【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~   作:マカーブル

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 本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。
 誤字脱字の指摘等も、いつも助かっております。

 作中の挿絵として画像生成AIによるイメージイラストを表示しております。
 AIによる生成画像に不快感を感じる方はご注意下さい。


 今回はリアル時事ネタに挑戦と言う事で、ハロウィン回です。
 前話で「番外編ばっかやって本編ないがしろはダメ」とか言ったのは何だったのか(ォ
 それもこれも、『ハロウィンコスした黒札たち』とか言うお題が悪いのであって、ノリノリで画像生成しまくって「やっべ、超可愛い!! これで番外編書いたろ!!」とか流された作者は悪くない!!(言い訳

 で、案の定文章量が膨らんで分割する事になるのは、もはや悪癖なんよ。
 ともあれ、楽しんでいただければ幸いです。



番外編 ハロウィン回 収穫祭とは、皆で一緒に楽しむものだろう?

 

 ハロウィン

 

 その起源は古代ケルト人の「サウィン祭」とされ、ケルト人にとって1年の最後の日である10月31日は、夏の終わりと冬の到来を告げるお祭りの日とされた。

 この日は、死後の世界との扉が開くと信じられており、先祖の霊だけでなく、悪霊や悪さをする精霊も現世に現れると考えられている。

 その際に、人々が仮装して悪霊を驚かせたり、「仲間だ」と思わせて身を守ったりしたのが、現在の仮装の習慣に繋がっている。

 

 現代では、キリスト教の「諸聖人の日」の前夜祭と言う宗教的な意味合いは薄れ、多くの国で娯楽性の高いイベントとして楽しまれている。

 と言うか、そもそも現代のキリスト教ではハロウィンは正式な祝祭ではない。*1

 なお、日本では一般的には「大規模なコスプレイベント」としての側面が強く、宗教色などまるで見られないものである。

 

 このイベントの最も特徴的な催しは、「Trick or Treat」。「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ」である。

 直訳すれば「いたずらか、もてなし(ごちそう)か」であり、お菓子をごちそうに見立て、悪霊をもてなして追い払う習慣から、この言葉が生まれたとされている。*2

 

 

 このように、ハロウィンは現代においては『宗教色は薄く、皆で楽しむイベント』としての側面が強いのだが、キリスト教各派は「ハロウィンはオカルトだ」*3 「うちの記念日と被るんだけど?」*4 「ハロウィンとか死のカルトだろ」*5 と、割とハロウィンを敵視していたりする。*6

 

 

 

 つまり、ガイア連合的には遠慮なくお祭り気分で騒げるのである。

 だって、キリスト教系とは関わらなくて良いし。

 

 

 

 なお、キリスト教系俺らに関しても、「いや、俺らも『皆で楽しむお祭り』としてのハロウィンを敵視するようなKYじゃないし。つか、俺らも楽しみたいし」と言う意見が大半であり、尚更問題無いのである。

 

 そんな訳で───

 

 

 

「「「「「ハッピー・ハロウィーーーン!!!!!」」」」」

 

 

 

 ───10月下旬の某日、ガイア連合山梨支部(と言う名の本部)においても、イベント好きな者たちが集い、『皆で楽しむお祭り』としてのハロウィンパーティーを開催していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「Trick or Treat!! お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!!」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 ハロウィンの代名詞を口にして、先陣を切るのは幼女ネキこと鵺原リン。

 白い狼をモチーフとした愛らしい衣装に身を包み、全身から祭を楽しむのだと言う意気込みを放っている。

 子供の特権をフル活用し、目についた参加者に片端から声を掛け、相手の微笑ましい表情を引き出してはお菓子をGETしていくその姿は、会場の参加者に笑顔を提供していく。

 

 そんな幼女ネキに親し気に声を掛ける者が居た。

 

 

「よう、幼女ネキ。楽しんでいるようで何よりだな」

 

「む、その声は黒死ネキか。その格好は───」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「───もしや、デビチルのデュラハンか? 中々様になっているじゃないか!!」

 

「お褒めに預かり、恐悦至極。クククッ、お前のそれも実に愛らしいな。既に会場の人気者じゃないか」

 

 

 長い黒髪をポニーテールにまとめ、赤いコートと黄色のマフラー、黒い手袋と黒いタイツ、茶色のブーツでコーディネートした、いわゆる『デビルチルドレンのデュラハン』の装いをした黒死ネキこと四条 灯が、会場のソファに座って足を組み愉快そうな表情でくつろいでいる。

 彼女の周囲にはジャック・オー・ランタンが幾つも配置されており、中にはフヨフヨと宙に浮いている物もあった。

 

 

「良い出来の衣装だな? 【魔装術】で【デュラハン】を衣装化したとかなのか?」

 

「【魔装術(それ)】だと『ごっこ』であって仮装(コスプレ)ではないだろ。出来ない事はないが、この手のイベントでは無粋と言うものだ。普通に私が仮装用の衣装として用意した物だぞ。デザイン的には既製品の手直しだけで済むから、そう時間もかからなかったしな」

 

「ほう、良く分かっているじゃないか!! 【変化】系スキルに頼っていては確かにコスプレとは言わないな!!」

 

「もっとも、完成度を高め過ぎて、目的が見た目で惚れ込んだ奴の脳破壊に行ってる奴ら*7ほどではないがな。アレはアレで笑えるから、その内やってみるのも良いかもしれんが」

 

「ふふふ、お互い楽しんでいるようで何よりだな。だが容赦はせんぞ!! Trick or Treat!! お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!!」

 

もちろん、Trick(いたずら)。生憎、菓子は用意が無くてなぁ? さぁ、お前はどんないたずらをしてくれるんだ?」

 

「なるほど、そう来るか!! 黒死ネキの事だから、いたずら返しの名目でデスゲームを開催したいのだろうが、そうはいかんぞ? これを見るが良い!!」

 

 

 そう言って幼女ネキが懐から取り出したのは【生き字引の筆】*8と呼ばれる概念系宝貝。

 幼女ネキへの誕生日のプレゼントとして探求ネキが作成した物*9で、幼女ネキはこれを様々な用途に愛用している。

 

 そして、実用的にもネタ的も、最もよく使われるのが───

 

 

「これで身体に〝植物〟と書き込む事で、植物と同様に地中から栄養を得て、果実の代わりに菓子を実らせる事が出来る!! 菓子が無いならいたずらがてら実らせて収穫もらおうではないか!!」 

 

 

 ───身体に〝植物〟と書き込む事による菓子の収穫である。

 

 元ネタでは仙台銘菓である『萩の月』を収穫していたし、実際に宮城支部のメンバーからも『萩の月』を収穫できている。

 ちなみに、血筋的には京都の血が流れている幼女ネキからは『赤福』が収穫できるし、東京出身の者からは『雷おこし』が収穫できる。

 余談だが、同じ東京出身でもキノネキからは『ひよこ饅頭(季節限定の塩ひよこ)』が収穫できたらしい。*10

 「自分の霊能は、こんな所でも外れ値なのか」とこっそり落ち込み、スレに晒されていたのはご愛敬だ。

 

 

「これで私が黒死ネキから菓子を収穫すれば、いたずらと同時に菓子を振舞ってもらったと言う概念も成立し、黒死ネキはいたずら返しの名目を失う訳だ。……もっとも、黒死ネキは素の耐性で状態変化系の完全無効とか言うチートだから、その辺は空気を読んでもらう必要はあるが……まさか、自分で選んだ『Trick(いたずら)』を拒みはすまいな?

 

「あははははははははは!! そう来るか!! 良いぞ、実に面白い。それに、出身地が異界で血筋的には日英ハーフ*11の私に、どんな菓子が成るのか興味もあるしな。耐性を無効にするから、是非『いたずら』をしてもらおうじゃないか」

 

「うむ!! では行くぞ!!」

 

 

 ノリノリで耐性を切って、幼女ネキの『いたずら』を受け入れる気満々の黒死ネキに対し、幼女ネキは【生き字引の筆】を振るう。

 一瞬で黒死ネキの胸元には〝植物〟と書き込まれ、その身体には一口サイズの菓子が成っていく。

 

 それは───

 

 

「カヌレ*12だな」

 

 

 ───フランスの伝統的な焼き菓子、カヌレだった。

 

 

「フランスの焼き菓子だったか? 黒死ネキってフランス人だったのか?」

 

「今世では間違いなく違うな。前世は日本人だったし、前々世(中世)まで遡っても、あの時代と現代では国境線も違うしなぁ? ……ひょっとして、私のペルソナ(身体の素材)が【アンクウ(フランスの死神)】だからか?」

 

「ああ、そう言う? あと、カヌレって材料にラム酒が使われているんだったか? 黒死ネキの【ゲーデ(ラム酒好き)】の要素も含まれてそうだな」

 

「なるほど。そうなると、もしかすると……」

 

 

 そう言って、黒死ネキは自身に成ったカヌレを一つ手に取り口へ運ぶ。

 口腔内で歯を立て、外側のカリッとした香ばしさと、内側のもっちりとした触感を楽しみ、そして内側からあふれ出す芳醇な()()を堪能し、満足感と共に嚥下する。

 

 

「ああ、やはりか。このカヌレに使われているラム酒、『魔酒ゲーデ』*13だな。それも、特注品*14の方」

 

「それって確か、黒死ネキがニューオーリンズの【ゲーデ】に特注で作らせている物だったか? 『飲む【ムドダイン】』とか言われている?」

 

「それだな。まぁ、私から実った物だし、然もありなんと言ったところか。 ……しかし、これだと幼女ネキが食べるには問題があるな。レベル的には食べても死なないだろうが、【穢れ】への適性を考えると……あれだ、〝特に好きでもない激辛料理を無理して食べる〟みたいな事になるな」

 

「……むぅ……そうなると、この『いたずら』は失敗と言う事か……」

 

「いいや? 実った物が想定外だっただけで、幼女ネキの策自体は面白かったぞ。私も同意しての事だし、この場合は実ったカヌレが幼女ネキの口に合わない物だったのは、どちらかと言うと私の落ち度だろ。流石にこれでいちゃもん付けて〝いたずら返し〟に持って行くのはKYと言うものだ」

 

「そう言うものか?」

 

「そう言うものだ。とは言え、このまま手ぶらで帰らせるのも何だし、このカヌレの代わりにコレでも食べていくと良い」

 

 

 そう言って黒死ネキは、コートのポケットから洒落たデザインのケーキプレートを取り出し、その上に手品じみた挙動で手をかざす。

 すると、何も乗っていなかったケーキプレートの上には、いつの間にかブリオッシュ生地のケーキが出現していた。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「見ての通りサヴァラン*15だ。使っている食材は一般向けの既製品だから、普通に食べて問題ないぞ」

 

「ツッコミどころが多すぎるのは相変わらずだな、黒死ネキ? まずその皿、明らかにコートのポケットよりも大きいだろ!! そのケーキもどこから出した? 菓子は用意していないとか言っていたのに持っているじゃないか? しかも何気にホールサイズだし!! そして何より、お前どれだけラム酒が好きなんだ!?」

 

「あはははははは!! 折角のハロウィンなんだ。この程度の手品くらいご愛敬だろう? あと、私のラム酒好きはさておき、サヴァラン(これ)()()()()であって、()()ではないぞ? お前はもう少し女子力と言うものを高めるべきだな、幼女ネキ」

 

「いや、詭弁だろそれ!! あと、女子力とか黒死ネキが言っても説得力が……っ!!」

 

 

 と、ここで幼女ネキはふと気付く。

 「あれ? ひょっとして黒死ネキって女子力高くね?」と。

 

 ・APP17~18の超美少女で、容姿は極めて整っている。

 ・普段は黒フォーマルで統一しているが、大半の衣装は美しく着こなして見せる。

 ・紅茶を淹れる腕前がプロ級。

 ・ネット弁慶(コミュ障)だらけの『俺ら』の中でも希少なコミュ強。

 ・身内以外との会話においても社交的に振舞える。

 ・情報収集能力と教養レベルが高い。権能的な意味でも。

 ・そう言えば、今回のデュラハンの衣装も「私が用意した」とか言ってなかったか?

 etc.etc……

  

 こうして考えると、もしや黒死ネキは理想の女子……

 

 

「……って!! 騙されんぞ!! ぱっと見の女子力が高くても、『殺し愛大好き』の時点で全てがアウトだろうが!!」

 

「「「「「(それはそう!!)」」」」」

 

 

 一瞬騙されかけた幼女ネキと、その光景を見ていたギャラリーの意志が一つになった瞬間だった。

 

 

 

 


 

 

 

「まったく、危うく騙されるところだったではないか!! もぐもぐ…………おお、このサヴァラン美味いな!!」

 

「怒りつつ笑顔で頬を膨らませながらスイーツを頬張るとか、中々器用だな? これはこれで子供らしいと言うべきか?」

 

「このサヴァランに罪は無いしな。にしても美味いな、これ? 既製品と言っていたが、どこで買ったんだ?」

 

「私の手作りだぞ」

 

「……何て?」

 

「私が作った。そのサイズなら二時間くらいで作れるぞ」

 

「いや、既製品って言ってたじゃないか!?」

 

()()()既製品だな。作ったのは私だぞ。茶請けには拘りたかったのでな」

 

「ええええええぇぇぇ……」

 

 

 やはり、黒死ネキは女子力が高いのか? いや、何か認めたら負けの様な気が……

 悶々とする幼女ネキだが、気分を変えて気になっていた事を聞いてみる事にする。

 

 

「……っと、そう言えば、黒死ネキは『いたずら返し』に何をするつもりだったんだ? 如何にお前が殺し愛ガチ勢でも、祭りを台無しにするようなマネはしないとは思うが」

 

「いくら私でもそこまでKYでは無いぞ? ちょっと()()()()をするつもりだっただけだ」

 

「ふむ、パイ投げ……もしや、そのカボチャ……」

 

 

 そこで目につくのは、先程から黒死ネキの周囲をフヨフヨと浮いているジャック・オー・ランタンだ。

 気になって【アナライズ】してみたが、長々とジャック・オー・ランタンの文化が生まれるまでの経緯が小説風に書かれていた。

 スティンジー・ジャック*16の話って、結構面白いな。いや、今はそうじゃない。

 

 

「ああ、ネタバレ防止で【隠蔽】と【偽装】を施してあるぞ。中身は私が各種暗黒魔法で適当に作った対修羅勢仕様の特級呪霊だ。威力は精々【ムドダイン】程度だから、直撃してもシャレで済む安心設計だな。あと、味は普通のパンプキンパイ

 

「お前、そう言うところだぞ!? そう言うところだからな!?」

 

 

 誰だ、この危険人物の女子力が高いとか言った奴は!?

 と言うか、黒死ネキの【ムドダイン】とか、修羅勢以外が喰らえば間違いなく死ぬし、何なら修羅勢でも相性次第で普通に死ぬ。

 

 

「まったく……ん? そうなると黒死ネキがデュラハンのコスプレをしているのは……」

 

「お、気付いたか。折角だから『スリーピー・ホロウ』*17ごっこでもしようかと思ってな」

 

「ああ、イカボット*18が首無し騎士からカボチャを投げつけられたと言うアレか。見た目はコミカルでも、威力は比べ物にならんだろ、それ」

 

普通の人間(イカボット)も生死不明程度の扱いだったし、このくらいのお遊びなら逸話再現補正(ご都合主義)もあるから死にはしないだろ。余興だよ、余興」

 

「私が言えた事では無いが、黒死ネキの余興も『人死にが出ないように』とか言うセーフティは無いよな? 一般人相手ならともかく、黒札相手だと特に」

 

「当然だろ?」

 

「いや、不思議そうな顔して言うな。お前が一般的な常識も感性も持ち合わせた上で巫山戯ている事は、もう分かっているんだぞ」

 

「あははははは。その通りだとも。分かった上で巫山戯るのが人生を楽しく生きるコツだぞ? それは幼女ネキも良く分かっているだろう?」

 

「まぁな。あ、サヴァランは美味かったぞ。馳走になった」

 

「さらっと私と掛け合いをしながらホールケーキを平らげるお前も大概だな。デビルシフターは何かと腹が減るから見慣れた光景ではあるが」

 

「今度うちの者にもレシピを教えてもらって良いか? 美味かったからまた喰いたい」

 

「別に構わんが、ケーキに限らず製菓とか基本的に食材を分量通りに混ぜて、時間通りに焼くだけだぞ? 実際、このサヴァランもネットで拾ったレシピで作っただけだしな。料理の腕が関係無いとは言わんが、レシピさえ守れば普通に喰える物が出来るだろ」

 

「それが言える奴に限って料理上手だったりするんだよなぁ。まぁ、私は食べる専門だが」

 

 

 その後も黒死ネキと幼女ネキは、平和(?)に雑談し、ハロウィンパーティを楽しむのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうそう、この後の『イベント』についてだが……」

 

「ああ、台本はちゃんと読んだぞ。これがただの騙し討ちなら断っていたが、契約上の演出だし構わんだろう。()()()は送ってもらえると言う事で良いんだな?」

 

「ああ、契約通り『出演者』には販売よりも先に届ける事になっているからな」

 

「分かった。では、また後でな」

 

「ああ、よろしく頼む。……さて、と」

 

 

 幼女ネキと分かれ、黒死ネキは目当ての人物を探しに歩き出す。

 

 会場の誰もが笑顔でパーティを楽しんでおり、そこかしこで「Trick or Treat!!」の合言葉が飛び交い、互いの仮装(コスプレ)を褒め合う光景が飛び込んで来る。

 グラスが触れ合う軽快な音や、菓子が騒めく音が響き、テーブルに並んだ目玉を模したゼリーや、コウモリ型のクッキーは、瞬く間に様々なキャラクターに扮した参加者たちの腹の中に消えていく。

 

 そんな騒々しくも愉快な会場の片隅に、あえて人目を避けるように彼女は佇んでいた。

 配偶者たちや弟子たち、仕事の関係者や知己の多さから考えれば、彼女が孤独である事など有り得はしない。

 これは、本日この時間に予定されていた黒死ネキとの〝打ち合わせ〟の為に、彼女が気を利かせて人目の多い場所から移動してくれたからだ。

 

 

「そろそろ来る頃だと思っていましたよ、黒死ネキ。貴女もパーティを楽しんでいるようで何よりです」

 

「ああ、楽しませてもらっているとも。そちらもどんな仮装(コスプレ)なのか、色々想像していたが、なるほど、そうなったか」

 

 

 黒死ネキの視線の先に佇むのは、長く美しい黒髪を結い上げて金色の薔薇を模したアクセサリーで飾り、黒い夜会服を見事に着こなし、芸術品と評してもなお足りない、見る者に畏怖の念さえも抱かせるであろう美貌と、完璧なポロポーションを誇る麗人。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「ある意味、今夜に相応しい装いだな、暗殺者の いばら姫(ヨル・フォージャー)*19。『イベント』の準備も滞り無いようだな?」

 

「ええ、先程()()には契約に基づく招待状も手渡して、その場で確認していただきました。この後、()()()()に来ていただけるでしょう」

 

「これが私や幼女ネキからの招待では、まず間違いなく逃げ出すだろうしな。クククッ、日頃の行いとイメージとは大事だな」

 

「それで改めるつもりとか全く無いですよね? それは私もなので、人の事は言えませんが」

 

「今回の件に関しては企画立案は探求ネキだからな。ユーザーからのリクエストに応える形だったか?」

 

「ええ。やはりと言うか、『お約束』と『再現』は要望が多かったですね。時期的に良いタイミングでしたので、今回のハロウィンパーティーに便乗する形にしましたが」

 

「『出演者』としての参加は滅多に無いから、今回は楽しみにしているぞ。この───」

 

 

 誰もが楽しく笑うパーティー会場の一角で、享楽主義者が笑い、創造者が微笑む。

 これから催される、多くの者に笑いを提供するであろう、その企画の名は───

 

 

 

 

 

 

「───『笑ってはいけないハロウィン・パーティー(人生禄の収穫祭)

 

 

 

 

 

 

 

*1
英語の「ハロウィン」は「諸聖人の日(万聖節)の夜」を意味する "All-hallow Evening" の短縮形をその語源としており、その最古の使用例は16世紀に見られたものが最後となっている。

*2
1950年代にアメリカの製菓会社や映画会社の仕掛けもあり普及した。The・商業主義。

*3
by カトリック教会

*4
by プロテスタント。プロテスタントにおいて10月31日はマルティン・ルターの宗教改革記念日。

*5
by ロシア正教会

*6
とは言え、別に参加を禁止したりはしていない。

*7
脳缶ニキとカス子ネキのクソガキコンビ。コスプレのクオリティが高すぎて「俺が惚れたのはコイツら……だと……」「わァ……あ……」「泣いちゃった!!」と見る者を脳破壊しては、ちいかわ化させている。

*8
元ネタは『南国少年パプワくん』に登場する東北ミヤギが持つ武器で、この筆により漢字を書き込むと、書いた文字通りの存在に変化する概念系宝貝。

 毛や軸に神珍鉄を混ぜ込む事で、霊力操作により筆の大きさを自由に変更可能とし、霊力を込めながら振るう事で毛先に墨を具現化して、あらゆる対象に文字を書き込む事が可能になる他、霊力消費による自動修復機能も備えている。

 また、当て字でも効果を発揮させる事が可能であり、使用者の知識と発想によって使い勝手が大きく変わる一品となっている。

 なお、文字として認識出来る事が効果発動の条件であり、水が掛かったり直接削るなどで、文字が読めない程に破損すると、効果を失う。

*9
緋咲虚徹作 【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく

85話目 083:裏方作業と贈り物 より

*10
山親父様 作 【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅

67話目 第一回、終末ツーリング より

*11
黒死ネキの両親は、両方とも日英ハーフで帰国子女

*12
フランスのボルドー地方発祥の伝統的な焼き菓子。

外側はカリッと香ばしく、中はもっちりとした食感、ラム酒とバニラ風味の甘みが特徴。

名前の「cannelé」は「溝のついた」という意味で、独特の溝のある型で焼くことから。

*13
名無しのレイ様 作 【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち 

190話目 北海道支援と樺太神社復活。 より。

かつて田舎ニキが戦ったが上手く逃げてニューオリンズ・ハイチ・キューバを支配下においている【死神 ゲーデ】が作ってるゲーデの力がふんだんに込められたラム酒。

サトウキビから砂糖を精製する際の副産物であるモラセス(廃糖蜜)を原料にして、モラセスを自然発酵させ単式蒸留器で蒸留したヘビー・ラム。モラセスと水を混ぜ、純粋酵母発酵させて醸造酒を作り、連続式蒸留器で蒸留したライト・ラムもある。この蒸留の過程でゲーデの信者たちがゲーデの力をふんだんに込めるため、死神系列や魔系列には受けがいいが、聖系列には受けが悪い酒。

*14
レベル50以下の者や天使は飲むとほぼ確実に死ぬ。通称飲む【ムドダイン】。

*15
フランスの伝統的なケーキで、リング状のブリオッシュ生地にラム酒等の洋酒シロップを染み込ませ、リングの中央のホールにホイップクリームやカスタードクリーム、フルーツを飾って仕上げた物。

*16
18世紀のアイルランド民謡の『けちなジャック』より。

悪事と酒が好きな鍛冶屋で、悪魔を二度も騙したと伝えられている。死後、彼は天国はもちろん、地獄からも受け入れを拒否された。

*17
アメリカのニューヨークに伝わる都市伝説。首無し騎士が登場する物語として有名。後にワシントン・アーヴィングが『スリーピー・ホロウの伝説』として小説化した。

*18
『スリーピー・ホロウ』の主人公

*19
元ネタは漫画『SPY×FAMILY』。

アニメ版のヨル・フォージャーの声優(中の人)は竜吉公主と同じく早見沙織氏。

表の顔は市役所の事務員で、裏の顔は殺し屋。27歳の美女。

作中屈指の超人的な身体能力の持ち主で、暗殺と言いつつ大半は正面突破で片を付けている。

かなり浮世離れした天然ボケかつ、鈍感でおっとりした性格。





次回予告


「さぁ、お前たちの罪を数えろ」

「Let's Party!! HAHAHAHAHA!!」

「大変恐縮なのですが……息の根、止めさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「「「死にたくなーい!! 死にたくなーい!!」」」


次回 『笑ってはいけないハロウィン・パーティー(人生禄の収穫祭)


 こうご期待。



 はい。お読みいただき、ありがとうございます。

 今回は前書きにも書いた通り、ハロウィン回の前編です。
 これで後編を10月中に投稿できなかったら顰蹙買うなぁ……いやまぁ、書けるやろ、多分(ォ

 経緯的には、ふなぐち又兵衛様の所の感想欄に書き込まれた「ハロウィンコスした黒札が見たい」とか言う欲望に触発されたと言うかですねw
「とりま、幼女ネキのコスプレ姿でも作ってみるか~」 → 「過去一可愛いのがいっぱい出来た!! 自作で使いたい!!」 と、ミイラ取りがなんとやらに(ォ

 やっぱ欲望には忠実であるべきですね~。



・黒死ネキ(『デビルチルドレン』のデュラハン)
人生エンジョイ勢。何気に女子力が高い事が判明。
スリーピー・ホロウごっこがしたくてデュラハンコスにしてみた。
マジでパイ投げ感覚で【ムドダイン】相当のパンプキンパイが飛んで来る。
身体に成るのはカヌレで、作るのはサヴァラン。どんだけラム酒が好きなんだ?
待ちに待った収穫祭にワクワクしている。


・幼女ネキ(白い狼をモチーフにしたコスプレ)
実は会場には、他にも吸血鬼モチーフのカス子ネキと、フランケンシュタインの怪物モチーフの脳缶ニキとかが居たりする。登場させるかは未定。
相手が菓子を持っていなくても【生き字引の筆】で強制収穫だ!!
黒死ネキとは何気に仲が良く、画像生成の際も指定パーツが9割がた同じ(ォ
この後の収穫祭ではゲスト出演予定。


・探求ネキ(『SPY×FAMILY』のヨル・フォージャー)
当初は『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶ(CV:早見沙織)のコスプレをする予定だったが、身長体重がかけ離れていたので却下に。
竜吉公主のガワで、151cm 37kgのキャラのコスプレは無理があった。
と、言う訳でより体格の近いヨルのコスプレをする事に。
外見はともかく、知能レベルに差があり過ぎる? それはそう。
今回の収穫祭を企画立案。ユーザーフレンドリー()な創造者。





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