信長は華雄の首を前に、酒を煽って袁紹からの次の指示を待っていた。
「しかし、主もなかなかおつな趣味をお持ちで」
星がにやりと笑い、この部屋を見渡す。主に華雄の首を中心に。
桃香は、人の首などみたくないのかこの場にはいない。鈴々は桃香の護衛として、愛紗が部屋を出させた。
あまり、見て欲しいものではないのだろう。
「クク・・この首は愛紗の手柄。我が軍の大事な将が得た、戦利品よ。
これを肴にしてまずいわけがなかろう。愛紗よ。まっこと大儀であった」
信長がそう言い、酒を一気に飲み干す
「はい!!この愛紗、これからもご主人様の天下統一のため更に精進します!」
愛紗が頭を下げ、信長にさらに忠誠を誓う
「して・・次の虎牢関の情報を・・朱里!雛里!」
「はひ!はわわ、噛んじゃった」
「あわわ・・」
朱里と雛里も華雄の首が怖いのか、いつにもまして動揺している。
「え、えと・・次の虎牢関は最大の難所と言っても過言ではありません」
「あぅ・・虎牢関の守将は天下の飛将軍呂布奉先です・・」
朱里と雛里の顔はとても暗い。信長もこの名を聞き、少し眉がピクッと反応したようだ。
「呂布・・・その武、天下無双とまで謳われている、あの呂布か!」
「はい、また汜水関の守将の一人だった張遼さんの姿が、前の戦いでは確認されていません。恐らく虎牢関に後退していたと思われます」
「張遼・・張文遠か。私も旅先でよくその名を聞いたが、どの噂も張遼を讃えるものばかりだったな」
「くっ・・次は難攻不落の虎牢関に呂布、そして張遼か・・・厳しい戦いになるな・・」
愛紗、朱里、雛里、星は暗い顔をしている。無理も無い。先程の戦いは華雄が猪突猛進であったからうまくいったのだ。
いわば、奇跡の勝利であったといってもおかしくない。普通は、関に篭り、篭城するのが上策であるのだ。
今度の虎牢関では恐らくそうはいかないだろう。
次は間違いなく激戦だ・・そして、苦戦も間違いないだろう。
そんな折・・袁紹軍の兵士がこちらに近づいてきた。
「大本営より伝令!織田軍は速やかに前進し、虎牢関の前方に布陣せよ!
その後は敵の動きに合わせ、華麗に敵を撃退せよ!以上!」
「クク・・思ったとおりぞ・・・」
さすがの信長も袁紹の性格がもうわかってきたようだ。
「案の定というわけですな・・それにしても華麗に敵を撃退せよというのは、冗談としては面白い」
星もわかっていたようだ。旅を続けていたため袁紹のことも知っている。そして、今回の連合での作戦で、袁紹の指示は全て当てにできないということも。
「もっと面白いのは、それが冗談では無いってことですね♪」
「あわわ・・朱里ちゃん・・」
「さすがにこうも続けられると、口も悪くなっちゃいます・・」
「そうだね・・相手はあの呂布将軍。それに張遼さんと・・忍びからの情報では陳宮という軍師さんもいるようですし・・私も朱里ちゃんと同じ気持ちだよ、はぁ・・」
突然の親友の黒さに雛里もびっくりしたようだ。だが雛里も気持ちはよくわかるようだ。
朱里も雛里も、軍師としてこんな馬鹿な指示や作戦しかしてこない総大将に疲れきったため息を漏らす。
「クク・・一騎当千の呂布・・知の陳宮・・文武両道の張遼・・。此度の戦いはなかなか面白くなりそう・・ぞ」
信長は不適な笑みを浮かべる。敵に比べこちらは役に立たない総大将。
そして、連合はどれも己の名をあげるため、そして、自軍の被害を最小限に抑えるなどの企みがあり、連携がとれているようでとれていない。
数ある諸侯の中でも役に立つ者は少ないだろう。
この最悪の状況での戦いに信長は内心で燃えていた。
この天下を揺るがす大戦でさらに織田の名を広めなければいけない。すでに、華雄を討った事で織田の名は知れ渡った事であろうが、信長はまだ満足していなかった。
「呂布・・か・・・・。ものども!進軍する!虎牢関へ向け、全軍前進ぞ!」
・
・
「・・来る」
「ん?来るて・・連合軍がか?まさか汜水関を抜くにしてもまだ早いやろ?」
そこには背の高い赤毛の女性と、堰月刀を持つ、サラシを巻いた女性が会話していた。
「・・・(フルフル)来る」
「ふむ・・こういうときの恋の勘は当たるからなぁ・・・誰かおるか!!」
「はっ!」
サラシの女性に呼ばれ、董卓軍の兵士がこの場に来た。
「出陣や。準備しとき」
「へ?出陣・・ですか?篭城をして時を稼ぐのでは?」
「篭城しても援軍なんざこん。なにせウチら以外の諸侯が連合を組んでるんやからな。・・外に出て派手に暴れまわる方がええやろ?」
「それもそうですね・・了解です!ではすぐに出陣準備を整えます!」
「おう、頼むで」
「はっ!」
兵士はその場をすぐに発っていった。彼女に言われたとおり出撃準備するのであろう。
「さてさて、張文遠、最後の大舞台や。派手に死に花咲かせたるでぇ~」
「・・・(フルフル)
赤毛の女性が首を振りながら、張遼の服の裾を掴んでいる。なにか伝えたい事があるのだろうか
「ん?なんや?」
「・・霞、死ぬの、良くない」
「恋・・・」
「戦って、生きる。それが良い」
「まぁ、そりゃそうやけど・・ぶっちゃけ今の状況はウチらにとって絶体絶命やで?生きるよりも死に花を咲かせたいってウチは思うねん」
「死に花咲いても、誰も喜ばない・・・。でも、生きていれば誰か、喜ぶ」
「・・そんなこと、考えた事も無かったわ」
「なら考える」
「・・せやな。恋の言葉、心に刻んどく」
「・・・(コクッ)」
そして、この二人も動き出した。董卓軍を、そして、彼女たちが守ると決めた者のために死地へと赴いた。
「・・む。止まれい!!」
信長の命令により、進軍を停止した。
「これは・・・虎牢関の前に敵軍が布陣していますね」
「あわわ・・地の利を捨ててですか・・何か策があるのでしょうか?」
「ふむ・・朱里、雛里。うぬらの思い浮かぶ敵の策を述べよ」
「考えられるとすれば・・伏兵・・でしょうか?」
「あぅ・・崖の両側に伏兵を配置し。突出してきた所を斉射でしょうか」
「そのほかにも伏兵を使って私たちの戦力、戦意、そして目を釘付けにし、時期を見ての本陣急襲でしょうか」
朱里と雛里による、説明により、全員が険しい顔になる。
「ご主人様!!ならば崖の上に別働隊を派遣しましょう!伏兵の危険性があるのならすべきです!」
「待て愛紗・・まだ敵の考えの全てが出揃ったわけではない」
「っと・・いいますと?」
「退却か・・玉砕覚悟の決戦もありうる・・」
信長が朱里と雛里の敵の方針にさらに、二つの可能性も追加した。
それを聞き朱里も雛里も共に考え込む。
「確かにそれもありますね・・・」
「敵は決戦を持ち込む、こちたに痛手を与えた後、退却・・ありえます」
「し、しかし!決戦したあと退却できるなどと、本気で考えているのでしょうか?」
愛紗が驚いた顔でそう述べたが・・
「はい・・それほどまでに連合軍がなめられているとしか・・」
「あわわ・・こちらの総大将が袁紹さんですから・・」
朱里と雛里が再びため息をつく。二人の言葉に他の全員も納得したようだ。
「あ!でもでも!!逃げるつもりなら、虎牢関なんてすっごく堅い関があるなら、それに篭って戦って退却した方がいいんじゃないかな?」
桃香が珍しく、頭の冴えた質問をした。
「・・城や関に篭り、戦えばその防御力に頼り時期を逃すものぞ。まだ戦えると過信してしまう。ならば、包囲される寸前での必死の逃亡の突破力の方がよほど生存の確率が上がるのだ」
「おっしゃる通りです」
「ほへ~・・さすがご主人様だね」
「・・・・朱里、雛里。ワシらが取る策を述べよ」
「そうですね・・総大将の考えがどうせ、華麗に迎撃とかでしょうから戦略面での策は施しようが無いかと・・」
「戦術面ではいくつか案はありますけど・・未だ敵の動きが読めないので、なんとも言いようがありません。・・ごめんなさいです」
「構わぬ。ならば今しばらく待機ぞ。敵の動き、袁紹からの指示、その両方を待ち、それから考えようぞ」
織田軍がその結論にいたり、しばらく待機していると・・
「ご主人様!!敵が突撃を開始しました!!」
「・・来たか。朱里、袁紹からの報告は」
「あるわけありませんよ~!」
「クク・・ならば好きにさせてもらおう・・ぞ。
愛紗、鈴々。うぬらは前曲を率い相手の突撃を受け止めよ。星、雛里。うぬらは二人の左右を固めよ。
桃香、朱里はワシとともに後曲ぞ」
「わかりました!!」
「ううー!!腕がなるのだーー!!」
「張り切りすぎて怪我をするなよ、鈴々!」
「愛紗こそなのだ!」
「みんな、気をつけてね!絶対無事に戻ってこなくちゃダメだよ!」
「もちろんです桃香様!必ずお戻りします!」
「合点なのだ!!」
「ふっ、了解した。・・桃香様もお気をつけて。まあ、主ならばそれぐらい造作もなき事でしょうが」
桃香の優しい心遣いに皆の士気があがる。
「では皆さん。舞台を配置した後は雁行の陣を敷いてください!」
「敵の動きに合わせて陣を変えますから、本隊の合図に注意しておいてくださいね!」
「了解した。我等の手綱二人に預ける。頼むぞ、我等が軍師殿」
「はいっ!!」
「桃香。此度はうぬが号令を取れ。うぬの理想に兵は付いてきたのだ。しからばうぬの言葉こそが兵の力の源ぞ」
「わ、わかった。やってみるね」
そう言うと桃香は緊張しているのか一つ大きな深呼吸をした。そして、出来る限りの気持ちを言葉に込めた。
「みんな、この戦いに勝てば洛陽は目と鼻の先だよ!!勝って洛陽に行って、困っている人たちを助けよう!」
「おう!!!!」
「全軍前進!!頑張って敵をやっつけよう!!」
桃香の言葉により兵たちは己を鼓舞した。武器を高く天に突き上げ大きな声で叫ぶ
「クク・・飾った言葉よりも、桃香のようなわかりやすい口上の方がこやつらにはなおよし・・か」
そして、敵との攻防が始まった。敵は天下の呂布。
「く・・こいつら・・・なかなか強い。さすがは呂布の部隊といったところだな」
「うりゃうりゃうりゃーー!!」
愛紗と鈴々が奮闘を見せている。しかし、敵は黄巾ではない。
今まで戦ってきた黄巾兵であれば、この二人の豪傑の戦いに、敵は恐怖し、士気を失い、無力化していくのだが今回は天下の飛将軍の兵である。
愛紗や鈴々の武を見ても、一向に士気が落ちないのだ。それほどまでに呂布は強いのか
「だが、今はこちらの方が兵力が上だ!!一気に行くぞーー!!」
「おおおおおおーーーー!!!!」
「うりゃー!!張文遠の騎馬隊!舐めたらいかんでーー!!横ッ腹ががらあきやぁー!」
「なんだと!?あいつが・・張遼か!!」
こちらは場所が変わり曹操軍。突如として張遼の奇襲が彼女たちを襲ったのであった。
「張遼・・その行軍速度、そして統率の高さもさることながら武においても一流・・欲しいわね」
「華琳様!しかし、張遼による横撃により軍が混乱しております」
「あら?なら敵を囲みなさい。そして、敵をも混乱させるの。そうすれば五分の条件。いえ、数ではこちらが勝るわ。
桂花、できるわね」
「はい、やってみせます!」
「なんとしても張遼を手に入れるわよ」
曹操の目にはもはや張遼しか映っていないのだろう。その目はとてもおもしろそうなおもちゃを見つけた子供のように輝いていた。
「む・・あれが呂布・・」
信長は前曲に来ていた。朱里や桃香に止められたがもちろん聞くはずもない。
二人に後曲を任せると自らも武器を振い、前線へときたのだ。
「ご、ご主人様!!」
「お、お兄ちゃん!」
二人は何故ここにいるのかと目で語っている。少し、非難も混ざっている
「なぜここへ来たのですか!ここは危険です!下がってください!」
「クク・・小言は後で聞こうぞ・・今はあやつをなんとかせねばな」
信長の視線の先には、天下の武が振われていた。
当然前曲においた袁紹軍、もとい織田軍の兵が吹き飛ぶように蹴散らされている。
「これが・・・呂布・・・」
「すっごく・・強いのだ・・」
愛紗も鈴々も言葉を失っているようだ。
無理もない、見ただけで分かるのだ。
自分たちの武では勝てない。格が違いすぎる・・・・
「愛紗、震えておるのか?」
「い、いえ・・こ、これは・・その・・・武者震いです!!」
「クク・・隠すでない・・それでよいのだ。あの武、普通に戦えば確実に死ぬであろう」
「で、ではどうすればあやつを止めることができるでしょうか?」
「・・・。ワシら一人一人ではあやつには及ばん。しからば三人で戦うのみ。一本の剣では容易く折れるが、三本ならば折れぬ。
ワシらのこの猛き心を刃とし、あやつを討つ」
「さ、三人でですか?しかし、それはいささか卑怯では?」
「構わぬ。お主はここで死んでよい器ではない。死するはワシが許可したとき、それはこの大陸が平和になったときぞ!!愛紗!鈴々!!往くぞ!!
うぬらが誓った桃園の誓い!!この信長が破らせはせぬ!!」
「ご、ご主人様!!鈴々!!ご主人様を追うぞ!!」
「わかったのだ!!」
先に走り出した信長を愛紗と鈴々は必死におった。
(・・この呂布との戦い。史実では劉備、関羽、張飛であったな。しかし、ここでの桃香は弱すぎる。ならばワシがやるしかない。
本物の劉備がいかほどの強さであったかは知らぬが、この信長が死ねば、それは劉備より弱いということ。
死すればワシは英雄劉備に劣るということであるか。クク・・面白い。劉備よ、この信長の力、しかと見届けよ)
「・・・敵」
「うむ、呂布よ。三人で悪いがうぬをここで止めさせてもらうぞ」
「・・来い。恋は強い。同時に来い」
「・・大層な自信だ」
「鈴々たち三人に簡単に勝てると思うななのだ!!」
愛紗と鈴々が舐められたと思ったからなのか怒気を含んだ声で武器を構える
「クク・・愛紗、鈴々。平静を保つのだ・・敵は雑魚にあらず。冷静さを欠けばうぬらの首が飛ぶぞ」
「・・・死ね」
呂布が方天画戟を力の限り、上から下へと振り下ろす。
愛紗は自慢の堰月刀でその攻撃を防ぐ
ガキーン!!!
「くっ!?」
たまらず愛紗の顔が歪む。
その味わった事のない衝撃に驚いているようだ。
愛紗に攻撃を防がれた呂布は目標を変え、鈴々へと方天画戟を左から右へと、振り回す。
斬るというよりはその重量をいかし、相手を吹き飛ばさんとするかのような攻撃だ。
鈴々は歯を食いしばり、蛇矛を両手でしっかりと握り攻撃を防ぐ
ガキーン!!
「おわわっ!?」
その衝撃の強さに、鈴々の体が一瞬宙へと浮く。
鈴々の体の小ささと、呂布の攻撃の衝撃の強さにより、そうなったようだ。
鈴々も驚き、体勢が崩れる。
続いて呂布は信長へと攻撃を移す。
まるで、三人に一度攻撃を繰り出し、強さを図っているようだ。
鈴々への攻撃の際、右へと薙いだ後、その勢いを生かし、そのまま回転するように信長へと再び方天画戟を薙ぐ
ガキーン!!
「・・く」
「・・よく止めた」
「くっ・・なんたる剛力・・」
「あいたー・・手が痺れてるのだ・・」
「さすがだな・・呂布よ」
三人の表情にも曇りが浮かぶ。
気づかないうちに、三人とも額に汗が浮かんでいる。
恐怖による冷や汗と緊張であろう。
だが、呂布の表情は変わっていない。
方天画戟を肩へと担ぎ、まだまだ余裕のようだ・
「恋、強い。・・舐めてると死ぬ」
「確かにな。だが・・我等とて腕には多少の覚えがある。全力を持って貴様を止めてみせよう」
「・・・来い」
「参る!でやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「・・・・・・」
愛紗が飛び掛るように呂布へと、青龍堰月刀を力の限り、振り下ろす。
だが愛紗の攻撃は宙を斬るだけとなった。呂布は最小限の動きだけで愛紗の攻撃をかわしたのだ。
「なにっ!?」
「振りが大きい・・避けるの簡単」
「な・・なんだとぉ!!でやぁあああーー!!」
「・・・・・」
それからも愛紗が攻撃を繰り出すが全て避けられる。
呂布の言葉に怒りを覚えた愛紗は冷静さを欠いているようだ。
はたからみればただがむしゃらに堰月刀を振り回しているようだ。
その様子に見かねた鈴々が前へと出る。
「愛紗!どくのだ!!ええーーーーい!!」
「・・・・」
鈴々が自慢の蛇矛で呂布へと突きかかる。
だが、鈴々の攻撃も避けられてしまう。
呂布は、愛紗へと移していた視線をチラリと鈴々へと向け、そのまま後ろへ下がるだけで避けたのだ。
「避けたっ!!??」
「・・・軌跡が単純」
「にゃにおうーー!!!!」
呂布の言動に愛紗も鈴々も怒りをあらわにしてジリジリと呂布との距離を縮めていく。
だが、その光景を見ていた一人の男が叫ぶ。
「たわけが!!!!!」
「!!??」
信長が二人に渇を入れる。そして、愛紗と鈴々は先程信長に言われた言葉を思い出したようだ。
呂布が再び、方天画戟を肩へ担ぎ、信長に視線を向ける
「あと一人・・来い」
だが、信長はその挑発に乗らない。
「クク・・貴様の言う通り攻撃したいところだが、ワシは愛紗や鈴々より弱いでな。この二人の攻撃が効かぬならワシの攻撃は無価値。しからばすることは一つ・・ぞ。
愛紗、鈴々。呂布を中心に囲め。三点より攻撃する。常に、二人以上で攻撃せよ。
二人が攻撃し、一人は頃合を見て攻撃ぞ。決して奴に、攻撃させる暇を与えるな!
攻撃こそ最大の防御と心得よ!!愛紗、鈴々!攻撃せよ!!」
信長にそう言われ、三人は呂布を中心に三角形の位置取りをとった。
「でやああぁあああー!!!」
「うりゃーー!!!!」
「・・・・」
愛紗と鈴々は二方向より呂布へ攻撃する。
愛紗は上から下へ堰月刀を振り下ろし、鈴々は愛紗とは違う、突き刺す攻撃をする。
ガキーン!!!
だがしかし、呂布は二人の攻撃をもなんなく受け止める。
方天画戟で、同時に来る攻撃をその軌道にあわせ防いだのだ。
刃の部分で、愛紗の攻撃を。
柄の部分で鈴々の突きを。
二人の攻撃を防ぐ、その力の強さはまさに天下無双である。
だが、呂布に焦りの表情が一瞬見える。
「・・!?」
「・・滅せよ!」
「くっ・・」
愛紗と鈴々の攻撃を防いだ呂布の後ろから信長が斬りかかる。しかし、呂布はギリギリその攻撃を体をひねることで、かわしたようだ。
「まだまだーー!!!」
愛紗が間髪いれず、攻撃を繰り出す。
信長の攻撃を避け、体勢が整わない呂布へと、堰月刀を再び力の限り振り下ろす。
「・・・・・っ」
呂布が無理な体勢で攻撃を受け止める。
体勢が整っていなかったために、その衝撃を防ぎきれず、手首に無理な力がかかり、一瞬表情が痛みにゆがむ。
だが呂布への攻撃は止まない。
愛紗の攻撃を防いでいる、呂布へ二人が切りかかる。
愛紗は、そのまま二人の攻撃を邪魔しないようにと、移動する。
「隙ありなのだーー!!!」
「死ねぃ呂布!!」
「・・・くっ」
鈴々と信長は痛みに顔が歪む呂布へと、二人で同時に武器を振り下ろし、その手へと衝撃を与える。
呂布は信長の村正と鈴々の蛇矛を方天画戟一本で同時に防いだ。
だが、一度痛みを覚えた手首にはその攻撃は効いたようだ。
二人分の体重が乗った、攻撃はさらに呂布の手首へと痛みを伝える。
再び、呂布の顔が苦痛に歪む。
だが、まだ終わらない・・・
「呂布!覚悟ーー!!!!」
愛紗が再び呂布の無防備な背後から斬りかかった。
今度は、上方で二人に振り下ろされた攻撃を防ぐために方天画戟を上にしている、呂布の腹へと、堰月刀で刺すように突き出す。
これが信長の考えた戦い方だった。
二人からの攻撃をされれば、必然的に防がなければならない。そして、それを武器を使い防げば、背中はがら空きなのだ。
強い相手に勝つためには、このような戦い方をするしかない。
「・・・つっ・・・」
「やった・・攻撃が届いたぞ」
さすがの呂布も防ぎきれず、そのわき腹から血を流す。しかし、最強の武将の勘なのだろうか?
反射で、恐らく致命傷を避けたのだろう、まだ戦えるほどの怪我である。
「いかな呂布と言えど、斬られれば死す。ワシらはこの戦い方を変えぬ。そしてうぬは怪我を負った。
最初のような動きはもう出来ぬぞ、呂布。いさぎよく降伏せよ」
「・・・・・」
呂布の無表情な顔にも若干の曇りが見えた。この攻撃を続けられればまずいと思ったのだろう。
しかし、その時・・・・
「・・・ちんきゅー・・」
「はいですぞ!!!火矢を放てーー!」
「なにっ!?」
火矢が放たれた事により、あたり一面が火に包まれる
「呂布殿ー!!早く逃げるのですぞ!!!」
「・・・(コクッ)」
「待て呂布!!逃げるのか!!」
「・・・・楽しかった」
「なに・・?」
そのまま呂布は背中を見せ、その場を後にしていった。
「逃げられましたねご主人様・・・」
「構わぬ。初めからわかっていたことよ」
「え・・?」
「クク・・呂布。いずれまた会おう・・ぞ」