うつけ無双   作:なろうからのザッキー

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張飛VS馬超

話は戻り、ここは織田軍本陣(しかし、兵どころか、信長もいない

信長が西涼連合本陣へ奇襲を掛ける前

 

馬超と鈴々は互いに向き合い話し合っている。

だが、馬超の表情、行動はどこか落ち着きが無く、対して鈴々の表情はすがすがしい。

 

(やっぱりお兄ちゃんが天の御遣いなのだ!錦馬超の名前は鈴々でも知ってるし、その馬超がこんなあたふたしてるのだ!)

 

「あ、あたしたちの本陣に奇襲したのか?そんな馬鹿な!?だってあそこは周りが」

 

「崖に囲まれてるのだ。それも断崖に近いほどの」

 

「そ、そうだ!だから後方からの奇襲はありえないし・・」

 

「そのありえないって言葉が出るのが最高の策だってお兄ちゃんがいってたのだ!」

 

鈴々はもう勝利が確定したであろうため、馬超にこちらの最後の切り札である、敵本陣への奇襲の策を話した。

 

「そ・・そんなアホな!!そんな・・あんな崖を馬で駆け下りるなんて・・西涼の騎馬隊どころか・・あたしや蒲公英・・母上だってできないぞ!」

 

「でもお兄ちゃんはできるって、お兄ちゃん自らが騎馬隊を率いてお前たちの本陣へ向かったのだ」

 

「ぐっ・・、は!な、なら母上が危ないじゃないか!!」

 

馬超は思い出したかのように母の安否を気遣う。

そして、すぐさま馬に跨り、踵をかえそうとするが

 

「いかせないのだ」

 

鈴々が自慢の蛇矛を横に伸ばし、馬超の進路を阻む。

 

「邪魔をするな!そこをどけー!!」

 

馬超は騎乗から鈴々にむけて、その槍で何度も突く。

 

「そんな攻撃効かないのだ!よっ、にゃにゃーー!!」

 

鈴々はその攻撃を巧みな槍さばきで防ぎ、そして、馬上では動きづらいであろう馬超に目いっぱい力をこめた突きを繰り出す。

 

「ぐっ!なんつー力だ・・・こんな小さな体にどこにそんな力が・・」

 

馬超は鈴々を侮っていた。

見た目が幼い鈴々。当然その力は見た目そのものだろうと考えていた。

だが、それはまったくの予想外。

自分に匹敵するのではと思うほどの怪力、豪胆。

 

「馬に乗ったままじゃ鈴々には勝てないのだ」

 

「ぐっ・・くそお・・・」

 

馬超は悔しいながらも馬から下りる。

確かにその通りだと思った。

恐らく、鈴々はすばしっこいであろうとも予想した。

ちょろちょろ動き回られ、そしてあの攻撃が来てはたまらないと思ったのだ。

 

「さて、これならまともに戦えるよな。あたしは一刻も早く母上の救援に向かいたいんだ。

だから・・本気でいくぞ」

 

「おもしろいのだ。鈴々だってお兄ちゃんの作戦の邪魔して怒られたくないもんねー!

お兄ちゃんを邪魔するお前をぶっとばして、いっぱい褒めてもらうのだー!!」

 

「はは!褒めてもらう・・か。単純な理由だけど、一番嬉しいよな」

 

「お、馬超。お前もなかなか分かる奴なのだ」

 

馬超と鈴々は互いに視線を逸らさず、語り合う。

そして、馬超の闘気が一気に膨れ上がる

 

「ああ。だから・・・あたしは行かなくちゃいけない!!

西涼の錦馬超!!いっくぜーー!!!!!」

 

「鈴々は張飛!燕人張飛なのだーー!!!うりゃうりゃうりゃーー!!!!」

 

二人は走った。自分の邪魔をする者を討つ為に。

馬超は大事な母を助けるため、鈴々もまた大事なお兄ちゃんと慕う自分たちの夢に付き合い、協力してくれた大好きな男のために。

 

 

ガキーーーン

 

 

二人の武器が交差する。

 

「ぬぬぬぬぬ・・・」

 

「ぐ~~~!!」

 

二人は武器を交差させた状態で力比べのように押し合う。

二人の力は見る限り拮抗しているようだ。

 

(なんなんだこのちびっ子・・あたしと張り合うなんて・・・

蒲公英のやつがいつも馬鹿力だって馬鹿にするけど・・あたしも力には自分で自信があったのに・・)

 

(ぬ~~~~、さすがなのだ馬超・・・・鈴々と張り合えるなんて~・・・・)

 

二人は心の中で敵を賞賛する。

二人には相手が敵だからと言う嫌悪感ゆえの殺すと言う気はもうまったくなかった。

 

馬超は思った。

 

できるならば、この者とちゃんとした場所で、そして、自分の状態が最善の状態で闘いたいと。

今の馬超は心が乱れている。

何度も敵の策にはまり、自分への失望、母との裁量の差、そして母への安否。

 

その全てが馬超の力を制限してしまっていると言ってもいいだろう。

 

「どうしたのだ馬超ー!!やっぱり鈴々の方が強いのだー!!」

 

「やろ~~・・」

 

だんだんと馬超が力で押され始めている。

馬超もそれを感じ取ったのだろう

 

「しゃー!!んなろーー!!!!!!」

 

馬超は距離をとり、上から下へと思い切り槍を振り下ろす

 

「にゃ!!??」

 

鈴々は慌ててその攻撃を横へかわす事で防いだ。

だが

 

ドゴーーン!!!!!!

 

馬超の槍があたった地面は大きく抉られている。

当たったものは鉄球か?とも思わせるほど地面に空いた大きな穴。

 

「す、すごいのだ・・・・」

 

鈴々は上手く避けたが、地面の衝撃で尻餅をついてしまっている。

 

「あたしを舐めるなよ。さあ、そこをどけ!あたしは母上の下へいかなくちゃいけないんだ!」

 

馬超は威圧をこめた目で鈴々を睨む。

 

「それは駄目なのだ。鈴々はここでお兄ちゃんに言われたのだ。

馬超がここにきたら相手をしてやれって」

 

その言葉を聞き、馬超は落ち込んだ。

そう、それはつまり馬超がここへ来ると言う事を信長は予想していたと言う事だ。

 

「はは・・そうなのか。あたしは・・織田の掌の上だったって訳だな・・」

 

馬超がすこし悲しい表情を見せる。

 

「すげーなぁ・・お前たちの大将は。あたしとは大違いだ・・

あたしは・・お前たちの策に見事に嵌り、たくさんの仲間を死なせちまった大馬鹿野郎さ。

 

でも・・母上だけは守って見せる!!さあ!!そこをどけ!!張飛!!」

 

「じゃあ鈴々を倒してからいくのだー!!来るのだ!馬超!!」

 

「だあああああーー!!!」

 

「にゃにゃにゃにゃーー!!!」

 

二人の武器が再び交差する。

そして、二人はお互いの力が拮抗していることを学んだため。

二人は武器での突きや斬り、なぎ払いを主とした攻撃を繰り返す。

 

「うお!?!はっ!!」

 

「にゃ!?うりゃりゃーー!!」

 

二人は相手の攻撃を避けたり、防いだ後に、自分の攻撃をするということの繰り返しであった。

二人の戦いは時間がたつごとに、その綺麗な体に赤い傷跡が増えていった。

 

「はあ・・はあ・・」

 

「なかなかやるのだ~・・ばちょ~~」

 

二人の戦いはまだ終わらない。

二人はまだ向き合い、立っているのだ。

 

「ぐぐぐ・・・くそー!!なんで倒れないんだ!!!そこをどけーー!!!!」

 

馬超が再び鈴々へ向け、走り出す

 

「んなろーー!!」

 

馬超が再び、上から下へと槍を力いっぱい振り下ろす。

 

「その攻撃は見切ったのだ!!!」

 

鈴々は横へ避けるだけでは衝撃でまた尻餅をついてしまうと学習したため今度は

 

「思いっきり避けるのだ!!!」

 

横へと数歩分走った。

 

ドゴーーーーーーン!

 

馬超の槍の衝撃で再び地面に大きな穴が空く

 

「鈴々もやるのだーー!!ええーーーーい!!!!」

 

鈴々も馬超のように蛇矛を上から下へと思い切り地面にたたきつけるように振り下ろす

 

ドゴーーーーーーン!!!

 

「くっ・・」

 

馬超は横へ避けた。

鈴々のように体は幼くないため、軽く体勢を崩す程度であった。

だがその衝撃には驚かされた。

 

(こいつ・・・やっぱりつえーなぁ・・・でも、楽しいぜ!!)

 

馬超の表情に再び笑みが浮かぶ。

馬超の心からは母への安否はだんだんと薄れていった。

 

それは武人としての性なのか?

この戦いを楽しみたい。この時間を大切にしたい。

 

自分とまともに戦える相手と命のやりとりを。

力の制限無く、思う存分自分の武を試したい。

 

この小さな一騎当千の猛将と

 

「にゃ!?急に強くなったのだ」

 

馬超の体からあふれ出る一騎当千の。万夫不当の豪傑の闘気

 

「張飛。あたしが馬鹿だったよ。お前は強い。

あたしが今まで戦った誰よりも強い。

だからあたしは本気でお前と戦わなくちゃお前に失礼だったな」

 

馬超の心は平静を取り戻していた。

人生に一度あるかないかの一騎討ち。

 

自分とほぼまったく互角の将の、誰にも邪魔されない、そして模擬刀でもない本物の武器での命の駆け引き。

馬超はこの天が与えてくれた機会に感謝した。

 

「鈴々も本気で行くのだ」

 

「ああ。頼む。あたしも本気で行く。

もう迷わない。あたしはこの戦いに無用な感情を挟まない。

母上が死ぬはずがない。

 

だからあたしは自分のことで精一杯さ。

だってこんな楽しい戦いはもうきっとこないさ」

 

「鈴々も愛紗や星と戦うよりもこの戦いが楽しいのだ。

なにより馬超と武器を交えると楽しいのだ」

 

「はは。そうか。

あたしも張飛と戦うのは楽しいぞ」

 

二人の表情は笑っている。

純粋に二人は楽しんでいるのだ。

手に持つ武器と場所が違えば誰もこの二人が命のやり取りをしているとは思わないだろう。

まるで親友と楽しく語り合う、学生のようだ。

 

「来るのだ・・馬超」

 

「ああ・・いくぜ」

 

そして二人は走り出す

 

 

 

場所は変わりここは織田軍の前衛

 

「名のある将と見た。名を名乗れ」

 

「・・・・・」

 

少女はなにも喋らない。

名乗りたくないようだ。

 

そこへ現れる一人の少女

 

「西涼の馬岱さんですね」

 

「・・・・あんたは?」

 

「私は織田軍の軍師をつとめております諸葛孔明です」

 

朱里が馬岱の元へ歩み寄る。

馬岱は地面に仰向けに倒れており、周りの十人ほどの兵に槍を突きつけられている。

 

「っで、その軍師様がわたしになんのよう?」

 

「馬岱さんには降伏してもらいたいのです」

 

「翠姉様はどうなったの?」

 

「馬超さんのことですか?馬超さんは私たちの軍の張飛さんと今、戦いを繰り広げています」

 

「そっか~。お姉様は生きてるんだ」

 

馬超の生存を知った馬岱はうれしそうな表情を浮かべている。

 

「もしお姉さまが負けたらお姉様は殺されるの?」

 

「いいえ。決して死なせません。私たち織田軍は二人の方によって治められています。

 

一人は織田上総介信長様。

信長様は魔王、冷血、非道。

人によって様々な言い方をされていますが決して噂だけの方ではありません。

現に私たちはそんな噂どおりの方にはお仕えしません。

私たちは実際にあの方を見て、そして自分の才をあの方の為に生かしたいと思えるからお仕えしています。

 

そしてその信長様が貴女たち二人を欲しています。

天下布武のため、大陸の安寧、平和の為にお二人の力を欲しています。

私も貴方たち二人の力を欲しています」

 

「へえ。大人気だね」

 

「ええ。それほどお二人のご活躍を拝聴していますから。

そしてもう一人のお方。劉玄徳様。

 

あのお方はたいへん人の命の尊さをご理解なさっています。

命の大切さ、尊さ、大事さを常日頃より心の刻んでおります。

あの方は敵をも尊重しており、そして庇い、守ろうと考えております」

 

「敵を?ずいぶんお花畑な人だね」

 

「はい・・・。

それは私たちも思っておりますが・・ですがそれゆえにあのお方に悲しい顔をして欲しくないのです。

だって・・・こんな乱世ですからそんなお方がいてもいいんじゃないかと・・」

 

「どういうこと?」

 

「こんな時代で皆が笑って暮らせる世にしたいって真顔で言えますか?

夢物語な・・人に笑われるような理想を諦めず、ずっと唱え続ける事ができますか?

 

自分に牙をむく相手を殺さないでって・・その人を庇うように前に出て、両手を広げて命の懇願を請えますか?敵だった相手の為に!」

 

「そんなことしてたんだ・・・」

 

「はい。全て事実です・・・・そして、そんな方だからこそ私は馬岱さんを、馬超さんを死なせたくありません。

貴女が死を望んでも、劉備様はきっと何時間も貴女を説得するでしょう。

貴女が槍で自らの首を突こうとするならば、劉備様はきっと刃を手で押さえ馬岱さんの首が傷つかないようにするでしょう。

 

そしてきっと笑顔で怪我しなくてよかったねと笑顔で言うでしょう。

あの方はそんなお人なのです。

 

だから私はあんなお優しい方に傷ついて欲しくない。

誰もが下を向く、この世の中でもあの方にはずっと笑顔でいて欲しいんです。

 

だから私は何度でも貴女に言います。言い続けます。

馬超さんを、そして貴女を死なせません」

 

「・・・・・・」

 

馬岱はその言葉を聞き、頭の中で描いた。

劉玄徳という人物像を。

 

こんな時代で平気で言う、理想論、机上論。

誰もが笑顔なんてありえない腐れきった世の中。

黄巾はいなくなったが、まだまだ減らない賊。

 

それでも何度も唱え続ける理想家。妄想家。

 

だが、先程孔明が言った言葉が頭に響く。

 

 

こんな乱世だからいてもいいんじゃないか

 

 

確かに皆が一様に諦め、下を向く時代、世の中。

だからこそ一人ぐらい上を向く人がいてもいいのではないか?

 

でなければ笑えない、楽しめない。心が持たない。

だからこそ、その人が下を向かない様に周りが支えてしまうのだろう。

私は諦めてしまった。だからお前だけでも頑張ってくれと。

 

その人が諦めたとき、きっと周りの者たちも今度こそ諦めてしまうだろう。

世のなかに抗うことはもうないだろう。

 

「信長様。劉備様。

お二人は貴方たちの力を求めています。

 

皆が笑って暮らせる世の実現の為に。

ですが、それは簡単なことではありません。

 

ですから今は私たちは天下を一つにしようとしています。

武によって。

 

天下布武です。

 

信長様は大陸を一つにしなければいつまでも民が笑って暮らせないとおっしゃっています。

事実私もそう考えています。

劉備様もそれをご理解なさっています。

 

ですから私たちは今、武を必要としています。

馬超さん、そして馬岱さん。貴女たちお二人の武を!!

 

どうか・・・お力をお貸しください!!!

民、そして私たち・・この大陸の為に!!!」

 

朱里は馬岱に向かって頭を下げた。

 

「力をお貸しください、お願います!!!!」

 

それと同時に兵たちは槍を下げ、その場にいる兵たち数百人は一斉に馬岱に頭を下げた。

馬岱はその光景に絶句した。

先程まで自分に槍を向けていた者たちが今度は自分に頭を下げたのだ。

 

自分の命を握っていた者たちが、今度は自分に頭を下げたのだ。

 

馬岱は思った。

 

きっとこの軍師によって指導されていたのだろう。

最初からこの事実は決まっていたのだろう。

自分がこうやって仰向けに寝そべる光景は軍師の頭の中で決まっていた事なのだろうと。

 

あまりにも綺麗に決まりすぎているのだ。

兵たちは練習されていたかのように、乱れず綺麗に頭が一斉にさがっていた。

 

「・・ふふっ」

 

馬岱は笑った。

 

ならば最初から自分は死なないと決まっていたのではないか。

最初から、仲間になってくれと頼まれると。

 

つまり、彼らの中に敗北の二文字は最初から無かったと。

負ける気がないから、兵たちにこの頭を下げる練習をさせる余裕があったのだろうと。

 

なんだ・・・最初から私たちは負けていたのか・・・

 

あんなにも訓練したのにな~・・・お姉様にさんざん負かされて・・・・・

宣戦布告を受けてから、軍はピリピリしていて・・・・

兵たちは連日連夜訓練をして・・・

 

皆疲れた顔をして・・・

 

お姉様もぜんぜん相手してくれなくて・・・冗談も通じないほどに、笑ってなくて・・・・

でもこいつらは、最初から勝つって自信があったんだろうな~・・・

兵数もほぼ同じに合わせてくれて・・・

 

そして、私たち騎馬隊を完膚無きまでに叩きのめして・・・・

 

強いなぁ・・・・・・・・・・・

 

わたしも・・こいつらみたいに強くなれるかな?

 

お姉様のように・・・・

 

「・・・うん」

 

「・・え?」

 

朱里はその言葉を聞き、頭を上げた

 

「・・なるよ。わたしは。降伏する」

 

「・・・では」

 

「でも、お姉様を死なせないで・・・・」

 

「わかりました。馬岱さん。これからよろしくお願いしますね」

 

「こっちこそ」

 

馬岱の顔には笑みが戻った。

それは久しぶりの笑顔だった。

 

宣戦布告を受けてからずっと浮かばなかった笑顔がこの日、久しぶりに浮かんだ。

 

「はあ・・・はあ・・・・」

 

「し、しつこいのだぁ・・・・・・」

 

二人の一騎討ちはまったくの互角だった。

もうすでに百合あまり打ち合ったであろう。

 

だが、決着が付かない。

それほどまでに二人の武は拮抗しているのだ。

 

「つ、つええなあ~・・・・張飛・・・はぁ・・」

 

「ば、ばちょーこそ強いのだ・・・はあ・・・」

 

二人は完全に疲れきっていた。

もうどれだけ打ち合ったかわからない。

だが決着がつかない。

二人は傷だらけで、体力はほぼゼロ。

 

「張飛・・あたしたちが打ち合ってからもう一刻近い・・・

体力も気力ももうからっきしだ・・」

 

馬超が肩で息をし、呼吸も荒い。

そして馬超は再び呼吸を整える。

 

その顔は真剣に、そして覇気に満ちた猛将の顔

 

「残っているのは・・お互い最強を守り通してきた引けない意地だけだ」

 

馬超がその自慢の槍の切っ先を鈴々へと向ける。

 

お互いに守り通してきた最強の称号。

実質呂布とは引き分けであり、負けてはいない鈴々。

西涼でその名を知らないものはいない馬超。

 

どちらも負け知らずの最強対最強の意地の勝負。

 

「わかったのだ。ばちょー!!鈴々は強い!!!燕人張飛!!!参るのだ!!!!」

 

鈴々と馬超が再び走り出し、お互いの武器を交差させる。

 

「でやあああーーー!!!」

 

「来るのだーー!!!!!」

 

馬超が張飛にありったけの力を込めて、槍を上から下へ振り下ろす。

張飛はそれを真正面から受け止める

 

ガキーーーーーン!!!!

 

金属音が鳴り響く

 

「だあああああーー!!!!」

 

「にゃにゃにゃーー!!!!!」

 

またもおこる力と力の勝負。

馬超は上から、鈴々は下から

 

「ははは!楽しいぞ張飛!!あたしは今最高の気分だ!!!

あたしとまともにやりあえる奴がいなかったからな!!」

 

「鈴々も楽しいのだ!!

でも、こっちには愛紗や星がいるのだ!!」

 

「そっかー!おまえんとこは強い奴がいっぱいいるんだな!」

 

「そうなのだ!だから鈴々は毎日が楽しいのだ!

お兄ちゃんだって、鈴々がいっぱい頑張ったら頭を撫でてくれるのだ!」

 

「そうか・・こっちは厳しいよ。

母上は怒ったら怖いし、蒲公英はいたずら好きで手がかかるし・・

なにより強いやつがいない・・・」

 

「だったら馬超もこっちにくればいいのだ!

そうしたら毎日馬超と鍛錬ができるのだ!!!」

 

「それもいいな・・・

だけど・・・お前んとこの奇襲はもうとっくに始じまってるだろ?

時間的には・・もう決着がついてる。

 

もし・・・母上が死んでいるようなことがあったら・・・・あたしはきっとお前たちを許せない。

きっと一生恨んでしまう・・・・

 

頭ン中が真っ白になって・・混乱して・・・暴走して・・・・泣いて・・・

きっとお前たちの敵の所に転がりこんで・・・きっと復讐したいって・・・思っちまう・・・」

 

馬超の瞳に涙が浮かぶ。

頭の中で最悪のシナリオを描き、泣いてしまったのだろう。

 

「ばちょー・・・」

 

鈴々も彼女の気持ちが槍を伝い、移ったのだろう。

鈴々の表情も暗くなってしまった。

 

「張飛・・・あたしは翠・・・真名は翠だ」

 

「え?」

 

「お前に受け取ってほしい。

もし、最悪な事態になってもあたしはお前を恨んだりはしない。

たとえこの先、また敵同士で戦場で出会ってもお前を仇だと思わない。

 

友としてお前と武器を交えたい。

憎しみに彩られた、戦いではなく、この楽しい、最高の戦いを再び楽しむためにな!」

 

馬超の顔に笑みが浮かぶ。

彼女の笑顔はこの戦場で咲く、一輪の花のような笑顔だった。

この笑顔には敵、見方、関係なく、一人の人間が友へと送る屈託ない笑顔だった。

 

「鈴々は・・・鈴々は鈴々なのだ!!」

 

「そうか!鈴々か!まあさっきから聞いてたけどな。

よろしくな!鈴々!!!」

 

「うん!よろしくなのだ翠!!!」

 

二人は笑顔で笑いあった。

だがそこに一人の兵が現れた。

それは翠にとっては何も知らないために最悪の伝令だった。

 

「張飛様報告します!!!

敵、馬岱!こちらに降伏し、仲間になることを了承しました!!!

 

同時に、敵本陣陥落しました!!!

我らの勝利にございます!!!」

 

「・・・え?」

 

翠の顔は一気に青ざめた。

 

蒲公英が・・・?

 

母上は・・・?

 

負けた・・?

 

「す、翠!!!大丈夫かー!?」

 

翠は疲労、心労、様々なものが一気に押し寄せその場で気を失った。




張飛VS馬超

有名な戦いです。
ちなみに張飛はこの前日に馬岱の武器を軽くふっ飛ばします。
張飛強いです。


3回戦います。
一回目は百合打ち合っても決着が付かず先に馬がくたびれて終了。
二回目は日が沈んで終了
三回目は馬超からの挑発。かがり火を炊いてナイター試合です。
しかしここで劉備が二人の命を惜しんで終了。
結果引き分けで終わりました。

つまり二人の武は互角です。
恋姫では馬超はギャグ担当みたいですが、実は張飛並に強いんですね~
長坂で仁王立ちできる強さですね。
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