【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~ 作:マカーブル
本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。
誤字脱字の指摘等も、いつも助かっております。
作中の挿絵として画像生成AIによるイメージイラストを表示しております。
AIによる生成画像に不快感を感じる方はご注意下さい。
今話はカヲルニキとのコミュ回の3話目です。先に前2話を読後の上でお楽しみください。
また、今話は Lilyala様 作 【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 の
48話目 『修羅共のオークション』 と同じ時系列となっております。
こちらも合わせてお読みいただけると、作中のキャラクターの経緯がより理解出来るようになります。
投稿が遅れまくってる理由? 全部人事異動と引継ぎってやつが悪いんだ(震え声
前回のあらすじ
善良なシャイボーイに迫る、邪悪なクソガキの魔の手。
「早く私を殺さなきゃ、自己破産するまで支援金出しちゃうぞ♡」
「巫山戯んなクソガキ」
目の前で這いつくばる銀髪の人物を眺めながら考える。
あり得る事ではったが、実際にこのような事態になる可能性は低いと思っていた。
しかし、現実は無情であり、可能性が低くともあり得る事は起こり得る事と同義だ。
「………………」
伏してこちらの言葉を待っているのであろうその様を横目に、自分が提示できる選択肢を構想していく。
相手への同情? 特に無いな。これは自業自得の結果でしかない。
今、自分がすべきは、したい事は、『どんな選択肢を提示すれば、より面白い結果になるか』だ。
「さて、どうしたものかな?」
「──────っ!!」
おいおい、そんなにビクつく事は無いだろう? とって喰う訳じゃあるまいし。
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「【ベノンザッパー】」*1
「【インフェルノ】」*2
幾度目かの相殺と反発。
多少の制限はあるとは言え、私は真面目にカヲルニキを殺そうとしていると言うのになぁ?
中々思い通りにはいかない物だ。
「あははははははは。この期に及んで、あくまで私を
「ここで黒死ネキの思惑に乗って、素直に燃やすって言うのは、意趣返しにはならないと思ってね」
「そう言いつつ、私へ向ける殺意は本物なのは良いな。 250万!!」
〚おっし、んじゃ俺は251万!!〛
〚今がチャンスだな、252万5千!!〛
〚ニコニコ動画の開始は15年以上先なんだよなぁ!!〛*3
「───っ!!」
私がカヲルニキを殺し切れないのもそうだが、私を殺さずに
それにしても星祭の連中は祭り好きで助かるな。ノリが良すぎるのはご愛敬だ。
そして、そんなノリの良い連中のせいで、時間の経過と共に競りの金額は吊り上がり、カヲルニキは焦りを募らせていく。
これでいっそ「破産したいなら勝手にしろ」と開き直れるのなら楽かもしれないが、このシャイボーイには後ろめたすぎる選択肢らし───
───おっと、今のは危なかったな。
「外しちゃったか。あ、言われる前に言うよ。「体勢を崩してたのに追撃しないのか?」って言いたいんだろうけど、罠だよね? 何を仕込んでたのかまでは分からなかったけどね」
「おや、バレバレか。私の演技もまだまだのようだな。 260万!!」
「逆かな。すごく自然だったよ。けど、
「あははははは。なるほど、そう言う経験則か。実に参考になるな!!」
さて、状況は若干の膠着状態だな。
私はカヲルニキを攻め切れていないし、カヲルニキはその火力故に加減に苦慮している。
何にせよ、まだしばらくは楽しめそうで何よりだ。
〚ここは一気に吊り上げるぜ!! 300万!!〛
……案外時間が無かったりするか? ノリが良すぎるせいでタガが外れるまでの時間も短いのかも知れんなぁ?
「そこの辺り、どう思う?」
「いや、君も同類だからね?」
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「うーむ、通話越しの激突音だけでもヤバさが伝わって来るよな。 312万!!」
「場所は第13訓練施設だったよな? 結構離れてんのに
「カヲルニキと黒死ネキのバトルだからなぁ。さもありなんってか? 314万!!」
「ところで、カヲルニキって黒死ネキと何かあったのか? 今回の祭りも、セツニキはカヲルニキの憂いを無くす為って言ってたけど。 あ、315万!!」
「俺も良く知らんけど、気にする必要は無いんじゃないか? つか、セツニキが「詳しくは
「つか、カヲルニキ絡みって時点で藪を突こうとすんのはNGだろ。出てくんのが蛇じゃなくて蛸だったらシャレじゃ済まねぇ。 317万!!」
「「「それな!!」」」
生まれる前から某邪神『N』に目を付けられ、邪神たちのゲームに巻き込まれた黒死ネキ。
誰よりも某邪神『N』と深い因縁を持ち、運命により相対する事を定められているカヲルニキ。
カヲルニキからしてみれば、自分は黒死ネキの両親を救う事が出来ず、異界に取り残された黒死ネキに気付きもしなかった男だ。
例え黒死ネキ本人が全く気にしておらず、理屈の上では「自分のせいではない」と分かってはいても、気にするなと言うのは難しい。
更に、黒死ネキはいくつもの偶然が重なり、某邪神『N』との縁切り状態となっている。
「もし自分と関わって再び縁が結ばれてしまったら?」と思うと、腹を割って話をする事を躊躇してしまうのも致し方ないだろう。
「言い訳だ」と言う事は分かっていたが、それでも気まずさが上回ってしまっていた。
なお、当の黒死ネキはカヲルニキの事を『後から来た通りすがり』としか思っておらず、某邪神『N』に対しては『自分の両親に正面からゲームで負けた奴』で、『自分に最高の
そして、黒死ネキは前世における『ATLAS作品のユーザー』としても、今世における『関りを持った者』としても、某邪神『N』に対する正しい
即ち、『相手の話は一切聞かずに、こちらが言いたい事だけを一方的に告げつつ、躊躇無く強火で燃やす事』である。『問答無用』とも言う。
その為に、
もっとも、その際の文言が「『
これらの事情は黒死ネキ本人と、彼女から直接事情を聞いた霊視ニキ、探求ネキ、セツニキの三人、報告を受けたショタおじ、そして、立場上事後報告を受ける形となったカヲルニキの六人のみが把握している事であり、それ以上、詳細を知る者を増やさない為に緘口令も敷かれている。
知る者が増えれば話題に上る頻度も増す。話題に上る頻度が増せば知る者も増え、また話題に上がり『噂』となって行く。
『噂システム』と呼ばれる、かつて平行世界において世界を亡ぼす引き金となった事象は、この世界においても『噂による普遍的無意識への干渉と、逆説的な現実化』と言う形で存在している。
要するに、良い噂も悪い噂も現実化する危険性を秘めているのだ。
そして、『噂』とは得てして良い噂よりも悪い噂の方が話題に上がりやすく広まりやすい。
まして、覚醒者等の『力ある者』の発する言霊は、絶対数が少なくとも現実を改変するに足る力を持ってしまうもの。
最も有効な対抗策は? 可能な限り、知る者と口にする者を減らす事だ。
話題に上がらなければ『噂』になる事も無いのだから。
次善策は? 事実と異なるカバーストーリ―を『対外的な事実』として広める事だ。
実際に黒死ネキの生い立ちに関しては、某邪神『N』とは無関係なものとして書き換えられている。
代わりに「メシア教が全部悪い」になっているが、些細な問題に過ぎない。
書き換えた手段が、外ならぬ邪神『N』謹製の異界由来の権能なのも、同様に些細な問題だ。
そもそも某邪神『N』がグヌる事に対して、反対する奴とか居ないし。
こう言った事情もあり、オークション参加者たちは黒死ネキとカヲルニキの詳細な事情は知らされておらず、また『カヲルニキ関係で事情を隠す必要がある』と言う点から、「ああ、そう言う事ね」と裏を察するだけの分別も持ち合わせている事から、あえて深入りせずに「カヲルニキの憂いを無くす為」と言うセツニキの言葉をそのまま受け入れている。
つまり、黒死ネキ提案による、カヲルニキに半ば強制的に黒死ネキを攻撃させる為の、オークションの入札価格の吊り上げへの協力である。
「……なぁ、こっから感じられる戦闘の気配とか、通話越しのやり取りとか聞いてて思ったんだけどさ? これ二人とも全力出してないよな? 325万」
「あ、お前もそう思う? カヲルニキは黒死ネキに何か負い目があるっぽいし、何とかして黒死ネキを殺さずにオクの吊り上げを止めさせたいって事なんだろうけどなぁ? 330万!!」
「それでも徐々に攻撃の勢いが上がってるっぽいか? まだ加減してはいるんだろうけどな。これって、黒死ネキの狙い通りって事か? 最終的には遠慮無く自分を殺しに来て欲しい的な? 335万!!」
「カヲルニキが黒死ネキを遠慮無く焼けるようになれば、憂いを無くす事にも繋がるってんなら、まぁ、俺らは乗るわな。詳しくは知るつもりはねぇけど。 340万!!」
「カヲルニキ側がまだ黒死ネキを焼くのを躊躇ってるのは何となく分かるとして、黒死ネキが全力出してねぇのは何でだ? 何か新技で渡り合ってるみたいだけど、いつもの【穢れ】と初見殺しクソコンボのオンパレードはやらねぇのかよ? 345万!!」
自分たちの知る二人であれば、文字通りもっと火力のある攻撃手段はあるだろうし、より殺意の高いデスコンボも可能だろう。
黒死ネキを〝殺さない事〟で意趣返しをしたいのであろうカヲルニキはともかく、〝誰かを殺す事〟を躊躇うはずも無い黒死ネキまでもが全力を出していないのは何故だと言うのか?
そんなオークション参加者たちの疑問に答える声が一つ。
「ああ、それはそうじゃろうな。言うなれば、黒死ネキの仕組んだ欲張りのデメリット部分じゃな」
「シエラ婆?」
ガイア連合の修羅勢たちから『三老』*4と呼ばれる実力者の一人にして、『幻想水滸伝2』の『シエラ・ミケーネ』を『原作』に持つ女傑。
【エルダーヴァンパイア】を本霊とする吸血鬼系の『俺ら』である。
「黒死ネキの仕組んだ欲張りって、今やってるこの『祭り』だよね? あ、362万!!」
「欲張りってのは確かにそうだよな。オクを楽しみつつ、カヲルニキを脅はk……もとい、憂いを無くす算段を立てて、自分は
「そうじゃな。一見するとカヲルニキの情緒以外は全方位得をする仕込みじゃし、黒死ネキ自身も楽しんでいる事は間違いなかろうが……」
「が?」
「あの二人が戦っている場所な。訓練場内ではあれど、
「「「あ」」」
「気付いたか? まぁ、
「「「確かに!!」」」
ガイア連合において、ショタおじを除き文字通りの意味での最高火力を誇るカヲルニキ。
超純度の【穢れ】を宿し、個から群まで全てを殺し尽くす、殺し愛ガチ勢の黒死ネキ。
この両者が現世で全力など出した日には、他の修羅勢総出であろうと被害無しなど不可能であり、解決の為には『
「あー、そう言やそうだわ。祭のノリで意識してなかったけど、カヲルニキはやろうと思えば富士山ごと火の海に出来るだろうし、黒死ネキも周辺都市ごと死都に出来るんだよな。 380万!!」
「そう考えたら、カヲルニキが黒死ネキの
「意外なのは黒死ネキだよな。普段が普段だし、てっきり周りの事とか気にしないもんかと思ってたぜ。 390万!!」
「だよな。いつもの質の悪すぎるクソガキっぷりからは考えられない配慮ってやつだわ。395万!!」
カヲルニキはともかく、黒死ネキが周囲に気を使うとか意外にも程がある。
「何かの勘違いじゃないか?」 「明日は雨か?」 等々、割と好き放題口にする参加者たち。
しかし、彼らは失念している。
現在はオークションの最中であり、当の黒死ネキも
つまり───
〚ここでキリ良く400万!! あと、聞こえているぞ、お前たち〛
「「「……え? あッ!? ちょ!! ま───ウボアアァアァアアアァァアア!!!!」」」
───シツレイかました身の程知らずどもへ、当人からの制裁が加えらえるのである。
「おお~、こりゃまた見事な七孔噴血」*5
「通話越しでこの精度の呪殺を飛ばせんのかよ、流石は黒死ネキ。つか、【呪殺無効】が装備頼りってだけじゃ、概念強度が足りなくてあっさり貫通されんのな。 405万!!」
「これ、こっからじゃ分からないってだけで、カヲルニキ相手にも拡散しない範囲で【穢れ】を飛ばしまくってるって事だよな? 見えない所で相殺合戦やってるって事か…… 410万!!」
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「まったく、実に失礼な連中だと思わないか?」
「うん、黒死ネキのその〝分かった上でのツッコミ待ち〟にも、いい加減慣れてきちゃったかな。だからハッキリ言うね。残当」
「クククっ、流石は歴戦のペルソナ使い。拗らせていなければ中々のコミュ強じゃないか」
「それを言われると弱いかな。けど、お陰様で確かに気は晴れて来たよ。それはそれとして、やっぱり君の事は殺さないで意趣返しをさせてもらうけどね」
「ふむ、では更にもう一押しさせてもらうとしようじゃないか」
先程からカヲルニキの執拗な狙いから守り抜いている
皆が楽しめて、悩みが解消される素晴らしい話題をな。
「……今度はどんなエゲツナイ仕込みなのかな?」
「あはははははは。そう警戒しなくても良いぞ。ちょっとした事実確認と、それに伴う予想を話すだけだからな」
通話先では先程まで競りや雑談で盛り上がっていたが、私が更に火に油を注ごうとしているのを察したのか、聞く姿勢に入った雰囲気が出来ているようだな。
では、投下するか。燃料を。
「ところで、先程このオークションで過去最高額で落札された品があったよな? スライムニキ提供の【カードハント】と【宝探し】のスキルカード*6だったか? 実にスライムニキらしい心遣いだし、それに応えてノリで過去最高額まで吊り上がったのも
「〚〚〚──────ッ!!??〛〛〛」
絶句、驚愕、衝撃、etc.etc…… 言葉は無くとも、様々な感情が入り混じっているのが良く分かるな。
ああ、カヲルニキは初耳だったか? 現在進行形で
その表情は今日一番の驚愕に染まっているな。まぁ、すぐに上書きされると思うがな。
「あのお人好し過ぎる上に責任感が強過ぎる男が、〝支援の返礼〟として提供した
「〚〚〚………………〛〛〛」
「やっべ、確かにそうだわ」「これ、絶対スライムニキが恐縮しまくっちまうヤツじぇねーか」「いや、けどスライムニキの心遣いに安値が付くとか有り得ねぇし……」
ああ、通話越しだが、案外声が拾えているな? 自分たちのノリが支援したいと思っている相手を恐縮させてしまう可能性に気付いて大慌て、と言った所か。
だが安心して良いぞ、そうはならないからな。
「で、それを踏まえた上で現状確認だ。現在出品されているカスールな、今の価格は400万を超えた所な訳だが…………
「〚〚〚──────ッ!!??〛〛〛」
絶句、驚愕、衝撃、etc.etc…… 文字にすれば同じだが、つい先ほどとは全く別の種類の感情が各自から溢れ出ているのが良く分かる。
そして、この後の展開など、容易に想像がつくと言うものだ。
〚〚〚………………〛〛〛
長いようで短い沈黙。 そして───
〚420万!!〛
〚430万!!〛
〚440万!!〛
〚450万!!〛
〚460万!!〛
〚470万!!〛
〚480万!!〛
───必要な事を理解した
「あはははははははは!! そうそう、当然そうなるだろうとも!! この『祭り』の更なるノリで事実を上書きしてしまえば、スライムニキが恐縮してしまう事など無くなるだろうからなぁ!! ……いやまぁ、元々恐縮する必要なぞ何処にも無い訳だが? おっと、大台のキリ番は貰っていくぞ。 500万!!」
「ふふふふ…………うん、もう笑うしかないかな。僕と気兼ねなく殺し合う。オークションを楽しむ。ペルソナ組の支援もする。スライムニキが気に病むのを防ぐ。一石四鳥……なのかな? 良くここまで思いつくものだね?」
「誰もが楽しめて得をするやり方だろ? 我ながら素晴らしいアイデアだと思っているよ。実際私も凄く楽しいし、この『祭り』の参加者たちも良いノリしてるしな」
「お陰で僕の情緒は滅茶苦茶だけどね?」
「あははははははは。さっきまでの拗らせシャイボーイなぞ、やってる暇すら無くなっただろ? さて、電話の向こうの愉快な連中のお陰で、いよいよ私の財布も余裕が無くなりそうだしなぁ? 今のままでも楽しいが、そろそろギアを上げようじゃないか」
これまでの戯れ合いで【魔装術・
「拗らせてる暇か……確かに、今日の黒死ネキや星祭の皆を見てたら、遠慮なんかする必要は無かったんだって思い知ったよ」
「だから、僕も使わせてもらうよ。黒死ネキが皆を巻き込んで楽しもうって言うのなら、こっちも皆からの厚意で受けて立つよ」
そう言ったカヲルニキが手にしているのは一枚のカード。
この状況と会話の流れで持ち出すのならば、恐らくは
「あははははははは。良いな、その顔。私が見たかったのはそう言う顔で、私が殺し合いたかったのはそう言うお前だ!! さぁ、殺したり殺されたり、死んだり死なせたりしようじゃあないか、カヲルニキ!!」
「君は本当にどこまでも君なんだね。正直マネ出来るとは思わないけど、今日だけはこの『祭り』に参加させてもらうよ。それはそれとして、君を殺さないのは撤回しないけどね。周りに被害を出し過ぎる訳にもいかないし」
「ああ、周辺の被害はこれからこの場を【閉鎖】するから気にしなくても良いぞ。おっと、早くも次のキリ番だな。 600万!!」
「……僕が見習うべきなのは、そう言うところなのかもね。だから、遠慮なく殺さないで決着を付けさせてもらうよ!!」
そして、黒死ネキは
誰もが振り返るような綺麗な貌に、誰もが目を逸らすような愉しそうな表情*7を浮かべて僕を見下ろしている。
これ見よがしに霊圧を高めて、あからさまに「これから大技を放つ」と言わんばかりに準備をしているね。
言いたい事は分かるよ。僕にもそうしろって事だろうね。
……これ、気を使われているのかなぁ? さっきまでの激突は地上と地上での相殺だったから、周辺に被害が出そうな大技は互いに放てなかったけど、今の位置関係は
攻撃の範囲を絞るのなら、周辺への被害は最小限に出来るし、
うん。そう言う名目で「遠慮無く殺れ」って言ってるんだろうね。いい加減そう言うノリだって事は理解出来てるよ。
黒死ネキが語ってくれた通りなら、彼女が纏っているのは【マルコキアス】の力。
彼女が【マルコキアス】との契約の際の誘い文句にしたと言う「『
そして、今まさに放たれようとしてる、あからさまな大技。
つまり、これは───
「炎の氷柱」
───【マルコキアス】を象徴する兵装の一つであり、そのグリフォンの翼に隠し持つ必滅武装。
一見すると氷柱にも見える超高温の炎の結晶で、発射の際には赤く燃え盛るとされている、言わば爆撃ミサイル。
上空でそれぞれが円陣を描くように同時に展開されていく。
僕と言う一点へ集中的に火力を叩きこむべく爆撃範囲を収束させるのと同時に、逆五芒星を描く事で相乗効果による威力の向上も果たしている。
逃げようにも、既にこの場は黒死ネキの異界の持つ【閉鎖】の概念で隔離されている。
「相手が逃げられないようにして、超火力を叩きこむ。シンプルだよね」
「まったくだ。コレは私からすれば外付けで専門外だが、クセになり兼ねない程度には愉快だな」
「専門外とは思えないような凄い火力だけどね。本当にとんでもない
「───【火炎プレロマ】【火炎ギガプレロマ】【火炎ブースタ】【火炎ハイブースタ】【火炎ガードキル】*8【黒い太陽】*9───」
「あははははははは。それがお前の代名詞か!! さぁ、見せてもらおうじゃないか!!」
うん、お気に召したら幸いだよ。
「───【ラグナロク】」*10
現世からほんの少しだけ隔離されたこの場所で、僕と彼女を上下に隔てる、ほんの少しの距離の真ん中で…………意外と響き渡る事のない爆発音が鳴った。
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「うおぉぉぉおおお!? やべぇ!! 全然影響を感じないのが逆にやべぇ!! あ、620万!!」
「今、黒死ネキとカヲルニキの大技がかち合ったはずなんだよな!? 630万!!」
「直前で黒死ネキが【閉鎖】するって言ってたけど、それを差し引いても余波無しって何だよ!? 640万!!」
「考えられるのは、二人とも示し合わせて威力は高めても余波が出ないように収束させて激突させたって感じか!? どんだけだよ!? 650万!!」
「同じ事やって見ろって言われても、めっちゃキツイな。威力もそうだけど、制御がなぁ? 660万!!」
「カヲルニキは流石の実力だし、黒死ネキも新技を自慢したがるだけあるって感じか!! マジで今度模擬戦挑んでみてぇな!! 670万!!」
「「「身の程知らず乙!!」」」 「んだと、ごらぁ!!」
自分たち修羅勢と呼ばれる実力者の中においても、最上位陣の一人に名を連ねる黒死ネキ。
そして、修羅勢とは呼ばれずとも、ショタおじを除けば最強候補として名高いカヲルニキ。
両者のいよいよ全力近くとなった激突であるにも関わらず、周囲への余波をほぼほぼ感じさせない制御力も合わせて、それが如何に高難度の業前であるのかを理解できる修羅勢からすれば「すげぇ!!」と素直に感嘆すると同時に「自分も相手したい」と盛り上がるのは当然だった。
しかし───
「(あー、こりゃこいつらは気付いて無いな)」
「(『祭り』が盛り上がり過ぎた挙句に、この激突じゃからな。さもあらんと言った所じゃろ)」
「(まぁな。俺らも一歩引いた所に居たからこそ、すぐに気付けたところもあるしな)」
───彼らの気付かぬところで、彼らにも危機は迫っている。否、既に手遅れでもあった。
「(こうなると、『祭り』が終わった時に、誰がババを引く事になるか、じゃの)」
「(ま、これも勉強だな。ノリで行動するのは悪い事じゃ無いが、注意力と危機感が足りてねぇのは問題だからな)」
「(同感じゃ。文字通り高い授業料になりそうじゃの)」
その事に気付いているセツニキとシエラ婆の両者は、小声で彼らへの評価を下すのであった。
その声色は、小声であれどどこか楽し気な雰囲気も見られるものだった。
48話 修羅共のオークション より
お読みいただき、ありがとうございます。
はい。今話で終わるつもりだったんですが、文字数が膨れ上がって来たんでまた分割です。
じ、次回こそカヲルニキとのコミュ回の〆ですから(震え声
前書きでも書きましたが、このエピソードは
Lilyala様 作 【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 の
48話目 『修羅共のオークション』 と同じ時系列となっております。
スライムニキはペルソナ組への支援のお礼に、めっちゃ頑張って【カードハント】と【宝探し】のスキルカードをセツニキたちに提供してくれています。
修羅勢的には「マジかよ、すげぇ!!」と、ノリノリで高額入札になるでしょうが、それってスライムニキ的にめっちゃ恐縮しちゃうんじゃね? と言う普通にあり得る未来予測ですw
同じく、上記作品の作中で、カヲルニキが修羅勢から譲り受けたのは何だったかな? と言うネ。
それを踏まえて、次回をお楽しみにお待ちいただければ幸いです。
・黒死ネキ(オシャレに目覚めた?)
衣装化する悪魔との相性が良ければ、専門外のスキルでも普通に行使可能。
「火炎系とはあまり縁が無いが、やって見たら面白いな、コレ」的な感じ。
ついにスライムニキまで引き合いに出したが、彼に不要な心労を負わせるとか、あっちゃならないから皆の心は一つに……なって無いけど問題無いな、うん。
さーて、今まではオクの事もあるし周りに気を使っていたけど、やっぱ実験的に最高火力ぶっぱはやりたいから一時的に【閉鎖】する事にするか。
・カヲルニキ(情緒滅茶苦茶)
歴戦のペルソナ使いは、コミュを続ける程に相手がどんな奴なのか加速度的に理解していく。
黒死ネキの考え方、価値観、趣味嗜好等々に対し、納得はできずとも理解は出来ている。
最初は気不味かったけど、遠慮する必要とか最初からなかったと、ついに納得。
クソガキのワガママに「仕方ねぇな、付き合ってやるよ」的なノリで対応。
それはそれとして、普通に情緒が滅茶苦茶にw
・修羅勢の面々(祭り好き)
まだ、彼らに降りかかる事になる危機に気付いていない。
「さて、ババを引くのは誰かの?」