その日、信長たちは進軍していた。
曹操軍に奪われた領土を奪い返すため。
もはや敵は曹操軍のみ。
少しずつ領土を奪い返してゆけばいずれ決着はつく。
「もうすぐ到着しますね」
「うむ」
「此度の戦は敵に地の利を取られています。
若干不利な状況での戦いですが、我らの結束の力で敵に一泡吹かせましょう」
愛紗が意気込みながら信長へと語りかける。
信長は愛紗へと適当な相槌を撃って返している。
そして、その地へとたどり着いた。
その後、開始される戦闘。
だが、すぐに状況は悪くなった。
敵への被害はほとんどなく、代わりにこちらへの被害が圧倒的に多いのだ。
死んでいく信長の兵たち。
信長は敵陣を見上げる・・・
目の前からは大量の矢が雨のように降ってくる。
その光景に朱里はまずいと判断し
「皆さん気をつけてくださーい!
一端退き、矢が届かない位置まで下がります!」
朱里の号令により一斉に後ろへと下がる。
信長は下がる前にしかと目を凝らし敵を注視する。
そして、知識ではありえない、この三国志であるからこそ起こった奇妙な組み合わせに笑った。
「クク・・おもしろい。
この定軍山の地で黄忠と夏侯淵が肩を並べて戦っておるわ」
この定軍山はあまりにも有名な戦いである。
蜀へと加入した黄忠が劉備たちへのために夏侯淵を頭から真っ二つにしたという話はあまりにも有名。
つまり、二人は合わさってはいけない関係。
だがしかし、この地で二人の将は互いに肩を並べ戦っている。
二人の関係を知っているものであればありえない光景なのだ。
「ここまで狂ったか・・貂蝉よ。
この信長が与えた影響、しかと喜べよ」
信長はマントを翻し、後ろへ撤退していく。
そして、軍議が開かれる。
少々敵を侮っていたようだ。
少し無防備すぎたようだ。
この地を守備するものは凡将ではない、名将なのだ。
一瞬で数百もの命を刈り取られたのだ。
「厄介な事このうえないな」
「高所からの矢であるからな」
愛紗のため息に似た呟きに星は腕組をし、言葉を返す。
「はい。距離、そして威力も平地で放たれるものよりも格段に上です。
なにより、指揮しているものが黄忠、夏侯淵とどちらも弓の名手。
部隊の矢の錬度が他の部隊よりも格段に高いです。
対してこちらからは矢が届きません。
敵将が健在なかぎりはこの矢雨がやむことはないでしょう。
ですが黄忠、夏侯淵共に山頂に陣取っているためやはり直接叩くしかないようです」
「あぅ・・ですが近づく事かないません・・
木や竹で作った大盾を背負って進軍できますが、降り注ぐ矢の雨の中では兵は恐怖に震え、士気が激減してしまいます。
それに、戦い辛くなり損害が増える事でしょう」
「ならば馬の強行突破はどうだ?
たしかに被害は出るが、敵は大量の弓兵で構成されてるんだろ?
やつらに近づきさえすれば兵科の相性としては最高だ。
あたしたち西涼の騎馬隊なら即効で蹴散らしてやるぜ」
「いえ、それも厳しいかと。
黄忠、夏侯淵が揃っていながら何も対処していないとは思えません。
山という地の利を生かし、なかなか上れないように馬網柵などを設置しているでしょう。
馬は人と違い、小回りが容易ではありません。
柵に利点である足を殺され、大量の騎馬隊が渋滞してしまってはそれこそまさに矢の格好の的となりましょう」
翠の提案は朱里により却下される。
「じゃあどうすればいいのだー!
歩兵もダメ、騎馬もダメじゃどうしようもないのだー!」
鈴々が駄々をこね始める。
確かにその通りであった。
こちらは侵略する攻撃側の軍である。
そのため兵糧にも限りがある。
敵はただ待って兵糧切れを狙えばいいのだ。
なかなか進まない軍議。
誰も良い案が浮かばないようだ。
「確かにな・・まさに天然の要塞。
山頂からではこちらの動きはよく見えることであろう。
やはり曹操軍侮りがたし・・」
「う~ん・・・・」
「・・・・」
信長も腕を組み目を瞑り深く考え込んでいるようだ。
そして唐突に口を開いた。
「良く・・見える・・か」
「ご主人様、何か浮かんだの?」
「朱里、雛里、ついて参れ。
うぬらと三人で深く思慮したい。
他の者はそこで待機しておれ」
そういいのこし、信長たち三人はこの場を後にした。
こちらは曹操軍。
黄忠、夏侯淵は攻めてこない織田軍に警戒を解き、二人は天幕で話をしていた。
だがしっかりと物見をつけ、織田に動きがあればすぐに行動できるように己の武器だけは常に携帯している。
「織田・・信長・・」
「どうした?やけに気を張っているな」
「ええ。一度完膚なきまでに叩きのめされちゃったからね」
「劉表殿のもとにいたときか」
「そうよ。兵力はこちらが圧倒していたのにあっさりと負けちゃったわ。
軍略だけじゃなく武。なにより自らを餌としてまで使い敵を釣るなどという大胆な策。
敵ながらたいしたものよね」
「ふっ。確かにな。
華琳様もあやつを認めておられる。
織田が魔王と称すことを認めておられるのだ。
王は二人もいらない。
だから華琳様はこの大陸を統一し、一人の王であられようとしているのだ。
つまり王は覇王である華琳様一人だけ。
しかし、魔王であることを許している。
華琳様は望んでおられ、そして楽しんでおられる。
本物の王と王。どちらが上かをな。
もはや華琳様の目にはあの男しか映っていない。
劉備も孫策も孫権も、もう眼中にはないのだ。
ただ一人、織田信長だけだ」
「そう・・」
二人は茶を飲みながらゆっくりと話を続ける。
だが突然の報告に状況は変わる
「ほ、報告します!
織田軍がなにやら怪しげな物を建造し始めました!」
「怪しげな物・・?」
その報告に二人は急ぎその場を後にした。
「あれは・・なにかしら?」
「ふむ。まだこれではわからないな」
二人の眼前に広がるのは等間隔で作られる20個近くの木製の何か。
見た目はまるで現代のキャンプファイヤーのようだ。
「胴と背中に大きな盾を背負いながらの建築か。
これでは矢で射ってもあまり効果がないな。
しばらく様子を見るしかないようだ」
「待って!なにかしてるわ!」
「燃やして・・いるのか?
せっかく作っているものを?」
「焚き火・・?敵の目的は何?」
織田軍は一斉に全ての建築物に火をつけ始める。
そして兵たちは一斉に退却していったようだ。
その後も火はパチパチと燃え始めだんだんとその火を肥大化させていく。
火柱があがり黙々と黒煙が上がり始める。
そしてその全ての建築物が同じほどに火が回ったころにはその謎は全て解けた。
「これは・・目くらましか!?」
「煙が・・」
一斉にあがる黒煙。煙が天高く上り始め辺りを覆う。
まさに黒いカーテンであった。
風向きも全て計算されており、織田陣営が風上に立っている。
煙は全て曹操軍を襲っている。
「これはただの焚き火ではないな。
黒煙の量だけに特化させているようだ。
恐らく、燃やせば煙の量が増す植物かなにかでも混ぜて火をつけたのだろう」
「くっ・・やはり一筋縄ではいかないわね・・見て!敵影が!」
黄忠が指差すその先には煙の隙間からチラチラと見える雑兵の姿。
その数は数百はいるであろう。
綺麗に整列されている。
「なるほどね。私たちの視界を奪い、黒煙に紛れ工作部隊か別働隊を派遣するつもりね。
そうはさせないわ」
「待て紫苑。敵はどうせ盾でも持っているだろう。
それでは無駄に矢を減らすだけだ」
「大丈夫よ秋蘭。私たちに任せなさい。皆、構えなさい!」
黄忠の合図に黄忠の部隊の弓隊は一斉に矢を構える。
だが矢の向きがおかしいのだ。
高所でありながらさらに上へと向けている。
「天より飛来せし、この矢を浴びなさい!斉射!」
黄忠の合図に弓隊が一斉に空へ向かい矢を発射する。
元々高い高所からの発射。その矢は宙へと高く上がり見えなくなる。
そして降り注ぐ矢はまさに天からの弓。
ほぼ垂直で降り注ぐのだ。
胴と背中は大盾により守られているが頭は兜。
だがしかし、高所よりさらに高い天からの矢は防げるだろうか?
その位置エネルギーの高さをも計算した兜を作られてはいないだろう。
「ははは。なるほどな。
さすが紫苑、私も負けていられないな。
皆の者!黄忠隊に遅れをとるな!
弓の扱いは我らは負けておれん!
我らも続け!」
夏侯淵隊も黄忠隊に続き空へと弓矢を構える。
「斉射!」
次々に射られる矢。
その軌道はまさに黄忠と同じ。
さすが夏侯淵隊。一瞬でやり遂げたのだ。
「さすがね秋蘭」
「弓の技術だけは誰にも負けたくないものでな」
二人は互いの腕を認め合っていた。
そして共に笑みを浮かべる。
だがしかし・・
「な!?そんな・・」
「まだ・・生きている?」
黒煙からチラチラと見える敵影。
その数は先程と対して変わっていないようだ。
「どうして・・矢が当たらなかったの?
くっ・・ならば!」
黄忠隊は再び矢をつがえる。
「斉射!」
再び放たれる大量の矢雨。
その全てが完璧な軌道で織田兵に襲い掛かる。
だがしかし・・
「なっ!?どうして!?」
まだ倒れない織田兵。
その数も変わっていないようだ。
「なにか、おかしいな・・」
顎の辺りに手を置く夏侯淵。
なにか違和感を感じているようだ。
「どうして・・どうして・・」
尚も矢を放つ黄忠。
すこし焦っているようだ。
「落ち着け、紫苑。
敵は人間だ。矢が当たれば死ぬ。
死なないという事は最高の装備をしているのだろう」
「・・そうね。少し混乱していたわ。
私はここで奴らの様子を見ておくわ。
秋蘭は他で警戒してて頂戴」
「ああ」
そして、夏侯淵はその場を後にする。
その顔は少しまだ疑問に満ちているようだ。
黄忠はその美しい顔に似合わない、眉間に深く皺を刻み織田陣営を睨みつけている。
「根競べってわけね。
いいわ。どうせ私たちは守備。
貴方たちには時間はないのよ」
黄忠はそのまま敵を見下ろす形でずっと警戒を続けている。
そのまま時間だけが経過した。
尚も黒煙は上がり続けた。
黄忠はずっと敵陣を見下ろし続ける。
「また・・増えているわね」
黒煙にわずかに映る織田兵の数が増しているのだ。
最初見えたころよりもずっと増えているのだ。
黄忠はそのたびに矢を放ち続けた。
だが減らない織田兵。
「なんて言うこと!?やつらは妖だとでもいうの!?
どうして!!なんで死なないの!?」
黄忠の頭はずっと混乱していた。
自分の弓の技術は完璧なはず。
頭がダメならと神がかり的な腕前で敵の足も狙った。
腕も狙った。狙えるところは全て狙った。
だが一向にダメなのだ。
「なんで!?どうして!?」
もう何度も兵たちに突撃を命じようかとも思った。
だがそれは具の骨頂。
せっかくの利点を放棄し、そして何を考えているか分からない織田軍に突撃など危険すぎる。
あの黒い壁の向こうにどのような光景が控えているか・・
ただ一つわかることは自分たちの弓が効かないと言う事だけ。
黄忠の焦りが募る。
一度完膚なきまでに叩きのめされ、そして新しく入った曹操軍でも負けるのか?
また負けたら自分は疫病神なのではないかとも思ってしまいたくなる。
「ああ・・なんてこと・・・・・うっ!?」
状況は変わった。
黄忠はその場に膝を突いた
「が・・がはっ・・か、体が・・痺れる・・」
突如として襲う体の痺れ。
いや、うすうす何か感じてはいた。
指先にピリピリとしたものは感じてはいた。
だがそれは緊張や不安。織田の不気味さからきていた神経的なものではないかと感じていた。
それぐらい小さな痺れであった。
心を落ち着けるためにお茶を何杯も飲んだりした。
だが、その痺れは一向に消えなかった。
そして今、その痺れが一気に加速した。
「な、なんだっていうのよ・・」
周りを見渡せば倒れているものや、辛そうな表情をしているものもいる。
歩けているものもいる。完全に個人差があるようだ。
「ほ、報告します!!織田軍が後方より攻めてきました!」
「なんですって!?」
黄忠は再度敵陣を見下ろした。
そのとき、この地に強い大きな風が一つ吹き渡った。
黄忠はその光景に絶句した。
ああ、自分は何をしていたんだろう?
完全に敵の術中に嵌っていたことを自覚した。
「フフ・・アハハ、そう。私は目に頼りすぎていたのね。
人より視力がいいものだから信じすぎていたわ」
黄忠はその場に力なく膝をついた。
その黄忠をあざ笑うかのように藁で作られた人の形をし、雑兵の服を着た藁人形が大量に姿を見せた。
そして、大きな風がやむとその姿を黒い壁に隠す。
ときおり見えるチラチラとした人方の姿はまさに幻影兵と言えるだろう。
織田軍はこの地に藁人形を作る分の兵だけを残し、後はこの地を迂回した。
残された兵は人形ができればあとは並べるだけである。
そして火や煙が消えないように時折様子を見る。
燃やすための材料は大量にあるのだ。
敵が何度も何度も射ってきた矢である。
敵はこの異様な光景と死なない兵に混乱し、釘付けにされたのだ。
この煙の向こうに兵が伏せてある。
敵はなにか強力な防具を持っている。
我々の視界を遮断して何をたくらんでいるのか?
黄忠の耳に聞こえる敵が迫る音。
織田軍は簡単であっただろう。
敵はもはや戦う術がないのだ。
「クク・・材料に使った毒草の煙はその身に染みたか?」
「織田・・信長・・」
信長が馬から黄忠を見下ろす。
「煙の真の目的はうぬらの視界を遮断する事にあらず。真の目的は毒よ。
うぬらは異様な光景に目を奪われ、その煙の有毒性に気づかなんだようだな。
目に見えるものこそが真実にあらず。
呼吸によって毒を体に取り入れるのであらば口元を隠せばよい。それだけのことよ。
だがしかし、貴様はその目を釘付けにされ、ただの目くらましと判断し焦ったようだな」
信長が口元に不適な笑みを浮かべ黄忠を見下ろしている。
「凡愚め」
だが一瞬にしてその表情が変わる。
「うぬの兵の中には戦っておるものがおるぞ。
そのものらはそうじて口元を隠しておった。
普通の判断よ。煙が襲ってくれば口元を隠す。
ただの兵でも考え付く最善策すら貴様はできぬか。
将である貴様が一番毒が回っておるようだな。
しからば貴様が一番この策にかかったと申すか。
兵ですら打ち破れるこの策にはまる将なぞまさに愚の骨頂!
黄忠!この定軍山で死すべきは夏侯淵にあらず!うぬよ!」
信長は村正を抜刀する。
馬から降り、少しずつ黄忠の元に歩み寄る。
「あ・・ああ・・・」
黄忠の目に涙が溜まる。
ポタポタと地面に涙が落ちる。
「クク・・泣くか?怯えるか?悔しいか?懇願するか?
それも全てうぬが招いた失策よ。
泣いて慈悲を求めるか?名将黄忠もこれまでよ」
信長が黄忠の首元に刀を突きつける。
「最後に聞いてやろう。言い残す事は?」
「うう・・。・・・ません」
「聞こえぬ」
「死ねません!!」
黄忠が涙をぼたぼたとこぼしながらそう叫ぶ。
「私は・・私はこのようなところで死ぬわけにはいけません!
娘の・・・璃々のために!」
「・・・」
黄忠が膝に力をこめ立ち上がろうとする。
まるで生きるためにこの場から逃げ出そうともがくように。
「あの子を・・一人にするわけにはいかない!
私は・・絶対に死ねない・・父も母も失わせるわけにはいかない。
だから・・だから私は生きる!」
黄忠の目がキッと信長を睨みつける。
涙を目にためながら睨みつけるその姿はまさに名将黄忠であり、子を守ろうとする母の抵抗でもあった。
「・・・」
信長は黙って聞いていた。
親を失う悲しみは信長もよく知っていた。
信長も幼き頃、父の死を悲しんだ。
もっとも彼は悲しむ姿を知られるのを嫌い、父の位牌に灰を投げつけたのだ。
そのころから始まったうつけの呼び名。
親の死ということに信長は何か感じるものがあったのだろう。
信長の目から殺意がどんどんと失われていく。
「わたしは・・死ねない!
生きて・・生きてもう一度あの子を!」
「なんと・・立ち上がるか」
黄忠はついに両足で立ち上がった。
ここまで毒が回っていては普通は重力や体の重さにまけ、地面に伏すしかできないであろう。
だが彼女は今しっかりと両足で立っているのだ。
「そこを・・どきなさい・・魔王。
私は、私は裨将軍!黄漢升!そして子を持つ母!
無様に・・こんなところで死ねないのよ・・」
黄忠は重い足取りでふらふらと信長の横を通り歩き出す。
一歩一歩が遅く、今にも倒れそうだ。
「璃々・・待ってなさい・・お母さん今帰るからね。
帰ったらなにしよっか?・・久しぶりに二人で買い物にでも行きましょうか・・璃々・・璃々・・」
その光景を信長は見つめていた。
そして信長は大きく口を開いた。
「桃香ーーー!!!!!!!!」
信長が今まで発したこともないような大きな声。
その声は彼女の耳にもしっかり届いた。
「ご、ご主人様!?」
桃香は驚いていた。
このような信長の声は聞いたこともなかった。
桃香は急ぎその声がした方向へと走り出した。
「もう・・ご主人様ったら。
毒を使うなんて・・でも仕方ないのかな?
戦に勝つためだもんね・・
朱里ちゃんたちと三人で席を外したのも私がいたらやっぱり反対するって思ったからかな?」
桃香の周りにも呻いている曹操軍の兵がたくさん。
その横を桃香は走り抜ける。
そして桃香は信長の声がしたもとへたどり着いた。
だがそこに信長はいなかった
「あれ?ご主人様?どこにいったのー?」
探せども信長は見当たらない。
だがその近くで。
「璃々・・璃々・・・」
「えっ!?だ、大丈夫ですかーー!!??」
うつろな目で、一歩一歩力を込めて歩いている黄忠を桃香は見つけた。
桃香はすぐに彼女の元へ駆け寄った。
「璃々・・璃々・・」
「璃々・・ちゃん?その子は貴女の娘さんですか?」
「璃々・・わたしのかわいい璃々・・」
「え~っと・・と!とにかく貴女が無事じゃないと娘さんもきっと悲しむと思います!
今は体を治しませんか?私が必ず貴女と娘さんを合わせてあげますから!」
その言葉に黄忠の目に光が戻り、ハッと桃香を見つめる。
「ああ・・本当ですか?璃々を・・璃々をお願いします。
あの子・・きっと私がいなくなったら泣いちゃうわ。
一人でご飯も作れないの・・お願い。どうか璃々を」
「大丈夫です!私が貴女を死なせません!
絶対に死なせません!親子は絶対に離れちゃいけないんです。
ご安心ください。この毒だって致死性はないって朱里ちゃんが言ってたし。
ですから大丈夫ですよ。さ、今は治療しましょ。
娘さんへのご飯。貴女が作ってあげてくださいね」
桃香がニッコリと笑う。
まさに彼女の伝家の宝刀。
その笑顔はなにものもの心を救うのだ。
「ああ・・ありがとう・・」
黄忠はそう呟き。意識を失った。
「え、衛生兵さーん!!!すぐにこっちへきてくださーい!!」
「りゅ、劉備様!どうされましたか!」
どうやら無事に黄忠は衛生兵たちによって運び込まれたようだ。
「フッ」
木の陰に隠れ、その様子を確認した男はその場を後にした。
藁人形
孔明は赤壁で10万本の矢を曹操軍からパクルのを元に使いました。
確か霧がかかって藁人形ってわからなかったんでしたっけ?
信長が位牌に灰を投げつける。
織田信長の父、信秀が死んだ祭に信長は位牌に灰を投げつけました。
灰ではなくお香を投げつけたとも聞きますが、まあ投げました。
普通そんなことしませんよね。彼なりの悲しさを隠したのか?
本当にうつけなのか?そこは人それぞれですね