うつけ無双   作:なろうからのザッキー

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平原の相

信長と曹操の共同戦線が終わり、曹操は他の地で暴れている黄巾党を滅ぼすため彼らとはここで別れた。

 

そして、信長たちもこの幽州で跋扈する黄巾党の小部隊を撃破する日々が続き、その成果が出ているからか、黄巾党の勢いが確実に萎えてきていた。

 

その時を待っていた、と言わんばかりに今まで頑なに動かなかった各地の諸侯が重い腰をついに上げ、彼らも黄巾党の殲滅に乗り出した。

 

そして、半年の日々が流れる・・・

その知らせは、大陸中に衝撃を与えた。

 

大賢良師 張角死す。

 

張角の死により、黄巾党は一気に勢いを無くし、今まで横暴を働いていた者たちも、黄巾を頭から外し、ただの農民の振りをする者まで出始めたのだ。

投降するものや、離脱するもの、戦ってももはや士気はガタ落ちであり、まともな戦いにもならず、圧倒的に殲滅されるだけとなった。

 

そして、長きにわたった黄巾の乱は幕を閉じたのである。

 

信長たちは乱鎮圧の恩賞として平原の相に任命された

 

信長は早速、政務に力を注いだ。もともと彼は大名であり、政務などを行っていたために特に問題はなかった。あるとすれば日ノ本とこの地での文化や基本となる政策の違いだろうか。

信長は徹底的に治安に力を注いだ。

 

夜の警邏は特に重点的にし、夜でも人が出歩けるような安全な街を徹底して作ることを目標にし、今は政策をしている。

 

当然朱里からは夜に回す、警備の者たちの給金はどうするのかと言われたが、

 

「ならばワシの給金を回せい、夜に民が出歩けるほど安全な街と商人たちに広まれば人がこぞってこの街に集まり、そして住みたがる。そうなればワシの給金なぞいくらでも返ってくる」

 

と、朱里に述べ、しぶしぶだが朱里は了解した。

 

その他にも、警備隊の者たちにはゴミを入れるカゴを持たせ、ゴミを拾いながら警邏をさせた。

 

少しでも、街にあふれるゴミを少なくすることで、他の街から流れてくる商人や民にこの街への関心を高めてもらうのだ。

 

その他に最大の狙いとして街の衛生面を上げることで、この街の感染症や疫病、病気をすこしでも減らさなければいけなかったからだ。

 

信長はこの時代の医療レベルを知って驚いた。信長の時代も一刀よりも各段に劣るのだが、この時代よりも良かったのだ。

 

信長には医療の知識はない。精々、戦での応急処置程度でしかないのだが、戦での応急処置は愛紗たちでも知っているため、たいして変わらない。

だから、少しでもこの街の衛生面を良くし、病気を減らすことに勤めた。

 

信長には暇などないが、信長は少しでも自分の時代の街との違いを理解し、どのような政策が一番いいのかを考えるため、よく自分で街へと足を運び改善すべき箇所を考えた。

 

「食べ物を出す店の周りに、屋台を密集させるでない。火は一気に燃え広がり店内の客が全員死ぬぞ。至急ばらけさせるのだ」

 

「ふむ。飲食店が多いが・・まだ娯楽の類の店が少ない・・か。まだそこまで余裕が無いと言うことか」

 

「警備隊の人員は・・・」

 

信長は街へよく足を運び、自分の時代との照らし合わせのために通い、政策を考えているだけなのだが民からしたらそのような事は知らない。

 

「お、旦那!今日もご苦労だねえ。頑張ってくれよ」

 

「あの・・よく私たちのために自ら見回りして頂きありがとうございます」

 

信長の知らないところで、自然と民からの人気は高まっていた。それは魔王と呼ばれる人間が、民のために頻繁に足を運び自らこの街を警備しているとのギャップもあるのかもしれない。

 

その事に桃香たち家臣は全員が喜んだ。あの戦場での鬼神の如き戦働きを見て、信じられなかったが、街の警邏大好きな桃香が民から直接聞いたのだ。最初は信じられなかったが、愛紗も同じ事を聞いているからその通りなのだろう。

 

朱里や雛里は信長の政務の手腕にも驚かされた。桃香もやるのだが桃香はその量にすぐに根を上げたが信長はこの程度容易いとでもいうかのように着々とこなす。

 

信長は日ノ本の半分近くをしめており、当然その量も今の比ではなかった。そして作業スピードや効率もよかった。

 

そのことにただただ朱里と雛里は驚いた。自分たちの主はやはりただ者ではなかったと。

そしてここに、また新たな仲間が現れた。

 

「久しぶりですな」

 

「うむ。星か・・しばらくだな」

 

「星ちゃん♪久しぶり♪」

 

「星なのだー!」

 

「星、久しぶりだな。白蓮殿の所にいたのではないのか?」

 

以前星とあったことのあるものは再開を喜んだ。

桃香は星と握手までしている。

 

「うむ。白蓮殿から暇をもらい、しばらく様々な諸侯の下で客将をしておってな」

 

「うぬは自分が仕える主を探しているのだったな」

 

「ええ。その通りですぞ」

 

「それでうぬの目に適う諸侯はおったのか?」

 

信長は星へとその質問をする。ずっと聞きたかったののだ。

信長にとって星はどうしても欲しい将であったのだ。

 

「そうですな・・やはりただの凡愚とでもいえる諸侯もいましたな。しかし、候補が三つほどありますな」

 

「へ~三つか~。っで、星ちゃん。どこどこ?」

 

桃香は急かすように手をパタパタさせている。

 

「一つは曹操殿ですな。あそこは兵力、財力、兵の質。どれをとってもすばらしかったですな」

 

「やはり曹操か」

 

「しかしあそこは、どうも百合百合しい。私はそのような趣味はござらん。ですからあそこは却下ですな」

 

「お姉ちゃん。百合百合しいってなんなのだ~?」

 

鈴々はあどけない表情でその質問を桃香へと投げかけた。

しかし、桃香は困ったような表情をしている。

 

「り、鈴々ちゃんはまだ知らなくていいかな~あはは・・・」

 

「ふむ。女同士でちょめちょめすることだぞ鈴々」

 

「ちょ!星!鈴々に変な知識を吹き込むんじゃない!」

 

「っはっはっは。いつか鈴々も知るのだ。遅かれ早かれ知るのなら早い方がよいではないか」

 

せっかく桃香がはぐらかせたのに、星はただおもしろいからと笑いながら話す。

 

「星。もう一つの諸侯を述べよ」

 

星が再び表情を正し、話の続きをはじめた。

 

「おっと、そうですな。あと一つは孫策もよいですな」

 

「江東の麒麟児・・の孫伯符か。っで、星。おぬしからみてそこはどうだった?」

 

愛紗は星に孫策。呉のことについて聞いた

 

「ふむ。あそこは今は袁術により、分散されておるが、もし集結したら曹操に匹敵するであろうな。部下も非常に優秀だ。軍師の周瑜の才は曹操の所の荀彧よりも上ではないかと私は思っておる。

 

だがあそこは少々排他的な所があるのだ。あそこで仕えたとしても私の腕を存分に震えるとは思えぬ」

 

「ふむ。・・して最後の一つはどこぞ」

 

「ふふ。分かっておられるでしょう信長殿」

 

星がふふっと笑みを浮かべながら信長の目を見る。

 

「え?え?ひょっとして・・・私たち?」

 

桃香は混乱したような表情で星へとたずねた。

 

「ええ。その通りです。信長殿。貴殿たちの評判は今一番鰻上りでしょう。黄巾での活躍、そしてこの街の治安の事も、商人たちがよく噂しておられる。

貴方たちはいつか必ず他の二人に匹敵するほどの諸侯へとなれるでしょう。

 

そして・・この趙子龍。貴方にかけてみたくなった。この槍を貴殿の天下への手助けに使っていただきたい」

 

「星・・」

 

「星ちゃん・・」

 

星は信長に片膝を突き、槍を信長へささげるような姿勢をとる。

 

「うむ。面を上げよ」

 

「はっ」

 

星はゆっくりと顔を上げ、信長へと視線を向ける。

 

「天下への道は厳しい。それでもうぬはこのワシの首を守りきれるか」

 

「はっ!我が身命を賭して貴方様の命をお守りし、必ずや天下へ駆け上らせてみせます!」

 

「よかろう!趙子龍よ!ワシのために存分に働けい!」

 

「はい!ありがたき幸せ!」

 

「星!これから一緒にお前と手合わせができるのだな!」

 

愛紗は大変喜んだ。星とは何か通じ合えるものがあるのだろう。

 

「鈴々もなのだー!」

 

「ああ。ともに働こう。主!」

 

「・・主?」

 

「ええ。愛紗たちが貴方をご主人様と呼んでいるではありませんか。ならば私の主ですぞ」

 

「構わぬ。好きに呼ぶがよい」

 

「っはっはっは。主はあまりこう呼ばれるのがお好きではないようで」

 

「そんなことないよね~ご主人様♪」

 

「ふっ、朱里、雛里。うぬらは初対面であろう」

 

「ぶ~ぶ~、ご主人様話を逸らした~」

 

桃香は頬を膨らませ、ジト目で信長を見る。

 

「はわわ!そうでした!」

 

「あわわ・・」

 

「おお。このちびっこたちは確かに初対面ですな。私は趙雲。字は子龍。真名は星。これからよろしく頼むぞ」

 

こうして信長に頼もしい仲間がまた一人増えたのであった

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