【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~ 作:マカーブル
本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。
誤字脱字の指摘等も、いつも助かっております。
作中の挿絵として画像生成AIによるイメージイラストを表示しております。
AIによる生成画像に不快感を感じる方はご注意下さい。
今話はカヲルニキとのコミュ回の4話目です。先に前3話を読後の上でお楽しみください。
また、今話は 『Lilyala様 作 【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』の
48話目 『修羅共のオークション』 と同じ時系列となっております。
こちらも合わせてお読みいただけると、作中のキャラクターの経緯がより理解出来るようになります。
2話分くらいでサクッと終わらせるつもりだったカヲルニキとのコミュ回も、普通に長引いた。
書きたい事書いてて削らないからこうなるって分かってても、中々……
前回のあらすじ
『祭り』に燃料投下。スライムニキは出汁になったのだ。
そろそろミサイルぶっぱするから、ちゃんと迎撃しろよ~。
皆との友情パワーで受けて立つよ。なお、皆も『祭り』の共犯者だ。
調子こいて注意力散漫だとババ引きます。
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星祭神社の敷地内に数多く点在する訓練場。
その第13訓練場の周辺は、地表に超高熱により溶融してガラス化している箇所が所々あれど、施設そのものに大きな被害は見られていなかった。
これがどれほど異常な事であるのかは、この場で戦闘を行っていた両者を知る者であれば実感する事が出来るだろう。
同時に、最後の
あれ程の超威力の激突であれば、爆炎による残煙で周辺が
だが、
彼自身が口にした事だ。「黒死ネキと相対している最中に、急に『自然に思える事』があれば、それは『不自然な事』だ」と。
「(……黒死ネキの気配が感じられない。さっきの激突は、僕の方が少しだけ威力が大きかったはずだけど、その程度の余波で彼女が死ぬはずが無い。それに、この煙……一見すると自然発生したみたいに見えるし、そうとしか感じられないけど、
そして、カヲルニキに許された考察の時間はそこまでだった。
「死ね♪」
「───ッ!!(まさかの正面!?)」
「【獣の眼光】 【
突如としてカヲルニキの眼前に出現した黒死ネキによる必殺の一撃。
かつて、ガイア連合屈指の頑強な肉体を誇る霊視ニキにすら即死寸前のダメージを与えた一撃であり、更に今回は自身を強化しつつ相手に数種のデバフを押し付け、黒死ネキの固有スキルにより即座にデバフを最深化させる徹底ぶりである。
「(……これは、普通じゃ間に合わないし、今までの僕なら普通じゃない手段を取っても間に合わなかっただろうね)」
攻撃が成立するまでの刹那の時間。
見れば、黒死ネキは本当に楽しそうに笑いながらカヲルニキの心臓へと貫手を繰り出そうとしてる。
カヲルニキを殺そうとするその行動に、微塵の躊躇も一切の後悔も見られはしない。
だが、強いて言うなら、黒死ネキの表情には
それは───
「(……ここからでも、僕に
───目の前の
「(いいよ。君の期待に応えようじゃないか)」
攻撃が成立するまでの刹那の時間。
それは、共に高レベル覚醒者である両者にとって、ある種の永遠すら感じられる時間。
当然ながら時間は流れており、文字通りの刹那の後に、黒死ネキの貫手はカヲルニキの心臓を貫くであろう。
カヲルニキは、そんな引き延ばされた刹那の時の中、冷静さと高揚感を同時に覚えつつ、【
「───【貫く闘気】───」*4
そして、ほんの僅かな時間の流れの先の未来は───
「【■■■■■■■】」
───切られた
カヲルニキとの戯れ合いのお陰で、新衣装にも随分慣れた。
通話越しの競りも盛り上がり、そろそろ決めにかかる頃合いと言う事もあり、この新衣装のお披露目の締めくくりとして、ミサイルの試射をさせてもらう事にした。
ここで空気を読んで貰えなければ一気に興醒めだったが、そんな事は無かったから一安心と言うものだ。
折角なので現状のこの衣装で放つ事の出来る最大火力を叩き込む。
威力だけなら私と戦った【
予想通りと言うべきか、本気で相殺するつもりで撃ったのは間違いなかろうが、それでもカヲルニキからすれば全霊と言う訳では無い【ラグナロク】に押し負ける、か。
こっちは5発分を収束・相乗させて撃ったと言うのになぁ? 実に愉快な結果と言う訳だ。
専門家の面目躍如だな。とは言え、カヲルニキに【ラグナロク】を使わせる事が出来る程度には【
これが、この新衣装に対するカヲルニキの〝評価〟と言う訳だ。
「【隠蔽】及び【偽装】を発動」
そして、先程のやり取りで私を止める事が出来無かった以上、当然『祭り』はまだ続くぞ。
新衣装に対するカヲルニキの〝評価〟は得られたからな。ここからは私本来のスタイルも含めて、殺しにかからせてもらうとしよう。
これほどの爆発なんだ。爆炎で周囲が覆われるのは
私の姿を見失い、周囲を警戒するカヲルニキに敢えて正面から姿を見せてやる。
「死ね♪」
カヲルニキは一瞬だけ驚愕の表情を見せるが、すぐに切り替えて対応しようとする。
が、残念。私はお前と違って、
「【獣の眼光】 【
遠慮なく詰めにかからせてもらおうじゃないか。
さぁ、どうする? 対応出来なければ死ぬぞ?♪
「───【貫く闘気】───」
私の貫手がカヲルニキの心臓に届くまでの刹那の時間に、カヲルニキの宣言が響いた。
カヲルニキが星祭の修羅勢から託された、『
本来なら対応出来なかったであろうこの状況を、覆す為の
そして、貫手がカヲルニキの心臓に触れる、まさにその瞬間に───
「【ノヴァサイザー】」*5
───期待を裏切る事無く、
【獣の眼光】や【龍の眼光】の様なスキルに代表される、『時空属性』と呼ばれる属性が存在する。
最も有名なのは【クロノス】の様な時空神が権能として行使する、時間停止を代表とする『本物の時空操作』だろう。
他には、術者自身の超加速や、非術者の強制停止による『時を操作したも同然の結果』を顕すものや、一部の神格の持つ、あらゆる理屈を無視して『ただ自分だけが手番を得る』と言うものもある。*6
そして、カヲルニキの使用したスキル、【ノヴァサイザー】の効果は『本物の時空操作』だ。
元より、カヲルニキのペルソナである【STAR サトゥルヌス】は【クロノス】とも同一視される存在であり、『時空属性』への親和性は極めて高い。
カヲルニキはガイア連合において、ショタおじを除けば間違いなく最強のペルソナ使いであり、彼の繰り出す炎は、あらゆる悪魔や敵対者、更には概念や法則と言った実在しないものであろうと焼き尽くす事が可能である。
この『炎』は紛れも無く権能に至った彼の力だ。
主目的である某邪神『N』の焼却の為に、幾千幾万の積み重ねの果てに辿り着いた力である。
しかし、この『炎の権能』が余りにも強大であるが故に、別の弊害も発生する事となった。
ゲーム的に言うのなら、「スキルツリーの一つのルートを極め過ぎたせいで、他の枝を伸ばそうにもレベル上げやスキルポイント稼ぎがキツイ」と言った所だろうか。
「熟練度が偏り過ぎているせいで、他のスキルの熟練度が上がりにくい」も追加だ。
【ノヴァサイザー】は極めて強力なスキルである。
時を止め、超威力の万能と光の混合属性ダメージを叩き込むこのスキルは、極めればあらゆる局面で切り札として用いられる事は間違いないだろう。
実際にカヲルニキも某邪神『N』への対策として、このスキルを権能の域へ昇華しようと鍛錬していた。
しかし、上記の弊害もあり、今日に至るまでそれは為されては
無論、権能には至らずとも【ノヴァサイザー】の発動は出来る。
だが、権能に至ったスキルや術とそれ以外とでは、精度も威力も発動速度でも、僅かであれどもそこには明確な
某邪神『N』を焼く為に、切り札となるスキルを権能へと昇華したかったが、このままでは
某邪神『N』への対処として、カヲルニキは今夜にも日本を発たねばならない。
だから、まずはショタおじに相談した。
結果、星祭の修羅勢が定期的に開催しているオークションを紹介された。
そして手にしたのは【貫く闘気】のスキルカード。
スキルカードはペルソナ使いやデビルシフター等に外付けでのスキル修得を可能とする代物であり、カヲルニキも勿論使用可能である。
【貫く闘気】は本来ならば『無効』や『反射』の耐性を持つ相手を、延々と攻撃し続けた果てに掴み取る事の出来る
こうして、外付けではあるがカヲルニキは【貫く闘気】を修得し、権能の域に後一歩届いていなかった【ノヴァサイザー】を始めとした幾つかのスキルの後押しとなり、疑似的にではあるが権能行使と同様の域にまで昇華させるに至ったのである。
「……承太郎ニキ*7じゃないけど、やれやれだね。皆から【貫く闘気】のスキルカードを譲り受けていなかったら、僕は今ここで黒死ネキに殺されていたんだろうね」
時が止まった世界で、僕の心臓を貫く直前だった黒死ネキの貫手から離れて思わず安堵の溜息をつく。
彼女の
もしもこの〝停止〟が彼女自身を止める類のものだったなら、それは彼女に対する状態変化だから、あっさりと無効化されていただろうね。
そして、半権能化すら成されていない【ノヴァサイザー】だと、例え『本物の時空操作』であろうとも通っていたかは疑問かな。
強力な病毒に対して、閉鎖の甘い隔離室を用意したところで意味を成さないみたいな感じになってたかも知れないね。
「そして、悠長な事をしている暇も無いね。今の僕が止めていられる時間は精々1秒くらい。1秒じゃ身を守りつつ一撃入れるので精一杯ってところかな……」
目線を黒死ネキの左胸へと向ける。
【炎の氷柱】を撃つ為に上空へ舞い上がる直前に、彼女自身が
……これ、今から考えたら「
この短時間ですっかり黒死ネキの考えそうな事への理解が進んで、それと同時に彼女へ対する気不味さがすっかり抜けている事に気付いて思わず苦笑する。
思わずノリと勢いで彼女の希望通りにしてしまいそうで怖いけど、ここは宣言通り
「これで──────」
【サトゥルヌス】を黒死ネキの眼前へ差し向け、その左胸へ狙いを定める。
【ノヴァサイザー】は僕の専門である火炎属性じゃないけど、逆に加減がし易いからこの状況だと助かる。
黒死ネキはこの止まった時の中で、変わらずに
……まさかね?
「───終わりだ」*8
一見すると炎にも見える万能と光の混合属性の一撃が、黒死ネキの左胸へと炸裂し、その数舜後に時間停止は解除される。
その瞬間の彼女の表情は、驚愕と同時に、理解、納得、歓喜、享楽、迷い?、葛藤?、その他諸々の感情の入り混じった、何とも表現に困る表情だった。
いや、どう言う内心なんだい?
カヲルニキの心臓をぶち抜く刹那、時が止まったのを自覚した。
なるほどなるほど、【ラグナロク】、【貫く闘気】の二枚に続く三枚目の切り札は【ノヴァサイザー】だったか。
承太郎ニキは最たるものだが、カヲルニキにも『時空属性』に適性があるとは聞いていたし、これも十分あり得る事と言う訳だ。
これが私に対する直接の〝停止〟の強要の類であれば無効化出来ていたのだろうが、世界そのものへの干渉となるとそうもいかないか。私の【時空耐性】もまだまだだな。
良い機会だから、このまま超克を狙うか? その為には是非今後とも
そんなワクワクする事を考えていたら、カヲルニキは私の左胸───
ほう? てっきり攻撃ではなく懐をまさぐって
単に停止出来る時間が短く、そんな悠長な事をしている暇が無いと言うだけなのだろうが、意図的だろうと無意識だろうと、手加減していようがいまいと、そんな事はもはやどうでも良い。
カヲルニキは
それが全て。全てだ。
あはははははははは!! 停止時間中は内心でしか笑えないのが実に惜しいな!!
期待はしていたが、それ以上だ!! やはり私を殺せる奴との殺し合いは最高だな!!
それだけに本当に残念だ。この『祭り』もカヲルニキが勝利条件を満たした以上はゲームオーバーだからな。
潔く負けを認めたいところだが、正直湧き出る殺意を抑えきれる気がしないなぁ!?
おっと、そうこうしている内に【ノヴァサイザー】が私の左胸へ叩き込まれたな。
殺し合いの嗜みとして【死門敲き】*9は発動させていたのだが、この【ノヴァサイザー】は【貫く闘気】の底上げで半権能化している上に属性は万能+光の混合属性か。【死門敲き】の効果適用外だな。
と言うか、万能+光? このエフェクトでか? 普通に燃え盛る炎に見えるんだが?
私の現在の『耐性』だと、カヲルニキお得意の『火炎属性』よりも、むしろこちらの方が通りが良いまであるな。狙ったか? いや、状況的に偶々だろうな。
どちらにせよ、私を殺すに足る見事な一撃だ。いや、実際にはこの程度じゃ死なんけど。
停止時間内だから痛みは感じないが、まずスーツの左内ポケットに入れていた
スーツ自体も左半分がグチャグチャだし、左胸の肌も抉れ飛んでアバラが露出してるし、何ならそのアバラは12本中8本が半ばからへし折れて、左の肺と脾臓と膵臓と胃と腎臓に突き刺さってるな。
と言うか、心臓自体は無事だが、肺静脈と大動脈の一部が破裂してるな。一般人なら普通にショック死するだろ、これ。動脈乖離とかそんなレベルじゃ無いぞ。
後は、攻撃を受けた角度の問題か? 左腕の上腕あたりが、半ばから20cmくらいの範囲で抉れ飛んでるな。こっちも骨まで露出してるし、完全にへし折れてるか。
ふむ、
その事を自覚した途端、内から湧き出る殺意が激増するのも自覚する。
あ、ヤベ、これマジで我慢出来ないかも知れん。愉しすぎる!! 面白過ぎる!! 嬉しすぎるし、悦ばしすぎる!!
え? これでゲームオーバー? 終わらないとダメなのか? えェ~~~マジぃ~~~????
ああ、もう時間停止も終了の様だな。
漸くリアクションがとれるようになる訳だが、ちゃんと我慢出来るだろうか?
…………一発だけなら誤射かも知れない……先っちょだけならセーフ……いや、しかし……ぬぐぐぐぐ……!!
黒死ネキが【ノヴァサイザー】により受けた傷は、間違いなく致命傷である。
と言うか、即死していない方がおかしい重傷だ。
そんなダメージを〝突然〟受けたにも関わらず、黒死ネキは止まらない。
何なら、攻撃を受けた左半身をその場に置き去りにしても構わないと言った様相で、
カヲルニキはそんな黒死ネキを、内心「マジか~」と思いつつも冷静に見つめている。
そして、黒死ネキの貫手がカヲルニキの左胸に触れた瞬間───
そんな擬音が聞こえそうなほど、完全に急停止をした。
「……見事、と言うべきなのだろうな。お前の勝ちで、私の敗北だ」
「うん、そもそも勝負じゃなかったと思うけど、殺さずに君を止める条件は達成出来たみたいだね」
「クククっ、懐の
「やっぱり停止時間中でも〝見えて〟たんだね。時が動き出しても全然動揺してなかったし、動き出した途端に、そんな欲しいオモチャを必死で我慢する子供みたいな表情をしてるし」
「あはははははははは、正直今でもヤバいぞ? 割と本気でお前を殺したくて仕方ない。折角カヲルニキが私を直接攻撃する事を躊躇わなくなったと言うのに!! お楽しみはこれからだと言うのに!! これでゲームオーバーなのだからな!!」
「けど、我慢してくれるんだよね?」
「せざるを得ないからな。私は「オークションの落札額の吊り上げを止めたければ、私が吊り上げを出来ない状態にすれば良い」としか言ってないし、カヲルニキは〝
「本音は?」
「コンティニューは?」
「無いよ」
「Fuc■ing!!」
「それはそうと、その傷はそのままで良いのかい?」
「ん? ああ、見栄えが悪いし
なお、カヲルニキとこの会話をしている際の黒死ネキの左の上半身は、粗挽き肉になったスペアリブみたいな状態のままだし、何なら心臓もむき出しのままで拍動が外から観察出来る状態だった。
繰り返しになるが、間違いなく致命傷であるし、即死していない方がおかしいレベルの重傷なのである。
にも関わらず、両者ともまるで「ちょっとした擦り傷に絆創膏を貼らないでも良いのか?」程度の気軽さで会話を続けている。
これが二人が……高レベル覚醒者として
そして、宣言通り黒死ネキはグチャグチャになっていた傷口を
「それで、満足は……していないんだろうけど、納得はしてもらえたかな?」
「それはこちらの台詞だな。見当外れの迷いは晴れたのか? 可憐な少女であるところの私を身動き取れない状態にして、熱くたぎるモノ*10をぶち込んで、服を剥ぎ取って私の大事な物*11を壊して、胸の内側*12を(物理的に)暴いて、
「言い方ぁ!! 語弊を招くような真似は止めてくれないかな!?」
「あははははは。だが、事実だろう?」
「まったく、君って人は…… うん、流石にそこまですぐには吹っ切れないかな。けど、もう大丈夫だとは言っておくよ」
「結構。今後に期待出来そうで何よりだ」
「正直、もうご遠慮願いたいかな。黒死ネキとのバトルは命が幾つあっても足りないからね」
「クククっ、だが
そんな黒死ネキの言葉に、カヲルニキは苦笑しつつも確りと答える。
「全然楽しくなかったよ、クソガキ」
「おやおや、嘘は良くないぞ、シャイボーイ」
数秒の沈黙。
そして、両者は同時に笑う。
「ふふふふふふ、もう【
「あははははは、余りにも嘘が下手過ぎて、【
再びの沈黙。
しかし、両者の間に気不味さは無く───
「……ねぇ、黒死ネキ……」
「……何かな、カヲルニキ?」
「ありがとう」
「どういたしまして」
───種類は違えど、確かな〝納得〟がそこにはあった。
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│以下、エピローグと言う名の蛇足
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目の前で這いつくばる銀髪の人物を眺めながら考える。
あり得る事ではったが、実際にこのような事態になる可能性は低いと思っていた。
しかし、現実は無情であり、可能性が低くともあり得る事は起こり得る事と同義だ。
「………………」
伏してこちらの言葉を待っているのであろうその様を横目に、自分が提示できる選択肢を構想していく。
相手への同情? 特に無いな。これは自業自得の結果でしかない。
今、自分がすべきは、したい事は、『どんな選択肢を提示すれば、より面白い結果になるか』だ。
「さて、どうしたものかな?」
「──────っ!!」
おいおい、そんなにビクつく事は無いだろう? とって喰う訳じゃあるまいし。
「とりあえず確認しておくか。結局落札額は幾らになったんだ? なぁ───」
「───ジャンヌネキ」*13
「え、えーと……そのぉ……何と言うか……」
前世のライトノベル作品である『緋弾のアリア』を『原作』に持ち、同作の登場人物である『ジャンヌ・ダルク30世』のガワをした銀髪の少女。
前世が男性のTS転生者組の一人でもあるジャンヌネキは、土下座の姿勢のままこちらを見上げ、言い辛そうに口ごもりつつも、やがて観念したのか私の質問に答えた。
「えっとね、皆、『祭り』のノリのまま突っ走っちゃって……我に返ったのが、俺が勢いで777万マッカって入札した時でね……?」
「ああ、私が【
「あ、うん、俺たちはヒートアップしてた時は気付かなかったけど、後で聞いたらセツニキとシエラ婆はすぐに気付いて、さっさと傍観者モードだったって……」
「ふむ、流石の年の功か。大方、注意力と危機感の足りなさを実感させる為、辺りの理由だろうな」
「あ~……確かにそう言ってた」
「で、ノリで突っ走った結果、意気揚々とキリ番入札をして、結果的に周りを少しクールダウンさせて、私との通話が既に途切れていた事に気付かせてしまい、お前はそのままババを引く事になった、と?」
「うぐぅうううううぅぅぅ!!」
「で? 折角落札した
「つ、ついこの前、アイスソードをアップグレードしちゃってて…… それで、その……財布が軽くなってて……」
「把握した。その分だと、セツニキとシエラ婆からは既に説教済みか。他の連中も偶々ババを引かなかっただけの様だし、ジャンヌネキと似たようなものだろうな」
「あっ、はい」
「まぁ、買い取る事自体は構わんぞ。元々どれだけ高くなろうと落札するつもりだったしな。ただし……分かってるよなぁ?」
折角のこちら側が完全有利な条件での〝交渉〟なんだ。遠慮無く吹っ掛けさせてもらおうじゃないか。
人情? 友情? ナニソレ、オイシイノ?
と、冗談はさておき、実際に
やらかしておいて何の痛みも無くて済む等、
この分だと、私も審査対象なのだろうな。ジャンヌネキに適切なペナルティを課せるかどうか、か?
あの
「あ、あの~~~? 手心加えてくれたりとか……?」
「(ニッコリ)」
「ぴえん (´;ω;`)」
こうして、私にとっての『原作』再現アイテムである『454カスール オートマチック』は、私の手に渡る事となった。
サイズで言えば、私の手には大きすぎるのだが、不思議と手に馴染むし取り回しも問題無い。
初めて手にするにも関わらず、長年愛用して来たかのように扱える。
良いな、これ。私にとっては初の自前ではない装備品だが、これなら長く使っていけそうじゃないか。
ああ、それにしても今日は良い日だ。
オークションは楽しめたし、カヲルニキとも戯れ合えたし、今後は気兼ねなく殺し合えそうだし*14、良い品も手に入ったし、〝貸し付け〟と〝取り立て〟も楽しめそうだ。
「あはははははははははははははははははは」
「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」
おいおい、そんなにビクつく事は無いだろう? とって喰う訳じゃあるまいし。
前衛よりの氷結系特化型の修羅勢にして、【堕天使 クロケル】のドロップ品である『アイスソード』のドロップ周回厳選ガチ勢。
お読みいただき、ありがとうございます。
はい、カヲルニキとのコミュ回、最終話をお届けいたしました。
お楽しみいただけましたら幸いです。
今回のエピソードでは独自設定てんこ盛りでしたね。
Lilyala様のところの 48話目 『修羅共のオークション』を背景に出来たエピソードなのですが、カヲルニキが【貫く闘気】を修得出来ておらず、ニャル対策にスキルカードを使ってでも修得したい理由って何ぞ? と言う所から話が膨らんだ感じです。
・カヲルニキは『ペルソナ2』の周防達哉ポジだし、【サトゥルヌス】の【クロノス】との同一性や『黒い太陽』の異名を考えれば、切り札として【ノヴァサイザー】があっても不思議じゃない。
・【ノヴァサイザー】は『火炎属性』じゃないし、実は権能化まではしていないのでは?
・なら、【貫く闘気】を求めたのは、権能化の後押し的な?
と言う感じに妄想と言う名の独自設定がですね?(ォ
黒死ネキVSカヲルニキを書いていて思いましたが、毎度の事ですが『どちらも貶めずにカッコ良く描写する』ってクッソ難しいんですわ!!
色々と互いに縛りプレイしてもらって、ようやく多少は説得力のある形になったかもです。
と言うか、この二人に縛り無しで全力戦闘とかさせたら即ショタおじ案件だし。
前話の冒頭で黒死ネキに土下座してたのは、今話で描写した通りジャンヌネキです。
理由は本文の通りw
何でジャンヌネキがババ引いたのかと言うと、同じ銀髪だし、カヲルニキが黒死ネキに土下座してる!? ってミスリーにワンチャンならんかな? とか言う巫山戯た理由……だけじゃなく、初期修羅勢の中で宵越しの金を持ってなさそうで、調子こいて痛い目見そうな印象もあったし、後はイラスト化した時の映え具合?(マテ
読者の納得できる描写になっていれば幸い。
さて、次回からはようやく『恐山攻略編』です。
これ、カオ転時空的には序盤のイベントの筈なんですが、辿りつくまですげぇ時間かかりましたね。
そして、このエピソードでようやく、本当にようやく黒死ネキの『根源』を描写します。
読者の予想を外しつつ、その上で納得してもらえるように頑張る所存。
楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。
・黒死ネキ(貯蓄:約2千万マッカ)
実はまだまだ財布は余裕だった。普段使う当てとか、稼ぎの割にあんまり無いし。
今回も好き勝手の限りを尽くして概ね目的を達成。
カヲルニキがやる気を出してくれたおかげで、湧き出る殺意がヤバかったが何とか我慢した。
内心は、トイザらスでオモチャが欲しいと駄々こねてるガキだったけど。
ジャンヌネキとは遠慮なく不平等契約を締結。清算までは楽しませてもらうぞ。
作中では描写しなかったけど、カヲルニキには餞別で【閉鎖】のスキルカードをプレゼント。
「粗大ゴミを燃やす時は密閉してから燃やすべきだろう?」
・カヲルニキ(情緒滅茶苦茶)
COOPが解禁されました。『
コミュ時間自体は大して長くないが、内容が濃すぎたせいで一気に三段階UP。
互いの絆(?)は深まったが、お陰でカヲルニキの情緒は滅茶苦茶にw
もしRANK10まで上げちゃうと、黒死ネキと価値観が共有出来ちゃう超危険なCOOPだったりするw
「このクソガキ、いちいち悩まず燃やして良いんじゃね?」と言う開き直りまでもうちょっと。
かと言って、ホントにそうなったらクソガキの思う壺だから、むしろ殺さずに条件達成での勝利を狙う方向に舵を切るかも知れない。
今回は邪悪なクソガキの策略を、仲間との友情パワーで乗り切った。なお、その仲間はクソガキの共犯であるw
作中では描写しなかったけど、黒死ネキから餞別で【閉鎖】のスキルカードを貰った。
「え? ちょっと何で!? ちょっと揶揄うだけのつもりだったのに、逃げられないんですけど!?」
「うるせぇ、死ね」
「あじゅあぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
・ジャンヌネキ(破産しない為に財産処分)
注意力と危機感の足りなかった連中の中でババ引いた人。
一応、金銭的な意味ではカスールを黒死ネキが買い取ったので損はしていない。
『祭り』に乗ったのは自分の意志だし、黒死ネキはちゃんと【閉鎖】を宣言しているし、直前にちゃんとその時点の最高額で入札もしている。この時点で文句を言う権利は無い。
この結果が自己責任である事は理解しているので、セツニキとシエラ婆からの説教は受け入れざるを得ない。
それはそれとして、黒死ネキから課されるペナルティには戦々恐々。
「あの、俺何されんの?」
「(ニッコリ)」
「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」