うつけ無双   作:なろうからのザッキー

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奇襲

甘寧は馬にまたがりこの合肥の地を駆けていた。

手勢は800。

これだけの兵が本陣へと奇襲をかけることに成功すれば敵大将の首をとることは可能だろう。

腰につけている鈴の音が甘寧の心に平常心を与えてくれる。

 

「もうすこしだ、皆気合を入れろ!」

 

「「おー!」」

 

敵本陣まであと1Kmといったところだろうか。

だが突如その強行は止められた。

 

「ちっ!皆止まれ!」

 

突如として降ってくる矢雨。

こちらへと確実に狙いをつけられているところを見ると・・

 

「くそっ、この奇襲がばれていたとはな」

 

草原に寝そべり隠れていた兵たちが立ち上がる。

弓兵に槍兵か。

 

「ならばこの兵どもを始末しこのまま続行だ。

貴様らにこの私を止められるか!」

 

甘寧が織田兵に向けて馬を走らせる。

だがそれはすぐ止められた。

 

「やああー!!」

 

ドゴオオオン

 

突如として鳴り響く振動と轟音。

甘寧の乗る馬の前が発生地点のようだ。

この出来事に彼女の馬は興奮し暴れだしたため甘寧は馬から飛び降りた。

 

「こっから先は通行止めだぜ」

 

「私たちが貴方を止めます」

 

「・・雑魚か」

 

二人の将が甘寧を行かせまいと立ちふさがる。

この二人の実力を知っていた甘寧はつい口が出た。

 

「雑魚・・か」

 

「アタイたちはそう呼ばれても仕方ないかもな」

 

「あのころの私たちの戦を知ってる人からしたら確かに雑魚だったかもね」

 

「ああ。だが今は違うんだぜ」

 

二人は顔を見合わせながらそう述べた。

そして己の武器を構える。この二人の構えに一切の隙などなかった。

 

「アタイは文醜。織田の軍神関羽の一番弟子だ。

袁家の二枚看板なんて呼ばれてたころと一緒にすんじゃねーぞ」

 

「私は顔良。同じく関羽の一番弟子。

私たちは二人で一人。

師の名前にかけて私たち二人は貴方をここで止めます!」

 

手強い。

甘寧はすぐにそう思った。

これはやすやすと敵本陣へ行けそうにないなと感じた。

まさかあの袁家の二人がここまで自分を驚かせるとは。

 

だが面白い。

武人の血が私を滾らせる。

舐めてかかっていい相手ではないとわかっている。

ならばこちらも本気でいくしかないようだ。

 

「文醜、顔良。お前らの相手はこの私だ。かかってこい」

 

「おっしゃー!いっくぜー!!」

 

甘寧が武器を構えたことで猪々子が突撃を開始する。

やはりこいつはただの猪か。

ならばと甘寧は走ってくる勢いを利用して突き刺してやろうと武器を逆手から順手に持ち替えた。

 

「あめぇっつの!」

 

「なに!?」

 

突如猪々子が肩膝をつく。

 

「やあああー!!」

 

猪々子の肩を蹴った斗詩が大きく飛び上がり金光鉄槌を大きく振りかぶった。

この行動はさすがに予想しておらず甘寧も目を見開く。

 

「つぶれてください!」

 

「くそっ!」

 

甘寧はとっさに飛びのき体を転がしながらよける。

その刹那に地面に轟音と振動がおこる。

 

(なんという威力だ。私の体が浮き上がったぞ)

 

「まだまだ終わらないぜ!」

 

斗詩の攻撃を見た相手は必ずその場から飛びのく。

そして振動に足を取られる。

その隙を猪々子は突くのだ。

 

「ちっ」

 

甘寧は体勢が整っていない。

見たところ猪々子の斬山刀も大きく、この体勢で打ち合ったら力で負けるだろう。

ならばと甘寧は砂を掴みそれを猪々子の目に投げつけた。

 

「ぐあっ!?きたねーぞてめー!」

 

「元は河賊でな。その前も不良共を集めていろいろやっていた。

町で戦えば看板や樽が、戦場で戦えば砂や石も立派な武器だ。

昔から生き残ることに必死でな」

 

猪々子が苦しんでいるうちに甘寧は立ち上がり武器を構えた。

それを見た斗詩は猪々子を背中に庇うように対峙する。

 

「貴様一人ではどうしようもないだろう?そこをどけ」

 

「どきません」

 

「勝てぬと分かっていながら邪魔するか?」

 

「逃げても生きられるかわかりません。

ならば私は前に進み貴方を倒して生きられるか賭けてみたいんですよ。

どうも背中に背負った師と友が私の背中を押してくるんですよね。前へ前へと」

 

「そうか。ならば仕方ないな、おとなしく死ね」

 

甘寧が再び斗詩へと斬りかかった。

対してこちらの斗詩の武器は金光鉄槌。

重く大きいため懐に入られれば不利だ。

 

「やあー!」

 

斗詩は金光鉄槌を右から左へとないだ。

だが甘寧は一歩下がることでよけ、斗詩が硬直している隙にそのまま懐へと接近する。

 

「もらったぞ顔良!」

 

甘寧が大きく剣を振りかぶり下ろした

だがそれを斗詩は手甲で防いだのだ。

 

「なんだと!?」

 

「私の手甲は鉄で覆われています。

私から金光鉄槌を取ったら無防備ですからね。

これもすべて師からの提案です。

はああああー!!」

 

「ぐはっ!!」

 

甘寧の腹に突き刺さる鈍痛。

これは斗詩の拳だ。

鉄で覆われているためにまさに鉄拳。

 

「がはっ・・くそ」

 

血がぽたぽたと口から滴り落ちる。

内臓に傷がついたようだ。

 

「やってくれるじゃないか・・」

 

「まだまだです」

 

斗詩はそのまま格闘の構えを続けている。

その構えもずいぶんと様になっている。

いつも顔良は言われていた。

その武器では一対多であると。

ならばと一対一に特化した格闘を愛紗より進められたのだ。

 

「アタイもわすれんじゃねーぞ」

 

猪々子も目が復活したようだ。

今は斬山刀を肩に担いでいる。

 

「さあ!第二回戦だ。甘寧!こい!」

 

「名指しならば行かねばならないな」

 

両雄が円を描くようにずるずるを動いている。

斗詩はこの二人の戦いを見ようと戦いに参加しないようだ。

親友の顔が喜びに満ちている。

きっと何か策があるのだろう。

ならばそれに乗ってあげようと二人の戦いを見守ることにした。

 

「行くぜ甘寧!」

 

「貴様一人ならばこの傷など傷にならん!」

 

二人は対峙し場に緊張が流れる。

甘寧は傷を負っている身、そのハンデを考慮すれば猪々子でも通用するだろう。

ポタリと汗が流れ落ち、たまらず猪々子が水筒から水を一杯飲む。

その刹那猪々子が自慢の斬山刀を大きく振り回し体ごと回転する。

 

「そんな大振りなど効くか!」

 

甘寧が姿勢を低くし突撃する。頭上を掠める刃を避ける。

だが猪々子も足で地面を蹴り大量の砂を巻き上げる。

 

「そんなもの私に効かん!」

 

だがそれを読んでいた甘寧。

腕で目の辺りを隠し尚も進み猪々子の眼前へと迫った。

そして大きく腕を振り上げた。

 

ブウウウーー!

 

「ぐあっ!」

 

突如自分に何かが襲ってきた。

いったいこれはなんだ?

人肌に暖められた何かだ。?

 

「へへへ、さっきの仕返しだ!」

 

口元を拭う猪々子。

先ほど水を飲んだときにそのまま口の中に水を入れていたようだ。

 

「あばよ甘寧。軍神の名に傷を付けられねーんだ」

 

猪々子が大きく斬山刀を振り下ろした。

 

「くっ舐めるな!」

 

だが見えずとも甘寧には猪々子の攻撃が見えた。

熟練の武将の観だろうか?

上から振り下ろされる猪々子の攻撃を防いだ。

だがその威力は大きすぎた。

 

「がああ!」

 

猪々子の攻撃の重さに先ほど殴られた腹が悲鳴を上げる。

 

「おらおらー!!」

 

「ぐっ・・つ・・」

 

たかが水。もうとっくに目は拭って見えている。

だがあの時のわずか数秒が命取りとなった。

猪々子の猛攻を防ぐには痛む腹がやっかいとなっていた。

内臓が傷ついているのだ。

それも時間の問題であった。

 

「しつけえー!!」

 

「ぐうっ!?・・クソ・・」

 

ついに猪々子の攻撃が甘寧にあたった。

大きな斬山刀に猪々子の力が加わればそれは峰打ちといえど手負いの甘寧の意識を飛ばすなどたやすかった。

 

「もうー!文ちゃん心配させないでよ」

 

「いや~悪い悪い」

 

「戦いの最中に水を飲むなんて余裕かましすぎだよ!」

 

「本当はな、戦いが始まった直後に水を吹きかけるつもりだったんだけど間違って飲んじゃったんだよ。

かっこつけてアタイをわすれんじゃねーぞとか言っちゃってさ」

 

「ええー!?じゃあの時は何も策なかったの」

 

「うん。いやー焦った焦った。

斗詩が何かいい顔してこっちを見てるしいつのまにかタイマンはる流れだったし。

だからどうしようか悩んで結局戦いの最中に水を飲んだ」

 

衝撃の事実をしった斗詩。

あの時の喜びに満ちた猪々子の顔はただのやせ我慢と焦りを隠した引き笑いだったようだ。

 

 




ラーメンがあるんだしタイマンもこの世界にあるよね?
どこまでのカタカナ言葉が恋姫の世界にあるのか・・
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