side敵連合(死柄木)
カランコロンと転がるようなベルの音。ドアについた鈴が来客を知らせる。
「よう死柄木さん。こっちじゃ連日アンタらの話で持ち切りだぜ?なーんかでけえ事でも
始まるんじゃねえかって」
そう言って咥えタバコの怪しい男、義爛が開かれたドアの向こうからニヤニヤと面白いものを見たとでも言いたげな顔で現れた。
「……で、そいつらは?」
義爛は二人ほど見知らぬ男を連れていた。一人は露出した手首周辺や口角から下……鎖骨よりも
僅かに下までが酷く焼けただれた男、もう一人はマフラーで口元を隠していているパーカーを着用した背が低い男(?)
「生で見ると……気色悪ィなァ」
「初対面でその言い分は失礼でしょ....すいません、死柄木弔。」
彼らは敵連合の戦力補給がしたいという死柄木に応え、黒霧がブローカー...義爛に手配を頼んで
連れて来られた。しかし死柄木は二人を見ると堪えきれないといった様子で手を持ち上げ、彼を
指さして告げた。
「……黒霧、コイツトバせ。俺の大嫌いなもんが来やがった。」
「死柄木弔」
「礼儀知らず....本当に大っ嫌いだ....」
「....確かに彼は礼儀がありませんが、その良い方はどうかと思いますよ?」
初対面とは思えないトゲトゲしさ。如何に裏社会のクズという自覚があろうとあまりに礼を失した言い草にマフラーの男が抗議の声を上げた。
その後黒霧が明らかに機嫌の悪い死柄木を宥め、二人の事を聞いておくべきだと説いた。
それに何か了承を返すこともなく、顔に付けた自分のものでは無い手の隙間から視線だけで
促した。
「んじゃあ……まずこっちの丁寧口調の男。名前も顔も、事件内容すらメディアが守ってくれてるが、建築物連続爆破事件の容疑者としてヒーローと警察から追われてる。」
「
そう言われ、死柄木は少し目を見開いた。前回の保須市での出来事でヒーロー殺しに感化された奴でも来たかと思っていた。しかし、目の前の男...破蓄の目には壊すことしか映っていなかった...
まるで自分自身かのように。
二人目の火傷の男は予想通りヒーロー殺しの思想に固執しているという。
「不安だな……この組織に大義はあるのか?」
「……はあ?」
「まさかこのイカレたチビを入れるんじゃねえだろうな」
「...少なくとも、貴方よりはまともだと思ってますが?」
「これには同意しますね....」
名乗れ、と言ったはずが男は不満そうに隣の破蓄を見た後、フンと鼻を鳴らして笑った。
「……お前がイカレてるっつった奴すら出来ることがお前は出来てないだろ。まずは名乗れよ、
大人だろ?」
「今は荼毘で通してる」
「通すな。本名を言え」
「出すべき時になったら出すさ。とにかく……ヒーロー殺しの意志は俺が全うする」
そう、荼毘が言った最後の一言。そのたった一言が死柄木弔の地雷を踏み抜いた。
「ステインステインと……煩いなぁ....」
「死柄木弔……」
「良くないな……気分が良くない」
全員全員ステインステイン....今の敵はそればかり。
「……落ち着いて下さい死柄木弔。貴方が望むままを行うのなら組織の拡大は必須」
そう言った黒霧の前には、突き出した手のひらが"ワープゲート"によって空を切った死柄木と荼毘の姿があった。
黒霧は黒いモヤの中から語りかける。たとえどれほど気に食わない者であろうとも今が好機。
感情論での排斥ではなく先を見据えた受容をすべきだと。
何者であろうと──ヒーロー殺しの思想でさえも、全てを利用すべきだと。
「…………うるさい」
死柄木は不貞腐れたように返事しながら、ワープゲートから腕を引き抜いた。その後、死柄木は
憂さ晴らしをかねて外出をするのだった。
side死柄木
──信念なき殺意に何の意義がある。
気に食わない。気に食わない。どこまでも気に食わない。
大人数の行き交うショッピングモールの通路一つ。その中の誰か一人でもふとした瞬間に誰かを
殺すかもしれないのに、そんな事有り得るものかとでも言いたげにいつも通りの顔で歩いている。
信念を声に出したステインよ。この世の大多数の人間には結局対岸の火事でしか……いや、対岸
ですらない。液晶の向こう側なんて存在しないとでも思ってるんじゃないか?どこで誰がどういう思いで、どれほどの覚悟を持って人を殺そうとも。コイツらはヘラヘラと笑って呑気に生きて
いる。
「うっわ……これ良いのかよ?」
「ヒーロー殺しのヤツか。ぜってー問題になるっしょコレ」
「確かに....」
.....だが、そんな中でもお前のシンパを名乗る声も聞こえる。何故だ?やっている事は同じはずだ。俺もステインも、結局は気に入らないものを壊していただけに過ぎないだろう?
「……お茶でもしながら話そうぜ? 天呑災我。」
side災我
「.....はぐれた。」
しくじったな....あいつらの浮かれ具合を舐めていた....ってかそんなに楽しみか?
「さて...まぁいろいろ買うか。えぇっと....」
そう言って歩いているとき、後ろから声をかけられた。
「おー雄英の人だ、サインくれよ」
.....何か聞き覚えあるな?
「確か体育祭で優勝した奴だよな!……お茶でもしながら話そうぜ? 天呑災我」
「.......お前、何でヒーローに接触してるんだ? 死柄木弔」
「...やっぱり気づくか。一度しか会ってないし会話もしてないはずなんだがな...」
「ま、記憶能力は良い方でな...で?何処で話す?」
「.....話しかけておいて何だが、正気か?」
「今のお前は問題を起こしたわけじゃ無い、今ここでお前をどうこうすれば俺の方が捕まるよ。」
「はっ、ヒーロー候補がヴィラン殴って捕まるってか」
そんな会話をしながら、俺達は近くのレストランに入っていった。
「....俺は、大体何もかも気に食わないが……今一番腹が立ってるのはヒーロー殺しにだ」
「仲間、って言われていたと思うんだが?」
「……俺は認めてないが、世間じゃそうなってるってだけだ....雄英襲撃はともかく、保須市で放った脳無等、俺が起こした行動は全てステインというネームバリューに食われちまった。いくら能書きを垂れ流していようともやっている事は自分とそう違わない.....はずなのに、どうして俺達には何一つ注目が集まらないのか。俺とステインは何が違う?」
そう死柄木は尋ねてきた。....ま、理由は分かりきってるな。
「...正直に言えば良いんだな?」
「何か分かるのか?」
「あぁ...まず聞くけど、USJの一件が初犯なんだよな?」
「ああ……バレてねえのもあるが、大々的なのはあれが初めてだ」
これなら確定だな....ステインと死柄木達の注目度合いが違うのは当然だ。何せステインは死柄木と違って時間をかけて多数の被害を出してきた。百人近く殺した敵とたった一人殺した敵。この
二種類の敵の注目度合いが同じなわけがない。それに雄英襲撃事件に関しては全面的に箝口令が
敷かれている。世間は敵連合の名は聞いても、死柄木弔だの脳無だのの名前なんて知れるわけも
無いのだ。
「まぁ言ってしまうなら、お前達は敵の中でも新参の方だろ?その上起こしたでかい事件もたった一つ、しかも世間には報道されちゃいない。片やステインは五年ほど行動して四十名の
「....なるほど、正論だ。耳にたこができそうなくらいの....」
「けど、ステインだって五年間活動して今の反応だ。お前だって―――――」
「?どうした....?」
....今更だが、俺は死柄木の過去を知らない。何故敵になったのか、何故こんな行動をするのか。その全てを、俺は知らない.....
「.....死柄木、お前何がしたいんだ?」
「....何だと?」
「結局のところ、お前の考えがよく分かんねぇ。"異能解放軍"のような思想犯みたいな感じでも
無い....お前の根本が、俺には分からない。」
別にステインと同じような思想表明って訳じゃ無い。狂ったからって好き勝手やってるって訳でも無い.....何故...?
「俺の....根本....?」
「あぁ、まぁ俺が言っても....「......ない。」
?何だ....何か....違う?
「……わからない、俺は何におこってるんだ?おれは何をにくんでいるんだ?なにが……
ゆるせない?」
「死柄木.....?」
....演技、嘘。その手の考えは全て捨てた.....これは、
いられるのか、どうすれば家族といられるのか。それを考え続けて、狂っていた時の俺。
「わかんない……わかんない……!!」
「――――――
「......ぁ」
....もし死柄木に精神崩壊を起こされたなら、どれだけの被害が出る?それを考慮し、俺が取れる
行動は....語りかけ、落ち着かせること。
「お前がどうしたいかなんて、俺には分からない。けど、結局道を決めるのはお前だ...迷った
なら俺を頼れ、少なくともマシな道には進められる。」
そう言う俺の言葉に、死柄木は俯いたまま。
「.....大丈夫か?」
「……………………かえる」
「そうか....悩むなら行動に移せ、良いな?」
「.....うん」
およそ敵とは思えない幼い言葉使いを用い、何処か小さく感じる背中を揺らして死柄木はどこかへ消えていった.....思えば俺は何で敵の相談に乗ってたんだ?
「――災我君!!」
「!?....出久か、どうした?」
「どうしたじゃないよ!!今のって……死柄木弔じゃ!?」
「あぁ....ただ」
「ただ?」
「あいつ.....何か抱え込んでそうなんだよな......」
死柄木....お前は何を抱えてる?....何を求めてる?何を.....
新キャラ登場!そして死柄木を救うフラグが立ちました。少しキリが悪いかも知れませんが、今回はここまで!次回は例のベテランヒーロー達が?
炸間破蓄プロフィール
名前:炸間破蓄
性別:女(男と偽って生活している)
年齢:20歳
身長:153㎝
体重:ヨンジュ.....「シークレットです♥」
個性:蓄爆 触れた場所を爆弾にする事ができ、触れ続けることで爆弾の威力・規模・殺傷能力が増加する。また三十個までなら同時に発動することが可能。ついでに三十回同じ場所に触れることで核爆弾並みの被害を出すことが可能になる。威力・規模・殺傷能力を最大にするには一分間触れ続けることが条件。
趣味:数式を解くこと
好きなもの:数式・死柄木(後々)
嫌いなもの:荼毘・きれい事を言う社会・美しくない・完璧じゃ無い数式
モチーフ:リア友(男)
友よ、すまん。性別:女の方が面白く出来る自信があるんだ........