「か・・勝ったのか俺たち・・」
武器を構える村人たちの動きが止まる。
「う・うおおおおおおおおーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
今まで張り詰めていた村人たちの気持ちが爆発したようだ。
「やった。やったぞおおおー!!!」
「やったなあ!おい!!!」
「俺たちが・・俺たちの手で村を守ったんだ!!!」
村人たちは互いに隣にいたものや、友人を抱きしめている。皆はどれも顔をクシャクシャに泣きながら喜び合っている。それは劉備も関羽も張飛も同じようである。
「やったね愛紗ちゃん!!鈴々ちゃん!!」
「はい!まさか本当に勝てるとは・・」
「にゃはあー。愛紗負ける気だったのかあ~」
「そんなわけないだろう!!っと・・それより、信長殿」
関羽が信長の前へと歩み寄ってきた。
「なんぞ関羽よ」
「貴方の知略、武勇、そして部隊をまとめる統率力どれもすばらしいものでした。貴方はいったい・・」
関羽は今まで思っていたことを聞いた。信長の武勇、統率力、知略。どれも素晴らしいものであった。
それは、明らかに知識だけでは不可能なものであった。幾度も実戦を重ね戦場で培った、体に染み付いたもの。まさに修羅場をくぐり抜けてきた者の動き。
この男はいったい何者なのだろう・・・そして、その信長の答えは・・・
「ただのうつけ者・・ぞ」
「え?それはいったいどういう」
「ねえ、愛紗ちゃん。鈴々ちゃん」
関羽が期待はずれな答えに、口をポカーンとあけていると、劉備が二人を手招きする。
そして3人で固まりひそひそと言葉を交わしている。
「本当によいのですか?」
「うん。きっと大丈夫だと思う。それに・・これしかもう方法がないよ」
「鈴々は賛成なのだー!」
「確かに・・我々3人ではこれが限界かもしれませんね」
「じゃあ・・いくよ」
話が終わったのか、三人が信長の下へ近づいてくる。
その表情は、まさに真剣そのもの・・・
「信長さん。聞いてください」
劉備が代表して、言葉を切り出した。
「ふむ・・申せ」
「今の時代は乱世。漢王朝が腐敗し、国は混乱し、盗賊たちが跋扈しています。そして私たちはこんな国をなんとかしたい。直したいって思っています。
私たちは弱い人たちが傷つき、無念を抱いて倒れることに我慢ができなくて、少しでも力に慣れるのならってそう思って今まで旅をしてきたの。
でも、3人だけじゃもう、何の力にもなれない。そんな時代・・
でも、そんなことで挫けたくない。無力な私たちにだって何かできることはあるはず。
だから・・
私たちに力を貸してください!!!!!
戦えない人を、力なき人たちを守るために。
力があるからって好き放題暴れて、人のことを考えないケダモノみたいなやつらをこらしめるために!みんなが笑って暮らせる世のために!!」
劉備が、頭を下げ、とても力強くそう叫んだ。劉備の後には関羽も張飛も頭を下げた。
劉備は必死に、そして、これが私たちの全てだと言わんばかりにありったけの思いを込めて信長へ伝えた。
信長は劉備たちの思いを聞き、腕組をし、言葉をきりだした。
「・・で、あるか。しかしワシはうぬらの求める天の御使いにあらず」
自分はお前たちの探していた天の御使いではない。むしろ、その逆を往く者だ・・・・
そう、言われ、劉備はゆっくりと頭を上げ、話し始めた。
「それは・・・もういいんです。
確かに私たちには風評や、名声はありません。御使い様がいれば確かにその名に惹かれて私たちの元へたくさん人が集まってくれるかもしれない。
でも、本当にいるかわからない御使い様を探して各地を旅するよりここで、覚悟を決めて信長さんと一緒に力なき人々のために行動したほうがきっと早く、そして少しでも国がよくなるかもしれないから!
だから信長さん!私たちに力を貸してください!!」
三人はもう一度信長に頭を下げた。その行為は絶対に諦めません!っと体がそう伝えてくるようだ。
「・・・・・・」
信長は劉備が話している間ずっと3人の目を見つめていた。それはとても綺麗な、一つも汚れていない綺麗な目だった。あの信長のいた戦国の世では騙し騙されが日常茶飯事の乱世。
そのため誰もが騙されぬと初めから人を疑ってかかるのである。しかしこの3人は今日出会い、そして一緒に戦っただけの自分に必死に思いをぶつけ頼み込んできたのである。
まだきっと何も知らないのであろう。酷く騙されたこともないのであろう。だからこれほどまでに綺麗な目をし、そしてあきらかに「綺麗事」を言っているのだ。
力のない人のため、みんなが笑って暮らせる。そんな事は民心をつかむための口実として使うだけであるが彼女たちは本気で言っている。それが信長にはひしひしと伝わった。
彼女たちはきっといつかこの後、酷く馬鹿にされ、騙され、裏切られるであろうと信長は確信した。
信長は目を瞑り心の中でこう思った。
(クク・・天よ。この信長をこの者たちの所に寄越したか・・おもしろい。この信長にこのような無垢なる者たちを導けと・・そういうことか)
そして・・・
「面を上げよ」
「・・・・・」
劉備たちが不安そうな顔で信長を見つめる。
「任されよ。この第六天魔王 織田信長の覇道。しかとうぬらに見せてやろうぞ」
「やっ!・・・・・・え?・・・・え?え?魔王?覇道?」
劉備たちの顔は一瞬で歓喜に変わったが、急に表情が疑問系になった。
まるで、百面相のようであった。
「クク・・おもしろい。もう一度始まるか・・・この信長の天下布武・・が」
「あの~、信長さん。覇道って~・・・」
劉備が困ったような顔でほほに笑みを浮かべながら、信長へと問いかけた。
そして、信長は劉備へこう問いただした
「劉備。うぬの願いは天下の安寧、そして民の平和であろう」
「う、うん!」
「ならばそのためには力が必要である。そして智謀、謀略が・・な」
「で、でも私はそんな暴力とか人を騙したりとかはあんまりしたくないよ!?」
劉備は、あきらかに戦を嫌っている。そして、人を愛している。だから、非道なことや外道、暴力を嫌っている。
信長は桃香の目を見つめ話を続けた。
「天下は統一せねば、決して平和にならぬ。戦がなくならば民が安心することはない。しからばすることは一つ。
天下統一よ。
ワシがそれまでの道を切り開いてやろう。そしてこの信長が天下をとった暁にはうぬにすべてを任せる。
うぬの仕事はそれからが本番よ。うぬの描く皆が笑って暮らせる世をそれから作るのだ」
「天下・・統一ですか」
劉備も真剣な目で信長を見つめ返す。そこにはたくさんの思いが詰まっているだろう。
「うむ。徴兵される恐れがあるうちに誰が笑ってくらせようぞ。うぬの申す笑って暮らせると矛盾する」
「た、確かにそうですけど」
「我に任せい!!貴様の掲げる理想を阻む泥や矢をこの信長が吹き飛ばしてくくれようぞ!!」
そう言い今度は信長が真剣に劉備の目を見つめる
(すごく・・真剣な目。この人は笑わないで私たちに真剣に向き合ってくれてる・・)
「わかりました。信長さん。・・いえ、ご主人様」
「・・む?」
「貴方は私たちのご主人様です。だって私たちを導いてくれる人なんですから」
そう劉備が言い、関羽、張飛も続く。
「確かにそうですね。私たちの主人であるわけですからご主人様ですね」
「にゃは~、でも鈴々はやっぱりお兄ちゃんのほうが言いやすいのだ」
「・・好きに申せ」
「それじゃあご主人様。受け取ってください。私は桃香。私の真名は桃香です」
「ご主人様。我が真名は愛紗」
「鈴々の真名は鈴々なのだー」
「ふむ・・桃香、愛紗、鈴々。どれも良き名ぞ」
「あ、ありがとうございます//////」