「あそこです!あそこが俺の村です!!」
村が見え始め、男は村を指差し、信長たちにそう告げた。
その村ではまだ何も知らない村民たちが普通に生活をしている風景が広がっていた。
田んぼで作業し、母親と子供は笑顔で手をつなぎながら村を歩く、とても和やかな光景。
しかし、その光景は一瞬で終わりをとげた。
男が大声で村人全員に聞こえるように必死で叫んだ
「おーい!!みんな聞いてくれ!!これから・・これからこの村に賊がくるんだ!!!」
「!!!???」
「!!!???」
「!!!???」
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「わーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
一斉に村が混乱に陥った。皆が作業をやめ、急に走り出し、ぶつかっている者たちでさえいる。
完全に収集がつかない状態であったが・・・
「村のものたちよ聞けい!!!」
関羽が一喝した。
すると村人たちは関羽の声に反応し、関羽を見つめる。
しかし、関羽はまったく動じない。何百とある目を向けられようとも動じず、話し始める。
「皆このまま村を蹂躙されてよいのか?選択は耐えるか逃げるの二択しかおぬしらにはないのか?それでよいのか?
おぬしらが必死に作った作物や家を奴らは奪うのだぞ?そしておぬしらを斬るのだぞ?それでもおぬしらは耐えるのか!逃げるのか!」
「そ、そんなこといったってどうすりゃいいんだよ!!」
「俺たちに何ができるってんだよ!!」
「そーだそーだ」
村人たちが一斉に声をあげる。あきらかに諦めが入った声だ。
しかし、関羽は先ほどと変わらず、熱意の篭った声で続きを話す。
「戦うのだ」
「は?」
「戦えばよいのだ!!!!!!」
さらに、大きな声で関羽はそう叫ぶ
「そ、そんなこと俺たちにできるわけねーだろ!」
「できる!!」
「ど、どうしてだよ・・」
村人たちは関羽の圧力に推され始めている。先ほどまで勢いは村人たちから消えた。
「それはおぬしらが初めから戦おうとしないからだ。
農民だからや、戦ったことがないという理由だけを述べ最初から戦おうとしないその逃げ腰!それこそが今までのおぬしらが作り上げた未熟な心!
やつら賊ももとは農民だ!!そしておぬしらも農民!どちらも同じなのだ!
ここに勝てない道理がどこにある!!敵もおぬしらと同じ存在なのだ!!
そして敵は悪!!我らは正義!!
正義が負ける筈がない!!!!」
関羽が自慢の武器の石突をドンッっと地面に叩きつけ、そう叫んだ。
「だ、だけど・・」
まだ煮え切らない村人たちに関羽は最後の切り札を切った。
関羽は村人たちの目をそれぞれ、見つめ、一つ深呼吸し、こう言った。
「そしてここに、黒髪の山賊狩りが手を貸そう。共に悪を打ち滅ぼすのだ!!!」
そう言われ、村人の様子が一斉に変わった。ざわざわと隣の者たちと話し始める。
「く、黒髪の山賊狩りって・・・・」
「き、聞いたことがあるぞ。たしかきれいな黒髪をなびかせ・・賊を容赦なく叩きのめすって言う・・」
「ああ。私のことだ。どうだ?これで勝てる気がしたか?
私のほかにこの燕人張飛と私たちの主の劉備様がいらっしゃる。そしてこの私の一撃を受け止めた信長殿も。
どうだ?皆もう一度聞こう。共に賊共を討ち果たそうぞ」
関羽が武器を天に掲げ、村人へそう告げた。
「か、勝てるのか・・俺たち」
「いや、わからねえ・・でも・・」
「ああ・・勝てそうな気がするぞ」
「どうせ、賊共に殺されるくらいならやつらに一矢報いて死んだ方がましだな」
「ああ!そうだそうだ!!どうせ死ぬなら家族を守って死にてえ!!」
「俺もだー!!!好きな女ぐらい守って死にてえ!!」
村人が一斉に声を上げた。どうやら気持ちは固まったようだ。
先ほどまでの暗い雰囲気はもうない。今は希望に胸を膨らませている。
勝てるかもしれない。そのことしかもう頭にないようだ。
「さすがだね愛紗ちゃん♪みんな張り切ってるよ」
劉備が関羽にねぎらいの言葉をかけた。
「ふう、さすがに緊張しました」
「ふむ・・・関羽よ見事であったぞ」
「信長殿・・」
関羽が信長へ視線をむける
「うぬの鼓舞で民の士気はおおいに上がっておる。そして村を落とされれば民には何も残らぬ背水の陣。死兵とまではいかぬがこれならばなんとかなろう」
「そうですね。できれば村人たちの負担を軽くするために私や鈴々ががんばるしかありません。桃香様、指揮をお願いできますか?」
「う~ん・・そうだよね。私はみんなみたいに戦えないもんね。うん!がんばる!!」
「はい!!私たちの初陣がんばりましょう!」
そこで、信長はあることに気づいた。
「うぬらは戦は初めてなのか?」
「そうなんです・・世の中を平和にしようって立ち上がったんですけど・・信長さんは戦を経験したことあるんですか?」
「うむ」
「なるほど。それは頼りになります」
「それでは軍議を始めようぞ」
「軍議・・ですか?」
劉備、関羽、張飛が困ったような顔をしたまま信長へ視線を向ける。
「賊共は陣形なぞ関係なくただまっすぐ向かってくるであろう。それを利用しない手なぞない」
「し、しかし・・私も桃香様も鈴々も策なぞ考えられません」
三人は肩を落とし、残念そうな表情でうつむいた。
だが、信長は変わらず話を続ける。
「ならばワシに任せよ」
その言葉に三人は一斉に顔を上げた。その表情は三人とも期待に満ちた笑みであった。
「の、信長殿は策を練ることができるのですか?」
「すでに一つある。・・・・だれぞ!この付近の地理に詳しいものはおるか」
そう、村に向かって声をかけた。
そして信長は周辺の地形に詳しい村人と3人を引き連れて一つの民家を借りた。
その後、信長たちによる軍議が始まった。
そして・・・・
「な、なるほど!!」
「すごい!!これならきっと勝てるよ!」
「お兄ちゃんはすごいのだー!!」
「ふん・・このようなもの策とはいえんがな」