うつけ無双   作:なろうからのザッキー

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反董卓連合

信長たちが内政に力を注ぎ、今までとは違う新たな仕事に奔走しているころ、この大陸の運命を変える大きな出来事が起こった。

 

漢の皇帝、霊帝の死である。

 

霊帝の死後、朝廷内では権力争いが勃発。

最終的には董卓が献帝と名乗った劉協を傀儡とし、自らを相国という位に付き、朝廷内を牛耳った。

 

そして、第二の権力闘争が開始される。

反董卓連合の檄文が各地で割拠する諸侯に飛んだのである。

 

信長たちにも袁紹からの要請が届いた。

 

信長たちは大広間に集まり、袁紹から届いた手紙を皆に回しながらこれからの方針を相談する。

 

そして、桃香が怒ったような声で第一声を発した。

 

「当然参戦だよ!董卓さんって長安の人に重税を課してるって噂を聞くし!そんな人を天子様の傍に置いておくなんて言語道断だよ!」

 

それに続き愛紗、鈴々も声を発した

 

「桃香様の仰る通り!力無き民に代わり、暴悪な為政者に正義の鉄槌を食らわさねば!」

 

「悪い奴は鈴々がぶっ飛ばしてやるのだ」

 

桃香、愛紗、鈴々はもともと力なき民の為に立ち上がったのである。このような情報を聞いて黙っていられる筈も無く、今すぐにでも出撃しそうな勢いである。

 

そのような様子を黙って信長は見ていた。そして、残りの三人にこう問いかける

 

「星、朱里、雛里、うぬらの意見を聞こう・・ぞ」

 

そう言われ星が最初に声を発した。

 

「ふむ。確かに桃香さまや愛紗たちが言うことも尤もですが・・」

 

「なんだ。星は反対だとでもいうのか?」

 

愛紗が少し怒気を含んだ声で星を睨む

 

「そうではない。ただな。少し気になるのだ」

 

「この手紙の内容・・ですか?」

 

朱里が顎に手を当て、星へと問いかける

 

「軍師殿も同じか?」

 

「はい。敵対勢力について書かれているとはいえ、あまりに一方的すぎるかと・・」

 

「一方的~?どういうことなのだ?」

 

朱里が少しうつむき加減で難しそうに答え、鈴々はよくわからないという顔で朱里に意味を請うように言った

 

「董卓さんは悪い奴。だからみんなで倒そう。とても分かりやすく書かれていますけど、この手紙はそんな単純なものでは無いと思うんです」

 

「これは諸侯の権力争い。・・抜け駆けして朝廷を手中に収めた董卓さんへの諸侯の嫉妬が、このような形で現れたと見るべきです」

 

朱里が鈴々の質問の意味を答え、朱里を補佐するように雛里が答える。

 

「う~・・そんなに複雑に考えなくちゃならないのかなぁ。今、董卓さんに苦しめられている人たちがいるってことだけで十分だと思うんだけど」

 

「董卓の圧政に皆が苦しんでいる。・・それが本当ならば桃香様の仰ることも尤もなんですけど・・」

 

「それは嘘の可能性があるということか?」

 

愛紗が少し怒気を含んだ質問を朱里へと投げる

 

「嘘と言えるかどうかは分かりませんが、逆にどこまでが本当なのか。その辺りを見極めなければならないかと・・」

 

「あう・・我々はすでに流浪の義勇軍では無く、一つの地域を支配する侯ですから・・」

 

「それに、すでに漢王朝に崩壊の兆しが見えている以上、先のことを見据え動かなければ私たちのような弱小勢力はあっという間に大きな諸侯に飲み込まれてしまいます」

 

「・・自分たちの理想を実現するためにも、その理想を客観的に見つつ、実現するために現実的な考え方をしろ。そういうことか」

 

朱里と雛里の現実的な答えに、愛紗は俯き、悔しそうな表情を浮かべ、理想と現実のギャップに悩みながらそう話す。

だが愛紗は再び目に光を灯し

 

「例え圧政の確たる証拠がないにしても、苦しむ庶人ががいる可能性があるのならば、私はその人たちを助けに行きたい!」

 

「・・私とて本心ではそうなのだがな。・・さて、どうする、主」

 

星が今まで腕組をしながら黙って様子を見ている信長へと、答えを求めた。皆の意見は出揃った。そんな意味を含めた表情で信長を見つめ口を閉じる。

そして、残りの者たちも自然に信長へと顔を向ける。

 

「桃香」

 

「な、なに?ご主人様?」

 

信長の突然の問いかけに困惑気味の表情で返事をする桃香。信長は真剣な目で桃香を見つめる。

 

「うぬはもし、この戦で董卓たちが圧政をしておらず、その董卓を桃香。うぬが討った場合どうする?」

 

「え?」

 

「仮に、何もしておらず、良き為政者であり、そしてただの権力争いに飲み込まれ、無念のまま討たれる董卓の死体を踏みつけ、それで本当にこれで平和になったとうぬは笑って申せるか?愛紗、うぬの理想もこれで実現するか?」

 

「そ、それは・・・」

 

「・・・・・」

 

愛紗は信長の突然の問いかけに困惑気味にうろたえ、桃香は黙って唇を噛みながら下を向いて悩んでいる。

 

「ふむ。・・・まずは情報の重要性について述べる。この時代、情報を制する者が天下を取ると言っても過言ではない。朱里、雛里。この一件が終わらぬうちから細作のさらなる向上を目指すため資金を回せ」

 

「は、はい!」

 

「それでも・・・」

 

黙っていた桃香が顔を上げ、突然言葉を発した

 

「それでも私はやっぱり参戦したい!黙ってみているなんて私にはできないよ!!

本当に圧政をしているなんてわからないなら、しているかもしれない!ううん!違う!噂があるならしている可能性のほうが高い!

 

もし、していなかったら・・私は董卓さんを助けたい!!私は全ての人が笑える世を作りたいんだもん!!

この大陸で苦しんでいる人がいない平和な世を作りたいんだから!目の前で苦しんでいる民か、董卓さん。

 

そのどちらかを見殺しになんて私はできない!したくない!!」

 

桃香が真剣な表情で、精一杯の力を言葉に込め、信長へと伝える。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

信長と桃香。二人は一切目をそらすことなく真剣にお互いの目を見つめる。

他の者たちはこの場の空気に呑まれてか一切言葉を発しない。黙って二人の成り行きを見守っている

 

「・・ふむ。ならばしかとこの戦を目に焼きつけ、真実を知り、うぬの理想の実現への糧とせよ。

朱里、雛里。最悪の事態を回避するために、うぬらはあらゆる想定を仮定し、策を用意しておくのだ」

 

「分かりました!」

 

「・・・(コクコク)」

 

「ご主人様・・」

 

桃香は驚いたような表情からだんだんと満面の笑みへと変わっていき、

 

「うん!ご主人様の言うとおり、準備万端整えておけば、どんなことがあっても平気だって!ね?愛紗ちゃん!」

 

「はい。我が青龍刀は、弱き者を守るためのもの。圧政に苦しむ庶人がいるかもしれないのなら、この目で確かめ、そして正義の刃を振いたい・・」

 

「鈴々もなのだー!!」

 

もともとこの連合に乗り気だった三人は、もはや笑顔で顔を見合わせ話し合っている

 

「星。うぬらはどうじゃ?」

 

「ふっ、私とて、苦しんでいるかもしれない民草がいるのなら助けたいという気持ちは愛紗らと同じ。困っている者の為に槍を震えるならば腕がなるというもの」

 

「私たちだって同じです。困っている人がいるのなら助けたい。当然のことです」

 

「わ、私もです・・」

 

「なんだ?お主たちも結局同じなのではないか」

 

星や朱里、雛里も結局同じ意見だったということもあり、愛紗は拍子抜けな表情で星に詰め寄る

 

「ふむ。理想に猛進しすぎる人間がいる以上、誰かが制動をかけなければ、その集団は暴走し、やがては自滅することになる。お主たちは特に理想への猛進がすぎる」

 

「見えていない事象に注意を喚起するために、反対意見を提起するのは軍師の役目でもありますから」

 

「うっ、お前たちからしたら、私たちはそう見えるのか・・」

 

星たちの意見に愛紗は少し方を落とす。自分たちは猛進する猪のように見えるのかと。

 

「とりあえず方針は決まった。ワシらは反董卓連合に参加する!各自準備に奔走せよ!」

 

信長はその場にいる全員に対し、この連合への参加を表明した

 

(さて・・この三国の英雄たちはどのような者たち・・ぞ)

 

信長はひそかに楽しみにしていた。

 

本心ではこの後起こる群雄割拠に対し、まだ貧乏な織田軍の地盤を固めるために不参加に気持ちが傾いていたが、やはりこの三国志を知るものならば誰もが知っているこの戦いに参加したかった。

 

そして、たくさんの諸侯が集まるこの連合に参加すれば袁紹や袁術、本来ならば孫堅などたくさんの英雄が一同に介する良い機会なのだ。是非会ってみたいと思ったのだ。

 

そして、桃香。彼女には熱い理想がある。この大きな大戦に参加させ彼女をもっと成長させたいと信長は思った。磨けば光る良い逸材。諸侯たちによる権力争いが勃発し、この連合自体も権力争いの延長。そんな者たちが多い中彼女は一つもぶれることなく民の為に戦う女。彼女にもっと乱世を経験させ、この世の全てを学ばせ、成長させたいと感じた。

 

ついでに信長の時代の忍び、忍者は非常に優秀である。だがこの時代ではまだまだであった。よき忍びを作るために訓練資金を回したかったが朱里たちは納得してくれなかった。しかし場の流れのお陰で上手い具合に納得させることが出来た。

 

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