【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~ 作:マカーブル
本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。
誤字脱字の指摘等も、いつも助かっております。
作中の挿絵として画像生成AIによるイメージイラストを表示しております。
AIによる生成画像に不快感を感じる方はご注意下さい。
明けましておめでとうございました(震え声
うん、作者の住んでる地域は、鏡開きはまだだからセーフ。まだ正月だからきっとセーフ。
前年度中に完結出来なかったのは無念。デスマには勝てなかったよ……
過去一投稿に間が空いてしまい、申し訳ありません。
いつの間にか本作を投稿し始めて1年が経過しました。
飽きっぽくて根気も無い私が良く続けられたものだとしみじみ。
ペースは遅くても、キッチリ完結まで歩き続けようと思いますので、今後とも本作をお楽しみいただければ幸いです。
今話はハロウィン回の7話目です。先に前6話を読後の上でお楽しみください。
案の定、また続きました。
とは言え、流石に次回こそは完結まで持って行けるはず。
前話のあらすじ
・三馬鹿ラス、天丼
その後も三馬鹿ラスの試練は続いた。
時に優しさに触れ……
<正直、『不満』が無いとは言いません。子供たちへの接し方とか……その、もう少し考えていただきたいと思う事はあります。ですが、それ以上に皆様には感謝していると言うのが私たちの総意ですから>
「「「シスター桜子*1……」」」
時に指導を委託され……
<それはそれとして、汝らが『悪ガキ』である事は修正されておらぬようだな!!>
<そ、その!! いくら黒札様でも真昼間で公共施設の中ではエッチなのはダメ!! 禁止!!>
<然り!! これはビデオメッセージであるが故、指導の代理は現地の者に任せるぞ!!>
「「「アイエエエ!? メルキセデク*2と下江コハルさん*3!? メルキセデクと下江コハルさんナンデ!?」」」
「と言う訳で、報酬のフレンチトーストは既に貰っているからな。遠慮なく行くぞ~」
「「「ぎょえーーーーっっ!!!」」」
時に絶望と対面し……
<よう、童貞節全開な方の三羽烏の三馬鹿ラス。次はあたしだ>
「「「げぇっ、カス子ネキ*4!?」」」
<この企画、あたしのお前らへの『不満』をお前らが当てられるかって趣向なんだろ? 当てられると良いなぁ、おい?>
「「「もうダメだぁ……おしまいだぁ……」」」
時に手にした成果を手放したり……
「「「交換権でビンタ回避オナシャス!!」」」
「まぁ、そう言う使い方も想定してはいたが、勿体なくないか?」
「いや、そうは言ってもジッサイ恐いし!!」
「命あっての物種!! いや、マジで!!」
「痛みを感じる暇が無くても、自分が車田飛びしてる自覚はあるんですよ!?」
「ああ、お前たちのリアクションを引き出す為に、そうなるように加減してるからな」
「「「スゴイ技量の無駄遣い!!」」」
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「さて、それではここで特別ゲストに来ていただこうと思います」
「ゲスト?」
「ああ、ぶっちゃけるとこの『禊』は次で最後でな。その前に一息つく為にゲストを呼んである」
「ああ、説得に成功したのか。……いや、良く説得出来たな? 正直、流石に無理だと思っていたんだが?」
「最初は渋られたが、終わり良ければ全て良しだな。さて、探求ネキ」
「ええ。それでは、どうぞ」
その探求ネキの言葉と共に、突如としてホールに響き渡る重厚なサウンド。
曲名は『Los! Los! Los!』。
前世におけるライトノベル『幼女戦記』がアニメ化された際のEDテーマであり、同時にキャラクターソングでもある。
戦場の過酷な現実と冷酷な指揮を重厚なサウンドに乗せて表現した人気曲として知られている。
三馬鹿ラスは他の多くの黒札たちの例に漏れず、前世において多くの漫画やゲーム、アニメや映画と言った娯楽に触れて来た者たちであり、当然の様にこの曲の事も知っていた。
イントロが流れた瞬間に「あ、この曲は」と前世を思い出し、ガイア連合全体で見れば何気に上位三割くらいには食い込むであろう覚醒者としてのレベルの高さ*5から、イントロから歌詞へと繋がる僅か数秒の間に「何の曲か」までを把握してみせる。
こうなると、ヒトの脳は「歌い出しの歌詞は……」と勝手に予想し心構えをするもので、むしろ完全な初見の際よりも突発的な出来事への対応力は低くなるものである。
すなわち───
───ドンドコ ドドドコ ドドドコドン!! ドドドン ドドドン ドドドンドン!!───
───ドドドコ ドドドコ ドドドコドン!! ドコドコ ドコドコ ドドドンドン!!───
「「「ぶふぅううううぅぅーーーーーー!!!」」」
───予想外な『笑いの刺客』に対し無防備になるのである。
かつて、三馬鹿ラスは、とある支部の孤児院兼託児所にて子供たちの世話を引き受け、その精神年齢の近さから打ち解けつつ一緒に遊んで過ごした事があった。
その際、子供たちから「お世話内なっている黒札のお姉ちゃんに感謝の気持ちを伝えたい。そんな歌やダンスは無いだろうか?」と言った趣旨のお願いを受け、とあるダンスを提案したのである。
結果、かつてネットミームにもなった「〇〇ちゃんを称えよ」と言う、『頭のおかし奴とその部下による謎儀式』を源流としたネタ*6に走ったのである。
子供たちがお姉ちゃんを乗せた神輿を担ぎ、お姉ちゃんを称え、三馬鹿ラスはその後ろで真剣にドラム缶を叩く。
そんな微笑ましい光景は、きっちり録画されて関係者各位に配布され、色んな意味で愛でられている。
そして、今流れているBGMは、そんなドラム缶を叩くドンドコと言う音を切り抜き編集して、無駄に精密に、無駄にリズミカルに、無駄に壮大で、無駄に重厚なサウンドとして、いつの間にかホールのスクリーンに投影された無駄に美麗な当時のワッショイ映像と共に三馬鹿ラスへと突き付けられたのである。
映像に映るコミカルで可愛らしく、勇ましくも笑いを誘うその姿と、ミスマッチしているようで何故か完璧な一致を見せる、歌詞と音程とドンドコ音の切り抜き編集。
それらは三馬鹿ラスの笑いのツボを直撃し、その口から大音量の笑い声を生産していく。
そして、三馬鹿ラスへの『笑いの刺客』は、この
舞台の中央の床が大きく開き、奈落*7から迫り*8によって上昇してきたのは、今回の特別ゲストである一人の女性。
「ぶははははは!! ……え? 誰? 緑色の軍服の金髪ロリ?」
「ぬははははは!! ……っと、何か顔を掌で隠してぷるぷる震えてんだけど?」
「うははははは!! ……えーと、ひょっとして『幼女戦記』のデグさんですか?*9」
そんな三馬鹿ラスの笑い声混じりの声を受け、顔どころか耳や手といった見えている肌、その全てが真っ赤っ赤になってぷるぷる震えていた女性は、意を決したようにその顔を上げる。
そして、世界の残酷さ、理不尽さへの怒りと嘆き、何よりも耐えがたい羞恥心を言葉に乗せて、大声で絶叫する。
「
その結果───
「「「ぶふぅううううぅぅーーーーーー!!!」」」
───笑い声の収穫、第二弾。
さらに───
〚サスケニキ、ヨロイニキ、クロマニキ、アウト~~~!!〛
「「「ぶはははははは!! ……って、ちょっ!!??」」」
───告げられる収穫宣言。
「あはははははは。楽しんでいただけたようで何より。では、チャイカ、収穫しろ」
「
「「「え!!??」」」
黒死ネキの制裁宣言を受け、彼女の式神であるチャイカがその【隠蔽】*11を解除し、〝シュタっ〟と言う擬音と共に三馬鹿ラスの背後へと降り立つ。
その首には「私もゲスト」と書かれたプラカードがぶら下がっている。
そして、三馬鹿ラスが振り返る間もなく───
「【死が奏であう劇場】」*12
……からの───
「【獣の眼光】【ラスタキャンディ】【ラスタキャンディ】
【獣の眼光】【ラスタキャンディ】 ───顕れよ!! 〈
【獣の眼光】【ランダマイザ】【ランダマイザ】
【獣の眼光】【ランダマイザ】【会心の覇気】*14
「「「キドレイジ!!??」」」*18
───
神等去出とは旧暦の10月である神無月に、出雲大社に集った八百万の神々が、それぞれの国へ帰る為に出雲大社から出立する様を見送る神事にして祭事である。
【神等去出八百万撃】とはそんな神事の名を冠し、去り出た数多の神々の如き力で攻撃するスキルであり、同じ10月の祭事と言う事で、ハロウィンに掛けたネタとしてこの場で披露する事となったのであった。
そんなチャイカの一撃を受け、三馬鹿ラスは木端微塵に爆発四散……する事無く、【手加減】の効果もありHP1の状態をキープしたままその場で悶絶する。
本来ならば遥か彼方へ吹っ飛ばされて然るべき一撃ではあるのだが、吹っ飛ばされる事無くその場に留まり、HP1ではあれど瀕死でも気絶状態でも無くしっかりと意識はあり、百回以上は即死出来るダメージも、体感は『当人が正気を失わずに耐えられる限界ギリギリの強烈なツッコミ』程度まで抑えられている。
そう、全ては面白リアクションの収穫の為に。
「うおおおおおおお……ほ、星が!! 星が見えたスター!!」*19
「ぐおおおおおおお……ペ、ペガサス彗星拳……って言うか、もはやライトニングボルト……」*20
「ぬおおおおおおお……モ、【モト】が八百万の神々の名を冠したスキルを使うって、冷静に考えたらオカシイ……」*21
悶絶しつつもリアクション芸人の魂は健在なのか、しっかりとコメントも残しつつ映える絵面でビクンビクンとのたうつ三馬鹿ラス。
『禊』に気を取られ、常に緊張した雰囲気に囚われていたからこそ、忘れた頃にやって来る『笑いの刺客』に為す術も無く笑いを収穫されるのである。ショギョムジョ!!
「あはははははは。やはりこいつらのリアクションは素晴らしいな。そして、期待以上の良い仕事だったぞ。なぁ───」
三馬鹿ラスの映像映えする面白リアクションに大笑いしつつ、黒死ネキは立役者である
そう、
「───キノネキ」
───合法ロリ同盟の愛すべき
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│以下、回想シーン
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│
│
│
「え? ボク……じゃなかった、私に出演依頼?」
「ええ、是非。セリフも一言で大丈夫ですから」
「ええ~~~……、それって、あいつら絡みの企画だよね……じゃなくて、だよな?」
「あ、別に無理してロールプレイしなくても良いですよ?」
「いや、折角の
「ええ、分かっていますし、無理強いをするつもりはありませんよ。ですが、私はキノのああ言うところも可愛らしくて好きですよ?」
「うぐぅ!! ちょ!? そう言うのは反則……」
断りたい。その気持ちは確かにある。
だが、「断る」という言葉が喉元まで出かかっても、彼女の綺麗で吸い込まれるような瞳を見るたびに、その言葉は音もなく消えてしまう。
惚れた弱みも、もちろんある。彼女の期待を裏切りたくない、失望されたくないという思いが、理性を麻痺させる。
彼女の笑顔が見たい。ただそれだけのために、自分は黒歴史をネタにされる事を許容しようとしている。
これは愛ゆえの選択なのか、それとも自己犠牲なのか。
分からない。けれど、彼女にとって自分が特別な存在である限り、彼女の望みを叶えたいと思ってしまう。
「……って、何、このモノローグ!? ボクは別にそんな事……!?」
理性(冷静)が囁く。「断るんだ。ただでさえ映像化されて一生ものの黒歴史になってるのに、これ以上恥を上塗りして親しい人たちの前に出られるの?」
理性(妥協)が囁く。「けど、瑞樹ちゃんは楽しそうだし、瑞樹ちゃんに懐柔された妹たちも楽しみにしてるって言うし……」
本能(恐怖)が囁く。「いやいや、映像化された次の日から、知人一同からのLINEが鳴り止まない地獄絵図が見えるんだけど!?」
「ダメ……ですか?」
待って!? その上目遣いは卑怯じゃない!? ボクより20cm近く背が高いのに、何でわざとらしさが欠片も無いの!?
「ううううううう……」
「ふふふっ、すみません。困らせてしまうつもりは無かったのですが、少し話が性急過ぎたみたいですね」
「あ、いや、そう言う訳じゃ……」
「廊下で立ち話もなんですし、そこの会議室で落ち着いて話しましょうか」
「あ、うん。…………うん!?」
あれ? 思わずうなづいて瑞樹ちゃんに促されるままに近くの会議室に入る事になっちゃったけど、これってヤバくない?
ただでさえ断りにくい雰囲気なのに、密室で説得とかされちゃったら、ボクに断り切れるの?
いやいや、それでもこれ以上の黒歴史の量産を許す訳にはいかない!!
そんな決意をして会議室の扉を開くと───
「Welcome、キノネキ。良いパーティー日和だな」
「そんな事だろうと思ったよ、コンチクショー!!」
───実に楽しそうな表情の黒死ネキ(デビチルのデュラハンコス)が待ち構えていた。
「そう警戒しなくても良いぞ? 別に私たちも本気で嫌がるキノネキに無理強いをするつもりは無いからな」
「ええ、あくまで快く納得していただいた上で出演してもらいたいと思っていますからね」
「…………(疑いの眼差し)」
「おやおや、すっかり警戒されてしまったな。まぁ、以前ちょっと強引に口説いた事もあったし、致し方ないと言った所か?」*22
「おや、そんな事が?」
「ああ、あの時はキノネキが探求ネキに喰われて散らされる*23のも近そうだったからな。前々からつれなく袖にされていたから、喰われる前にちょっとつまみ喰い*24をしようと思ってな」
「あらあら、キノは私と言うものがありながら、黒死ネキとも浮気を?」
「あはははは。図らずも……とは言えないか? 私は間女になっていた訳だ」
「……って、語弊のある言い方は止めようかなぁ!?」
「「HAHAHAHA」」
ダメだ。やっぱりこの二人に口で勝てる気がしないし、だからと言って黙っていても確実にペースを握られっぱなしになる。
こうなったら、多少強引にでも会話をぶった切って、しっかりと出演を断らないと大変な事に!!
「あの!! ボクは───「ああ、そうそう」───この出演を……って……」
「キノがこの話に乗り気ではない事は分かっていましたから、説得の為に来ていただいた方々がいるんですよ」
「ああ、人気投票でもキノネキ絡みの話は上位の常連だからな。ファンも多いのは当然と言うものだ」
「いや、ファンって……いったい誰が……」
って、折角断るつもりで声を上げたのに、瑞樹ちゃんに割り込まれてまたペースを握られちゃってる!?
それに、ファンが来てる? ボクの説得の為?
何だろう? さっきから本能が警報を鳴らし続けている感覚が止まらない。このファンって言う人たちが参戦しちゃったら、もう取り返しがつかなくなるような……
「なに、キノネキも良く知っている連中だとも。気軽に話をすれば良い」
「では、入って来て下さい」
「ちょ!? まだ心の準備が!?」
そして、瑞樹ちゃんの言葉を受けて、会議室の奥の扉から入って来たのは───
「「Happy Halloween」」
「げえっ、セツニキとミナミィネキ!?」
───ガイア連合最古参の黒札で事実上の名誉顧問であるセツニキと、同じく最古参の一人で悪魔しょうかんの主であるミナミィネキの二人だった。
二人ともハロウィンらしく、華やかな衣装に身を包んでいて、その立ち居振る舞いは自信に満ちている……んだけど……
……って!? 何でこの二人がここに!?
「ま、まさか、あのシリーズのファンって……」
「ああ、俺らだな。娯楽に飢えてるってのは、どの黒札も同じだからな。いや、いつも大笑いさせてもらってるわ」
「あの子たちのシリーズって、誰とでも会話の糸口に使える鉄板ネタだし、しょうかんに来る子たちにもファンが多いんですよね。もちろん私もですよ」
「あ、うん。そうなんだ? ……け、けど、だからって、それだけの理由でわざわざ?」
「それについては、私たちから二人に相談したら説得に加わってくれるとの事でして」
「ぶっちゃけ、その二人はこのシリーズの大口のスポンサーだからな。
「はぁあああああああぁああ!!??」
何それ、知らない!? 聞いて無いよ!?
待って!! ねぇ、待って!! 噓だと言ってよ!!
「さ、それじゃあ、楽しく〝
「もちろん無理強いとかしないぞ? あくまで平和裏に〝
「折角だし私も今回は真面目に〝
「もちろん私からも〝
「そんな…… あんまりだよ、こんなのってないよ!!」*25
───数十分後……
「ウン、分カッタヨー。ぼくモげすとデ出演シタラ良インダネー」
「ああ。快く引き受けてもらえたようで何よりだな」
あの後、キノネキは自分よりも遥かに弁の立つ四名に囲まれ、時に優しく、時に厳しく、時に理詰めで、時に甘やかされ、計算され尽くされた緩急すら駆使されて、〝お話〟と〝交渉〟と〝依頼〟と〝お願い〟を続けられた。
結果として、キノネキは皆の〝説得〟を受け入れ、〝自分の意志で〟快くゲストとしての出演を引き受ける事となった。
何故かグルグルお目々で片言で話すキノネキだったが、疲れによるものだろうか?
ともあれ、これで人気シリーズの人気の場面の撮影も実現できるだろう。
「それじゃ、俺らはコレで引き上げるわ。完成版を楽しみにしてるぞ」
「ああ、協力感謝するぞ。何なら、この後の撮影も見て行ってもらっても良いが?」
「それも楽しそうですが、今回は裏方での参加のようなものですし、純粋にシリーズのユーザーとしては楽しめそうに無いと思うんですよ。ですんで、素直に作品としての完成を待とうかと」
「なるほど、そう言う考え方もありますね。分かりました。約束通り完成版は優先的にお送りさせてもらいますね。お二人ともご協力感謝しますね」
「おう。あと、事前に言った通り、俺らが関わってる事は連中にはバラさない様に頼むぞ。
「右に同じくですね。あの子たちがいずれ私の所に来るにしても、変な先入観を持たれると私が楽しめない……もとい、あの子たちが変に遠慮しそうですしね」
「それ、言い直す意味あるのか? ともあれ、モノの楽しみ方は人それぞれと言うのは理解しているとも。キノネキも良いな?」
「ウン、良イヨー。ぼくモばらサナイヨー。大丈夫、約束ハ守ルヨー」
「では、キノは私たちと一緒に。しばらくは舞台裏で待機していて下さいね。出番が来る頃には正気に……もとい、落ち着いているでしょうから」
「ウン、分カッタヨー」
そして出番の10分程前に撮影現場の待機スペースで正気に戻り、世界の残酷さと理不尽さに慟哭すると共に、更なる黒歴史の上塗りを避けられない事を理解し、顔どころか耳や手といった見えている肌、その全てが真っ赤っ赤になってぷるぷる震えるキノネキの姿があったとさ。
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│回想シーン終了
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│
「……って!! ボクが瑞樹ちゃんと黒死ネキのタッグに口で勝てる訳無いじゃないかーーーーーー!!」
「「「それはそう!!」」」
〝説得〟の際に刻まれた『セツニキとミナミィネキの事は三馬鹿ラスに口外しない』と言う〝約束〟を無意識に守りつつ、「自分を〝説得〟したのは探求ネキと黒死ネキのタッグだ」と話すキノネキ。
〝説得〟に参加した四名は、元々キノネキよりも遥かに弁が立つ者たちであり、探求ネキに至っては『惚れた弱み』と言う切り札まで駆使出来るのだ。
要するに、キノネキに勝ち目など元から存在しなかった。それだけの事である。
なお、黒死ネキは三馬鹿ラスからの情報蒐集経由で、キノネキの黒歴史をガッツリと握っているのだが、それらを〝説得〟に使う事は無かった。
これは『蒐集した
閑話休題。
「分かる!! 分かるぞ、キノネキ!! あの二人とロジカルバトルとかジッサイ無謀!!」
「こっちに要求を通す時も、あくまで口で言うだけで暴力は使わないのが、別格感ヤベー!!」
「何と言うか、向こうの提示する選択肢も『選ばないと大損する』に持ってくのが上手すぎるんですよねぇ…… 分かっていてもどうしようもないやつですよ、これ!!」
「一番納得いかないのが、『提示された選択肢を選んだ方が良い』ってキッチリ理解させられる事だよ。しかも、実際そっちの方が得をしたり被害が少なかったりするし!!」
「「「それな!!」」」
いつの間にか今回の一件における被害者の会的なものが結成され、キノネキも三馬鹿ラスに交じって我が身に降りかかった理不尽への愚痴をこぼし合う。
これまでは三馬鹿ラスのやらかしに頭を悩ます事も多かったキノネキだが、今は掛け替えの無い戦友を得たような気分になっていた。同類相憐れむとも言う。
だが、彼女たちは忘れている。
この場を仕切っているのは、
「親睦を深めている所済まないが、お前たちに届け物だぞ」
「先程……ああ、皆さんが幼女ネキのビンタで気絶していた時ですね。郵便配達用の使い魔が小包を届けてくれました。三馬鹿ラスの皆さんが購入した本のようですよ」
「「「え?」」」
「本?」
「発送元は……『アトリエ:メルリー』だそうですよ」
「「「ちょ!!??」」」
「メルリーって……それってナマモノネキ*26のペンネームなんじゃ……」
「商品名は……ふむ、『出国するには〇〇〇しないといけない国』『ボーイッシュ娘と△△△な関係』『百合の園で共有される□□□』と。相変わらず自分の欲望に素直だな、お前たち」
「「「───……っ!!??」」」(冷や汗ダラダラ)
「───……っ!?」(全身真っ赤)
「ナマモノネキも相変わらずだな。何回ぶっ飛ばされても懲りる事を知らんようだ」
「懲りないと言うならこいつらもだろう? クククっ、このパターンはこれで何回目だ? 王道はやはり笑えるな」
既に先程までの戦友と接するような雰囲気は無く、三馬鹿ラスとキノネキの間には何とも言えない緊張感が流れている。
「………………ネェ、キミタチ?」
そして、羞恥心で全身真っ赤になりつつも、ギギギと首を三馬鹿ラスの方へと向け、制裁すべき対象を確認する。
そんなキノネキの視線を受け、三馬鹿ラスは必死、かつ、苦し紛れの台詞を紡ぐ。
「「「わ……罠だ!! これは罠だ!!」」」
「こ、これは、探求ネキと黒死ネキが俺たちをハメる為に仕組んだ罠だ!!」
「そ、そうだ。俺たち宛ての小包だってんなら、俺たちの部屋に届くはずだろ!?」
「つ、つまり、あの本が彼女たちの手元にある事こそ、罠だと言う証拠なんです!!」
苦し紛れの割に、それなりに筋の通る言い訳をするが、娯楽に飢えた魔女たちがそんな程度で逃れられるような詰め方をするはずも無く───
「ああ、郵便配達用の使い魔も、最初はお前たちの部屋に配達したそうなんだがな? ハロウィンパーティーへの参加で不在だったようから、困ってその場で右往左往していたそうだ。そこで───」
「───
「───このナマモノ本は、お前たちの物で間違いないと言う事だな」
「アー坊!?」「ア太郎!?」「アっくん!?」
───実にあっさりと、バッサリ論破されるのであった。
言われて見てみれば、確かに魔女たちの背後には、見覚えのある……と言うか、明らかに自分たちの所のアガシオンがフヨフヨと浮かんでいる。
「ちょ!? ダメだろアー坊!! ちゃんと留守番してなきゃ!!」
「そうだぞ、ア太郎!! って言うか、この本は俺たちが買った訳じゃ無くてだな!?」
「え、ええ、そうですよ。アっくんは慌てん坊ですね、ははは……」
「ちなみに、このタイプの郵便用使い魔は、荷物が受け取られずに一定時間以上経過すると、その場に荷物を放置して帰還しますよ? つまり、
「良くやったぞ、アー坊!! 流石ニンジャの優秀な相方!! キンボシ・オオキイ!!」
「助かったぜ、ア太郎!! 俺の後輩的なポジションなだけの事はあるな!! 危うくナマモノブツ陳列罪でしょっ引かれるところだったぜ!!」
「ファインプレーですよ、アっくん!! 私の弟子なのは伊達ではありませんね!! 折角買ったお宝を下手したら盗られていたかも知れませんでした!!」
「「「…………」」」
三馬鹿ラスは思った。各自が「アガシオンはワシが育てた」と。「他の馬鹿二人とは違う」と。
そして、いつもの三つ巴の取っ組み合いが始ま───
「それは、自白したと言う事で良いな?」
「「「あ」」」
───らなかった。
「うん、思えばお前たちには前にも勝手にモデルにされたナマモノ本でネタにされたよな。あの時は完全に黒死ネキにペースを握られていたから有耶無耶にされたが、よくよく考えたら、私はお前たちに制裁を課していなかったな。どうやら馬鹿どもは何回死んでも治らないらしい」
「「「あ、あの……キノネキ……?」」」
「私にいかなる印象を抱こうとも自由だが、上官への反抗には厳罰を持って処すべきだな」
「え? 上官って、ちょ?」
「いや、俺らは決してキノネキに反抗してるって訳じゃ……」
「と言うか、さっきから口調が、その……」
「貴様らのアホな頭蓋骨を切開して、規律というものを叩き込んでやろう」*27
「「「少佐殿ぉぉおおおお!?」」」
そして、何だかんだと三馬鹿ラスは処刑まではされなかったが、世界の残酷さと理不尽さに慟哭するキノネキから、それ相応に制裁は課されるのであった。
ちなみに、『探求ネキと黒死ネキが三馬鹿ラスをハメる為に仕組んだ罠』と言うサスケニキの咄嗟の言葉は、何気に事実だったりする。
と言っても、ナマモノネキの新作がキノネキを題材にした物になるようにしたり、ナマモノ本の発送時期が今回の撮影と重なるようにしたりと、あくまでそれとなく誘導しただけなのだが……
その程度の誘導だと言うのに、毎回毎回、運命に仕組まれているかの如く、そのことごとくが三馬鹿ラスがオチになるように都合よく展開するのだ。
余談だが、いっそ本気で考察して因果律に関する論文でも書こうかと考察する学者系の俺らも居たのだが、彼らは一様にして実行には移そうとはしなかった。
理由は異口同音にただ一言。 「無粋」 とだけ。
「さて、長かった『禊』も、いよいよ次で最後となります」
「予想通り、予想外で予想以上の展開の連続だったな。最後まで期待しているぞ」
「正直、ここまで『禊』とは無関係なビンタを連発する事になるとは思わなかったが、折角だし最後も楽しんでいけ」
「つ、ついに最後か…… マジで長い道のりだった。ジッサイ大変」
「ぶっちゃけ、何で生きてられてるのか分からねぇ…… いや、けど最後だってんなら、今度こそキッチリ正解して、景品をGETだ!!」
「ですね。折角のパーティで後ろ向きなのは私たちらしくありません。それで、最後はどなたの『不満』を当てれば良いんですか?」
本来なら繰り返される怒涛の
そして、宣言された最後の『禊』の相手である───
「貴方たちも、薄々気付いていたのではないかと思いますが───」
「───折角の祭りなんだ。司会進行だけして終わりと言うだけでは満足出来ないからな───」
「───同じ舞台で踊らせてもらおうじゃないか。ああ、そうだ。最後の『禊』は───」
「「「私たちだ」」」
───探求ネキ、幼女ネキ、黒死ネキの三名の麗人たちは、司会者としてだけでなく、演者としても舞台に立つ事を宣言した。
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元メシア教穏健派のシスターで、回心し一神教徒として活動している。
黒札のサクラコの影武者になったり、夢の中でヤコブ神拳を会得したり、幼女にフレンチトーストを振舞ったりしている。
イメージBGMがヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO(スクールウォーズのアレ)と言う正義全振りの大天使。
元人間で天使の救世主と言う一面を持ち、「メシア教の所業とか、悪に決まっているだろうが!!」と正義を司る大天使として大暴走。 けど話自体は割と通じるので、一神教サクラコ派の守護天使として活動中。
天使ラグエルの天使人間でほぼ最初期に生み出され、廃棄処分を受けながらも生き延びた。
得意技は
外見は『世界樹の迷宮』の女性カースメーカー。鶏ガラな体つきの合法ロリ。
前世からの人形操士にして、ガイア連合随一の
外見は金髪碧眼の幼女で、アニメ版のCVは悠木碧。
日本の超合理主義的な性格のエリートサラリーマン(男性)が、
徹底した効率化と軍規遵守を重んじ、自身の保身と安定した生活の為に戦果を上げ続けるが、その結果として戦争狂と勘違いされ、望まない最前線へと駆り出される羽目になっている。
悪魔としての【モト】が持つ唯一無二の権能であり、その効果は『二
この増えた手番は時間停止でも、超加速でも、まして敵の拘束でも無い。
単純な概念として『一手増える』と世界に刻まれた法則として扱われる、彼女のみに許された権能。
ペルソナ1の【DEATH モト】が使用できる。
なお、他には【CHARIOT スサノオ】と【JUDGEMENT ヤマオカ】が使用可能。
額に大きく刻まれた十字傷と、殺意にも似た他人を寄せ付けない雰囲気が特徴。
常にボタンを開けっ放しの制服の中は素っ裸で、それ故か「伝説の裸番長」の異名を持つ。
ペルソナ1の【DEATH モト】は城戸玲司の専用ペルソナでもある。
ちなみに、ゲーム版のペルソナで城戸玲司のCVを担当した山野井仁氏は、神取鷹久とニャルのCVも担当している。
外見は『ブルーアーカイブ』の姫木メル。ガイア連合屈指の同人作家。
数多のナマモノ本を執筆し、絵柄とストーリーの完成度など、『作品』としての評価は高い。
一方、実在の人物を無断でモデルにする事が多々あり、モデルにされた本人やその身内から宿舎裏やら訓練所裏へ連行される事も多々ある。
半殺しどころか九割殺しの目にも度々あっているが、一切ぶれる事無く作品を世に送り続けているあたり、クリエイターとしての適性は高すぎるようである。
お読みいただき、ありがとうございます。
あ……ありのまま、今、起こった事を話すぜ!!
俺は三馬鹿ラスが理不尽ギャグでぶっ飛ばされる話を書いていたら、いつの間に濃厚なキノ虐を書いていた……
な……何を言ってるのか分からねーと思うが、俺も何をしていたのか分からなかった……
頭がどうにかなりそうだった……
キノちゃんカワイイだとか ヤッターだとか、そんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ……
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
うん、違うんだ(言い訳
私は決してキノネキを貶めたい訳じゃ無いんだ。
だけど、笑ってはいけないシリーズの人気シチュを考えたら、例のドンドコは絶対に上位だろと確信があるんだ。
じゃあ、出演依頼しなきゃ(鋼の意志
キノネキは自分の黒歴史を弄られるわけだから断りたいだろうけど、出演依頼に来た面子がオーバーキル過ぎた訳でして?w
この四人からの〝説得〟に耐えられる奴って逆に居るの?w
お労しや、キノ上。ひとえに貴女がカワイイのが悪いんだ。
で、ようやく次回を番外編最終回に出来る目途が立ったのですが、実はこの話、一回書き直しているんですよね。
当初予定していたよりも、より良いオチを思いついちゃったんで、それに合わせて大幅改定。
今回、投稿に大きく間が空いちゃったのもそれが原因の一つでして。
流石に次は今回ほどはお待たせしないで済む……はず!!
・黒死ネキ(愉悦部)
自分から愉悦しに行く訳では無いが、愉悦できるシチュに遭遇したら遠慮はしないタイプ。
交渉方法は「選ばせる」が基本だが、その選択肢は「どれが選ばれても自分は得をする」と言うタイプであり、まさに悪魔の契約の基本。
逃げ道は作らないが、きちんと〝交渉〟は出来るタイプでもあるので、注意深く対応出来れば普通の〝交渉〟と変わらず、そこまで理不尽でもない。
と言うか、むしろそうなった方が楽しめるからと、あえて分かりやすい罠を置いておくスタイル。
・探求ネキ(愛でる対象は甘やかす)
キノちゃんカワイイヤッター。
決して威圧的にはならないが、「この人の言う事を聞いた方が良い」と言う方向に持って行くのが異様に上手い。
交渉相手としては極めてやりにくいタイプで、自分のペースに持ち込むのが非常に困難。
最終的に「自分は探求ネキの要望に応じた」と〝納得〟させる事に長けた交渉術。
今回はキノネキの可愛い姿が見たかったので、あんまり遠慮とかしなかった。なお結果。
・幼女ネキ(仁侠式交渉術)
今回は別にしていないが、彼女と〝交渉〟するなら基本的に仁義を通しているかどうかが重要。
相手が筋を通していないと判断すれば、その時点で交渉決裂待った無し。
そこに彼我の立場とかは考慮されず、誰が相手であろうと差別も区別もしない。なおメシアン。
ある意味一番真っ当でやり辛い交渉相手だが、筋者同士だと逆にあっさり意気投合する事も。
・セツニキとミナミィネキ(キノ虐のスペシャルゲスト)
オーバーキル要員。
年季、立場、伝手、コネ、実力、その他全てが大半の相手を上回る真の意味での実力者。
「推しの芸人に認知されるのは解釈違い」と表立っての接触はしないが、楽しむ機会は見逃さない。
今回の〝説得〟は一見するとファミレスでのマルチの勧誘だが、〝交渉〟が苦手だとこうなるぞと言う〝指導〟も兼ねていたりする。
・キノネキ(愛で対象)
キノちゃんカワイイヤッター(二回目
今回は『幼女戦記』のデグさんのコスプレで登場。もちろん
まどマギのコスプレもありかと思ったけど、あんなテンプレ魔法少女姿とか、キノネキは自主的にはやらないだろうなぁ、と泣く泣く却下。セリフは採用したけどね。
世界が残酷で理不尽すぎると言う現実に直面。強く生きてドウゾ。
苦手でも出来なきゃ酷い目にあうと言う事を、文字通りワカラセられた。
・チャイカ(ゲスト)
【魔】特化型だと言うのに、『拳』属性最強スキルを使いこなす不思議。
普段のゴミ処理で、雑魚を〝掃除〟するのに時短で殴ってたからかなぁ?
メタ視点だと「P1のレイジ(拳で戦う系のキャラ)の専用ペルソナだし、『拳』属性最強スキルを使える仕様」だと分かるけど、実際不自然w
今回からはスタッフではなくゲストとして参加。
・三馬鹿ラス(天然芸人)
忘れた頃に『笑いの刺客』はやって来る。そして、キッチリ収穫されるのであった。
面白くてもマンネリしちゃったらダメだからね。緩急は大事。
ラストの『禊』に向けて気合を入れ直す。果たして景品を手にする事は出来るのか?
こいつらが明確に得をするのは解釈違いと言う、世界の理から抜け出す事は出来るのかw