うつけ無双   作:なろうからのザッキー

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群雄割拠の始まり

反董卓連合と董卓軍の争いに決着がつき、早一ヶ月。

信長たちは平原に戻り、戦後処理や通常業務を行っていた。

そんな信長たちの元へ、使者が訪れ一編の書簡を提示した。

 

「平原の相、織田上総介信長。先の董卓討伐において多大なる功績をあげたことを認め、徐州の州牧を命ずる。

かしこみて帝のご仁慈をお受けするように」

 

「あい、わかった」

 

信長は使者へ了解した事を告げ、使者は帰っていった。

 

「州牧ってな~に?」

 

「以前は刺史と言われていたものですね。霊帝の時代に州牧という名に変更され、権限なども刺史や牧よりも大きなものになっています」

 

「太守みたいなものだと考えて良いかと・・」

 

「太守・・・太守なんだご主人様・・」

 

桃香が驚いた表情で、信長を見上げる

 

「皆、徐州へ移動するぞ。すぐに支度をせい」

 

「引越しなのだー!引っ越~し~♪新しい街はどんなところなのかな?」

 

「徐州は東は黄海に連なり、西は中原と隣接すると古くから五省に通ずる地として知られているところですね」

 

「高祖劉邦の故郷でもあります。桃香様にとっては、ある意味お里帰りに近いかもしれませんね」

 

「桃香は中山靖王劉勝が末裔であったな」

 

「嘘かホントかはわからないんだけどね・・唯一それっぽいのはこの靖王伝家だけなんだよね」

 

桃香が自身が持つ靖王伝家を手に取り、難しい顔をする。

 

「お姉ちゃん。ホントかどうかなんてどうでもいいのだ。大事なのは今なのだー!」

 

「・・・。うん、そうだよね鈴々ちゃん♪」

 

鈴々の言葉に桃香は顔を明るくさせた。

 

「よ~し!じゃあ皆!次の徐州でも頑張って街を良くしてこ!がんばろー!おー!」

 

そして、織田軍は平原から徐州への旅支度を整える。

信長にとっても、劉備三姉妹にとってもこの地は、思い出深い地。

 

何もなかった流浪の身から、黄巾の乱を経て手に入れた大切な地。

だが、こんなところで留まってはいけない。

 

信長は最後に、城門前から一度振り返り、街を一通り眺めた後、二度と振り返らず徐州へ向けて行軍を開始した。

 

 

場所は変わり・・・

 

「恋どのー!!!吉報ですぞ!」

 

「ちんきゅー・・・」

 

「今しがた、袁術からの使いの者がやってきて、共同作戦を提案してきたのです」

 

「共同・・?」

 

「そうですぞ。徐州に赴任したばかりの織田に対し、軍事行動を起こすのです。それで織田を追い払って徐州を山分けなのです!」

 

「・・・・」

 

「我が軍は前の連合との戦いの後、徐州の端にあるこの城を手に入れましたが、兵を養うための兵糧も残りわずか。

このままではまずいのです。だから恋殿。袁術と同盟を組み、織田をやっつけるのです!」

 

「袁術・・信用できない」

 

「そ、それは分かっておりますよぉ。だけど今は織田をやっつけないことには、みんな飢え死にしてしまうのです!」

 

「・・・お腹減った」

 

「です・・・だからこそ恋殿ぉ。ご決断を~」

 

「ちんきゅー・・・・・・・・・出撃準備」

 

信長たちが徐州へきて、一ヶ月が経過した。

ようやく徐州の生産高や産業の状況などが纏め終わった。

徐州は平原とは比べ物にならないほど規模が違うため、信長や朱里、雛里、桃香は四苦八苦していたが、幸いにも信長や朱里、雛里は普通の文官たちとは違い、仕事が速かったため、一ヶ月である程度軌道にのれたようだ。

 

「朱里報告を述べよ」

 

「はいっ!えっとですね、徐州の生産力は平原よりも大幅に高く、また鉄や銅などを産出することも可能です。

人口も多く、交通の便も良い事から商業も盛んですし・・力を蓄えるには良い土地かと思われます」

 

「しかし、それだけ治政が難しいと言っても過言では無いと思います・・豊かさを目当てに諸侯が攻めてくる可能性が高いです・・」

 

「なるほど~、じゃあすぐに軍備の拡張をしなくちゃね」

 

「だが、内政をしつつ軍備の増強を図るのはいいが、なかなか骨が折れそうだな」

 

「はい。軍備とは即ち兵。兵というものは基本的に非生産階級ですから、兵を充実させれば、生産力が落ちるのは当然です」

 

「その両者の天秤を平らに保つ事こそ、富国強兵の理想かと」

 

「うへ~・・なんか大変そう・・・」

 

朱里と雛里の説明を聞き、桃香はうなだれる。鈴々や愛紗、星は基本的に軍事関係を担当している。

桃香は軍事に関してはからきし出来ないため、桃香は内政面を手伝っている。

その難しいことを桃香はしなければいけないからだ。

 

「ふむ。難しくとも達成させなければ、ワシらはこの時代の波に乗れぬ。皆、しかと働くのだ」

 

「おー!(はい!)」

 

そしてこれから仕事に取り掛かろうとしていたとき・・・・

 

「も、申し上げます!!!」

 

「何事だ!」

 

「ただいま城門にて、こ、公孫瓚様が!」

 

「伯珪殿が?ふむ。州牧就任の祝いにでも来てくれたのか?」

 

「いえ、それが多数の兵を引きつれ、信長様、劉備様に保護を求めていらっしゃるのです!」

 

「ほ、保護!?」

 

そこにいる全員が報告を受け、動揺している。桃香にいたってはもうその場を後にして走り出してしまっていた。

 

「ふむ。白蓮にはワシも含め世話になった。往くぞ、案内せよ」

 

「はい!」

 

信長たちは桃香の後を追うように、城門へと向かう。

城門ではすでに、桃香が白蓮と対面していたようで、焦った様子で白蓮と話していた。

白蓮の様子は、鎧のところどころに血の跡があり、そして、黒いすすの汚れも目立つ。

 

どうやらただ事では無い様子であった。

 

「信長・・桃香・・すまん。いきなりここに転がり込んできてしまって・・・」

 

「構わぬ。訳を申せ」

 

「麗羽が・・袁紹の奴が奇襲を仕掛けてきて、遼東の城を全て落とされたんだ・・」

 

「何っ!?」

 

「袁紹が攻めてきた・・?」

 

「ああ。反董卓連合の後、私は本国に戻って内政に取り掛かっていたんだ。だけどある日、宣戦布告の使者が来ると同時に、国境の城が次々と落とされてしまって・・」

 

「反撃したのかー?」

 

「したさ!だけど気づいたころには領土の大半を制圧されていて、反撃するにも兵力が足りず・・」

 

「落ち延びてきたという訳ですな」

 

「恥ずかしながら、そういうことだよ」

 

「ふむ。白蓮。とりあえずうぬが無事で良かった」

 

「信長・・・」

 

「今のワシらがあるは、うぬのおかげ。此度はうぬを歓迎しようぞ」

 

「いいのか・・?」

 

「気にしないで白蓮ちゃん♪今度は私たちが白蓮ちゃんに恩を返す番だよ」

 

「ええ、その通りです」

 

「お互いさまなのだー!」

 

「皆・・すまない・・」

 

白蓮は気が抜けたのか、その場で座りこんでしまった。

信長、桃香、愛紗、鈴々は白蓮に多大な恩があるため迷惑などとは一切思っていない。

皆、このなごやかな雰囲気に笑顔をこぼしているが、軍師たちだけは険しい顔をしている。

 

「これから・・戦が激化しますね・・」

 

「そうだね。北方を抑えていた公孫賛さんがいなくなってしまったからには袁紹さんの背後を脅かす存在がいなくなったってことだもんね」

 

「袁紹は西進か・・南下か・・ということか」

 

「クソ・・私が甘かった・・・麗羽がそんなことするはずないって思ってたんだが・・」

 

「クク・・白蓮よ。この乱世で息つく暇なぞない。此度は完全にうぬの失策ぞ」

 

「ご主人様!」

 

信長の発言に桃香は声を荒げる。しかし、それを白蓮が制した

 

「いや、良いんだ・・信長の言う事は尤もだよ私の完全な失策だ。

信長・・もう私には麗羽に対抗する事ができない・・でも悔しいんだ!!自分にも!麗羽にも!!

 

それで・・お前が良かったら私を配下にしれくれないか?」

 

「白蓮ちゃん・・いいの?」

 

「ああ。お前たちの元で一緒に戦えるのなら本望だ。それで・・頼む!!」

 

白蓮はその場で頭を下げ、土下座の形をとる。

その様子を見ていた白蓮の兵たちも一斉に同じ形をとった。

やはり、白蓮は兵たちに好かれている、立派な将だったのだろう。

 

「お前ら・・すまない・・・」

 

「ご主人様・・」

 

「うむ。是非もなし!うぬらのようなものが我が元にくるのなら願っても無いこと。

これからは織田の一員として、しかと励むが良い。期待しておるぞ。公孫伯珪よ」

 

「ああ・・・・、あり・・が・・と・・」

 

「白蓮ちゃん!!??」

 

白蓮がその場で倒れてしまった。すぐさま星が白蓮の脈をみると、生きているようだ。

北方からの遠征で疲れてしまったのだろう。

すぐに医務室へと、桃香は白蓮を運んでいった。

 

「クク・・混沌の時代がこれより始まる・・か」

 

「あぅ・・漢王朝にすでに諸侯を抑える力がありません・・群雄割拠を迎えるのはまさに必然だったのかもしれません・・」

 

「始まりますね・・私たちの天下布武への道が」

 

その場にいる全員が感じていた。これから長い戦いが始まる事を。

空気が緊張している。

 

信長は腕を組み、目を閉じ、心の中で思う・・・

 

(日ノ本で果たせなかった我が野望・・・この三国の地にて、果たそう・・ぞ)

 

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