【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~   作:マカーブル

71 / 74
 
 本作をお読みいただき、たくさんのお気に入り登録やご感想をありがとうございます。
 誤字脱字の指摘等も、いつも助かっております。

 作中の挿絵として画像生成AIによるイメージイラストを表示しております。
 AIによる生成画像に不快感を感じる方はご注意下さい。


 今話より、ようやく『恐山攻略編』が開始されます。
 また、今エピソードにて、ようやく『黒死ネキの根源』の描写を行う予定です。
 『黒死ネキの根源』が何であるのか、宜しければ予想しつつお楽しみいただければ幸いです。
 


第50話 恐山攻略編① 悩みが解消されたのなら、誰でも気分が良くなるものだろう?

 

「クククっ、ついに……ついにこの時が来たか!!」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「あー、喜んでくれたみたいで良かったよ。それで、着心地はどう?」

 

「素晴らしい!! 実に素晴らしいぞ!! 久しく忘れていたからな、()()()()()()()()()()()と言う行為と感覚は!!」

 

「あー、うん。アタシは幸い大丈夫だったけど、碌に着れる服の無い系の人って大変だろうなーって思ってたから、自分の技術の向上を実感できたのは良かったよ」

 

「こちらもお前が居なければ、今まで通り自前で生成した衣装と言う名のスキルを纏うしかなかったからな。世辞ではなく本気で感謝しているぞ、なあ───」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「───アラクネキ」*1

 

 

 

 ここは星霊神社の一室。

 ショタおじが悪戯心で作った、一度は自力か偶然によって辿り着かないと決して辿り着けない隠し部屋である。

 この部屋を知るのは、ショタおじがこの部屋を作る以前からガイア連合に所属している最初期組か、星霊神社を真面目に探索した人間に限られている。

 

 アラクネキは最初期組の一人であり、この部屋の存在を知っていた。

 黒死ネキは最初期組では無いが、普段から自分の分身体をショタおじによる『式神にコアを組み込む降魔作業』のサポートとして派遣する傍ら、星霊神社内の行動可能範囲は常に把握しているので、この部屋の存在は把握している。

 

 何故わざわざ隠し部屋を使用しているのか?

 理由は単純。アラクネキの落ち着ける時間を確保する為である。

 彼女が迂闊に出歩けば、何とかして直接依頼をしようとする有象無象に群がられるので、よくこうして隠し部屋へと避難しているのである。

 

 アラクネキは戦闘系ではなく、製造系の才能に特化した『俺ら』であり、そのスキルはまさに唯一無二と言う言葉が相応しい物である。

 

 『悪魔の素材(フォルマ)を糸に変え、布を織り、服を縫う事が出来る()()のスキル』

 

 それがアラクネキのスキルにして、つい先日権能へと至った彼女だけの才能。

 このスキルに価値を見出せない者は、即座に無能以下の塵芥であると断じられるであろう。

 そして、価値を見出せる者からすれば、アラクネキはあらゆる犠牲を払ってでも確保すべき対象であり、戦うしか能の無い者からすれば、有事の際には命を賭けてでも保護すべき対象なのである。

 

 そして、黒死ネキもアラクネキの価値を正しく理解している者の一人だ。

 何せ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだから。

 

 黒死ネキはガイア連合に所属し、星祭神社の本殿を利用する資格を得て、修羅勢を始めとした多くの『俺ら』と交流する過程でアラクネキの存在を知った。

 アラクネキは製造系の『俺ら』であり、積極的に戦闘に参加してレベルを上げると言うよりも、素材採取の為に異界に潜った結果として、少しずつレベルが上がっているタイプである。

 多くの製造系の『俺ら』が全体攻撃魔法が飛んで来るあたり*2でレベル上げを挫折する中、素材の納品待ちを良しとせず、修羅勢を始めとした戦闘系の『俺ら』が戦闘している横で採取結果に一喜一憂するような、ある意味修羅勢と同様のメンタルをしているタイプでもある。

 

 そんなアラクネキに修羅勢は好意的であり、自分たちが狩った悪魔の素材を無償で融通したりしており、アラクネキも融通された素材を用いる事で、その技術を目に見えて向上させ続けている。

 

 

「にしても、今のアタシのレベルじゃ、()()()()()()()を扱うのにギリギリって所だね。今回のそれも、ようやくインナーくらいなら作れるようになったって程度だし」

 

「それでも十分だとも。私と他の衣服や装備の間に、『私の【穢れ】で死なない衣服』がある。それが重要なのだからな」

 

「あー、確か黒死ネキの身体と衣装って【魔装術(スキル)】で作られてるから、他の衣服や装備品を身に着けるって行為は【同化】*3スキルで肉体の内側に取り込むのと同じなんだったよね。で、黒死ネキに宿ってる【穢れ】が余りにも高純度なせいで、取り込む先から殺しちゃうと。アタシが量産してた修羅Tシャツとか*4も、その犠牲になったんだっけ?」

 

「一度試してみた時は、スーツのインナー的な形で【同化】して即座に()()()な。……あれは正直思い出したく無いな。スーツの内側でインナーが壊死してドロドロに崩れ落ちて霊核にへばりつく感覚とか」

 

「うわぁ、えっぐ……」

 

「だが、そんな悩みとも今日でおさらばだ。()()()()()()()()()()()()であれば、私の【穢れ】で死なないのが道理であり、それによる『着衣』と言う概念が成立している以上、その上から着る衣服にも、それらは同様に成立するからな」

 

「話を持ち掛けられた時は「なるほど」と「そんな無茶な」が半々だったよね。レベルが上がるのと、〝裁縫〟の腕が上がるにつれて「出来そう」になってくのが実感出来たけどさ。最初はマジでビビったわ。着られる服が無くて悩んでた連中が押し寄せて来た訳だし」

 

「私は【穢れ】だったが、【イフリート】とか【雷獣】的なデビルシフターやアウトサイダーも普通にいるしな。アラクネキの存在を知ったのなら、然も有りなんと言った所だろうとも。それに、何だかんだ楽しかっただろ? 〝パワーレベリング〟は?」

 

「まぁ、アタシが自分のペースでレベル上げすんのを待ってたら、『素材』を扱えるようになるのが何時になるのか知れたもんじゃなかったってのは分かるけどさぁ? 来る日も来る日も悪魔変身系の修羅勢が集まって、九割殺しにした悪魔相手に戦闘させられたり、トドメ刺させられたり、山の様な素材を積まれて〝裁縫〟技術の向上を促されたり? 至れり尽くせりだったのは分かるし、実際に星祭神社の利用資格も取れちゃったけどさぁ? 背中押されながらマラソンしてた気分だったわ」

 

「急かしたのは事実だが、それで自分の技能を権能の域まで持って行ったのは、間違いなくアラクネキの実力だ。そこは誇って良いだろうさ」

 

「まー、そう言う事で納得するよ。実際、〝()()()()()〟から、次からはそっちのレベルがどんだけ高くても、()()を糸にしてみせるよ。『権能への認識』ってこう言う事なんだね。マジで実感できたわ~」

 

「自分の才能を理解し実感する。数えるのも認識すらも忘れて、呼吸同然に『当然』とする。気付いた時には『当たり前』になっているし、その分の余裕が更なる『当然』となって行く。言うだけなら当たり前の事だが、霊格(レベル)上げも含めて言うは易しの典型だからな。今後も期待しているぞ」

 

「まぁ、アタシもここまで世話になっといて、お返しもしないような恩知らずじゃ無いよ。まずは黒死ネキのアイデア通り、インナーから作って他の装備も重ね着出来るようにするって方向かな。……ってか、そう言う方針になった途端に、()()()()()()()()()()()素材として提供する連中で溢れ返るあたりがマジで修羅勢だよね。全然躊躇しないんだもん。おかげで、アタシの工房が猟奇殺人現場よろしくなってんだけど?」

 

「それだけ服を着ると言う行為に飢えていた連中が多いと言う事だろうさ、私も含めてな」

 

 

 デビルシフターやアウトサイダーの様に人間から悪魔へと変身する異能者は、普通に服を着ていただけでは変身の際の体格の変化により、その都度服を破損させてしまう。

 そこで、彼ら用の衣装としてスキルの【自動調節】*5や【同化】*6が組み込まれた衣服が開発され、多くの者の悩みは多少は解消されたが、一部の者の問題解決には至らなかった。

 

 黒死ネキの様な超純度の【穢れ】を宿す者や、【イフリート】や【雷獣】の様に存在そのものが破壊エネルギーの擬人化の様な者は、【同化】する事によって自身の内部に衣服を取り込んだ際に、その衣服を終わらせてしまう。

 溶解液や炎の中に布を放り込めば、溶かしたり燃やしてしまうのは自明の理である。

 

 ならば、最初から【穢れ】や【炎】や【雷】を素材に衣服を作れば良い。シンプルな話だ。

 シンプルだが、普通は実現など出来はしない。だが、ここに普通ではない才能を持った者が居た。

 そして、特別な才を持つ者(アラクネキ)はその技術を向上させ、ついに悩める者たちの望む衣装を織るに足る実力に至った。

 

 ならば次に用意するのは()()()()だ。

 ()()が纏う衣装に最も相応しい素材は何だ? 決まっている、()()()()だ。

 どうやって用意する? 簡単だ。()()()()()()()()()()

 躊躇? するはずも無い。気兼ねなく着られる衣装が手に入るかどうかの瀬戸際なんだぞ!?

 

 こうして、アラクネキの工房には、日々、自分自身を切り刻んで素材として持参するガンギマリどもで溢れ返る事となり、素材の保管も含め、彼女の工房はヒトの肉片に塗れた猟奇殺人現場同然の有様となっているのである。

 もちろん、黒死ネキも素材を持ち込んだ一人だ。と言うか、筆頭だ。

 専用式神(チャイカ)の制作依頼と同様に、自身を数十人分圧縮加工し、MAGと情報を抽出した黒い箱*7として提供している。

 

 そして、依頼をして待つ事数日。

 生まれた時から今日に至るまで、服らしい服など着るに着られなかった約2年間とは、これでおさらばだ!!

 黒死ネキや悩みを抱える悪魔変身系の俺たちのテンションが上がるのも、当然と言えば当然なのであった。

 

 

「黒死ネキが持参してくれた『素材』ってさぁ、最初っから『後は糸にするだけ』って所まで、ほぼ加工済みだったんだよね。情報処理も完璧だったし。他の依頼人よりも時間が取れたから、依頼された分以外にも何種類か作って来たよ。良かったら試着してく?」

 

「おお、ますます素晴らしいな!! もちろん全て試着させてもらうぞ!!」

 

「えっとね~、まずコレが……」

 

 

 こうして星霊神社の隠し部屋にて、突発的なファッションショーが開催される事となったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ショタおじの話だと、あの黒死ネキ(クソガキ)は例の隠し部屋に居るらしいが、何してやがるんだか……」

 

「一度は自力か偶然によって辿り着かないと決して辿り着けない隠し部屋だっけ? これって、今は案内して貰ってるけど、次からはアタシが自力で辿り着けなきゃ、もう辿り着けないって感じ? 神主さん、酔狂なモン作ってるよね~」

 

「本人曰く、悪戯心で作った隠しスポットだとよ。軽く言ってるが、俺の【目】でも一回辿り着くまでは〝見えなかった〟代物だからな。仕組みを考えるにしても、今の俺らじゃ何もかもが足りねぇよ」

 

「うーん、この……って、そう言えば、神主さんも「必要になるだろうから」って言ってた黒死ネキってどんな人なん? やっぱ強いん?」

 

「あ~~~……正直、あのクソガキの事は一言で言い表すのは難しいな…… とりあえず、強さって言うか、『殺しの性能』は俺らの中でも頭抜けて高いな」

 

「何、その物騒な表現!? え? そんなヤベェ人なの?」

 

「ヤベェ奴なのは間違いねぇな。まぁ、初対面の奴にいきなり殺しにかかるって訳でも……無いよな? まぁ、多分大丈夫だろ」

 

「いや、すっげぇ不安になるんだけどぉ!?」

 

 

 そんな会話をしつつ、その二人は星霊神社の廊下を歩いていた。

 向かう先は『隠し部屋』であり、目的は黒死ネキに会う事だ。

 

 先を進むのは、白いスーツを着こなした、厳ついスカーフェイスの筋骨隆々の巨漢。

 後に続くのは、豊かな灰色の髪を頭の両サイドで三つ編みにした巫女服の少女。

 

 ガイア連合は組織の規模が拡充するにつれ、各地からの依頼を受け地方へ遠征する者も多くなってきた。

 そこで、ガイア連合としては転生者による寄り合いサークルの枠を超え、今後は地方の霊能組織との繋がりを作っていく方針と決定している。

 その最初のケースとして、白いスーツの巨漢、霊視ニキが代表となり、日本三大霊地の一つである青森県むつ市に位置する『恐山』のイタコの里との提携が成される事となった。

 

 恐山。

 日本三大霊地の一つにして、かつては多くの強力な霊能者を擁していたこの地も、戦時と戦後のメシア教による有力な霊能者の根切りや祖霊の封印等々の結果、見る影もない程に衰退する事となった。

 それでも、地方であるが故に根切りも他と比べ徹底はされておらず、あくまで『他と比べれば』ではあるものの、多少は地方各地の霊障への対処は行えていた。

 だが、昨今のGPの上昇や霊地の活性化、霊的才能の先細りによる人員不足の加速に伴い、「最早限界である」との判断と覚悟の元、近年突如として台頭してきた民間組織、ガイア連合へと助けを求める事を決めたのであった。

 

 地方組織との繋がりを作りたいガイア連合。()()組織に助けを求めたい恐山。

 両者の利害は一致し、ガイア連合側からも恐山側への援助として、『大型異界:恐山』を始めとする中小数十の周辺異界を開放・殲滅する事が決定した。

 

 その為に必要なのが、質と量。すなわち、『大勢の強い霊能者たち』だ。

 地方の中小の異界を潰すと言う事自体は、ガイア連合における一定以上の強者、特に修羅の名を冠する者たちであれば大した苦も無く可能な事だ。

 しかし、一つの異界を潰すのに時間をかけている間に別の遠く離れた場所に別の異界が発生するのも、昨今のGPの上昇や霊地の活性化を鑑みれば良くある事なのである。

 ならばどうする? 新たな異界の発生よりも早く、既存の異界を潰し尽くす。シンプルな理屈だ。

 それに、攻略が容易な異界はあくまでも中小規模のモノであり、大本たる『大型異界:恐山』は、例え修羅勢であろうと攻略は覚悟を持って臨まねばならないだろう。

 

 言ってみれば、新進気鋭の冒険者ギルドが、地方に支部を作る為に地方組織と提携するにあたり、現地に湧きまくっている管理出来ていないダンジョンを潰す為に、凄腕の冒険者を多数派遣すると言う構図だ。

 実際、この説明で修羅勢(脳筋ども)は納得した。それはもう、ビックリするほどあっさりと。

 何なら「この世界はナーロッパだった!?」「俺らは高ランク冒険者!?」「やっべ、二つ名とか名乗っちゃう!?」と、将来の黒歴史一直線な会話も飛び交った。大丈夫か、こいつら?

 

 霊視ニキは恐山側との交渉の責任者であり、今回の提携───実質的には恐山側がガイア連合の庇護下に入る形ではあるのだが───に当たって、異界潰しの為の実動員として修羅勢の協力を求める為に、盟主であるショタおじに報告、相談をした結果、「星霊神社の異界の対応は俺がやるから、必要な人数を連れてって良いよ」と快諾を得た。

 強さに関しては文句の無い者たちの助力を得る事が出来る。これは間違いなく朗報である。

 

 しかし、同時に何人か「連れて行った方が良い」と、占術を基に直接指名された者たちもいる。

 これはつまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()事を意味する。

 ショタおじ(超越者)の占術とは、半ば確定された未来予知も同然なのだから。

 

 黒死ネキはそんな「連れて行った方が良い」とされた面子の一人であり、今まさに霊視ニキは事情を説明するべく会いに向かっているのである。

 

 

「(選りに選ってあのクソガキか……強さに関しちゃ文句なんぞありゃしねぇが、()()()()()()()()()()()()()が、ほぼほぼ確定されてるってのが不安の種だな……)」 

 

 

 黒死ネキが必要となる様な事態。

 

 彼女を知る全員が、穏当に事が済む未来の可能性を諦めるであろうフレーズが、霊視ニキに重くのしかかっていた。

 

 

「……っと、ここだな」

 

 

 色んな意味で前途多難な未来にゲンナリしつつも、目的の隠し部屋の襖の前に辿り着く。

 ショタおじ製の隠し部屋であるが故に、部屋の内側は霊視ニキにもおいそれとは〝視〟えない為、内部の様子は伺い知れない。

 その為、霊視ニキは素直に室内に居るであろう黒死ネキへと呼びかける。

 

 

「黒死ネキ、居るか? 花山だ。お前に頼みたい事があるんだが、今は大丈夫か?」

 

「ん? 霊視ニキか? お前が私に頼みとは珍しいな? ああ、入っても大丈夫だぞ」

 

「そうか、それじゃあ失礼するぜ」

「え? ちょ?」

 

 

 黒死ネキから返って来た返事を受け、霊視ニキは特に警戒する事無く襖を開ける。

 それと同時に、部屋の中から他の誰かの戸惑うような声が聞こえたが、その時には既に襖は開け放たれ、室内の光景は霊視ニキのとても良く〝視〟える【目】に飛び込んで来ていた。

 

 そう───

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 ───アラクネキ製の黒いネグリジェを纏った黒死ネキが。

 

 

「は? 何で寝間着なんだよ?」

 

 

 普段の黒フォーマルスーツとは大きく異なり、その白い肌を惜しげも無く露出している。

 肌に吸い付く極薄の布地は、彼女の肢体の描く美しい曲線をさらに強調している。

 常に浮かべている享楽的な表情は、心なしか満足そうに緩んでおり、彼女の人外じみた怪しい魅力を際立たせている。

 もしこの光景を絵画として切り取る事が出来たのならば、多くの者たちを惹きつける名画として長く称えられる事になるだろう。

 

 

「ああ、アラクネキに頼んでいた品だ。素晴らしい出来だぞ」

 

「黒死ネキ、霊視ニキが言いたい事はそこじゃないと思うよ? 別に良いけどさ~」

 

「……あー、何となくだが事情は分かった……」

 

 

 黒死ネキ本人は、自身の肌を他者に晒す事に羞恥心など覚えはしない。

 アラクネキも一般的な感性から「寝間着姿のまま男性を部屋に招き入れるのか?」と戸惑っただけであり、当人が気にしていないなら別に構わないと割り切るタイプだ。

 そして、霊視ニキは予想外の黒死ネキの姿に戸惑いはするも、だからと言って慌てふためく様なウブでは無い。

 

 何だかんだと付き合いの長くなって来ている三人からすれば、特に慌てふためく様な場面でも無いのである。

 

 

 だが───

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 ───付き合いの浅い者からすれば、この光景は───

 

 

 

「ん? 見ない顔だな? 隠し部屋(ここ)へ連れて来たと言う事は、新入りか?」

 

「ああ、こいつは───」 

 

「れ、霊視ニキがラッキースケベ野郎にぃぃいいいいぃぃぃ!!!!」

 

「───ッて、おい!!」

 

 

 

 ───普通に事案なのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 【緊急事態】美少女の着替えを覗いたラッキースケベ野郎【拡散希望】

 

 

 

 

1:イタコ

事案発生!! 事案発生!! 今、美少女の着替えを覗いたラッキースケベ野郎が!!

 

 

4:名無しの転生者

ガタッ!!

 

 

6:名無しの転生者

おいおい、マジかよ男の風上にも置けねぇな

 

 

8:名無しの転生者

落ち着け、まずは状況確認だ

で、着替えを覗かれたって言う美少女って誰よ?

あと、その時の格好は? 

 

 

9:名無しの転生者

おい、真っ先に聞くのがそれかよ!?

 

 

11:名無しの転生者

こいつ自分の欲望を隠す気ねぇじゃねーか!!

 

 

14:名無しの転生者

はいはい、通報通報

で、加害者と被害者が誰なのかって分かるの?

勿論被害者が名前を出すのを嫌がってるなら言わなくても良い

 

 

16:イタコ

加害者は霊視ニキ!!

何か、信じられない程顔の整ってる美少女が着替えてる部屋に入って事案発生だよ!!

 

 

17:名無しの転生者

は?

 

 

18:名無しの転生者

霊視ニキが? 何かの間違いじゃねーのか?

 

 

19:名無しの転生者

いや、ねーだろ

性癖に従って作った式神のモーさんと戦友関係になっちまうような漢だぞ?

 

 

22:名無しの転生者

何だ、釣りかよ

 

 

25:名無しの転生者

クソスレ立てて吊りとか、暇人乙

 

 

26:名無しの転生者

霊視ニキが覗き? (ヾノ・∀・`)ナイナイ

 

 

28:イタコ

マジなんだって!! アタシもその場に居たんだから間違いないって!!

霊視ニキに案内されて付いて行った先の部屋で、丁度着替えてた超のつく美少女のくっそエロいネグリジェ姿をガン見よ!!

 

 

31:名無しの転生者

ガタッ!!

 

 

33:名無しの転生者

・・・・・・くっそエロいネグリジェとな? ……色と丈は?

 

 

34:名無しの転生者

おい

 

 

37:名無しの転生者

欲望に正直すぎる奴おるやん

 

 

40:イタコ

>>33 色は超せくすぃ~な黒で、丈はお尻が見えるか見えないかのギリッギリ!!

アレは同じ女のアタシでも見惚れちゃうね!!

 

 

42:名無しの転生者

ごきゅり……

 

 

44:名無しの転生者

ま、まさか霊視ニキはイッチに見せつけようと……ってイタコ?

もしかして昨日新人スレでやたらテンション高かった新人か?*8

 

 

45:名無しの転生者

ああ、確か恐山産の俺らだっけ

 

 

46:名無しの転生者

産言うなし

ああ、霊視ニキと一緒に居たのってそう言う事か

確か恐山との交渉の責任者だったよな、霊視ニキ

 

 

49:イタコ

昨日はひっさしぶりに文明の光に触れたわ

んで、今日は霊視ニキと一緒に行動してたから、アタシの証言に間違いなんて無いんだって

 

 

52:名無しの転生者

え? って事はネタじゃ無くてマジなん?

霊視ニキ、やっちまったのか?

 

 

54:名無しの転生者

見た目が筋モンだからって、ついにポリスメンの世話になっちまうってのか!?

 

 

56:名無しの転生者

そう言えば、エロいネグリジェに気を取られてたけど、霊視ニキにラッキースケベられたのって誰なん?

いや、もちろん無理にとは言わんが

 

 

58:イタコ

年の頃はアタシと同じで中学生くらいかな

そんで、めっちゃ綺麗な黒かm

 

 

59:名無しの転生者

ん? どうした?

 

 

62:名無しの転生者

書き込み途中で落ちた?

 

 

64:★黒死病

ああ、そいつなら霊視ニキに口封じされてるぞ

 

 

65:名無しの転生者

こッ!?

 

 

68:名無しの転生者

ちょ!? 何でこんなスレに黒死ネキが!?

 

 

71:名無しの転生者

アイエエエエ!! 口封じ!? 口封じ何で!?

 

 

73:名無しの転生者

ま、まさか霊視ニキはマジで目撃者の口封じを!?

え? これって知っちゃった俺らもヤバいやつ!?

 

 

74:★黒死病

ふむ、自分の社会的立場を守る為に『噂』を防ごうとするのは当然の行動と言えばそうかもな

変な形で『現実化』したらオモシロそう……もとい、問題だろうしな

まぁ、霊視ニキが可憐な美少女の寝間着姿をその目にしたのは事実だが

 

 

77:名無しの転生者

事実!?

 

 

80:名無しの転生者

まさかの確定情報!?

 

 

81:名無しの転生者

いや待て!! この流れで黒死ネキからの確定情報って事は、ひょっとして……

 

 

 

82:★黒死病

察しの通り、霊視ニキは私が着替えている最中に部屋の中に入って来て、一切躊躇する事無くその目に私の姿を映s

 

 

85:名無しの転生者

被害者はまさかの黒死ネキ!?

 

 

88:名無しの転生者

霊視ニキのまさかの本性!?

 

 

91:名無しの転生者

確かに有り得ないくらい美少女だけど、マジかよ!?

 

 

93:名無しの転生者

ん? 黒死ネキも書き込み途中で落ちた?

・・・・・・って事はまさか……

 

 

96:★霊視

お前ら、揃いも揃ってある事無い事書き込んで巫山戯てんじゃねぇぞ!!

 

 

98:★黒死病

おやおや、酷いじゃないか霊視ニキ

事実を正しく伝えようとする可憐な美少女の頭を殴り砕くとか

お陰でまた一つ、私のオモシロ死因のコレクションが増えたな、ありがとう

 

 

99:名無しの転生者

殴り砕く!?

 

 

100:名無しの転生者

え? まさかの殺人事件!?

 

 

103:名無しの転生者

ってか、オモシロ死因て……

 

 

104:★霊視

ここぞとばかりに悪ノリするクソガキどもがよぉ!!

つか、殺されたってんなら素直に死んどけよ

何事も無かったみてぇにヌルっと蘇生しやがって……

 

 

105:★黒死病

それにしても、あの新人とはずいぶん扱いが違うじゃないか?

あっちは単に気絶する程度に撫でられただけだと言うのに、私は首から上が消し飛んだのだが?

ほら、アラクネキも呆れているじゃないか

 

 

106:裁縫師

いや、アタシが呆れてんのはソコじゃないんだけどさぁ?

 

 

108:★霊視

思い込みと勢いだけの奴と、悪ノリ故意犯とじゃ罪の重さが違うだろうがよ

 

 

111:★黒死病

解せぬ

 

 

113:裁縫師

いや、残当でしょ

 

 

114:名無しの転生者

あのー、結局これってどういう状況なん?

アラクネキまで関係してるん?

 

 

115:裁縫師

ああ、んじゃアタシから説明するわ

 

 

 

──────────

 

────────

 

─────

 

 

 

255:イタコ

アタシは目が覚めた

 

 

257:名無しの転生者

おはよう

 

 

261:名無しの転生者

おはよう

 

 

263:名無しの転生者

おはよう

 

 

266:★黒死病

おはよう、活きの良い新人が来たようで何よりだな

 

 

268:★霊視

活きが良すぎて、また頭痛の種が増えてんじゃねぇか……

 

 

270:裁縫師

事の経緯は過去ログ読んでね

別にあんたが勘違いしたみたいな事は無いから

 

 

271:イタコ

読み読み……んー、確かに?

単に気の置けない知り合いってだけで、事案って訳じゃ無さそうじゃんね

 

 

275:★黒死病

それにしても、また将来有望なのを拾って来たじゃないか、霊視ニキ

お前が撫でた時に少しだけ〝見えた〟が、死霊術士(ネクロマンサー)人形遣い(ドールマスター)としての素質が私以上で、本人の気性も()()()()とはな

今後が実に楽しみだ

 

 

279:名無しの転生者

あっ

 

 

282:名無しの転生者

察し

 

 

285:名無しの転生者

ご愁傷様

 

 

286:名無しの転生者

お労しやイタコネキ

 

 

290:名無しの転生者

なまじ才能値がスゲェばっかりにこんな結果に……

 

 

292:イタコ

え? 何? アタシなんかヤバい事になってんの!?

 

 

295:★霊視

程々にしとけよクソガキ

 

 

298:裁縫師

今度、慰労……もとい、歓迎祝いに何か送っとくわ

 

 

300:★黒死病

歓迎するぞ、仲良くしようじゃないか

 

 

304:イタコ

待って!! これ流しちゃったらヤバいやつ!!

アタシの勘が引くも引かぬも地獄って言ってんだけどォ!?

 

 

 

──────────

 

────────

 

─────

 

 

 

「で、結局霊視ニキたちは私に何の用があって来たんだ?」

 

「今更かよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
 Lilyala様 作 【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 より

 アラクネのデビルシフターで、星祭神社所属の裁縫師。

 最初期のオフ会参加組の一人で、製造系の『俺ら』。

*2
大体10レベルを境に、悪魔からの攻撃に全体攻撃魔法が混じるようになって来る。

*3
悪魔変身系の霊能者が変身時、肉体と同化する。変身解除後は着用済みの状態で分離する。

*4
 Lilyala様 作 【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録  より。 

 正式名称:ガイア連合山梨支部対終末対策霊装その3(衣類) 

*5
小柄な人から大型の人まで、体にあったサイズとなる。

*6
悪魔変身系の霊能者が変身時、肉体と同化する。変身解除後は着用済みの状態で分離する。

*7
元ネタは漫画『魔人探偵脳噛ネウロ』の怪盗X(サイ)の制作していた赤い箱。人間一人を完全な液体になるまで破壊し尽くし、ガラス箱に封じた物。

*8
 ふーじん様 作 【カオ転三次】今更転生ごちゃまぜサマナー

 2話目 2話:で、あたしが加入したってワケ より




 
 お読みいただき、ありがとうございます。


 はい、今話より新エピソードとして『恐山攻略編』がスタートしました。

 ……いや、何で本編50話目にしてようやくカオ転時空で序盤も序盤のイベントに取り掛かってるんでしょうねぇ(白目
 本編50話目、主人公の根源を明かすエピソードの開始、他所様の子(カス子ネキ)も合流、と、節目にもなる回ですし、何か読者サービスでもしたいな~と考えた結果が、露骨なエロ挿絵と言うクズ作者スタイルですが何か?(開き直り 

 いやまぁ真面目な話、今回はLilyala様の所で登場したアラクネキの存在を知ってから、是非やろうと思っていた『黒死ネキが着られる服を作る』が達成できました^^
 一応、自己解決手段は用意していたんですが、アラクネキに頼った方が万倍自然じゃん、と言う事で今回のファッションショーです。
 アラクネキってマジで悪魔変身系の俺らの救世主だと思う。


 カス子ネキの合流についての時系列は、ふーじん様の所だと───

・恐山、ガイア連合との提携を決断。
・霊視ニキを始めとした修羅勢が続々と恐山に馳せ参じる。
・あっさりと『大異界:恐山』を開放。
・カス子ネキ(この時点だとイタコネキ)、ガイア連合へ合流して速攻馴染む。

 ───と言う流れだったんですが、本作では───

・恐山、ガイア連合との提携を決断。
・霊視ニキとモーさんが下見として恐山へ来訪。
・カス子ネキが『俺ら』と気付いて、本格的な攻略前にガイア連合へ連れ帰る。
・恐山攻略の為に修羅勢に声を掛ける際には、カス子ネキも同行。

 ───と言った流れになっております。ちょっと改変しましたが、別に不自然じゃ無いよね?(震え声
 似た理由で、カス子ネキの初期巫女服は黒じゃなくて通常の色合い。
 折角だし、『巫女服姿のカス子ネキ』も作りたかったし(ォ


 そして、以前に本作の感想欄でも話題に出ましたが、霊視ニキの『俺ら』のスカウト履歴が───

①黒死ネキ
②脳缶ニキ
③カス子ネキ(←New)

 ───こうなる訳でしてねぇw 霊視ニキはガチで御払いに行っといた方が良い。
 一番危険度が低いのがカス子ネキとか言うバグ。数年後には破魔ネキも追加。


 今話では導入部でしたが、次話から本格的に『大異界:恐山』の攻略に入ります。
 新キャラも出します^^ お楽しみにお待ちいただければ幸いです。



・黒死ネキ(レベル54 2歳にして初めて自分のスキル以外の服を着る)
 今まで着られる服が無かったが、アラクネキのお陰で解決。
 自分を素材にした『自分の【穢れ】で死なないインナー』を着る事が出来るようになったので、その上からなら普通に服や装備を身に着けても大丈夫。『概念的にセーフ』が確定出来ればどうとでもなる。
 ネグリジェの試着中に霊視ニキが来たけど、別に羞恥心とか覚えない。お互い内臓まで見た仲だぞ?
 面白そうな新人が来たので、早速お気に入り登録。
 死霊術士(ネクロマンサー)人形遣い(ドールマスター)としての素質が自分以上で、本人の気性も()()()()。そりゃ気に入る。


・アラクネキ(レベル32 試験用の【モト師匠】は単独撃破済み)
 着られる服が無い系の悪魔変身能力者が、「俺らの希望」とばかりに押しかけてパワーレベリングを実行。
 とは言え、一応はアラクネキの適性や性格に合わせてだったので、アラクネキ的には「自分の成長を後押しして貰った」の範囲内。やり過ぎた訳じゃ無いからセーフ。
 目的はともかく、世話になったのは事実なので恩返しは普通にするつもり。まずはインナー作りから。
 自分の工房が、衣服作成希望者どもの肉片塗れで猟奇殺人現場のごとき状態に()()()()()()なのが悩みの種。


・霊視ニキ(苦労人&ツッコミ属性)
 恐山との提携の責任者。転生者を拾って来る事に定評がある。マジでショタおじにお祓いを頼むかどうか検討中。
 『大異界:恐山』の攻略に修羅勢の助力を得る許可はありがたいが、ショタおじの占術の内容が不安の種。
 黒死ネキを始めとしたヤベェ奴の名前が結構並んでる。え?こいつらが必要になる様な事態が確定してんの?
 今回、ラッキースケベを体験するも、相手が相手だけに動じはしなかった。
 それはそれとして、問題児だらけなのは何とかならねぇのか?


・カス子ネキ(レベル27 この時点ではHNはイタコネキ)
 恐山が誇る暴力装置。ほぼ野生で自己流でここまでレベルを上げてるのは本気で上澄み。
 自分をワンパン出来る巨漢に案内されて向かった先には、人類の限界レベルの美少女のエロネグリジェ姿があった。マジ眼福。なお、そいつのレベルは自分の倍。マジ?
 意図していないとは言え、ラッキースケベった霊視ニキを速攻でネタにする。しない理由? あるの?
 そのお陰(?)で黒死ネキから速攻でお気に入り登録される。
 お労しい案件だが、将来的には普通に対等な関係を築いているから問題ないな、ヨシ!!
 現時点の自分より強い奴がわんさか居るガイア連合に来て、何よりショタおじを見て「このヤバいメガテン世界で主人公やる羽目になっている」と言う重荷を下ろす事に成功しているので、精神的には割と安定している。なので、普通に巫山戯る余裕もあったりする。





















































































 さて、不自然に長いスクロールバーをここまで下ろした紳士淑女の皆様。
 折角の叡智にもっと触れたいとお思いかと存じますので、「何を」とは言いませんが8枚ほど御用意いたしておりますので、感想欄なり私へのメッセージなりでワッフルしていただければ、きっと良い事があると思われます。

 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。