【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~ 作:マカーブル
本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。
誤字脱字の指摘等も、いつも助かっております。
作中の挿絵として画像生成AIによるイメージイラストを表示しており+ます。
AIによる生成画像に不快感を感じる方はご注意下さい。
よくよく考えたらタイトルに「~~だろう?」ってつけるスタイルで行くと、エピソード内の何話目かが分かりにくい問題(今更
と言う訳で、この話は「黒死ネキの外部依頼での仕事風景」の後編です。
この話の前に、前編(前話)を読んだうえでご覧ください。
それでは、伏線回収編をお楽しみください。
俺らのチームの役割は所謂『斥候』ってやつだ。
敵陣や周辺地形に罠の有無の偵察。小規模攻撃で敵を釣って来る。移動する敵を追跡する。
この偵察、攻撃、追跡の三大要素が、斥候の基本的な役割だな。
戦場だけじゃなく、日常でも重要な要素だ。
例えば危険な場所に行く前に、事前に状況を把握するために下見をしたり、周囲の状況を常に警戒したりすることで、不測の事態を避けることが出来るからな。戦場と変わらねぇ。
ぶっちゃけ、直接戦闘能力は大した事はねぇが、調べものと逃げ足には自信があるぜ?
俺らの先輩の双子ニキ(弟)さん*1とか、直接戦闘が苦手でも、バフ、デバフ、状態異常、危険予知持ちだからってスタンまでいけるから、別格感がヤベェ。とっくにレベルも40を越えてるって言うし、下手な戦闘型よりもよっぽど強いよな?
俺らは三人チームで、全員タイプの違う斥候型だ。
レベルはまだ15で、修行場異界で悪魔相手にガチンコするのは不安だが、外部依頼の事前調査をこなす分には十分だ。
それに、修行場異界も中層以降なら罠や宝箱の頻度も上がるって聞くが、表層や上層じゃ悪魔とのバトルがメインで、斥候としての経験はそこまで積める訳じゃ無い。
だから、今の内に悪魔関連でも危険度が低い傾向の外部依頼の事前調査をこなして、斥候としての経験を積みつつレベル上げもするって訳だ。
今まで何件も事前調査を成功させてきたし、俺らチームのお陰で依頼が成功したって話を聞くと、ちょっと誇らしい気分にもなるな。
まぁ、同じくらい俺らの事を馬鹿にする声もあるけど、修羅勢入りしてる先輩とか見てると、どっちが馬鹿なのかって話だぜ。
……ああ、そうだ。俺らはまだそんなにレベルが高い訳じゃ無いけど、いくつも事前調査を成功させてるし、それなりに経験を積めてるって自負もある。
だから、分かっちまうんだ。
今回の件は、もう手遅れだって
『一族が管理している呪物の封印が解けかけているので、助力を乞う』
その『名家』から、ガイア連合へ届いた依頼は、言ってしまえば『良くある』パターンの依頼の一つだった。
チームで現地を訪れて、依頼人に会う前に、念のために建物周囲に妖しい所が無いかを確認して、ってのがいつものパターンだ。
ああ、このルーティンを教えてもらってて本当に良かったぜ。
じゃなきゃ、たまたま屋敷の二階の窓からこっちを覗いてた女の子……正確にはその子の持ってる
正確に
俺らじゃ手に負えない。
これが異界での偵察なら迷わず撤収だ。
だが、ここは地上だし、既に
この状況でいきなり回れ右をしたら、相手にも
そうなれば、この依頼は失敗。高位悪魔は身を潜めるのを止めるだろうし、依頼人はもちろん、周囲の人間にもどれだけ被害が出るかも分からないし、ガイア連合の看板にも泥を塗る事になっちまう。
もちろん、最優先すべきは俺らの命だが、幸い
このアドバンテージを生かしつつ、被害を最小限に抑えるのが今やるべき事だ。
先輩からのアドバイスで、外部での斥候任務でルーティンにしている事はまだある。
それは、『あえて霊圧を抑えて、大したことのない奴として振舞う事』だ。
こうすれば、大概の悪魔の行動は四パターンに分かれる。
・弱くて隠れるつもりの奴は、自分がバレていないと思って隠れ続けてくれる
・強くて隠れるつもりの奴も、自分がバレていないと思って隠れ続けてくれる
・弱くて隠れるつもりの無い奴は、相手が弱いと思ってノコノコ出てくる
・強くて隠れるつもりの無い奴も、相手が弱いと思ってノコノコ出てくる
四番目が最悪だが、そうなったら全力で逃げるだけだ。
そうなった時の為に、もし俺らに何らかの攻撃やスキルが使われたら、俺らの意志とは関係なく『くらましの玉』*2が発動するように仕込まれているしな。
幸い、今回の奴は二番目だった。だったら、バレないように情報を抜けるだけ抜くまでだ。
正直、こんな『名家』とは名ばかりの地獄に生まれたくなかった。
元をただせば、ご先祖様が中世の
律儀に代々そのお役目を守り続けて、時代と共に
だがそれは、代を重ねて血が薄まって、碌に封印を維持できなくなっていた我が家の現状を見て、「いずれ封印が解かれて悪魔が出現する。その際に
敗戦国の名ばかり名家の扱いなぞ、結局の所そんなものだ。
ああ、こんな家に生まれたくなかったよ。
物心ついた時から、親から我が家の事情とすべき事……嫌でもしなけりゃならない事を叩きこまれた。
嘘だと思いたくても、実際に悪魔の封印された呪物とやらを見せられたら信じるしかなかった。
死にたくなかったから、必死に封印の維持や補修について学んだが、だからこそ分かってしまった。
この封印は、私の代で解かれてしまう
正直、自暴自棄になっていたのに、こんな私にも好きな人が出来て、子宝にも恵まれた。
だから、もっと必死になった。私が何とかしなければ、と。
子供が物心がついたら、我が家の事情とすべき事を伝えるべきだったが、こんなものを我が子に、愛する娘に知らせたくないと思ってしまったのが罪だと言うのか?
日に日に脆くなっていく封印に焦って、一番大事な我が子をないがしろにしてしまったのが、最悪の結果に繋がってしまった。
娘が悪魔に魅入られた
ああ、寂しい思いをさせてしまったんだな。ごめんな、ダメなお父さんで。
けど、頼りになる人たちが来てくれる事になったよ。
ガイア連合。
ここ最近、突如として裏の世界で名を馳せる事となった中規模の対霊組織の一つ。
聞くに、その実力はかなり高く、仕事ぶりも熱心、常識もあり、がめつくもなく、かなりの人数が揃っている。
追い詰められている私にとって、都合が良すぎる文言が並ぶが、はっきり言って他の退魔組織は当てに出来ない……否、ならない。
伝手を総動員して連絡を取り、解決を依頼した。
その間、娘を経由して悪魔にバレないように、寂しい思いをしている娘を更に遠ざけてしまった。
本当にごめんな。
けど、これで……
良くあるパターンだった。
最悪なのは、あと数日早けりゃ間に合ったかも知れなかったって事だ!!
「うーん、見た所大した事はなさそうですが、今ここでの処理は難しいですね。ですが、これなら問題なさそうです。数日中に解決要員を派遣しましょう(俺たちじゃ無理だ。けど、解決する当ては有る。必ず悪魔を倒せる人を連れてくる)」
あの
俺たちは精々無能を演じて、悪魔の情報を抜き取らなきゃならない。
この悪魔は狡猾だ。
姿を見せず、この家の娘をあえて操らない事で人質としての意味合いを強調している。
弱まった封印から少しずつ自分のMAGを放ち、屋敷の地下室を中心に『兵隊』を量産している。
隠れて復活に向けて力を蓄える事を選んでやがるんだ。
悔しいが、この『兵隊』一体にも俺らじゃ勝てない。
だが、封印越しだからか、その【隠蔽】は甘く、俺らでも見破る事が出来たから配置や数は把握できた。
これも、この悪魔があえて顕現していなかった事で、俺らの無能の振りを見破れていない事が幸いしたな。
「よろしければ、貴方も一度ガイア連合へ来ていただき、こちらの術者と打ち合わせをなさいますか?(せめて貴方だけでも避難しましょう)」
「……いえ、それには及びません。貴方たちにお任せしましょう。それに、娘が寂しがるといけませんので」
「……分かりました。それでは私たちはこれで。本日は訪問が少し遅れてしまい、申し訳ありませんでした(間に合わなくてすまない)」
くそッ!! コレだから覚悟を決めちまった家族思いの奴と話すのは嫌いなんだ!!
良い人たちだった。
一見して頼りにならなさそうな態度だったが、娘が持つ黒い山羊のぬいぐるみ越しの悪魔から見えない角度では、私に対して真剣な表情で言葉の裏を読ませようと誠実に対応してくれた。
私だけでも助けようとしてくれたが、妻と娘を置いていくなど、私には出来ない。
「……あなた」
「……ああ」
「お父様? お客様とのお話は終わったの?」
「ああ、昨日も言ったけど、もう大丈夫だよ」
「けど、お父様、何か困ってるみたいだよ?」
「……おっと、ごめんな。本当にもう大丈夫だからね」
「ええ、きっともう大丈夫だから。また一緒にピクニックに行きましょうね」
「そうなんだ? えへへ、やっぱりお父様もお母様も、笑ってるお顔が大好き!!」
「ああ、お父さんも大好きだよ」
「ええ、お母さんも大好きよ」
ああ、大好きだよ。
……だから、最後まで一緒に居るからね。
その日の夜、ベッドに入った娘の前で泣かないようにするのが大変だった。
そして、娘が眠りについた次の瞬間……
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「で、まずは『兵隊』を奇襲して片付ける為に、ボクが黒死ネキと一緒に"飛ぶ"、と?」
「ああ、数km先の館の地下室に座標だけでピンポイントに転移出来るのはお前くらいだからな、イナバニキ」
「事前調査の結果を見れば、その『兵隊』ってレベル25~30くらいなんですよね? それが二十体前後って、普通に大きな都市が壊滅できる戦力ですね」
「放つ事が出来ればな。正面から潰しても良いし、取り逃さない自信もあるが、散らばるゴミを掃除するより、まとまっている間に片づける方が手間が省けるだろう? それに、今回の依頼の報酬は『
「ごもっとも。と言うか、ボクが呼ばれたのって……」
「ゴミ掃除自体はすぐに終わるだろうから、かさばる
「うわぁ……」
「さて、今日向かうのは
「うぃ。私が二人分になる」
「おお~、でっかい棺が【変化】で人型に。ってか、こっちのガワは
「『
「それはそう。じゃあ、手筈通りにボクが黒死ネキを送った後は、こっちの
「うぃ。周辺の最終確認。それと……」
「イナバニキの運び屋としての実力の【隠蔽】と【偽装】もな。いちいち山梨まで往復させるくらなら、こっちの方が痕跡も残らず手っ取り早い」
「さて、私とイナバニキには【隠蔽】を施した。何時でも良いぞ」
「はい。じゃあ、行きますよ!!」
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「さて、『ゴミ掃除』を再開しようか。少しは活きの良い『ゴミ』だと良いのだがな。なぁ、『ゴミ』」
手筈通りに私が地下で先んじて『ゴミ掃除』を始め、地上の『ゴミ』は
既にこの屋敷は【閉鎖】済みで、この『ゴミ』に逃げ場は無いし、
なので、もう特に遠慮も必要無いな。
「っ!? な……っああ!?」
「どうした? そんなに慌てて? さっきまでの強気な態度は何処へ行った?」
「マスター、その程度の『ゴミ』が貴女の殺意に晒されて平気な筈がないだろう。相変わらず趣味が悪いぞ」
「おや、失礼な。こんな可憐な少女に意識を向けられていると言うのに」
無言で肩を竦められた。解せぬ。
それにしても、星霊神社の修行場異界以外でレベル30前後の悪魔絡みの事件は珍しいから、多少は期待していたのだがな?
やっている事が小物過ぎて逆に感心するぞ。
長い封印がようやく綻びるも、さっさと出てくるわけでも無く少女を誘惑して外部へのパスを形成するに留める。
あえて封印から出ずに、コツコツとレベル25~30程度の『兵隊』を量産して、事前準備。
自分の復活がメシア教にバレて、マッチポンプの駒にされる事を警戒した結果、初手さえ凌げば活路はあると踏んだか?
その挙句、【隠蔽】の精度は微妙で調査班の連中にバレて、人質にしたつもりの少女の家族には覚悟を決めさせる結果になり、結果として派遣されたのが私になるあたり、肝心なところで詰めが甘いな。
「くそっ!! こんな所で!!」
そう言って腕に抱いた少女を連れ、地上への階段を駆け上がろうとする執事風の男だが……ああ、良いタイミングだな。上の掃除も丁度終わったか。
「───顕れよ。〈
「ッなぁ!?」
「ここは通行止め」
「ご苦労、チャイカ。さて、と……」
殺すか。
「う……動くなぁ、バケモノども!! そこまでだ!!」
おや、まだ頑張れるだけの元気が残っていたか? それとも自棄になっただけか?
抱えていた少女の首に腕を回して、私たちへの盾にするように抱え直すか。
それにしても、バケモノ? 誰が? 私たちか? あはははははははは
「たった一人の生存者だぞ、生かしておきたくないのか!?」
ちょっとだけ笑えたな。まぁ、それだけだが。
「大した事じゃ無い。俺の脱出に手を貸せ!!」
これはこれで愉しめはするか。意外と無いからな、こんな直接的な悪手は。
「め、目をつぶるだけでも良いんだ!!」
『ゴミ』のセリフは無視する。今、用があるのは『ゴミ』の腕の中の少女の方だからな。
「お嬢ちゃん、お
「え?」
「ッ!? 何を……何を言ってるんだ!?」
おや? 分かりにくかったかな?
何もかもが突然な状況だ。幼い少女であれば致し方ないか。
私の方が年下だけどな。
「お
「え? あ……ええと……」
「き、貴様!! 巫山戯るんじゃないッ!!」
「答えろ」
「はッ……はッ……はいッ!!」
「え?」
「な……ああッ!?」
「では、始めようか。
私の貫手で
「【ドロイド】」*4
まずは麻酔だな。
これでこのお嬢ちゃんは、『
放置すれば『
セツニキに術式を伝えた時は予想以上に喰いついていたが、何か面白い応用でも思いついたのなら教えて欲しいものだな。*5
執事風の男? 中身の無い『人形』は壊したところで問題無いから放置だ。
それより、折角
あからさま過ぎて、調査班の連中もチラ見しないようにするのに苦労したと言っていたぞ。何だ、その出来の悪い
「がぁあああああああ!! 貴様ぁああああああ!!」
「おやおや、実に不味そうな
【邪神 バフォメット】
ヨーロッパの魔女たちに信奉された黒山羊の頭を持つ悪魔で、サバトの象徴的な存在。
中世で
腕にはラテン語で
まぁ、こいつはレベル30程度の下級分霊だがな。
「さて、『ゴミ箱』も確保できた事だし、『分別』を始めるか。案の定、
追い詰められて人質にとるなら、せめてまっさらな状態で返却できるようにすべきだな。
自分を殺せば人質も死ぬように仕込んでいる時点で、後悔してもらう事になる訳だが。
「お嬢ちゃんの魂は私が確保し、契約悪魔である『ゴミ』は迂闊にもお嬢ちゃんの魂に自分のMAGを混ぜてしまった事で、必然的に縛りが発生して私から逃げられなくなった。まさか、いきなり人質を殺すと思わなかったとか言わないよな? 殺さずに殺して、魂を保全する方法なぞ幾らでもあるんだぞ? 無警戒が過ぎるだろう?」
「おのれ……おのれ、小娘ぇぇえええ!!」
「そして、ここからが大事でな? 『ゴミ掃除』には『ゴミの分別』が欠かせないんだ。分かるか、『ゴミ』? これからこのお嬢ちゃんの魂から、お前と言う『ゴミ』を分別する訳だが……」
「……まさか、そんな真似を人間如きが……出来る訳が……」
「痛いぞ?♪」
「───っ!! 待っ───!!」
「ギィィイイイイイイイイイイ!!!!」
途端に上がる『ゴミ』の絶叫。
大げさだな? ちょっと魂を直接
ああ、契約者のお嬢ちゃんの心配をしているのか? 大丈夫だぞ。ちゃんと
『ゴミ』への麻酔? 誰得なんだ、それ?
「まぁ、このままだと『分別』も面倒だし、分離しやすくしないとな」
「ああああ、やめ……」
「──────────────!!!!」
混ざり合っている魂を、遠心分離機の要領で霊的に高速回転させる。
元々は比率の違うもの同士に対し、遠心力を発生させる事で密度や粒子の大きさの違いを利用して分離させるのが物理的な理屈だ。
今回の『分別』の場合、『レベル30の悪魔と6歳の一般人の魂の密度と純度の違い』を利用する形だな。
対象者には魂をミキサーで攪拌されるのと同様の苦痛がある訳だが、お嬢ちゃんの魂は『
『ゴミ』の苦痛? 知らんなぁ。
「ふむ、良い具合に分かれたな」
「うあぁぁぁああああああああ……」
「さて。では、『ゴミ』を剥ぎ取るか」
「……待って……いや、お待ち下さ……」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
この作業、実は結構癖になる面白さがある。
何と言うか? 他人の耳掃除で大物を掻き出す面白さに通ずるものがあると言うか?
とは言え、面白半分でやってお嬢ちゃんの魂を傷つけるつもりも無いからな。
ここは慎重に、ひと思いでは無く何度も丁寧に『ゴミ』の魂部分をガリガリと掻き出す作業が求められるな。
「ころ………し…………も…う……ころ……し…………」
「ふむ、『分別』は完了だな。お嬢ちゃんの魂の保全に問題は無いな。良し良し」
我ながら良い仕事だな。
これなら、このお嬢ちゃんが人として後遺症無く生きていく分には問題無いな。
「あああああああ、おわ……った? これで……ら…く……にぃぃぃぃいいい」
なれると思うか?
「で、『分別作業』の際に必然的に発生した『お嬢ちゃんが本来感じていたはずの痛みや苦しみの情報』を捨てる場所が必要になる訳なのだが……」
「え?」
「どこに捨てれば良いと思う? なぁ、『ゴミ箱』?」
「え?」
「レベル30の『ゴミ』兼『ゴミ箱』が泣きわめくような苦痛を、一般的な6歳の少女が感じていたら、と言う『もしも』に加えて、家族や人生を奪われた『心の痛み』等も、『霊的な痛みの情報』として蒐集済みでな? こんな辛い思いを幼気な少女に負わせる訳にはいかないからなぁ?」
恐らくだが、さっきまで感じていた苦痛の万倍くらいか?
文字通り『人の痛み』が分かるぞ。感謝してもらいたいものだ。
「嫌、嫌、いやいやいやいやいやいや、イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ!!!!」
「ああ、安心しろ」
「ゆ、許して?」
「ちゃんと捨て終わるまで、
満面の笑み*7で安心材料を提供してやると、何故か呆然として、山羊のくせに馬鹿面を披露する『ゴミ』。
三秒ほど待ってやると突然我に返ったのか、慌てて戯言を並び立てて来た。
「待って!! 待って下さい!! 本当は俺……いや、わたくしもこんな事をしたかった訳じゃ無いんです!! 勝手に崇拝してきた癖に、勝手に封じ込められて!! 勝手にクソ天使どもの都合で滅される予定まで立てられて!! おれ……わたくしは、ただ生き延びようとしていただけでぇええええええ!!!!」
これ、命乞いか? 単に自分本位の身勝手さを自白してるだけじゃないのか?
まぁ、『ゴミ』の命乞いは総じて単なる鳴き声だ。聞く価値など無い。
さぁ、『ゴミ』にも通じるように、分かりやすく伝えてやらねばな。
「
「ああああああああああああああああああああ!!!!」
さて、『ゴミ捨て』が終わったら、『ゴミ』兼『ゴミ箱』も『掃除』しないとな。
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│以下、後始末
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「では、運搬は任せるぞ。イナバニキ」
「了解。それにしても、見事に悪魔の痕跡とか何も残って無いですね」
「元々悪魔の死体なぞ放置したところでMAGに還るだけだが、汚水を蒸発するまで放置するのは掃除とは言わないからな」
「確かに。それで、転移先は探求ネキ製の倉庫用壺中天地で良いんでしたっけ?」
「今回は屋敷丸ごとが報酬だからな。仮にも中世から続いた家だ。
「それで、この家……と言うか、封じられてた【バフォメット】をマッチポンプに利用しようとしてた連中の目はどうします?」
「私が【隠蔽】と【偽装】を施して放置だ。連中からしたら、現状維持としか認識できなくなるからな」
「分かりました、お願いします。……正直、ついでに殴り込みに行くんじゃないかと心配だったんですよ」
「お前、私の事を何だと思っている? 仕事は私流で楽しむが台無しにするつもりは無いぞ? それに、残念ながら
「……うん、これ多分聞かない方が良いやつ。それじゃ、始めますけど……あの女の子の事は……」
「契約通り、責任を取って貰うとも。
「あー、ショタおじが苦笑いしていたのって……」
「あの連中は再教育だろうな。
「けどまぁ、偶には一つくらいは間に合ったものがあっても良いとは思いますよ。だってここ、メガテン世界だし」
「違いないな」
容姿はヴァルキリープロファイルのバドラック
295話目 術者の抱える業 を読んでみよう。
この上ない悪用で変な笑いが出てくるよ?
お読みいただき、ありがとうございました。
はい、黒死ネキによる良くあるお仕事の様子でした。
黒死ネキに回ってくる依頼は、大体が手遅れで胸糞確定とか、討伐対象が高レベルのケースが多いですね。
今回は珍しく『一つだけでも間に合った』ケース。
まぁ、ややビターエンドですが、メガテン世界的には十分ハッピーエンドの範囲と言うネ。
『ゴミ』に対する『分別作業』の描写の参考文献
→ ゆっ〇り虐待
いやぁ、まだまだ虐待鬼威惨には及びませんね。
・黒死ネキ(レベル51)
このレベル帯の【バフォメット】とか、自前の異界や修行場異界で三桁以上を既に殺している。
異界内部より外部の悪魔の方が、弱いけどエピソード的な意味で言えば面白い。
今話で『ゴミ』で遊んでいるように見えるが、普通に被害者の寄生虫除去ってだけ。
色んな意味でそれなりに楽しめたし、概ね満足。
・チャイカ(レベル30)
一人二役。便利さが留まるところを知らない。
黒死ネキとはただでさえ外見ローティーンの二人組なので、対外的には成人男性の姿も用意。
今回は囮的な意味で『ゴミ掃除』を担当。
・イナバニキ
酷使無双枠。ひとえに彼が便利すぎるのが悪い。
今回は依頼人の屋敷がメシア教の監視対象でもあったので、本領発揮はちゃんと【隠蔽】を済ませてから。
下手に目立つと暗殺待った無しだし、仕方ないネ。
・バフォメット(レベル30)
封印から出られるようになったら、さっさと逃げて、人里離れた山奥で野菜でも育ててたら生き延びられた可能性もワンちゃんあったかも?
自分を封印した一族の末裔に娘を人質にマウントとったり、コツコツと兵隊をこさえて『狡猾な俺』ムーブを自画自賛していたら、娘の家族が覚悟決めたり、送り込まれた連中は結構優秀だったり、よりによって送り込まれたのが黒死ネキだったりで、あっという間に運を使い果たす。
豚の様な悲鳴を上げ続けて、『ゴミ』として処理された。
・斥候系俺ら(レベル15前後)
三人組の斥候系パーティ。
双子ニキ(弟)をリスペクトしており、彼を目標に日々を過ごしている。
普段から良い仕事をしており、今回も頑張って情報収集に努めた。
まだまだ青く、自分たちが戦闘能力に劣るせいで『間に合わなかった』ケースもそれなりに経験済み。
今回、運営と黒死ネキに土下座して「せめてあの子だけでも!!」と嘆願。
結果として悪魔関連の記憶を消された少女を保護する。
「色んな意味で、ちゃんと責任を取れるようになって貰う」と、ショタおじから厳しめに指導を受ける事になる。