分解修復勇者の異世界道中   作:フリー123456789

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第10話 Q.レッサードラゴンの肉は美味しいですか?

突然、目が覚めた。

 

 明かりをつけるランタン型の魔道具は消しているため、安全地帯の中はとても暗い。

 

 モゾモゾと動きながら俺は再び寝るために瞼を閉じようとした時、隣りからうめき声が聞こえた。

 

「ぅ………」

 

 隣りに居るのは、美咲しかいないため必然的にこのうめき声の持ち主は美咲となる。

 

 悪夢でも見ているのだろうか。

 

「はる……いっちゃだめ」

 

「……」

 

 どうやら美咲の悪夢の正体は俺が関係しているらしい。

 

 まぁ、美咲の愛しのあの人であるとある人が死にかけ?ていたらしいから仕方ないかもしれないな。

 

 全く、愛されたもんだぜソイツは。

 

 俺やんけ!

 

 というボケは置いて美咲はユニークスキル<明鏡止水>を持っていたはずだ。

 

 字面的に精神を落ち着けるタイプのパッシブユニークスキルだと思ったのだが、それだと悪夢を見る理由が分からない。

 

 深層心理までは、効果外ということなのだろうか。

 

 しかしユニークスキルは世界に影響を与える程のスキルがほとんどであるらしいから美咲の<明鏡止水>もそれに準ずるだろう。

 

 安定したらスキル研究も面白そうだなぁ。

 

「はる、はる……」

 

「はいはい。俺はここに居ますよ」

 

 幼子が親を求めるように弱々しく俺を呼ぶ美咲を見て俺は、俺と美咲のミノムシのような寝袋を<分解修復>し1つの大きな寝袋にした。

 

 新しくできた寝袋に入り美咲の頭を撫でる。

 

「えへへへ……」

 

「神よ、その仕草は可愛すぎます……」

 

 俺はそのまま美咲が落ち着くまで頭を撫でながら眠りについた。

 

 

★★★

 

 

「フンッ!」

 

「グハァ!」

 

 アイ キャン フライ。

 

 この世の理不尽を恨んだが、女神様がなさることが正義であり絶対であるため俺は新たに取得していた<自動行動>を外し神判を受ける咎人のように大人しく女神の怒り、ならぬ女神の拳を腹で受け止めた。

 

 

★★★

 

 

 女神の天罰(笑)を乗り越え俺は誤解を解いた。

 

 「わ、悪かったわね」と顔を背けながら俺に謝る美咲の姿は、とても可愛らしい。顔が赤くなってるのは気付いているぞ。

 

 揶揄いながらダンジョンを進んでいると俺たちの邪魔をする存在―――魔物が現れた。

 

 頭から尻尾にかけて覆われた緑色の鱗。

 

 肩から下は肌であると思われる茶色と手には獲物を殺すための背と同じ鱗と鋭いかぎ爪。

 

 足は、股関節まで鱗が広がりそこから下は、腕と同じように茶色が見え足にも鋭い爪が鈍く光る。

 

 顔はワニのように牙が並んでいるが、口は裂けていない。

 

 翼はウィング・ワームよりもしっかりとした作りとなっており、良い素材となりそうだ。

 

 ベヒーモスの素材があるから要らないが……。

 

「レッサードラゴンか。そういえば、ドラゴンの肉って美味しいのかな。食糧はまだあるけど携帯食料だからあまり美味しくないんだよね」

 

「そういえば食べたこと無かったわね。丁度いいんじゃないかしら?」

 

「んじゃ、狩りますか」

 

「一応、気をつけなさいよ」

 

「はーい」

 

 女神の祝福を受けた勇者はドラゴンを討伐、実情はただの弱い魔物いじめになるが。

 

 俺は<鑑定>を使った。

 

――――――――――――

名前:無し

種族:レッサードラゴン

職業:ダンジョン魔物

Lv:34

MP:369/369

攻撃力:B

防御力:B

魔法防御力:B

素早さ:A

器用さ:B

知力:D

幸運:F

ユニークスキル:【竜因子】

スキル:【爪術】【風魔法】【噛みつき】

称号:≪ダンジョン産≫

―――――――――――

 

 鑑定結果は他のレッサ―ドラゴンと同じだ。

 

 ウィング・ワームよりもレベルが低いが、魔力量やステータス値が高いことから魔物ランクは上だろう。

 

 そういえば、ウィング・ワームの魔物ランクはどれくらいなのだろうか。

 

 冒険者になったら調べてみよう。

 

 閑話休題。

 

 一番の特徴は、ユニークスキル<竜因子>だ。

 

 ドラゴン種が種族単位で持っているユニークスキルであり、竜としての魔法や技術がこれに詰まっている。

 

 レベルや種族ランクが上がるほど<竜因子>を上手く使えるようになるという見方があり、グレートドラゴンまで進化すると有名な<ドラゴンブレス>を使うことができるらしい。

 

 このダンジョンの傾向的に次は、グレートドラゴンだろうから楽しみだ。

 

『GRUOOO!!!』

 

「おっと」

 

 俺がいつまでも動かなかったことに痺れを切らしたのか、右手に付いている鋭い爪を引っ掻くように俺に向けた。

 

 俺は簡単に避けることができたが、後ろにある壁に爪痕が残っており、冷や汗をかいた。

 

 <爪術>に斬撃系の技があったのだろう。

 

 レベル差があるとはいえ、レッサードラゴンの攻撃力のステータス値はBであり、そのまま受ければダメージを喰らう――と思う。

 

 ここまでまともに攻撃を受けたことが無いから確信はできない。

 

 記憶にあるのは、王城の戦闘訓練に参加した時にペアになった影山からの木剣による殴打だろうか。

 

『GRU……』

 

「ごめんごめん」

 

 俺は思考を戦闘に向ける。

 

 これまで戦ってきたレッサードラゴンは四つん這いになっており、攻撃の際だけ体を起こし前に倒れる勢いを活かしながら<爪術>を使い攻撃する特徴がある。

 

 目の前の個体も例に漏れず四つん這いから立ち上がり攻撃してきた。

 

 次の攻撃のタイミングの時に懐に潜り込み一気に<分解修復>を使う。

 

『GRUOO!!!』

 

「ッ!」

 

 レッサードラゴンは、先程と同じように体を起こし2足歩行になった後、かぎ爪でこちらを引っ掻こうとする。

 

 そのタイミングを待っていた俺は、かぎ爪を避け懐へと潜り込み手を腹に付け<分解>を唱えた。

 

「ふぅ、終わったね」

 

 その場に残ったのは、レッサードラゴンの鱗、特徴的なかぎ爪、翼、魔石だ。

 

 それらの素材を魔法袋に入れ背伸びをして体をほぐす。

 

「よし、もう少しだけ進もうか。晩ご飯はレッサードラゴンの焼肉を試してみよう。美味しかったらいつか飼って見たいなぁ」

 

「いいわね。将来的に牧場でも買いたいわね」

 

 俺たちは、レッサードラゴンの家畜化計画を考えながらダンジョンを進む。

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