【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~ 作:マカーブル
本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。
誤字脱字の指摘等も、いつも助かっております。
作中の挿絵として画像生成AIによるイメージイラストを表示しております。
AIによる生成画像に不快感を感じる方はご注意下さい。
今話はハロウィン回の5話目です。先に前4話を読後の上でお楽しみください。
逆に考えるんだ。話が長くなるのなら、長くなっちゃっても良いさと考えるんだ。
それだけ書きたいネタがあるんだ。折角のバカ話なんだから、遠慮なく書けば良いと考えるんだ。
だけど、マンネリだけはNGな。
前話のあらすじ
・三馬鹿ラス、車田落ち
「ぽぺっ!?」
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<は? 僕にインタビュー? そもそも君、誰? アポイントも無しでいきなり話しかけて来るとか、失礼だとは思わないの?>
「あれ? おっさんじゃん?」
「次のビデオメッセージって、おっさんからなのか?」
「そう言えばここ最近見ていませんでしたね。元気にしてたんでしょうか?」
ドクターネキに続いて、三馬鹿ラスへのビデオメッセージとして映し出されたのは、自称ではなく周囲からノンデリニキと呼ばれる30代くらいの男性。
本名を日下部光と言い、本霊は日本神の【オオクニヌシ】*1の黒札である。
他称通りノンデリカシーな人物で、思った事をそのまま口にし聞かれたくない事も平気で話題に出す為、多くの関係者にも煙たがられている。
<目上に対する言葉遣いも知らないのかい? 人間関係をきちんと築く事が出来ないと、最終的には孤立する事になるんだよ? 君みたいな若い奴は自分の考えが全て正しいと思っているんだろうけど、そう言う傲慢さは周りに全く良い影響を与えない。周りの意見も聞かない、聞く耳を持たないじゃ、どれだけ優秀でも意味がないんだよ。君、少しは謙虚になった方が良いよ。鏡を見てみなよ、すごく傲慢で不快な顔が映るからさ。その顔がどれだけ他人を不快に思わせるのか分かってるの? 勘違いした自分らしさとやらで、周りを傷つけるなんて、賢い選択とはとても言えないね。まぁ、君はまだ若い……いや、幼いんだ。これからは人間性も磨いて行かないでやっていけるほど、社会は甘く無いんだから、少しは立ち止まって目上の者の意見も聞き入れる事だね>
「おっさん、相変わらず話なげ~よな。何が言いたいのか全然分からねーし」
「回りくどい言い方しないと恥ずかしくて声もかけられないのは変わってねぇなぁ」
「いい歳したシャイなおっさんが、若者に声を掛けるのは凄く勇気が要るものですからねぇ」
完全にノンデリニキの事を自分たちの同類の同類、かつ、自分たちの方がちょっぴり格上だと思っている少しの優しさ&哀れみを含んだ口調でコメントする三馬鹿ラス。
司会の三人は、ノンデリニキ本人が聞いたら奇声をあげて暴れまわるであろう言葉に、声を押し殺して笑っていた。
と、ここでビデオメッセージの映像が早送りとなり、映像中のノンデリニキの口元は高速で動くも音声は聞き取れないレベルとなった。
「って、あれ?」
「ああ、この後も特に意味の無い戯言を垂れ流していたからな。キリが良い所まで早送りさせてもらうぞ」
「「「あっ、はい」」」
そして、50倍速の早送りで更に約10秒ほどが経過したところで、早送りが終了する。
その間、画面から判別出来た限りではノンデリニキの口元はずっと動いているように見えた。
つまり、実際のノンデリニキは10分間近く話続けていた事になる。
<……それで、結局君は誰なんだい? 名乗りもせずにいきなり話しかける無礼者なんだし、どうせ無名なんだろうけど、一応、礼儀として聞いておいてあげるよ>
<……は? 言うに事欠いて、そんな嘘を吐くのかい? 恥知らずにも程があるね。親の顔が見てみたいよ。良いかい? 君が口にした名前は……>
<うちのマスターがすみませーーーーんっ!!>
ノンデリニキがそこまで口を開いた所で、後方から騎士の姿をした彼の式神らしき女性が走り寄って来ると、走って来たその勢いのままノンデリニキを殴り飛ばした。
「うおお、何か知らんが、いきなり見事なカラテの披露が!?」
「腰の入った良いパンチだ!! ……ってか、滅茶苦茶慣れた動きっぽくねぇ?」
「彼女、おっさんの式神ですよね? 何でいきなり?」
<うちのマスターが大変失礼な真似を!! 誠に申し訳ありませんでした!! 事前にご連絡いただいていたにも関わらず、マスターに伝える前にふらっと外出されてしまい……こんな事になるなんて、私の管理不行き届きでした!! こんなマスターですが、どうか命だけは……!!>
画面にはノンデリニキの式神である
その態度は誠実そのものであり、見る者に不要な罪悪感を与える事も無い、見事な所作でもあった。
しかし───
<え? 手遅れ? 既に殺してる? 普通にインタビューしようと思っていたけど、埒が明かないから魂だけ持って行く!?>
───彼女が殴りかかる直前に、ノンデリニキはインタビュアーである黒死ネキに
<…………ちょ!? ま、待って下さい!! マスターが一から十まで悪いのは分かりますが、あんなのでも私のマスターなんです!! どうか、どうかお慈悲を!!>
<……あ、はい。分かりました。では、こっちの肉体は私が回収しますので。魂を滅さないで保全していただけると言う事でしたら、はい……>
そして、ノンデリニキの
「何でよりによって……」と、やるせない想いを抱えながら……
「で、持ってきたノンデリニキの魂が
「「「ちょっ!!??」」」
そう言った黒死ネキの手に握られているのは、一言で言えば『漫画の人魂』だ。
ゆらゆらと尾を引く白い霊魂は、水から引き揚げられた魚がビチビチと跳ねようとしているかの様に黒死ネキの手から逃れようとしてた。
「え? その白いエビ天みたいなのが、おっさんの魂?」
「めっちゃビチビチ跳ねてんだけど!?」
「あ、あの……ビデオメッセージだとインタビューは出来ていなかったようなのですが、おっさんの魂がそこにあると言う事は……」
「ご名答だぞ。こいつには、この場でお前たちへの『不満』を語って貰う事になるな。……と言うか、最初は普通にインタビューしようと思ったのだがなぁ? 何気に私はこいつの戯言は初体験だったから、しばらく観察してみたが……内容がループし始めたあたりで飽きたから殺して魂だけ持ってきた。戯言の内容的に、こいつの主観がどうあれ〝私にケンカを売った〟は成立していたしな」
「「「うわぁ……」」」
黒死ネキにケンカを売った。
余りにも自分の命を投げ捨てた行為に、三馬鹿ラスは恐れと呆れと憐憫の籠った視線を
自分たちは馬鹿だが、そんなデスノボリ*2を立てるほど馬鹿じゃ無いぞ?*3 やっぱこのおっさんは遠慮して生きて行かないとダメなんだな!!
そんな三馬鹿ラスの視線を受け、心なしかビチビチが激しくなったような気がする。
気がするだけだが。
「あれ? そう言えば、人魂の状態で言葉って話せんの?」
「どうなんだろ? 黒死ネキが「語らせる」って言ったんだし、出来るんじゃねーの?」
「その場合の問題は、またおっさんの悪い癖で無駄に長い『語り』にならないかと言う事ですかねぇ?」
「ああ、その心配は無いぞ。ちゃんと
そう言って、黒死ネキは自身の【魔装術】と【変化】により姿を変える。
その姿は───
青味のかかった銀髪のウェーブショートヘア。
琥珀色の大きな瞳。
大きなボタンのついたPコート状の黒いシャツ。
何よりも特徴的な、猫の耳と尻尾。
「「「アイエエエ!? ネフェルピトー!? ネフェルピトー、ナンデ!?」」」
───前世の人気漫画『HUNTER×HUNTER』の登場キャラである、ネフェルピトー*4のものだった。
「ボクもカス子ほど器用に魂をいじくれる訳じゃ無いけど、得意分野なのは変わりないからニャ~」
そう言って手中の人魂をツンツンと弄ぶ
そして、一通り楽しんだ次の瞬間には、その手中に
「「「まさかの
ネフェルピトーと言うキャラクター、「語らせる」と言う言葉、『原作』での描写。
それらを合わせて導かれる
「さて、それじゃあ、キミたちには
後に三馬鹿ラスは語った。「勝手に口が動いた」と。
「あ~、その……おっさんの魂なんですけど……」
「確かにおっさんは馬鹿だし、ボッチの寂しがりだし、若者に話しかけるのに照れ隠しで無駄に回りくどく話さないと声もかけられないシャイな奴だけど……」
「世の中全員が美人ばかりだと気持ち悪いし、賢い人ばかりだとつまらない思うんですよ。おっさんは馬鹿にカテゴライズされる人ですが、それを自覚しきれずに、きっと友達が欲しかっただけなんです……」
普段の彼らであれば、〝黒死ネキの言葉を遮って自己主張をする〟等と言う自殺行為をしようなどと思わないし、やってる奴が居れば全力で止めるだろう。もちろん、心の中だけで。
にも関わらず、今は〝勝手に口が動いていた〟。
「確かに、おっさんは偶に見かけた時は頑張って若い奴に話しかけててなんか必死だし、もっと遠慮して生きて行った方が良いと思うし、ちょっとKYなところも多いけど……」
「それでも、「ここまでされる謂れは無い」ってヤツだと思うって言うか何て言うか……」
「おっさんは可哀想な人なんですよ。だから、その、上手く言えないのですが……」
「「「どうかお慈悲を!!!」」」
馬鹿でも不細工でも、ボッチでも寂しがり屋でも、シャイでも可哀想でも……
それでも生きていたって良いじゃないか!!
「「「人間だもの!!」」」
数秒の時が流れた。
三馬鹿ラスは思った。 「「「言ってしまった」」」と。 「「「やってしまった」」」と。
よりによって、この三人の仕切りに割って入り、撮影契約に反するような内容を懇願してしまった。
自分たちがどんな制裁を受けるのかと想像すると、身体の震えが止まらない。
だが、後悔は無い。自分たちは
それはそれとして、この数秒の沈黙が怖いのに変わりは無く、緊張のあまり見る事が出来ていなかった舞台の三人の様子をそっと伺う。
するとそこには───
クシャミをする寸前で我慢している猫の様な表情の
口元を真一文字に結び、真顔で拳を握りしめている
後ろを向いて震えながら舞台の壁を殴りつけている
───そんな、三者三様の麗人たちがいた。
嗚呼、やはり彼女たちは自分たちの暴挙に怒り心頭なのか!?
あれほどのスゴイ・シツレイの落とし前は、やはりセプクしかないのか!?
そんなアトモスフィアの中、沈黙を続けていた探求ネキが口を開いた。
舞台上の三人の中で、一番最初に
普段から表情豊かでゲラの二人と比べて、
「貴方たちの希望は分かりました。ですが、それでは景品は───」
ここだ!! このタイミングを逃しては、自分たちに未来は無い!!
「もちろん、タダでなんて虫の良い事は考えていません!!」
「俺らの手持ちで御三方に納得していただける物とか、正直これしかありませんが!!」
「さっきの今で誠に恐縮ではありますが!!」
「「「景品の交換権で、おっさんを開放してやって下さい!! オナシャス!!」」」
ゴウランガ!! 何と美しいユウジョウか!!
ぶっちゃけ、ノンデリニキ100人分よりも遥かに価値のある代物を、今回の企画の豪華景品の交換権を手放すと言うのか!!
もちろん───
「(……って、三人が思ってくれれば、助かる可能性がちょっとでも上がる筈)」
「(正直、その場のノリで口にしちまった失言の埋め合わせには痛すぎるけどな)」
「(命あっての物種です。上手い事美談に仕立て上げて、この場を乗り切らないと)」
「(……って、思ってそうですねぇ)」
「(まったく……あいつららしいと言うか、何と言うか)」
「(コレで
───そんな三文演技で誤魔化せるほど、舞台の三人は甘く無いのだが。
「ニャハハハハハ、良いよ~。キミたちの心意気に免じて、コレは【
「「「マジっすか!?」」」
「うん、だってそっちの方が面白くなりそうだし」
「「「あっ、はい」」」
「それじゃあ、始めようか。【
その宣言と共に
その異形の両の五指は物騒なデザインの手術器具で構成されており、両開きになった腹部からも、同様に無数の手術器具が飛び出している。
漫画だからこそ、どこかコミカルな描写で済んでいたが、リアルで見るとグロテスクさが増し増しになっており、直視するのは正直キツイ。
この【
と言うか、そもそもメガテン仕様の回復魔法や蘇生魔法の方が『原作』の【
そして【
なお、衣服はサービスだ。と言うか、全裸で蘇生させちゃうと編集作業で一部にモザイク入れるのが面倒だし。
「おお、おっさんが白いエビ天からちゃんとした人間に!!」
「良かったな、おっさん!! 今度からはちゃんと相手を選ぼうぜ?」
「もっと謙虚に生きるんですよ? いくらシャイな寂しがり屋のお馬鹿さんでも、遠慮ってものを学ばないと人生苦労しますよ?」
「──────っ!!!! ■■■■■■■■■──────ッ!!!!」
脳天気な三馬鹿ラスの言葉に、ノンデリニキの表情は筆舌に尽くしがたい物となっている。
怒り、憂鬱、羞恥、不本意、恐怖、焦燥、屈辱、混乱、etc……
本来なら百万弁の言葉でこいつらをワカラセたい。
自分たちがどれだけ馬鹿なんかを
しかし、認めがたい事に邪知暴虐たる
故に、ノンデリニキのとった行動は───
「──────っ、僕はコレで失礼するよ!!」
───それ以上何も口にする事無く、この場から去る事だった。
「今更だが黒死ネキ? ノンデリニキの魂をここまで持って来るに当たって、単に殺しただけでは、あいつの式神の『主人の魂の保護機能』に抵触するはずだよな?
スタジオのホールからツカツカと歩調も荒く立ち去って行くノンデリニキを横目に、幼女ネキは黒死ネキへと疑問を口にする。
そして、その疑問に解答を示すのは探求ネキだ。
「それは単純ですね。黒死ネキによる魂の保全が完璧で、当の
「「「え?」」」
あれ? 俺らの美談的な行動って、実は必要無かった?
じわじわとそんな不安に駆られる三馬鹿ラスを横目に、黒死ネキは何でもないかのような口調で真相を明らかにする。
「そうだよ。あいつ無駄な戯言ばっかり垂れ流すから、必要な事だけ喋らせるつもりだったってだけだし。そう言えば、探求ネキもさっきこいつらに言いかけてたのって、「ここでノンデリニキを開放しちゃったら、景品ゲットの挑戦権も放棄になるけど良いの?」って事で良いよニャ? 別に開放するだけなら対価とか要らなかったし」
「ですね。予想出来なかった訳ではありませんが、本当に言い出したのは少し驚きました」
「「「はぁ!?」」」
あれ? 俺らの美談的な行動って、マジで必要無かった?
もはや確信となりつつある焦燥に駆られ、互いに顔を見合わす三馬鹿ラス。
つまり、何だ? 自分たちは……
「要するに、こいつらは黒死ネキや探求ネキの話を聞かずに、勇み足で別に助ける必要の無かったノンデリニキの命乞いをして、手放す必要の無かった景品の交換権を手放してしまった、と?」
「そうなるニャ~」
「「「う、うわぁあああああああああーーーー!!??」」」
幼女ネキの語る結論と、あっさりと肯定した黒死ネキの言葉に、AIBOを失った某ATM*8の如き絶叫を上げる三馬鹿ラス。
何故だ!!
一体誰のせいでこうなったと言うのか!?
「元はと言えば、ヨロイニキが勢い込んで交換権の事を引き合いに出したせいじゃねぇか!?」
「元はと言えば、クロマニキがその場のノリで交換権を手放すって言ったせいじゃねーか!?」
「元はと言えば、サスケニキがおっさんを無意味に助けようとしたせいじゃないんですか!?」
「「「あ゛ァ!?」」」
そして始まる、いつもの醜くも愉快な責任転嫁と大乱闘スマッシュ討論。
いつもの如く、各々からすれば「自分は悪くない」と「悪いのは馬鹿なこいつら」なのはデフォルトであり、「ワカラセなければならぬ、人間だもの!!」と、己の正義を証明する聖戦を繰り広げるのであった。
「まぁ、一番悪いのは全部分かった上で「面白そうだから」でこうなるように仕向けた黒死ネキなんだが……聞こえてないか」
幼女ネキの客観的な意見も、届くはずも無し。
そんな馬鹿どもを尻目に、探求ネキは更に黒死ネキへの確認と疑問を口にする。
「ところで、先程解放すると言いましたが、単に【
「ニャハハハハハ、やっぱりこの程度の【隠蔽】じゃ探求ネキには見破られるか~。ん~、でも幼女ネキでも
「───む、また何か仕込んでいたのか? 確かに私は見抜けなかったが、精度を落とす? 見破られる事を前提に、ほどほどの難易度にしたいとでも?」
「そうだよ。だってこれ
「「うわぁ……」」
その言葉だけで、黒死ネキの言う【
メインカメラには映らない角度に設置されている、全体把握用の各種モニターに目をやると、この場から立ち去ったノンデリニキは、丁度
「じゃ、良いタイミングだし【
「間違いなくアドリブ100%のくせして、こうも自分の都合の良いように持って行く手腕はどうなんだろうなぁ?」
「別に反対はしませんが、乗った方が間違いなく「その方が面白い」と言うのが質悪いですよねぇ。黒死ネキらしいと言えばらしいのですが」
「何かボクの評価が微妙な件」
「「残当」」
「え~~~?」
そんなじゃれ合いをしつつ、三人の麗人たちは討論()を続ける三馬鹿ラスを尻目に舞台中央へと集まる。
そして、各々が右手をグッドサインの形にし、親指どうしを接触させ───
「「「【
───特に躊躇する事も無く、ノンデリニキを
「くそっ!! 何で僕がこんな目に合わないといけないんだ!! 大体、非常識にも程があるじゃないか。ちょっと至らない所を指摘しただけで逆切れして暴力を振るうだなんて、育ちが知れるとはこの事だ。最初に名乗らないのも悪いけど、一番悪いのはアポ無しの騙し討ちじゃないか*9。本当に黒死ネキ本人だって分かってたら、僕だって相応に対応したさ。それはそれとして、彼女が礼儀知らずだって事に変わりはないけどね。そもそも、あいつらも目上を立てると言う事を知らないなんて信じられないね。何なんだ、あの馴れ馴れしさは!? 僕の方が年長で、先輩で、レベルだって倍は上なんだぞ!! 折角自分たちの馬鹿さ加減を理解させてあげようとしているのに、毎回毎回あの態度で!! 今回だってそうだ。自分たちが救いようの無い馬鹿だって事が理解できて───」
延々と愚痴を垂れ流しながらスタジオの廊下を早足で歩くノンデリニキ。
先ほどまで三馬鹿ラスが過ごしていた
「え?」
思考が一瞬停止する。
予想出来る筈が無い物が唐突に目の前に現れ、それが何であるのか理解するまでにかかった時間はほんの一瞬。
今回は相手が悪すぎただけで、ノンデリニキとてレベル50に迫る、ガイア連合の覚醒者の中でも上澄みに位置する実力者なのだ。一応。
仮にコレが異界での突発的なトラップだったとしても、隙を突かれる事無く対処可能な実力は身に着けている。一応。
重ね重ね言うが、
「は?」
最初の変化は腹だった。
唐突に響き渡った謎の音声に反応する間もなく、突如としてノンデリニキの腹が痛みも無くフグの様に膨れ上がった。
突然の事に思考が停止し、混乱へと移り変わるまでの刹那に、更なる変化が彼を襲う。
次の変化は背中だ。
膨れ上がった腹の中身の全てを吐き出さんばかりの勢いで、背中から色とりどりの火花が散り、直後にはロケットの噴射を思わせるほどの極彩色の火柱があがる。横方向に。
その勢いに耐える事など出来ずに、ノンデリニキの身体はネズミ花火の如く回転しながら、スタジオの廊下を縦横無尽に飛び回る事となる。
ランダムに見えてその実誘導された軌跡を描き、ノンデリニキは回転速度を増してとある地点へと突っ込んで行く。
そう、砕けたカボチャにまみれた惨殺死体へと。
「ぽぺっ!?」*10
文字通り、狙いすましたかの様に両者は激突し、極彩色の花火となって四肢を四散させ、その四散した四肢も指趾の先まで灰も残さず木端微塵に消し飛ぶ事となった。
後に残るは花火の名残の火薬の香りと煙のみ。
それすらも数秒の後に虚空へと消えゆくのは間違いない。
あれほどの大爆発だと言うのに、廊下自体には傷一つ着いていない、まさに匠の技であった。
こうして、名も無きモブとノンデリニキは、撮影スタジオの廊下から文字通り姿を消す事となったのである。
【
人気漫画『HUNTER×HUNTER』に登場する
『原作』においては、この能力を発動させる為には満たさなければならない条件が多々存在する*11が、それらが制約となり爆弾の威力を向上させていた。
今回黒死ネキが用いたのは、正確には【バイツァ・ダスト】*12を改変した術式であり、効果の程は御覧の通りだ。
別に黒死ネキ単独でも起爆出来るのだが、そこは現在の姿が
探求ネキと幼女ネキが呆れつつも乗ったのは、その方が映像映えすると理解したが故だ。
イカボット*13したモブとノンデリニキの扱い?
声を掛けただけなのに振り向きざまに斬りかかってきた奴と、声を掛けただけなのに延々とディスり続けてきた奴の扱いとか気にする必要ある?
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「「「汚い花火だなぁ」」」
それが麗人たちの率直な感想だった。
「黒死ネキ、あれは流石に色を混ぜすぎだろう? 派手過ぎて逆に見た目が悪くなっているぞ」
「そうですね。これが屋外なら拡散した色味に調和が生まれるかもしれませんが、今回は範囲が狭すぎましたね」
「だな。やはり即興で術式を改変しても、そう上手くいくものでは無かったか」
これが、仮にも人間一人を花火に作り替えて起爆させた者たちの会話である。
実行犯は実質一人ではあるが、共犯者たちも特に罪悪感など感じては居なかった。残当。
黒死ネキもネフェルピトーの姿から、先ほどまでのデビルチルドレンのデュラハンの物へと戻っている。
「……で、これでノンデリニキと……誰だか知らんが、あのカボチャまみれの奴の魂は、黒死ネキの管理下から解放されたと言う事で良いのか?」
「そうなるな。ノンデリニキは元から
「カボチャの奴は?」
「あいつにも式神は居るみたいだから、ノンデリニキと同じくで構わんだろう」
「……一応、【千里眼】で確認しました。問題無く式神の元に辿り着いたみたいですね。彼の式神もギリギリ【
「良し、これで後片付けの手間も省けたな。では、次に───」
さっきから醜くも愉快な責任転嫁と大乱闘スマッシュ討論を繰り広げていた三馬鹿ラス。
十分にオモシロ映像も撮れたし、そろそろ現実に引き戻して……と、思った矢先に、当の三馬鹿ラスたちから響き渡る激突音。
何が起きた? と目をやれば───
サスケニキの延髄蹴りが、ヨロイニキの首筋にジャストミートしており、
ヨロイニキの横肘打ちが、クロマニキの横っ面にめり込んでおり、
クロマニキの正拳突きが、ヨロイニキのミゾオチに突き刺さっている。
───そんな、実に絶妙なバランスの組体操が完成していた。
「……んー、こいつらの身体能力の差を考えると、こうもバランス良く相打ちになるか?」
「……恐らくですが、最初にサスケニキの蹴りがヨロイニキに命中し、結果としてヨロイニキの肘打ちの威力が減衰した事で、身体能力で劣るクロマニキでも耐えられる形になり、逆に蹴りを放って無防備になったサスケニキは、本来なら耐えられたクロマニキの拳で通常以上のダメージを負う事になった。こんな所でしょうか?」
「順番的には、最初にサスケニキの蹴りがヨロイニキに当たり、次の瞬間にクロマニキの拳がサスケニキに当たり、最後にヨロイニキの肘がクロマニキに当たった、と言ったところか。あははははは、凄いな、これ。三人の肉体強度と受けたダメージの比率が、計ったかのようにピッタリ同じだぞ? 狙ってやれと言われても出来ないだろ、こんなの」
同じ事をやって見ろと言われても、自分たちでも即興では無理だ。何度か試す必要があるだろう。
間違いなく単なる偶然であるにも関わらず、無駄に高度な相打ち芸を披露する三馬鹿ラスに、「こいつら本当にコレで
そして───
「あ、あの~~~、皆さん、ちょっと良いでせうか?」
「何か、変な具合に絡まっちゃったみたいで、動けなくて……」
「お手数ですが、解いていただけると、ありがたいと言うか何というか……」
───そんな三馬鹿ラスの言葉を受け、麗人たちは顔を見合わせ、ほぼ同時に肩をすくめて苦笑する。
本当に、どこまでも笑いの神と運命に愛されまくっている連中だ。
なら、こちらもボケには相応のツッコミを持って対応しなければ無粋と言うものだろう。
「「「ぽぺっ!?」」」
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・対象者に【
この二つの条件を順不同でも良いので満たすと、対象者に触れた個所に念で作られた爆弾が具現化し、対象者の心拍数と連動した6000回のカウントダウンが終了すると大爆発を起こす。
解除するには術者に触れながら「
お読みいただき、ありがとうございます。
はい、ノンデリニキ相手に、まともにインタビューが成立する訳なかったと言う話ですねぇ。
扱いが酷過ぎる? 言うて、本人に自覚が無かろうが〝黒死ネキにケンカを売った〟が成立しちゃってますし、特に痛みも無く2回殺されただけだし、軽い軽い(ォ
何と言うか、三馬鹿ラスには『ノンデリニキはシャイな恥ずかしがり屋で馬鹿なおっさん』と思い込んだままでいて欲しいと言うか?w
だってそっちの方が、ノンデリニキの被害が拡大してくれるし(ォ
さて、今話で本作は連載通算60話、総文字数50万字を突破しました。
飽きっぽい私が、良くこれだけ続けられるものだなぁと思う今日この頃。
それだけカオ転三次が魅力的で、シェアワールド作品の一員になれているのが楽しいのだと実感しております。
年内にもう一話くらい更新して、流石にハロウィン回の〆にしたいと思う今日この頃w
それではコンゴトモヨロシク。
・黒死ネキ(アドリブ上手)
「こっちの方が面白くなる」の判断が異様に達者。ただし、頭に「自分にとって」と言う文字が付く。
周囲の者にとっても、その方が良い結果になるように持って行くのが余計に質が悪いと認識されている。「良い事じゃん」「そういうとこやぞ」「解せぬ」残当。
当初はノンデリニキの魂でピトーごっこをするつもりだったが、三馬鹿ラスの(必要無かった)嘆願を受けて、急遽
好き勝手に遊ぶが、結果も出すし後片付けもちゃんとやる系のクソガキ。
・探求ネキ(解説上手)
自分から悪ふざけはあまりしないが、他人のソレに乗りはする。忘れちゃいないだろうけど、この人も『俺ら』だよ?
どれだけ難解な行動をしようと、探求ネキが傍に居れば解説してくれるゾ!! 実績って大事!!
普段からのイメージ戦略の甲斐もあり、澄まし顔の維持は完璧だ。内心は普通に大笑いだけど。
特に無理して進行しなくても、ほぼ勝手に話が進むので割と楽出来ている。
それはそれとして、存在感は確保できる美味しいポジション。
・幼女ネキ(ツッコミ上手)
普段はどちらかと言えばツッコミを受ける側だが、今回の参加者はツッコミどころしかない連中の為、必然的にツッコミの側に。
価値観がヤ〇ザで超フッ軽の人間ICBMにして、深い情の持ち主。
今回の三馬鹿ラスの感動的()な嘆願で腹筋がヤバい。
理不尽制裁役として登場したのに、勝手にシチュの方が理不尽になって行く不具合。
・三馬鹿ラス(内心:俺カッケェ!!)
酷い目に遭いそうな同類()の為に、勝手に口が動いていた。
別にヒーローになるつもりは無いし、そんな身の程知らずでもない。けど勝手に行動していた。
「必要無かった」を他責はするが、全部終わった後に後悔とかはしていない。
何をやっても笑いに繋がる、別の意味での運命愛され勢。
さて、次のゲストは三馬鹿ラスにとって気まずい相手だゾw
・ノンデリニキ(自業自得)
そりゃこうなるw 式神の盾羽の苦労が忍ばれる。
こんなんでもレベル50に迫るくらいには有能。作中でも言っているが相手が悪すぎた。
登場と同時に自業自得ポイントを勝手に積み重ねてくれるから、どんだけゾンザイに扱っても「ざまぁ」扱いになると言う、ある種奇跡のキャラ。
・モブボット(後片付け済み)
これにて、ディレクターズカット版が販売されるまでの間は『デュラハンにジャック・オー・ランタンを投げつけられて(引き籠りになったから)生死不明』が成立。
伝承再現って9割がた作者によるこじつけなんやなってw