うつけ無双   作:なろうからのザッキー

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魔王と覇王

俺はその噂を耳にして衝撃を隠せなかった。

 

最近幽州の方で黄巾党討伐で名をはせている者たちがいるという噂だ。

彼ら自体は公孫賛に世話になっているらしいが、その実力は太守である、公孫賛よりもはるかに実力が上らしい。

 

それだけならよかった。この時代、英雄はいたるところにいるし、俺を世話してくれている華琳だってそうだ。なんせあの曹孟徳なんだからな。

 

英雄だけじゃなく、豪傑としても公孫賛よりも名をはせることは可能だろう。春蘭だってその武勇は俺から見たら天下一品だろう。彼女が負けるところなんて想像できない。

 

秋蘭だってその弓の腕前はこの大陸でも五本の指に入るだろう。俺たちの時代にいたらオリンピックで金メダルなんてたやすいんじゃないかって思う。

 

それぐらいこの時代には優秀な人材が山ほどいるんだ。

だが、その人物たちは俺をただ驚かせるだけじゃすまなかったんだ・・・

 

だってこの時代にいるはずもないし、国がまず違う。そして時代も違う。そして考えられるは彼もきっと俺と同じで不思議な力に導かれてここへ来たんだろうと簡単にその推測にいたれた。

 

そして、俺は彼に会って話がしたいと思った・・・・・

 

敵を殲滅したあと、信長たちは放置された陣に物資や武具を確保しようと赴いた。

 

「此度の働き皆大儀であった」

 

「はっ!これぐらい造作もなきことです」

 

「鈴々もこれぐらい余裕なのだー」

 

信長はそこにいる将たちにねぎらいの言葉をかけた。

 

「私たちは結局ご主人様の策の手助けにしかなりませんでした・・」

 

「あわわ・・・すみません」

 

朱里と雛里は残念そうな顔をしている。彼女らは今回、峡間を教えただけのようなものであった。実際一番の功績は愛紗と信長であろう。

 

しかし、そんな事関係なかった。桃香は優しく二人の下に近寄り笑顔を向けた。

 

「そんな心配しなくても大丈夫だよ。朱里ちゃんに雛里ちゃんはとっても頑張ったよ♪」

 

そう、桃香に言ってもらえて、二人は瞬く間に笑顔に変わった。

 

「そう言ってもらえるとうれしいです♪」

 

「うむ。うぬらの情報がなければ此度の策は成しえなかった。その記憶力は見事ぞ。これからもこの織田の為にその才を揮えい」

 

信長も二人へ視線を向け、そう声をかけた。

 

「はい!」

 

そしてつかの間の休息を楽しんでいると・・

 

「申し上げます!」

 

一人の兵が皆の下へやってきた。

 

「はいはーい。どうかしたの?」

 

桃香がその応対をした

 

「はっ。陣地の南方に官軍らしき軍団が現れ、我等の部隊の指揮官にお会いしたいと・・」

 

「官軍らしき、とはどういうことだ?」

 

愛紗が考え込むような顔でそう話した

 

「それが・・通常、官軍が使用する旗を用いず、曹と書かれた旗を掲げているのです」

 

「官軍を名乗りながら、官軍の旗は用いず。・・恐らく黄巾党征伐に乗り出した諸侯でしょうね」

 

「曹と言えば・・許昌を中心に勢力を伸ばしている、曹操さんかと」

 

朱里の言葉に雛里もそう言葉を漏らす。

 

「ふむ・・・。通せ」

 

「そうですね。上手くいけば共同戦線を張れる可能性もありますし」

 

「しかし・・我等の手柄を横取りするということも考えられるのでは?」

 

愛紗がそう提案した。しかし・・

 

「普通の官軍ならばそうでしょう。でも私が聞き知っている曹操さんが、そんな恥知らずなことをするとは思えませんけど・・」

 

「曹操ってどんな子なのだ?」

 

「誇り高き覇者・・その言葉通りの方ですね」

 

「器量、能力、兵力、そして財力。全てを兼ね備えていると言っても過言じゃないと思います」

 

「ほわー・・・なにその完璧超人さん」

 

桃香が口に手を当て、驚いた表情をした。

 

「何を言っているのですか桃香様。我等のご主人様もまさに完璧超人ではありませんか」

 

そして、愛紗はフフンと鼻をならすような表情でそう話す。しかし、思わぬところからツッコミが入った。

 

「でも、兵力も財力も全然ないのだー!」

 

「うっ・・確かに・・でもそのような人物が、どうして我等のような弱小部隊に声をかけたのだ?」

 

その言葉に落胆した。そして、体勢を直し、朱里へ話をふる。

 

「それは分かりませんけど・・・・」

 

「とりあえずやっぱり会うしかないって事だね」

 

桃香の決断に一向は曹操に合う事で決定した。そして、愛紗が朱里、雛里の方を向き、こうたずねた。

 

「曹操殿についての知ってる噂は朱里や雛里は何かあるのか?」

 

そう言われ、少し二人は考え込み、言葉を発した

 

「そうですね・・治政の能臣であり、詩人でもあり・・そして何より、乱世を生き抜く奸雄でもある人物だって噂です」

 

「治政の能臣、乱世の奸雄・・・か」

 

治政の能臣、乱世の奸雄・・当然信長はこの言葉を知っていた。曹操をあらわす一番わかりやすい言葉である。まさか、この言葉をリアルタイムで聞く事になるとは・・

 

「そうですね。あと・・一点だけ分かっているのは、自分にも他者にも誇りを求めるということ・・」

 

「クク・・なかなか面白き人物よ」

 

「あら?そう言ってもらえると嬉しいわね」

 

突然、知らない声が聞こえた

 

「誰だ貴様!!」

 

愛紗が勢いよく声が聞こえたほうに振り向き、キッっとにらみつける。

 

「控えろ下郎!このお方こそ、我等の盟主、曹孟徳様だ!」

 

その睨みを睨み返したのは黒髪のチャイナドレス風の女性。彼女も愛紗を一点ににらみつけている。

 

「改めて名乗りましょう。我が名は曹操。官軍に請われ、黄巾党を征伐するために軍を率いて転戦している人間よ。そして彼が・・・」

 

「こ、こんにちわ」

 

そこには白い服に身を包んだ青年がいた。

 

「うわ~・・すごい。太陽に光を反射してるよこの着物・・」

 

「確かに・・これほど見事な着物は見たことがありません・・」

 

桃香と愛紗は感嘆の声を漏らした。朱里や雛里、鈴々も例外でなく、ジーッと彼を見つめている。

 

信長でさえもその服は見た事がなかった。少し興味がそそられるが、自分が見ない分、他の者に見てもらう。

 

信長は気を抜かずに曹操たち一向から目を離さない。いつ何がおきてもいいように。

 

「そうでしょうね。なんせ彼は天の御使いなんだから」

 

「て!?天の御使い様ーーー!!!!???」

 

桃香たちはひたすら驚いた。しかし信長だけは決して驚きはしなかった。信長は自身がこの異世界にタイムスリップしているのだ。だから自分と同じ境遇にあっている人物は自分だけではないだろうと考えていた。

 

それはもちろん、異世界に来てしまうぐらいなのだから何がおきても不思議ではないと。時間を越えてくるものもいてもおかしくないだろうと考えていた。

 

「こ、こんにちわ。私は劉備って言います」

 

桃香がペコっと頭を下げて挨拶をする。

 

「りゅ、劉備!?君が・・。あ、俺は北郷一刀。一応天の御使いってことになってるかな」

 

北郷は一度とても驚いた表情をし、彼も挨拶を返す。

 

「劉備。・・・いい名ね。貴方がこの軍を率いていたの?」

 

「え?それはその・・私が率いていたのじゃなくて、私たちのご主人様が」

 

「ご主人様ぁ?」

 

曹操と北郷が不思議な顔を桃香に向ける。

 

「はい。えと・・」

 

「ワシがこの織田の指揮者。織田信長よ」

 

「織田・・信長・・聞いたことある名ね・・」

 

「華琳様。最近幽州を中心に黄巾党征伐で名を上げている魔王と呼ばれるものではないかと」

 

「織田・・信長・・・・・」

 

北郷だけは難しい顔をしている。

 

「魔王・・貴方がこの部隊を率いていたというわけね」

 

「うむ」

 

「織田・・と言ったわね。あなたがこの乱世に乗り出したその目的は何?」

 

「ワシの望みは天下を平定することよ。天下布武を掲げこの地より戦乱を無くす。それがこの劉備の願いの手助けになるからな」

 

「劉備の・・それは何?」

 

曹操は顔を桃香へと向け、その全てを図るような目で劉備を見つめる。

そんな目で見つめられ、桃香も姿勢を正すようにし、真剣に答えた。

 

「・・私は、この大陸を、誰しもが笑顔で過ごせる平和な国にしたい」

 

「それがあなたの理想なのね」

 

「うん。そのためには誰にも負けない。負けたくないって。そう思ってる」

 

「・・そう。分かったわ」

 

「ならば、劉備、織田よ。平和を乱す元凶である黄巾党を殲滅するため、今は私に力を貸しなさい。

 

今の貴方たちには独力でこの黄巾の乱を鎮める力は無いでしょう。だけど今は一刻も早く暴徒を鎮圧することこそが大事。・・違うかしら?」

 

「その通りだと思う」

 

「それが分かっているのなら、私に協力をしなさい。・・そう言っているの」

 

「え・・でも」

 

桃香は信長の方へ視線を向ける。自分の一存では決められないと。

 

「うむ。構わぬ」

 

「あら。意外と物分りがいいみたいね」

 

「今は黄巾がこの大陸を支配しておる。そしてワシらは大陸で言えば名すら馳せてはいないだろう。ならばワシらが名を馳せるためには黄巾をつぶすしかない。ワシらの土台になってもらおう」

 

「あら?ずいぶんと自信があるのね」

 

「無論。黄巾程度で留まり、天下統一なぞ成しえるはずがないからな。そのためにうぬらの力を利用させてもらうだけよ。そしてそれはうぬらも同じであろう、曹孟徳よ」

 

「ふふ・・アーッハッハッハ!!おもしろいじゃない。たかだか義勇兵風情の貴方たちがこの私たちの軍を利用させてもらう?たいした事を言うものね」

 

「この乱世は弱肉強食を地でいっておる。ならば力こそがこの時代でものをいうことができるのだ!官軍であろうが力が無ければ所詮はただの弱者よ。

 

今、天下の英雄は、ただ使君とこの信長のみぞ!!」

 

信長は曹操の目を一点も反らすことをなく射抜く

曹操もその目を反らすことなくただただ見つめ続けている

 

その二人のやりとりを一刀をはじめ、両軍の将たちはただ見ていることしか出来なかった。言葉をはっすることはできるがこの場の空気がそれをさせてくれなかった。

 

なにより二人から感じる王としての気、その圧力が誰をも寄せ付けない、なにもさせてくれなかった。

この私たちのやりとりを邪魔するなと。

 

「ふっ、本当にたいした自信ね。まだまだ兵も少なく、兵糧だって満足ではないでしょうに。でも貴方からはそれがただの口からのでまかせではないと感じることができる。まあなにより貴方には実績があるしね。

 

では、共闘の件はお互いの軍師に任せましょうか。今日は私は下がらせてもらうわ。

 

信長。貴方の実力、この戦いで見させてもらうわ。貴方の言、とくと見させてもらうわ。せいぜい口からのでまかせじゃないことを祈ってるわ。

 

春蘭、秋蘭、一刀。いくわよ」

 

曹操が帰ろうとしたとき・・・

 

「ちょっとまってくれ華琳。俺はもうちょっと残っていいかな?」

 

「・・?まあいいわ。すぐに帰ってきなさい」

 

そして、曹操、夏侯惇 、夏侯淵 は先に自分の陣へ戻っていった

 

「なあ、貴方が本当にあの織田信長なのか?」

 

北郷は真剣な顔で信長へと詰め寄った。

 

「うぬがどの信長のことを申しているかわからぬがワシはワシでしかない。織田信長よ」

 

「じゃあ・・どうやってここへ?そしていつ来たんですか!本能寺の変はあったんですか!?」

 

「ほう・・本能寺を知っておるか。やはりうぬはワシの時代より先の未来からきたか」

 

「ええ、そうです!俺は・・信長さんの時代の約四百年後から来た。だから知ってるんだ・・この三国志を、そして信長さんの戦ってきた桶狭間や長篠でどんな風にして勝ったのかも!

 

・・信長さん。貴方はどうやってここへ?」

 

「ふむ。ワシもよくは知らぬが本能寺で光がワシの元に現れその中に光の道があったのだ。そしてその光に導かれワシは気づけばこの地で眠っておった」

 

「そうなのか・・・光に導かれて・・・だから本能寺で貴方の死体がみつからなかったのか?

 

俺は・・本当に・・気づけばここにいたんだ・・・。信長さん、貴方は帰りたいって思わないんですか?」

 

「思わぬ」

 

「どうして!?」

 

「元よりワシには日ノ本にすでに居場所がない。そしてワシはもう日ノ本の亡霊に過ぎぬ。あれよりキンカンやサル。新しき役者の出番よ。ワシの余興は終わったのだ。

 

恐らく、ワシが死した後にサルあたりが天下をとるだろうな。あやつには才がある。兵や将の心を掴むのがワシより上手いからな。それか家康であろうな。だがあやつは少々臆病なところがある。だが部下は有能である。

 

もっとも天下に近きはあの二人よ」

 

信長は空を見上げそう一刀に話した。

 

「そっか・・余興は終わり・・か。貴方は確かに天下の半分を占めた。あのまま死ななかったら確実に天下を取ってた!満足したとはいえないけどそれなりにやることはやったんですよね!

 

でも・・俺はまだ何もしてないんだ!!!貴方みたいに俺はなにもあの時代に残していない!残したのは精々後悔ぐらいさ!!こんなことならもっと毎日を必死に生きてりゃよかったってな・・

 

もっと・・・真剣に生きてれば良かったって・・」

 

北郷は悔しそうな顔で、握りこぶしを作り、うつむいている。そんな彼を見た信長は・・

 

「ならばこの地で真剣に生きればよい」

 

「え?」

 

北郷が顔を上げた

 

「今更悔やんだところで何も答えは出ぬ。後悔は過ぎてからするものよ。何か起こる前に後悔はすることは出来ぬ。そして、うぬはその様子から帰る方法が分かっておらぬと見える。

ならばすることは一つ。この地でうぬが満足することを見つけ、そしてそれを成しえることよ。

 

また帰れるとは言えぬがもし帰れたとき、恐らくうぬは日ノ本に戻ったとき同じ事を後悔するだけよ。今は諦めよ。そしてうぬは真剣に生きればよかったと答えを見つけているではないか。

 

ならば何故それをせぬ?いつまで恐れておるのだ!答えを見つけておるなら実行せよ!天の御使いよ!」

 

信長は一刀に非常に残念な、失望したかのような目を向けた。

 

(これが・・・天の御使いであるか・・桃香たちの話ではこの乱世を終結に導く者といっておったが・・・)

 

「・・。そっか・・そうだよな!!ああ!わかった!!まだ・・あんまり心の整理は付いてないけどさ。俺は真剣にこの世界に向き合ってみるよ!」

 

一刀はどうやら元気を取り戻したようだ

 

「じゃあありがとう!信長さん!劉備さん!」

 

一刀は自分の陣へと戻っていった

 

「クク・・桃香よ。うぬらの求めておった天の御使いが見つかったぞ。ワシの元を離れていっても構わぬ」

 

「え?う~ん・・・もうそんなの関係ないよ♪だって、私にとっての天の御使い様はご主人様だから♪」

 

「はい!桃香様のおっしゃるとおりです。確かに彼の服や、元の世界のご主人様を知っている様子から天の世界よりこられたことがわかりますが・・

 

やはり私にはご主人様がこの乱世を終わらせてくれるお人だと思っております!!」

 

「鈴々もなのだーー!!お兄ちゃんがきっとこんな大陸をすごしやすくしてくれると思ってるのだー!」

 

「私もです。ご主人様はあの今、破竹の勢いの曹操にすこしもひけを取らずに話、そして曹操をも納得させました。そんな事ができるのは大陸広しと言えどもご主人様ぐらいでしょう。ね、雛里ちゃん」

 

「そうです。そして実際に戦いを経験し、私もご主人様の戦略眼や、武勇に触れて、この乱世を集結させるに足る実力をもっていると確信しました。天の御使い様が現れようが、私は朱里ちゃんと一緒でご主人様にお仕えします」

 

「そうか。ならばこの信長にこれからも仕え、存分にうぬらの実力を発揮せよ。それがこの乱世を集結させ、平和への近道となろうぞ」

 

「はい!!!!!!!」

 

 

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