【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~ 作:マカーブル
本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。
誤字脱字の指摘等も、いつも助かっております。
作中の挿絵として画像生成AIによるイメージイラストを表示しております。
AIによる生成画像に不快感を感じる方はご注意下さい。
ここ半年、番外編ばかり書いてましたが、久しぶりの本編更新。
今話は、Lilyala様 作 【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 の
48話目 修羅共のオークション と同じ時系列となっております。
また、今回の話は前提として本作の2話目~9話目を再読していただき、黒死ネキの誕生秘話と、その裏で何があったのかをご理解の上でお読みいただければ、キャラどうしの会話の内容をより理解出来る形となっております。ご了承ください。
山梨県 富士山中 星祭神社の社務所内
その一室にて、資格試験*1を突破し、星祭神社本殿の利用を許可された者たち───通称、修羅勢───は、大いに盛り上がりを見せていた。
「よし、締めるぞ。【回復ブースタ】*2のスキルカード、25万6千マッカで落札だ」
「やったー!!」
「おめー」
「おめっとー」
「おめでとう。上手く使いこなして頂戴ね」
「はい!! 頑張ります!!」
本日は定期的に開催される修羅勢主催のオークションの日であり、その主な目的は二つ。
一つは修羅勢各自がお下がりや処分品を持ち寄り、それらを必要とする者たちへと再分配する事。
もう一つは───
「今ので例の基金に回すマッカ、累計で一億を超えたんじゃねぇか?」
「おー、ついに大台に乗ったか。結構感慨深いもんだな」
「スライムニキ*3にはマジで頑張って貰ってるしな。さっきセツニキが出した【カードハント】のスキルカード*4も、スライムニキの提供だって聞いたぜ?」
「マジかよ。どんだけ義理堅いんだよ、あの人……」
「そりゃペルソナ組が慕うのも当然だわな。俺らも直接役に立てる訳じゃねぇのは残念だが、間接的には、な?」
「
───スライムニキを始めとした、ペルソナ組への資金面での間接的な支援。
ペルソナ使いたちは極めて多忙だ。
認知異界を始めとした、ペルソナ使いでなければ関わる事すら出来ない事件は多数あるが、ペルソナ使いの数はそう多くは無い。
ペルソナ使いではない『俺ら』からすれば、自分たちが対応出来ない案件に少数で対応している彼らを支援しようと思うのは、至極当然と言う認識でもあった。
「それじゃあ次の品は、黒死ネキ提供の【魔導書】*5だ。ざっくり言うと、仲魔のレベルを上げられるアイテムだな」
【魔導書】 |
| 契約者よりレベルの低い仲魔を1レベルアップさせる。 この効果でのレベルアップはレベル10が上限である。 |
「「「──────???」」」
「……ああ、お前らのその反応も分からなくも無いけどな。効果だけ見れば、「大した効果じゃ無くね?」って思うだろ? だが、重要な所はそこじゃ無いぞ? ほら、後ろの術者組や製造組の反応を見てみろよ?」
効果だけを見れば、修羅勢と呼ばれる高レベルの戦闘系の者たちからすれば大した事の無いアイテムである【魔導書】だが、司会のセツニキに促されて後ろを振り返ってみれば、術者系や製造系の者たちは異様にギラついた目で食い入るように【魔導書】を見ている。
え? 何で? 別に効果自体は大した事無いよな? と若干混乱する
「とりあえず、分かりやすくポケモンで例えてやるよ。そいつは【ふしぎなアメ】*6を量産する切っ掛けに成り得る代物だ」
「「「はぁッ!!??」」」
「そもそも、【魔導書】や【福音書】*7をドロップする【御魂】自体が遭遇確率極低の超レア悪魔で、耐性も完全にランダムで弱点以外は完全無効化するし、見つけたとしてもすぐに逃げる。遭遇出来る運、弱点を見抜く手段、弱点を突く手段、逃がす事無く倒す手段、肝心のアイテムがドロップするかどうか。そんな狭き門を潜り抜けてようやく手に入るレアアイテムだぞ? 質が悪いのが、こいつは本の形をしてるが〝読む〟物じゃなくて〝使う〟物って事でな。折角現物があって解析しようと思っても、その行為自体が〝使う〟って判定されてすぐさまMAGに還っちまう。もし完全に解析出来て、量産にこぎつける事が出来たら、その有用性は言うまでも無いよな? だが現状はコレ一冊につき、一回の解析で読み取れるのは精々
「「「ああ~~~……」」」
「なるほど、完全に理解した」
「【ふしぎなアメ】の量産はロマンだけど、参考資料がレア物過ぎる上に、ちょっと読んだらすぐ消えるって訳か~」
「文字通り、滅多に無い機会って訳か。納得だわ」
「ん? けどそれじゃ、何で術者組と製造組で雰囲気がバチバチになってんだ? 【ふしぎなアメ】を目指してんのが同じなら、取り合いとかしないでも良いんじゃねぇのか?」
「ああ、それについては、同じ【ふしぎなアメ】でも、主目的が『仲魔のレベルアップ』の元祖ポケモン組と、『仲魔の別悪魔への進化』のポケカ組と、『他のレア悪魔の素材に変換』のポケモンGO組の派閥に分かれてるからだゾ☆ 更に『自分自身のお手軽レベルアップ』の【ふしぎなアメ】じゃなくて【幸せの種】*8の再現に燃えてる派閥もあるぜ☆」
「「「うわぁ……」」」
方向性の違い。解釈違い。様々な言い方はあれど、必要な資料は同じでも目的が違えば奪い合いにもなる。
資料自体が『ちょっと読んだら消える』と言う無慈悲な仕様である為、奪い合いが加速するのも当然と言えば当然なのであった。
「それじゃあ、良い感じにテンションも上がったみたいだから始めるぞ。この【魔導書】、1万マッカからスタートだ!!」
「2万!!」
「4万!!」
「8万!!」
「16万!!」
数秒と経たずに10万の大台に乗り、さらに加速していく【
そんな光景を
「うわぁ……ヒートアップがエグイ。……って、そう言えば出品者の黒死ネキは? さっきまで居なかったか?」
「ん? そう言えば居ないな? どこ行ったんだろ?」
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「聞けば当然の事とは言え、それまでは案外気付かないと言うのは往々にしてあるものだな。実際、私も解説されるまでは気付かなかったしな」
「あるよね、そう言う事って。……ところで、そろそろ僕を
「何、聞けば当然の事に気付いているにも関わらず、気まずそうに目を逸らしているシャイボーイには、いい加減ワカラセが必要だと思ってなぁ?」
「うん、君がクソガキ扱いされてる理由が良く分かる返事だよね」
そんなハートフルな会話をしつつ、やって来たのは星祭の第13訓練施設だ。
聞けば今夜にも日本を出立する予定らしいし、改めて話をする機会も今を逃せば次は何時になる事やら。
普段の多忙さと『
「さて、私の用件など言うまでも無いだろうが一応言っておこう。ちょっと今から私と殺し合ってもらおうか」
「だよね。君はそう言うよね。けど、僕は……」
「思えば初対面の時から複雑そうな顔をされ続けていたなぁ? 私自身が全く気にしていない事を何時までもウジウジと。そんな様で『
「分かってはいるんだけどね……いや、まぁ、それはそれとして『
「だよな。そこはブレていないようで安心したぞ。では、後顧の憂いを断つためにも、じっくりと
透き通るような白い肌と、灰を含んだ淡い銀髪。それと対照的な色彩の赤い瞳。
年の頃は
こと火力と運命力に関してはガイア連合においてショタおじに次ぐ実力者。
そのくせ、中身は
「───カヲルニキ」
「……今何か失礼な事考えてなかったかい、黒死ネキ?」
気のせいだぞ。
「さて、
「…………」
「にもかかわらず、こちらからの
「しないから」
「あははは、そこはだんまりでは無くマジレスか。良いぞ、コミュニケーションとはこうでなくてはな。私としても、もっと気楽に接してもらいたいのだがね? そもそも、カヲルニキが私に気を病む必要など全く無いと言うのになぁ? そんなに後悔するような事だったか?」
「──────ッ!!」
「図星か? そもそも、そう気に病む事自体が間違いなのだがな? 確かに、あと数時間『
「………………ッ!!」
「……と、この程度の事は挨拶代わりに言うだろうな、あのワンパターン宇宙蛸は。まぁ、カヲルニキはこんな戯言は耳にする前に焼くのだろうがな」
「……分かってはいるんだ。黒死ネキがまったく気にしていない事も、この想いが僕の自己満足だって言う事もね。けれど、やっぱりIFは考えてしまうよ。「僕が間に合っていれば」って……」
「下らない……とまでは言わないが、根本的な誤解はやはりそこか。カヲルニキ、お前は「自分は当事者なのに間に合わなかった」と思っているようだが、そもそも、それは思い違いと言うものだ」
カヲルニキの立場からすれば致し方無いのかも知れんがな。
今までも、恐らくはこの先も、『
面倒なものだな、責任感が強すぎると言うのも。
「そもそも、
「──────ッ!! けど、それは…………」
「私の両親は、自分たちの意志で結ばれ、私を身籠った。たまたま私が転生者だったせいで『
「………………」
「これら全てが!!
「──────ッ!!」
ああ、不満じゃ無くて「その発想は無かった」と言う顔だな。
まぁ、自業自得だな。さっさと私とコミュっておかないから、一年近くも拗らせる羽目になったんだぞ?
「後はそうだな? ガイア連合に合流した後の私を見ていれば、「自分が逆恨みなどされていない」と言う事はすぐに分かっただろうしなぁ? にもかかわらず、私を避けていたのは……そんなにも
「………………」
図星か。
本来なら有難い配慮なのかもな? 『
カヲルニキからしてみれば、『
だが───
「そう言うの、有難迷惑なんだが?」
「流石に表現が酷くないかい?」
───それ以外にどう言えと?
「根本的な問題として、『
「それは……確かにそうだね……」
「付け加えるなら、私の異界【
私が生まれる前から仕込まれ、生まれた直後に主としての権限を二重取得した事によって、本来の主である『
そのせいで、もはやどう足掻こうと主は私で固定されているし、根源レベルでも結びついている。
「何回聞いても耳を疑うよね、それ。僕も後から話を聞いたけど、『
「ああ、『
「うん、『
「だな。私は別に『
「……それは、ご両親の仇を討ちたいから、かな?」
「いいや? まだ誤解があったようだが、そもそも私は『
「……じゃあ、何で?」
「礼を言おうと思ってな」
「……………………は?」
カヲルニキの表情が呆然としたものへと変わる。
別に変な事を言ったつもりは無いが、まぁ、カヲルニキの内心は分からないでも無い。
誰だって最凶最悪の愉快犯に礼を言いたいと言えば、脳が理解を拒むものだろうしな。
それに、この事は霊視ニキ、探求ネキ、セツニキ、そしてショタおじの四人にしか話していない。
と言うか、【噂】にしない為に当事者以外には話せない。
カヲルニキも今のように聞けば、普通に話していたと言うのにな?
「私が殺したり殺されたり、死んだり死なせたりするのが大好きなのは知っているだろう? 私の異界の元の仕様は『異界の湧き悪魔は、異界の主を殺そうとする』と言うものでな。そんな異界に私は生まれる前から紐づけられていた訳だ」
「…………ああ、そう言う……」
「素晴らしい贈り物を受け取ったら、感謝するのは当然の事だろう? それに、マジ感謝してやった方が、『
「うわぁ……」
理解が及んだのか、呆然とした表情が呆れたものを見るような表情になる。懐かしいな、霊視ニキたちも似たような表情をしていたものだ。
「…………うん、納得は出来ないけど理解は……ちょっと怪しいけど、多分出来たよ。確かに僕は色々と誤解や思い違いをしていたみたいだね」
「分かってくれたようで何よりだ。さて、では本題に入ろう…………、か!!」
会話をしつつ大鎌を生成する。一瞬未満の間に、事実上肉体の一部でもある獲物が私の手に握られる。
会話をしつつカヲルニキへと飛びかかる。この時間を置き去りにする感覚は、何時味わっても心地良い。
会話を締めつつ、カヲルニキの首筋へと大鎌を振るう。そんな私の
───大鎌が触れた先から
「……うん、予想はしてたけど本当に躊躇なく殺しに来るんだね。実際に体験するとすごく恐いかな」
「あははははははは。予想はしていたが、素晴らしい火力だな。操作性も素晴らしい。ピンポイントで大鎌だけ焼くか」
恐い? 笑える冗談だな。
「それで、私を大鎌ごと焼かなかったのは、
「出来たらご遠慮願いたいかな。黒死ネキを相手に手加減をする余裕とかなさそうだし。それに、さっきのやり取りで焼こうとしても、黙って焼かれてくれた訳が無いよね?」
「おや、お見通しだったか。流石の経験値だな。もちろん色々と仕込んでいるぞ♪」
「こう言う時、僕はどんな顔をすれば良いんだろうね?」
「笑えば良いだろう? 楽しい時は笑うものだぞ?」
「うん、そりゃ黒死ネキは楽しいだろうけどね?」
そう言って、呆れとはまた別の苦笑いを浮かべるカヲルニキ。
そして、不意にその表所を真剣なものへと変え、語りかけて来た。
「黒死ネキの気持ちは分かったし、ちょっと受け入れがたいけどその『癖』も分かった。けど、さっきの
「あはははははは。さっきまでの察しの悪い拗らせシャイボーイとは思えんな。そうそう、そう来なくてはな。ああ、私がカヲルニキと殺し合いたいのも本音だぞ?」
もちろん、私が殺し合いたいのは、さっきまでのシャイボーイではなく、今の迷いの晴れた顔をした男相手とだがな。
「実は最近、
そう言って懐から一枚のカードを取り出す。
一般的なタロットカード等と同様のサイズのカードに描かれているのは、一見すると黒青色の狼だ。
もっとも、グリフォンを思わせる巨大な翼を持ち、眼光鋭い蛇の頭を尻尾に備え、口角から炎を覗かせる、体高が2m近くある巨躯の四足獣を狼と言うのであれば、だが。
「それは……」
「私の
そう言ってカードを眼前にかざす。
ソロモン72柱の序列35位 【堕天使 マルコキアス】の悪魔カードを。
「【魔装術・
私の宣言と共に、【マルコキアス】の悪魔カードは
自信・自画自賛・快楽の感情を司る獄炎の大悪魔の力と権能を、余す事無く
さて、新衣装のお披露目だ。
先程のカヲルニキの物と遜色が無い程度の火勢を披露する。
最低限、このくらいは出来なければ、そもそもカヲルニキの
そして、
「さて、どうかな? 似合っていると良いのだがね」
───
中二病? コスプレ? 何の事かな?
48話目 修羅共のオークション より。
お読みいただき、ありがとうございます。
半年ぶりの本編更新。もう読者も序盤のストーリーとか忘れてるんじゃなかろうか(自業自得)
まずは連載当初からやろうと思っていた、オークション回 & カヲルニキとのコミュです。
本作の黒死ネキの誕生秘話、本人的には全然気に病んでいませんが、カヲルニキ視点だと……
・自分が間に合わなかったせいで、黒死ネキの両親は助からなかった。
・自分が気付けなかったせいで、黒死ネキは異界に取り残された。
・自分の不始末の後始末を、被害者の黒死ネキ自身が済ませてくれた。
・これら全てを
挙句、謝罪やお礼をしようにも、「自分と迂闊に関わったら、折角縁切りに成功してる性格ドブカスの腐れ外道との関りが出来かねない」と言う状況にマゴマゴしている間に、気付けば一年近く経っていたと言う事実。
結局「おい、お前いい加減にツラ貸せ」と黒死ネキ直々に体育館裏に連行されましたw
こんな心理状態のままアレと関わっても良い事無いし、仕方ないよネ!!
オークションでの【魔導書】の扱いはこんな感じになりました。
レア度だけが高い使えねぇアイテムかと思いきや、と言う感じですね。
術者系や製造系の『俺ら』が、『レベルアップアイテム』を解析しないとか無いだろ的な。
黒死ネキの新技、【魔装術・
まぁ、ご覧の通り分かりやすいパワーアップ変身ですねw
オークションもあるよ!!
・黒死ネキ(もうすぐ2歳)
カヲルニキが多忙で変えの効かない人材なのは分かっているので、殺し合いのオファーはきちんと相手が時間を取れそうなタイミングで行っていた。はぐらかされたけど。
Nにマジ感謝の言葉を伝えるつもりなのは本気。とは言え、無計画だと自分も周りも困った事になるのは分かっているので、きっちり仕込みはする。
カヲルニキや霊視ニキ程ではないにせよ、運命力は高い方であり、【
「この新衣装、どう思う?」
・カヲルニキ(この時期だと中学生になったばかりくらい?)
彼視点だと、黒死ネキ関連で気に病むなとか無理ゲー。
ニャルの用意した『可愛そうな被害者』なら躊躇なく焼いた後に必要なら救っていたが、黒死ネキのケースは例外過ぎた。
内心で折り合いがつかない状態で日本を立つ日が来てしまった結果、気まずさを感じている相手に捕まる。
黒死ネキ自身はマジで一切気にしておらず、それどころかニャルに対して恨みすら抱いていないと知って、気が晴れるのと驚愕するのとで内心忙しい。
話の流れで黒死ネキとの死合いが不可避だと理解しているけど、何か嫌な予感が止まらない。
「似合っているとは思うよ(苦笑)」