【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~   作:マカーブル

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本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。

活動報告にて「うちの子が他所様の作品にコラボさせていただいた喜び」とかご報告させていただいております。
あと、「作者のやらかしの謝罪」も。

名無しのレイ様、ありがとうございました。
そしてLilyala様。 マジで気付かずに多大なご無礼を働いてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

この場をお借りして謝罪させていただきます。
詳細は活動報告にて。



さて、今回は無駄に長くなりました。
分割しようか迷いましたが、「次回は主人公のバイオレンスシーン」とか書いちゃった手前、約束は守らねばとキリが良いところまで書いてきました。
色々と書き方を試してみようとしたら、人称が滅茶苦茶になって読みにくくなってしまったかも知れません。
ご容赦ください。



第6話 筋を通して後始末もつけたのなら、次はお楽しみの時間だろう?

 

 

 

 

「でも死ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

異界で生れ落ちた名も無き赤子は考える。

 

 

「(さて、最優先でするべき事は終わった。次は筋を通さねばならないが、()()は流石に予想外だったか。まぁ、好都合と言えば好都合か)」

 

 

自ら腹を裂いて我が子を取り出し、自身を犠牲とする事で子を生かそうとした母がいた。

 

異界の核である主とされた胎の中の赤子は、異界のルールにより湧き出る悪魔に命を狙われ続けると知らされる。

主でなくなるためには人間に殺害されるか自殺するしかなく、悪魔に殺されてもルールにより強制的に蘇生される。

主が死ねば、この出口無き異界の出口が開かれる。

 

そんなルールを押し付けられた母親が選んだ選択だ。

 

母親は自らの腹を裂く事で『母親は赤子の死産を狙い殺害行為をした』と異界のシステムに訴えかけ、同時に『主である赤子を母親が殺した事により、主は母親に変更される』と主張する。

これにより主が母親に変更されれば、『母親は自分の腹を裂いて自殺する』事により『主が自殺した事により異界の出口が開く』事を狙った。

 

赤子は転生者であり、ただの赤子では死ぬしかないであろう腹を裂いての取り上げも、乗り越えられると信じての事だ。

悪魔(吸血鬼)に成り果てても自身と赤子を守ろうと奮闘した夫は、生き延びた赤子を守ってくれると信じての行動でもある。

 

母親の覚悟は実を結び、確かに赤子は腹から取り上げられ、異界は『主の変更が承認される条件を満たし、直後に新たな主は自殺した』と認識する事となる。

しかし、赤子は死産の過程を辿ろうと現実的には生存しており、このままでは『やはり主の変更の条件は満たしていないのではないか』と再審に至ったであろう。

 

再審に至るまでの猶予は、時間にして数秒であると()()()()()()()()()赤子は理解していた。

 

 

()()()()()()()()()()()

腹を裂かれた母が赤子を取り上げるまでの僅かな時間に、意識と無意識の狭間に住まう者(フィレモン)より得た戦う力(ペルソナ)によって。

 

 

母親は赤子を生かすために手段を考え、覚悟を固め、敵を欺き、死へと至る苦痛を耐え抜き、異界のルールに正面から挑み、勝利を掴み取ったのだ。

一切のルール違反などしていない。正面からルール通りに勝利してみせた。

再審など認めない。勝者から達成した目標を奪う事は許されない。成し遂げた者を罪人に墜とすなどあってはならない。

母親は一神教の信徒だ。

再審に至れば母親は『赤子を殺そうとして失敗した、単に自殺しただけの罪人』となるだろう。

そのような事は断じて否だ。

 

ならば、母親が勝者のままである為にはどうすれば良い?

簡単だ。()()()()()()()()()()()()()()

勝者の権利を有したまま『殺される』事で、勝者の権利を有したまま『自殺などしなかった』事になる。

 

 

そして、赤子の判断は正しく、母親は()()()()()()()事で勝者であることが確定したままとなった。

 

 

 

 

しかし、赤子にとって予想外の事態も同時に発生する事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(それにしても、まさか異界の主としての権限を二重に得る事になるとは)」

 

 

赤子は元々、異界の核としての主として設定されていた。

そこから母親が死産と言う形を通して主の権限を取り去ろうとするも、再審前後のシステム的には生きていた赤子にも主としての資格は残っていた。

そこから『主の資格を有したまま赤子が、新しく主となった母親を殺した』と言う形となってしまった。

 

結果は『異界の主の権限の二重所得』。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()、言わばシステムのバグであった。

 

 

「(この異界の作成者は恐らくは()だ。異界越しに干渉される事を避けられるようになったと喜ぶべき、なのだろうな。良いだろう。精々活用させてもらおう)」

 

 

無貌であるが故に千の化身を持つ、変幻自在の存在。

なら、()()()()()()()()()()()()の主は?

 

 

「(この後の事を考えれば、いつまでも赤子のままでは不便が過ぎる。出来るんだろ? やれ」

 

 

主としての権限を持って異界のシステムへと命じる。

余計な干渉をするものはおらず、システムは主からの命令を忠実に実行する。

 

 

もう一人の自分の具現化(ペルソナ)能力による『現実世界へヴィジョンを投影する効果』を拡大解釈し、『望んだヴィジョンを現実世界へ()()()()()具現化させる』

つまりは、ペルソナのガワを自由に作り変えて自身の義体とする事。

 

DEATH(死神)のペルソナ、アンクウ。

そのデザインは、赤黒い鍔広の羽帽子を被り、同色の外套に身を包んだ前足が巨大な鎌状になった白い骨の巨大な四足獣。

 

そのヴィジョンは赤黒い光となり、赤子へと収束し、新たなヴィジョン(人型)を形成していく。

生れ落ちたばかりの数十cm程度の小さな肉体はヴィジョンの形成に伴い、小柄ではあるもしなやかな手足を、未成熟ではあるも起伏のある胴体を、幼くはあるも極めて美しい貌を成していく。

 

形を変えるだけで本質は何も変える事なく、赤子は人間のまま人外の身体(人の外見)を得る。

そして赤黒い光は収束し、赤子……否、()()は現実へと具現化した。

 

夜を切り取ったかのような黒く美しい長髪。

ルビーの様に赤い瞳と強い意志の宿る鋭い眼差し。

幼さと美しさを兼ね備えた麗しい貌。

子供から大人へと至る階段に足を掛けたばかりの、成熟前の美しさを誇る肢体。

 

彼女の新しく得た身体は───

 

 

「…………服くらいついでに形成してもよかったんじゃないのか?」

 

 

───全裸だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ良い。些事だ。それにしてもこの身体…… 最初の人生の時と同じか? まぁ()()()はこんな小奇麗じゃなかったがな」

 

 

微妙に不満に思いつつも彼女は次の目的の為に、自身の通すべき筋の為に視線を動かす。

その視線の先には、地面に力なく座り込み、呆然とした表情で赤い血の涙を止めどなく流し続ける哀れな吸血鬼(父親)がいた。

 

 

「………………………………………………………………」

 

「やあ、今生の父よ。気分はどうかな?」

 

「っ!?」

 

 

彼女の言葉に弾かれたかのように彼女へと顔を向ける父親。

そこには驚愕、怒り、悲嘆、後悔、慈愛、他にも数えきれない感情がないまぜになった、いっそ無表情とも言える表情があった。

 

 

「突然すまないね。この母を理不尽に抗った勝者として逝かせるにはこの方法が最適解だった。解説は必要かな?」

 

「…………いや、必要ない」

 

「そうかね。「それよりも、いくつか教えてほしい事があるんだ」 なら……ん?」

 

 

父親は必死に冷静であろうとした。思考を放棄して泣き叫びたい衝動も、戦いで流し過ぎた血を求める衝動も、全てを押さえつけて考えて話す事を諦めなかった。

だって、彼が愛した女性もとてもとても頑張ったのだから。

 

 

「まず、貴女は僕の……僕とミナの子供で良いのか?」

 

「母の胎で育ち、母から生まれ出でたという意味でならYES。赤子らしくまっさらな存在かと問われればNOだね。私は所謂『前世の記憶を持った転生者』と言うやつだ」

 

「……そうか」

 

「納得はいったかな?」

 

「……正直、理解も納得も追いつかない。けれど()()()()()()()()()()んだろう? なら僕がそれを否定するなんてあっちゃならない事だ」

 

「だろうな。他には?」

 

 

父親にとって『最初に確認しないといけない事」は聞いた。次は『最も聞きたかった事』を聞く。

 

 

「ミナはどうなったんだ?」

 

「どう、とは?」

 

「ミナはさっきまで僕の中にいたんだ。最後にキスをした時に、ミナは僕に自分の血を渡してくれた。この吸血鬼の身体が教えてくれたよ、ミナの覚悟と想いを」

 

「ああ、見事な機転だった」

 

「けど、もうミナは僕の中にはいないなんだ。死んでしまったから居なくなったわけじゃない。分かるんだ。本当なら、ミナは死んでしまっても彼女の想いは血を通して僕の中に残る筈なのに!?」

 

 

血とは魂の通貨。命の貨幣。

命の取引の媒介物。

吸血により死に至らしめたのであれば、殺した者の命を我が物とする事。

例えほんの数滴であろうとも、愛する者の血液であれば、彼の言う通り、例え死してもその思いを自らの中に残せたであろう。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「ああ、彼女の魂は()()()()()()()ここ(異界)で死ぬと言う事は、魂を悪魔に持って行かれると言う事だ。有象無象に彼女を渡すわきゃねぇだろう?」

 

 

だからこそ自由になどしない。

自由であると言う事は()()()()()()()()()()()()()と言う事なのだから。

 

 

「……そうか、貴女はミナの誇りも、その魂も守ってくれたんだな」

 

 

父親は『最も聞きたかった事』を聞いた。そして、『最後に聞きたかった事』を聞く。

 

 

「最後に……貴女に僕の守りは必要かい?」

 

「ない。正直貴方が辛いだけだろうな」

 

 

無慈悲なまでの即答だった。

父親はもう日の下は歩けない。ヒトとしては暮らせない。

既に()()()()()()()()()()()の庇護者足りえない。

 

 

「そうか、やっぱりなぁ。ごめんね、頼りない父親で」

 

「いいや、貴方もよくやったさ、父よ」

 

「これで聞きたい事は聞いた。それで、早すぎる独り立ちをする娘にお願いがあるんだけど……」

 

「ああ、構わんよ。彼女と一緒に居たいのだろう?」

 

 

そもそもが先ほどまでの戦いで血を流しすぎ、理性を保つのすら覚束ない。

しかし、血は吸おうとは思わない。

妻と一緒になるためには、自分はヒトのままでいなければならない。

 

 

「ああ、酷いお願いだけど、頼めるかい?」

 

「構わないとも。だがその前に、貴方には聞いて欲しいものがある」

 

「聞いてほしいもの?」

 

「名前だよ。私のな」

 

「名前……それは前世の、かい?」

 

「いや、今生での私の名は今生の物でなければならない。前世は前世だからな」

 

「……それは確かに。けど、申し訳ないが貴女の名前はミナと考えてはいたけど、まだ決められていなくて……」

 

「いや、もう貰ったさ」

 

「え?」

 

 

死を想え(メメント・モリ) 私の死があなたたちの命へとならんことを』

「──────〇〇〇 と・・・・・・モ……リ…… 私の、死……」

 

 

最後まで愛する者の為に祈った確かな想い。

かすれてほんのわずかにしか聞き取れなかった言葉。

 

自身の死を想い、大切な物の命を願う祈り。

『我が子への呼びかけ』と『私の死』という言葉と繋がって紡がれた最後の声。

 

奇しくも、死と踊る彼女に最も相応しい名は母親の祈り(遺言)にて世界に固定される。

 

 

「ともり。それが私の名だ」

 

「っ!? それは……ミナの……最後の……」

 

 

母親の最後の祈りは、父親の中から存在が消える前にしっかりと伝わっていた。

最後の言葉も、正しく聞き取れていた。

だからこそ、我が子がその言葉を自分の名づけとした事に理解も納得もできた。

なお、肝心の娘は死を想え(メメント・モリ)の一部から取った名が、それっぽいとお気に召しただけの模様。

 

 

「良い名だろう。今生の私に相応しい」

 

「ああ、そうだな。貴女に相応しい()()だね。ところで……」

 

 

心なしかドヤ顔で語る我が子を前に、最後にちょっとだけ父親面をしたくなったのか、父親は語る。

 

 

「『響き』はミナと貴女……いや、もう『ともり』だね。『ともり』に譲るけど、その『響き』に当てる字は僕が選ばせてほしいな。ほら、子供の名付けで父親の出番が無いのも寂しいじゃないか」

 

「むぅ……どんな字を当てると?」

 

「明るい光を意味する灯りって書いて、(ともり)なんてどうかな。良いだろう?」

 

「…………いきなり私に相応しくなくなったのだが!?」

 

 

今世の自身を見る。

自分で自分の顔は見られないが、仮に前々世と同じなら想像はつく。

控えめに言って闇の側だろう。

前々世は気にする余裕などある筈もなかったが、前世の価値観で言えば見てくれは悪くないどころか極上の部類だろう。

だが善人面かと言われれば否だ。

何ならこの身体とか死神(アンクウ)製だぞ?

 

 

「そんな事は無いさ。それに親ってものは自分の子供には明るく楽しく生きて欲しいものだよ」

 

「ああ、それなら自信はあるな。前世は明るく楽しく生きたからな」

 

 

ただ、大して長生きはしなかったが。

 

 

「あはは。うん、これでもう思い残すことも無いかな」

 

 

妻は大役を成し遂げた。娘はちょっと早すぎるが立派に生きていける。

 

3()()()()()()最高の名付けも出来た。 

 

自分の役目が終わったのを実感する。ああ、流石に疲れた。休みたい。

 

 

「それじゃあ、お願いするよ。僕をずっとミナと灯の傍に居させてほしい」

 

「ああ、世話になったな」

 

「…………………」

 

「…………………」

 

 

 

 

 

「おやすみなさい、灯」

 

「おやすみなさい、父上」

 

 

 

 

 

───そして父親は娘に殺された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分は幸福の絶頂に居た。

 

裕福な家庭に生まれ、彼に甘い両親から欲しいものは簡単に手に入った。

通っていた学校では彼に逆らう者はいなかったし、成績なんて金と身分で買える。

両親の所属している何とかと言う宗教で「私は模範的な信者です」と振舞っていれば、「素晴らしい」と持てはやされた。

ちょっと寄付してやれば払った金以上の役得も得られたし、自分を「司祭様」と敬って媚びへつらう馬鹿どもを見るのは気分が良い。

天使とは名ばかりのバケモノのご機嫌うかがいは業腹だが、ちょっとヘコヘコしていれば「おこぼれ」が手に入る。

ああ、良い女に苦労しないのは良い。いちいち金をちらつかせるのも面倒だ。

この組織は世界的にも大規模で、逆らえる奴なんていやしない。

つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()。楽で楽しい人生だ。笑いが止まらない。

 

これまでも組織の方針で『資質の高い子供』とやらを収穫してきた。

男は資源で女は苗床だ。女を完全な孵卵器にする前には天使(バケモノ)が一通り使いつぶしている。

何が天使だ。そこら辺の種馬の方がよっぽど上等じゃないか。

お前らは人間を見下しているんだろ? こっちもだよ。精々自分の金と権力を稼ぐ駒になれ。

役にも立たない末端が入ったり辞めたりしたところで、いちいち意識を裂くのも面倒だ。

 

自分以外の誰かを見下し、駒にして人生を謳歌する日々。

そんな楽しい人生だったが、その日、自分はその人生最大の喜びを知る事となる。

 

 

「この辺で丁度良さそうですね~。変にえり好みするのも時間の無駄ですし?」

 

 

『美しい』等、それ以上の語彙を作る事の出来なかった愚かな先達の怠慢だと思い知った。

一目見た瞬間に理解した。自分の人生はこの御方に出会う為にあったのだと。

躊躇なく言えるだろう。目の前のお方こそ、世界で最も美しく偉大な存在であるのだと。

きっと自分はこのお方を愛し、愛されるために生まれてきたに違いない。

 

 

「ああ、話が早そうですね。それじゃ、貴方……」

 

 

そして偉大なるお方は語ったのだ。

このお方は()()()()()()()()使()であり、自分に啓示を与えに来たのだと。

その使命を全うした暁には、自分の望む未来が開かれるのだと。

 

天にも上るとはこの事を言うのだと感じた。やはり、自分こそは選ばれた存在なのだ。

組織の天使もどき(腐った害鳥)とは違う、本物の天使様とはこのお方の事だったのだ。

そんな守護天使様に選ばれた自分は、守護天使様の試練を乗り越えて、この守護天使様と結ばれる定めにあったのだ。

 

 

「それじゃ、セッション開始のメッセンジャーの役割を果たしてくださいね。期待していますよ」

 

 

セッション(集会)? よく意味は分からないが、きっと高尚な意味に違いない。

そんな些細な疑問より、天使様からの使命を全うしなければならない。

なぁに、ちょっと下賤な連中に話を伝えるだけだ。どんなに愚かな連中でも、守護天使様の御威光にひれ伏すに違いないのだ。

 

 

 

    ────────────────────

 

 

 

ああ、下賤な連中は何処までも下賤だから下賤と呼ぶのだと理解してしまった。

自分はきちんと伝えてやったのに。守護天使さまが御光臨されるという、身に余る未来まで含めてだ。

にも関わらず、こいつらが選んだのは『逃げる』だ。

『逃げる』? つまり、こいつらは逆らったんだ。この自分に。守護天使様のお言葉に。

本来ならその身を百八に裂いても償えぬ大罪であるが、()()は慈悲深い。

護衛兼使用人として口先で騙して(主命であると言って)連れて来た天使もどき(アークエンジェル)に取り押さえさせて、御光臨される守護天使様に『この庶民の女と中身の孕み袋候補』を捧げるだけの簡単で素晴らしいお役目を勤め上げるだけだ。

そうすれば、きっと。ああ、笑いが止まらない。

 

 

 

    ────────────────────

 

 

守護天使様が御光臨成された。

やはり本物の天使様はもどき等とは格が違う。造作もなく天使もどきを人形同然に片づけ、忠実な手駒として()()()()()()()()()()()のだ。

あまりの喜びに涙が止まらない。思いつく限りの美麗字句を駆使し、守護天使様を称える。きっと自分の想いを受け入れ喜んでくださるに違いない。

 

守護天使様はこのような下賤な連中にさえも救いを与えるのだと言う。

素晴らしい御慈悲だ。やはり守護天使様こそ真の天使なのだ。

きっとこれが神の試練と言うやつなのだろう。あの下賤な男はヒトですらない吸血鬼に墜とされた。汚らわしい者にはお似合いだな。

女の方は何も出来ずに震えているだけ。何と情けない。これだから無能は見るに堪えないのだ。

 

そして、守護天使様はその御業を持って下賤な女の胎へと光を放たれた。

おお、なんと言う神々しい光景か。

もうすぐ、()()()()()()()()()()()()。感動のあまり涙が止まらない。

 

 

 

    ────────────────────

 

 

 

守護天使様のお創りになられた世界(異界)は、まるで愚民共の心の内の様だった。

燃える廃墟に薄汚い空。まさに下賤な連中の試練に相応しい場所だ。

さて、精々頑張って守護天使様の御期待に応えて欲しいものだ。

そうすれば、自分の覚えも目出度く素晴らしい未来が待っているのだから。

 

この異界のルールとやらも、優秀な自分にはすぐに理解できた。

きっと守護天使様は『赤子を守ろうと健気に頑張るも、何もできずに無様に死ぬ愚民』と『何もできずに悪魔に嬲られる赤子の身で意識のある転生者』を見たいのだろう。何故なら自分がそうだからだ。

 

それに気づくと同時に守護天使様の先見に感動する。

この天使もどきを自分に授けてくれたのは、『異界の悪魔に嬲られる赤子を一通り堪能した後は、異界の悪魔()()()()天使もどきに赤子を殺させて、自分はこの異界から脱出せよ』と言う事に違いない。

人間の自分が殺してしまっては、自分が異界の主として登録されてしまうからな。

流石は守護天使様だ。自分を愛して下さるが故の御配慮に達しそうになる。

 

おお、あの汚らわしい吸血鬼が悪魔どもに集られて血を流しているな。

何と無様で滑稽な事か。だがこれも守護天使様の試練よ。しっかりとその身に刻んでもらわねばな。

はははははははは。

 

 

 

    ────────────────────

 

 

とうとうあの愚民共は気が触れたらしい。

この状況で突然口付けなぞしたのだ。何だ? 急に発情でもして猿にまで退化したか? あり得るな。

 

…………何だと!?

唐突に汚らわしい吸血鬼が無能な女の胎を裂いたのだ。

挙句、気が触れた女が自分の腹に手を入れようと!?

 

 

「貴様!? 何をするつもりだ!?」

 

 

おのれ!! まさかここまで考えの足りない愚か者どもだったとは!!

悪魔どもに集られて自棄になったのか!? それで安易に苦しみから逃れようと、赤子を殺すつもりか!?

あり得ない。そんな真似をされたら……人間に殺されたら()()()()()()()()()だろうが!!

そうなれば守護天使様は落胆されるだろう。つまらなかったと思われてしまう。

 

そうなれば、自分が()()()使()()()()()()()()()()()()だろうが!!

 

 

「貴様ぁ! 聖母(まりあ)様を無能な人間が害するなど許される事ではないぞ!」

 

 

慌てて天使もどきを引き連れて、愚かな女の首を引っ掴み愚行を止めさせようとする。

間に合え! この女はどうでも良いが、赤子にはまだ生きていてもらわなければ困るんだ!

 

そう、目の前の女に意識を向けていたからか───

 

 

「 ペ ル ソ ナ 」

 

「 D E A T H    ア ン ク ウ 」

 

『【デスティカ】*1

 

 

───そんな何処からか響いた声と共に、自分はその場から弾き飛ばされていた。

 

 

 

    ────────────────────

 

 

 

何だと言うのだ!? 何があった!? あの気が狂った女は!? 汚らわしい吸血鬼は!? 何より、赤子はどうなった!?

 

慌てて立ち上がり、辺りを見渡す。

あの狂った女は地面に倒れて死んでいる。腹に大穴が開いているな。まったくもって愚かな女だ。

苦しみから逃れるために、より苦しむ等、まさに愚かの極みだ。

 

!?

誰だ、あの少女は!?

守護天使様には及ばないものの、黒く美しい髪にルビーの様な瞳を備えた見事な美貌、幼さが残るからこその魅力的な体つき。

守護天使様を除き、今まで抱いてやってきた凡百のメス共とは比べ物にならない。

ああ、何と()()()()()()()女だ!

 

もしや、この少女はあの赤子なのか?

よもや守護天使様はあの赤子がこのように美しくなる事さえもお見通しだったと言うのか!?

何と素晴らしい! 自分の未来の為に、このようなご褒美まで!

 

ああ、いや慌てるな。

見ればあの少女は、汚らわしい吸血鬼を先ほど見た不思議な響き(【デスティカ】)で殺しているではないか。

良いぞ良いぞ。あのような汚らわしい者など無残に殺して当然だ。この少女は分かっているではないか。

流石は守護天使様の見込んだ少女よ。

 

ならば、自分のする事は簡単だ。

この少女を守護天使様の御意向に従い、組織へと連れ帰るのだ。

なぁに、所詮は年端もいかぬ小娘に過ぎぬ。少し美麗字句を並べて褒めてやれば、泣いて喜んで従うだろうよ。

その後は───

 

もうすぐだ。もうすぐ輝かしい未来が待っているのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かキモウザイ男が声をかけて来た。

私の事を聖母(まりあ)様だの美しいだの、語彙のない誉め言葉らしきものを並び立てているな。

 

会話をする価値を感じなかったから無視していたら、今度は勝手に怒り出した。

情緒不安定すぎるだろ。奴はこんなのを端末にする趣味でもあるのか?*2

 

一緒に居た天使(アークエンジェル)をけしかけて来たので、視線を向ける。

ああ、この天使(アークエンジェル)の剣筋は放置すれば私を()()()()

一瞬、ものすごく魅力的な選択に思えたが、折角の今生がそれで終わるのもつまらない。もっと楽しみたい。

よって、今回は()()()を選ぶ。

 

 

「【エイハ】*3

 

 

放たれた暗黒魔法の効果により天使(アークエンジェル)の頭部が消し飛び、残った身体はぐらりと後方へ倒れ、徐々にMAGへと分解されていく。

思ったより効果があったな? そう言えば天使に対する特攻もあったか。

それにしてもこの天使(アークエンジェル)、一言も話さなかったな。洗脳でもされていたか?

 

 

「……え? な、なぁあああああ!?」

 

「どうした? 〆られた獣のような声を出して」

 

「き、貴様!? 何という事をしてくれたのだ!? この天使もどきが死ねば、この異界で貴様を殺して出口を開ける者がいなくなるのだぞ!?」

 

「ああ、確かにこの異界の悪魔が私を殺しても私はすぐに蘇生するな。だが、お前も私を()()()んだぞ?」

 

「そんな事をしたら、私が異界の主になって出られなくなるだろうが!」

 

「いや、出られるぞ?」

 

「は?」

 

「勘違いしていたのか? 『異界の主が殺されるか自殺すれば、異界の出口が開く』『主を殺した人間が()()()()()次の主となる』がルールだぞ。私を殺して主にならず、さっさと異界から出れば良いだけだ」

 

「……はえ?」

 

 

本当に勘違いしていたらしいな。

ゲームに参加するにせよ、傍観するにせよルールの把握は基本だろうに。

 

 

「な、ならば貴様は今すぐ自害しろ! この私の為に死ねるのだ! 身に余る光栄だろう!?」

 

「……く、くくくくく……あははははははははは!!」

 

「何が可笑しい!? ええい、さっさと死ね!! 私の命令なのだぞ!?」

 

 

あまりの馬鹿さ加減に笑いが止まらない。何だ? 奴は私を笑い殺すためにこんなのを放置していたのか?*4

決めた。こいつで遊ぼう。

 

 

「あはははははは。ああ、断る。そしてあえて言ってやろう。お前、無能だろう?」

 

「……な、んだと? 無能? この私がか!?」

 

「ああ、無能だとも。利用されている事にすら気付かず、目に映る全てを自分の都合が良い様に勘違いして、挙句、何をするのも他力本願。これを無能と言わずに何と言うんだ? クズか? ゴミか? ああ、これだとクズやゴミに失礼な物言いだったな」

 

「き、き、き、貴様ぁああああああああ!!!???」

 

 

おお、黒い肌が一気に赤くなったな。何色だ、それ?

男は懐から何かの瞳を模したペンダントのような物を取り出しこちらへ向けた。

ふむ、見た目から想像できる効果なら、あえて受けるのも面白そうだ。

 

 

「これは緊縛の秘石!!*5 この瞳に見られた者を動けなくする選ばれし者に許された切り札だ!! 貴様はこの私を侮辱したのだ!! 自由を奪い、精々甚振ってやるぞ!! その生意気な物言いを後悔させてやる!!」

 

 

効果を想像する必要なかったか~~。何でわざわざそんな説明口調で話すんだ?

むしろこの男の言動には感動すら覚える。え? わざとじゃないのか? 

いっそ役者でもやってた方が大成したんじゃないのか? ああ、もちろん小悪党の役に限るが。

 

 

「くらえ!! そして私にひれ伏せ!!」

 

 

ペンダントの瞳が輝き、私へとその効果を発揮するべく収束する。

ああ、結果は見えているだけに男のドヤ顔が笑いを誘うな。

ああ、ダメだ。笑うしかない。

 

 

「あはははははは。 あはははははははは」

 

「え? あ? な……何故えぇええええええええ!!??」

 

 

そこにはものの見事に光の筋に拘束(BIND)されて身動きが取れなくなった男がいた。

いや、だってねぇ?

 

 

「申し訳ないけど、私、神経系反射*6なのよね。仕方ないね。これ(一応)戦闘だし?」

 

「うおおおお!! 解け!! 私を開放しろぉぉぉぉぉおお!!」

 

「さて、と。 自由を奪って、甚振って、物言いを後悔させるんだったな」

 

「あ、え?」

 

 

とりあえず男の真横の空間に威嚇射撃で【エイハ】を打ち込む。

おお、いい具合に地面がえぐれたな。この魔法、実はガオン系じゃない?

 

 

「ひっ!? や、やめ……」

 

 

必要以上に怯える男の横に立ち、そっと頬を撫でてやる。

顎を掴んで耳元に口を寄せ、穏やかな口調で囁いてやる。

 

 

「例えばお前がその昔……幼き頃……捨てられて凍えてる仔犬を助けた事があるとしよう……」

 

「え? ……あ、ある! 私は子供の頃に捨て犬を拾って育ててい───」

 

「でも死ね」

 

「ぷぎょぉぉおおおおおお!!??」

 

 

あからさま過ぎる嘘で命乞いをしようとした男をサッカーボールキックで雑に蹴り飛ばす。

15メートル程ノーバウンドで吹っ飛んで、その後はやたらコミカルに数メートル毎にバウンドしてから、廃墟の瓦礫にぶつかって止まった。

ふむ、30メートルくらい飛んだか?

 

 

「あ、あがぁああああああ!!??」

 

 

良い具合に全身がズタボロになった男がうめく。

見たところ両手足が砕けて、あばら骨の3,4本にヒビでも入ったか?

気絶されたら面白くないから頭部の損傷は避けるように蹴ったが、どうやら大丈夫みたいだな。

 

 

「さて、今からお前を殺すわけだが、何か言い残す事でもあるかな?」

 

「わ、私は教会で権力を持っているんだ!! 私が死ぬはずがない!! 私には栄光に満ちた未来が待っているんだ!! 死ぬなんて想像もした事が無い!! 金だって女だって使い切れないくらいあるんだ!! 残して死ぬなんて嫌だ!! 守護天使様!! お助け下さい、守護天使様ぁあああああああああああああ!!!!」

 

 

言い残す事が多い割に言っている事が似たり寄ったりだな。

さて、遊びの仕上げだ。少しごっこ遊びでもしようか。

 

 

死神()はお前を置いては行かない。

 お前は確かに今は生きているが、今から死ぬ。

 お前が何をしようとも、お前は今から死と踊る。

 お前は偉いんだろうな。教会では高い地位にいたんだろう?

 だがお前は、法衣を、地位を、金銭を、権力を、全てを返上しなければならない。

 お前の生の謳歌は続かない。

 善人も悪人も全ては死んで蛆虫の餌になる」

 

「嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だぁああああああああ!!」

 

 

おいおい、我が儘は良くないな?

それにしても、流石にこいつを引き合いに出すのはどうかと思うが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だな。

あの時(前々世)もそうだった。

どいつもこいつも死と踊ってたんだ。

 

 

「お前は蛆の餌だ」

 

 

【シシリッカ】*7

 

 

私の掌に黒いモヤのようなものが集まり男に吸い寄せられていく。

黒いモヤは男の全身を瞬く前に包み込み、病魔となって侵しつくす。

 

 

「嫌だ! 死にたくない! まだ生きていたい! 死にたくなぃぃいいいいいいいい!!」

 

 

全身のリンパ節が腫れて耐えがたい苦痛が襲い掛かる。

発熱、悪寒、倦怠感で身体が震えて止まらない。

筋肉痛、衰弱などの全身症状も現れ力が入らない。

どす黒い血の混じった嘔吐が止まらず、まともに呼吸もできやしない。

手足の先から黒い斑紋が広がって壊死していく。ああ、身体が()()()()()()()()

 

ああ、懐かしい。

たくさんたくさん見て来たんだ。

こんな風に死んでいく人達を。

 

気が付くと私は踊っていた。

何と言う踊りなのかは知らない。多分ワルツなんじゃないか?

BGMは男の命乞いだ。

ああ、懐かしい。本当に懐かしくて、()()()()()()

 

 

「い……や………たく………………ない……………」

 

 

実にオリジナリティの無い末期の言葉を残し、名前も知らない男はその肌よりも黒いカタマリになって死んだ。

 

 

 

 

 

 

|

 

 

 

「And Then There Were None………そして誰もいなくなった。まぁ、洒落てみたところで聞く者もいないが」

 

 

いや、結構ノリノリで『死の舞踏ごっこ』とかしてみたが、これは癖になるな。

下手すると中二病患者と勘違いされて……勘違いだな、うん。

 

さて、そろそろ現実と向き合うか。

この短時間で2度目だぞ? ペース早過ぎじゃないのか?

 

 

「この黒いモヤ、ひょっとしなくても私を()()()()()()()しているのか?」

 

 

先ほどの【シシリッカ】による黒いモヤと似たような物だが、本質はまるで違うと分かる。

心当たりはある。先ほどのごっこ遊びだ。

 

私は人を殺した。 母親だ。

私は人と悪魔の狭間に居た者を殺した。 父親だ。

私は悪魔を殺した。 天使(アークエンジェル)だ。

私は覚醒者を殺した。 名前も知らない聖職者(俗物)だ。

 

四者四様に出自も属性(アライメント)も違う者達だ。

 

あらゆる出自の者を殺し、死と接し、(黒死病)を振りまいた。

なんなら、ごっこ遊びで演出までしてみせた。

 

儀式として成立するには十分すぎた。

私の()()()()()()()として、それらは今満たされた。

 

黒いモヤは私の肉体を覆いつくし、生体マグネタイトを内側から食い尽くすように肉体を変質させ、この身を死の舞踏(ダンス・マカブル)の体現者たる踊る死神(マカーブル)へと変容させ───

 

 

「勝手な真似をするな」

 

 

───なかった。

 

 

「ふざけるなよ。私に許可なく、勝手に私を作り変えるだと? 認めるわけが無かろう」

 

 

私は私だ。私が勝手に湧いて出た力に従う道理は無い。

私に使われたいなら、私に従え。

私は生きて死と共にありたいんだ。

私が死になってしまっては、()()()()()()()だろうが。

 

 

「ああ、安心しろ。何せ2回目だ。勝手は分かっている」

 

 

全身を覆っていた黒いモヤを掌に集める。ちょっと命令すれば簡単に従った。

身の程を理解したか? なら悪いようにはしない。精々私に使われろ。

 

 

(人間)の霊格はそのままに、もう一人の私(ペルソナ)を纏い肉体とする」

 

 

ここまでが現状。

ああ、ちょうど()()()()()()()んだ。

実に好都合じゃないか。

 

 

「おいで死神。一緒に殺そう(楽しもう)

 

 

黒いモヤは私の生体マグネタイトを食らい、現実へと具現化し、()()()()()()我が身へと纏われる。

ああ、やはり文明人を名乗るなら服は必須だな。

 

漆黒のスーツと赤いネクタイ。

漆黒のロングスカートとブーツ。

案外フォーマルな格好に落ち着いたな。

 

ああ、そう言えば……

 

念じてみれば、ほぼタイムラグ無しに手にはやたらと禍々しいデザインの大鎌が生み出されていた。

そうそう、死神と言えばこれだろう。ビジュアルは大事だ。

 

 

「さて、こうなると必要になるのは私の定義、か」

 

 

名は得た。 母と父と私が名付けた、私に相応しい名だ。

なら姓は? 名が楔ならば、姓は方向性だ。 父から聞いていなかったなぁ……

しかし、今生を死と歩むのであれば、方向性は必要だろう。

 

 

「……特に悩む必要も無い……か」

 

 

私は死を定める者

 

私は死を成す者

 

私は死の情を感ずる者

 

私は死に乗りて歩む者

 

 

これら四つの死を、この死に満ちた四つ筋(交差点)にて束ね、我が()と成そう。

 

 

「四条……私の名は『四条 灯(しじょう ともり)』だ」

 

 

その瞬間、ようやく私は『今世に生れ落ちた』と実感を得た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、筋も通した。ついでに後始末もつけた。

なら、この後はお楽しみだ。しかも、誰にも邪魔はされない。

 

この場に生きている人間は私だけだ。

生きていた他の人間はみんな私が殺したのだから。

 

この異界に湧き出る悪魔は主を殺す為に湧き出てくる。

この異界の主は私だ。

この異界に湧き出る悪魔が私を殺しても、すぐに蘇生されてまた殺される事になる。

つまり、()()()()()()()んだ。

 

異界の特徴として湧き出る悪魔はランダムで、主の強さと周囲のGPに応じて湧き出てくる。

つまり、()()()()()()()()んだ。しかも、多種多様にだ。

 

 

「あはははははははははははははははは」

 

 

改めて状況を整理すると笑いが止まらない。

良いのか、こんなの。

生まれたばかりなのに濡れてしまいそうだ。

何だこれは、私に都合が良すぎるだろう!?

 

異界から出られない? それがどうかしたか?

そんなものは今を飽きるまで楽しんでから悩めば良い。

今はこれからのお楽しみを存分に楽しみたい。堪能したい。

 

 

 

 

 

「さあ───」

 

 

 

 

 

父は人生を明るく楽しめと言った。

ああ、もちろん明るく楽しませてもらうとも。

方向性が違う? 知らんな、これは私の人生だ。私の好きに生きる(死ぬ)さ。

 

何なら()には感謝さえしている。

こんなに素晴らしい贈り物をしてくれるなんてな。

今度会ったら心からの感謝を伝えよう。*8

どんな顔をしてくれるのか、想像するだけで酷く嗤える。

 

 

 

 

 

「───殺したり殺されたり、死んだり死なせたりしようじゃあないか」

 

 

 

 

 

*1
降魔属性魔法。対象1体を即死させる。

*2
N「いや、流石にこんなキモイとは思わなくて」

*3
P1仕様の暗黒魔法。単体に呪怨ダメージを与え、その後に同属性のスリップダメージを与える(対象の種族が天使なら対象の現在HPと同値 つまり即死)。

*4
N「いや、そんなつもりは無くてですね?」

*5
オリジナルアイテム。対象1体にシバブー(BIND)の効果。

*6
ペルソナ アンクウ(P1仕様)の耐性

*7
降魔属性魔法。 対象1体を病気(SICK)状態にする。 今作中では病状は黒死病のそれとする

*8
「N「マジでやめろ下さい。いや、マジで」








お読みいただき、ありがとうございました。


ようやく主人公が名無しから名前を得て、イメージイラスト通りの姿になりました。
これで話を進めやすくなるぞ、やったー。

この主人公、既にチート過ぎねぇ?
出自と環境を最悪レベルにして、稼いだポイントを強さに振りました(TRPG脳


さて、今後に控えているのは

・ニャル視点の舞台裏。 ニャルざまぁ編
・主人公の初めてのお出かけ。 VS 霊視ニキ&探究ネキ&セツニキ 編 

の、2本ですね。
楽しんで頂けるように頑張ります。
……どんだけ主人公をチートにしても、この3人同時に相手とか無理ゲーだろJK







・四条 灯(後の黒死ネキ)
ようやく名前とイメージイラストの姿を得た主人公。
異界のシステムバグでニャルから異界の支配権を簒奪。
ニャル由来の「どんな姿にでもなれる」システムをフル活用して、ペルソナで肉体、シフター要素で外装を構築して現在の姿になる。
つまり、イメージイラストの姿が既に変身済みのデビルシフター&ペルソナ発動中の姿。
なお、ペルソナとデビルシフターとしての性能は据え置き。弱体化とかしません。
ざっくり言うと、本来のデビルシフターが昭和の仮面ライダーで、主人公の変身は平成以降のライダー。
改造人間か変身スーツか、って認識で大きくは間違っていない。
あくまで人間のままである事に拘った結果、道理を自分好みにねじ伏せた。
名付け要素は本人は否定するが中二病。

イメージイラスト(AI注意)
「さぁ、お楽しみの時間だ」

【挿絵表示】



・パパ
実は血を流し過ぎて吸血衝動を抑えるのに理性を総動員してて、もう限界だった。
妻と同じところに行く為に、人間のまま死ぬ事を望む。
娘の為にちゃんと考えて良い名前を付けられたと満足。
なお、娘は殺し殺されが大好きなヤベェ奴の模様。


・司祭
ざまぁ要員。すげぇ書きやすかった。何でや?
実はニャルと接触した時に名前を奪われて傀儡になってた……とか考えてはいたけど、重要じゃないから無かった事になった。
普通に作者が名前を付けなかっただけの狂言回し。


・天使
最後までただの木偶。


・N
「え? 私がざまぁされるなんて、ある訳ないじゃないですか(震え声)」




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