? こいつら急に動きが止まって……」
「は? 急にどこに!? あっちは、奥の方のエリアか?」
先程まで彼らを追い立てる様にしていた
これは、他の場所でも同時に見受けられ、対応していた者たちを大いに戸惑わせる事となった。
「……何だったんだ、一体……」
こうして、僅か数十分の間であるが、多くの者をかつてない混乱に陥れた死霊の軍団は姿を消し、事の詳細を
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修行場異界の荒野を【マルコキアス】と2人して進んで行く。
私は殺意を抑えてなどいないし、【マルコキアス】は闘気をたぎらせている。
その結果は、道行く先と後ろに散らばる悪魔の残骸だ。
弱ければ、何も出来ずに殺意と闘気に飲まれただけで死んだ。
愚かならば、逃げるか否かの判断すら出来ずに、その場で動けずに死んだ。
自分が強いと勘違いして向かって来た奴は、自分が死んだ事すら自覚できなかっただろうな。
実に気分の良い道程だ。
準備運動には事欠かないし、前菜を食い散らかすのも偶には良い。
とは言え、折角の相手を退屈させてしまうのもよろしくない。
滅多に無い機会だ。色々と会話も楽しませてもらうとしよう。
「貴方に関する事として、気になっている事が一つあってな?」
「何ダ?」
「貴方が嘘を嫌う事はよく知られているが、【
「元々、我ニソノヨウナ権能ハ無イシ、今モ無イ。後付ケデ勝手ニ『ソウ言ウ事ニナッタ』物ノ1ツニ過ギヌ」
「ああ、外野が勝手に「あの悪魔はこう言う存在だ」と決めつけて固着されたパターンか。情報生命体特有の現象だな。こちらの組織の契約悪魔*2にもいるな、そう言うの」
「……コチラモ、汝ニ問ウ事ガ1ツ」
「おや、何かな?」
「汝ハ我トノ殺シ合イヲ望ンダ。我ヲ殺ス事ヲ望ミ、我ニ殺サレル事ヲ望ンダ。ソコニ、一切ノ嘘ハ無カッタ。故ニ問ウ───」
そう前置きをして【マルコキアス】は私へ問う。
思えば、こうも改まって問われた事などあまり無いな?
大抵の連中は、私の事を単なる戦闘狂の類だと思っているのだろうからな。
「───『
ふむ、実に端的で様々な意図が込められた質問だな。
まぁ、言わんとする事は分かっているが。
「無論、楽しいからだとも。私はね、大好きなんだ。殺したり殺されたり、死んだり死なせたりするのが」
別に隠すつもりも無いからな。
知りたいのなら幾らでも答えようじゃないか。
「見苦しく泣きわめく奴らも、本当に高潔だった奴らも、真剣に向き合った奴らも、みんなみんな楽しそうに踊っていたし、私も踊った。本当に楽しかったよ。
それが私の始まりで最初の終わり。
「飽食も、娯楽も、学びも、何にでも興味を抱けるし、何でも実践出来るのは凄く贅沢だ。享楽にふけるのは当然で、何でも自分で決められるのは実に素晴らしい。本当に楽しかったよ。
それが私の続きで二度目の始まり。
「誰でも誰かを殺せるし、誰にでも殺されるし、死ぬ事も生きる事も好きに出来る。私はね、楽しく
別におかしな事じゃ無いだろう?
要するにこう言いたいだけだ。
「楽しいと思った事は、何度でも体験したいと思うのは当然だろう?」
「……ナルホド。汝ヲ狂人ト思イ込ンダノハ我ノ不明カ。ソンナ程度デ評セル代物デハ無カッタヨウダ。何ヨリ信ジガタイノハ、『ソレ』ヲ嘘偽リナク
「生憎、まだ生まれてから一年しか経っていないのでな? 人生はまだまだこれからだし、色々と面白可笑しく経験を積む予定だぞ? 幼少期の人生経験は大事だからなぁ」
「戯言ヲ………………事実ダト!?」
そんな驚くような事か? 生まれて間もない者が流暢に会話したり、何ならその辺の悪魔を虐殺する事など、この業界ではよくある事だろうに?*3
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「さて、そろそろこのエリアの最奥だが、配下の集合は済んだかな?」
「アア、ツイ先ホド、コノ地ニ放ッテイタ下僕ドモノ集結ハ済ンダ。汝ノ相手ニハ足リヌダロウガ、全霊ヲ持ッテ
「実に結構。さて、我々がここで好き勝手しては、敵も味方も皆殺しにしてしまうからな。河岸を変えさせてもらうぞ」
「【
直後、この修行場異界の一角を覆いつくし、
頭上には巨大な月が青白く輝き、地上は一見して何も無いにも関わらず、はっきりとそれと分かる
「コレハ……汝ノ異能 カ。何トモ汝ラシイ ルール ダナ。何時マデモ生死ヲ楽シミタイカ、
「ああ、生まれて間もない
「ナラバ、
この異界の
細かい調節はしているがな。主の交代のルールの削除とか。
そして、この異界、【
・この異界から脱出する為には、主を
・上記の条件を満たさない限り、主は異界内に【循環】するMAGを用いて何度でも蘇生される。
私の相手からすれば、重要なのはこの2点だろうな。
この異界での悪魔の湧き方だの、ここで死ねば本霊の元へ還る事無く【閉鎖】と【循環】に囚われるだのは、おまけに過ぎないだろう。
私の相手をする悪魔からすれば、実に最悪なルールだろうな。
この異界に囚われたが最後、目の前の人間をどれだけ殺そうと脱出は出来ず、
まぁ、そうは言っても……
私にとっては好都合だから、相手の都合など知った事ではないがな!!
P
「さぁ、殺したり殺されたり、死んだり死なせたりしようじゃあないか、【マルコキアス】」
「アア、付キ合ッテヤロウデハナイカ。闘争ノ何タルカヲ教エテヤルゾ、【四条 灯】」
「さて、まずは挨拶からだ、な!!」
P
そう宣言し、生成した大鎌を手に【マルコキアス】に斬りかかる。
かつて、霊視ニキ、探求ネキ、セツニキと相対した時と同様に、速さのみを優先し技巧には拘らずに大鎌を振るう。
あの時との違いは現在のレベルだけでは無く、この身体を構成する【魔装術】への理解と練度の向上、日課の
単純な身体能力だけなら、当時の私の5割増し程度の一撃。
仮に眼前に立っているのが、当時の霊視ニキ程度なら反応は出来ても回避は不可能な攻撃だが───
「遊ビガ始マリ、逸リヲ堪エ切レナイ。其レガ汝ノ在リ方カ!!」
───巨躯の四足獣であるにも関わらず、熟練の戦士そのものの最小限の挙動で【マルコキアス】は回避して見せた。
ああ、このやり取りだけで理解できるな。
こいつは単なる
間違いなく当時の霊視ニキたちよりも個としてのスペックは上だな。
そして私からしても、あの時の霊視ニキたちと違い、僅かであろうと
「デハ、我カラモ返礼ダ。【虚空爪激】!!」*5
口角が歪むのを抑えきれない。
ガイア連合での日々に大きな不満は無いが、それでも
修羅勢の現在の主戦場である『不思議なダンジョン』*6で湧く悪魔どもも、決して弱くは無いが『油断しなければ確実に殺せる』程度でしかなく、仮にレベル50の個体であろうと、それは単に『レベルが50の湧き悪魔』でしかない。
そう、目の前の
「それは『お手』か? 良いぞ。存分に
───私を殺すに足るだけの
「……我ノ技ヲ受ケ止メルカ…… ソノ手甲ハ生成……? 否、【魔晶変化】*7カ」
「ご明察だ。流石の知識と経験量とでも言っておこうか?」
『右魔暗黒掌』
私のペルソナである【アンクウ】を【魔晶変化】させ具現化させた武具であり、全体的に黒を基調とし、肘当て部分には赤いカラーリングの施された、鋭い爪先を持つ機械的な手甲だ。
マスターガンダム*8のアームパーツと言えば分かる奴には分かるだろう。
禍々しくも力強い、洗練されたデザインだ。これは素直に気に入っている。
「そして、獣の調教には、やはり鞭が良い」
【マルコキアス】のスキルを左手で受け止め、フリーの右手から大鎌を消し、即座に新たなスキルを発動させる。
「【マスタークロス】*9 【ソウルドレイン】*10 【布槍術】*11」
次の瞬間、私の右手の中には、黒い光を放つ先端が大鎌の細長い布が握られている。
【
「ドウ見テモ鞭デハ無カロウガ。悪趣味ナ事ダ。【ファイアブレス】」*12
【マルコキアス】の口腔から放たれる炎は、私の視界を覆い尽くし、同時にこちらを呑み込まんとする壁となって迫り来るが、それらの脅威の一切を無視して自分から炎へと身を投げ、同時に眼前の存在へと【マスタークロス】を放つ。
元より私は【火炎無効】だ。
「────!!??」
確かな手ごたえがクロス越しに伝わって来る。
間違いなく
「……(簡単すぎる)」
未だ晴れない炎の壁の向こうの存在に疑問を抱くと同時に、
ああ、なるほど。そう言う事か。
えらくベーシックな戦術だが、実際に有効だからな。
右手に持つクロスを握ったまま、身体を右回転させ、その勢いを利用し左の貫手を後方へ繰り出す。タイミングはギリギリか?
「ガルゥアァアアァァァ!!」
そして、振り返った私の目に映るのは、今まさに私へ噛みつかんとする【マルコキアス】の顎であり、既に回避は不可能なタイミングだ。
だが、同時に【マルコキアス】も
「がふゥあァぁぁぁぁぁ!!」
お互いにこの期に及んでの回避など考えもせず、眼前の対象への殺意と闘気を迸らせ、この
結果として、私の左の貫手は【マルコキアス】の右胸を貫いており、その黒青色の毛並みは傷口からあふれ出る夥しい量の血液に染まっていく。
そして、【マルコキアス】の巨大な顎は、私の右首筋から右肩、右胸に深々と捕らえている。
このまま食いちぎられたら、体積の五分の一くらいが無くなるか?
勿論、私はその程度では死なないので、是非この先にも期待したいところだ。
【マルコキアス】のとった戦術は極めてシンプルで有効なものだ。
【ファイアブレス】で視界を遮り、自分の配下の死霊と入れ替わり私の背後へ回り奇襲をかけると言うだけのもので、基本にして王道だな。
【マルコキアス】にとっての計算外は、私が躊躇せずに炎へ飛び込んだ事では無い。
私がその程度のマネをする事くらい、こいつが想定しないはずが無い。
計算外だったのは、私の後方、つまり【マルコキアス】自身が回り込んだ位置で鳴り響いた【死門敲き】*13のノック音の方だ。
有象無象は当然として、同格ですら容易に殺す【呪殺貫通】と【穢れ】の付与されたカウンタースキルを受けてなお、私の振り返りと同時に奇襲を敢行したのは素晴らしいの一言だ。
ただ、残念ながら本来なら私を両断するに足るであろう顎の力も、【死門敲き】による即死を回避した代償として、スキルですらない単なる噛みつきになってしまったようだがな。
「グルルゥゥゥゥァァアアアァァア!!」
「あははははははは。良いな!! 殺し合いとはこうでなくてはな!!」
さあ、
お互い、こんな程度の挨拶で済むはずが無いことくらい、百も承知のはずだ。
もっと、楽しもう
もっともっと、殺し合おう
もっと!! もっと!! もっと!!
お読みいただき、ありがとうございました。
はい、黒死ネキ VS 【マルコキアス】の戦闘前のかけ合いと序盤戦をお届けしました。
そこら辺の湧き雑魚と比べて、同じレベルでもネームド武闘派悪魔は格が違って当然だよねと言う話。
Q:黒死ネキの異界の仕様が悪魔視点だとクソ過ぎねぇ?
A:文句はニャルに言って下さい。
Q:【マルコキアス】の初手の『お手』で【死門敲き】は発動しないの?
A:【死門敲き】は、耐性や無効で攻撃を"受けたら"発動なので、"防御"が成功したら発動しません。
Q:描写が血みどろすぎねぇ?
A:仕様です。
黒死ネキの価値観……と言うか、人生観? についてもちょっと触れてみるテスト。
これまでの経験で「楽しい」と感じた事って、また体験したくなりますよね。
物騒過ぎる? それはそうw
・黒死ネキ(四条 灯) レベル46
自分の経歴で隠したり恥じたりする事は、生まれた際のN案件の偽装隠蔽以外に特に無い。
聞かれたら普通に人生観や価値観くらい答えるが?
滅茶苦茶久しぶりに「自分よりレベルが高くて、油断していない自分を殺せる悪魔」との殺し合いでウッキウキ。
まだ挨拶くらいしかしてないよ? お楽しみはまだまだ
・【マルコキアス】 レベル50
72柱有数の武闘派。現状で地上に送り出せる、ほぼ限界値の分霊。
殺し愛モードの黒死ネキの相手と言う貧乏くじを引かされるも、「狂人かと思ってたら確固たる意志のある奴だった」と認識を改める。
そう言う事なら戦士として相手をするのは、自分にとっても望むところなので、全霊を尽くす所存。
既に【フォラス】が脳缶ニキと接触すると言う目的は半ば達成している為、散らばらせていた配下は回収済み。
と言うか、配下も込みの全霊でなければ黒死ネキの相手は出来ないと判断している。正しい。