「すみません」
ある男が信長たちの元へ近づいてきて頭を下げた。
「なんであるか」
「先ほどは失礼しました!!!」
信長たちが出会ったあの場所で村に賊が来ると教えてくれたあの男であった。
「まさか本当に村を賊から守れるなんて・・夢にも思ってなくて・・」
そう言われ、桃香は男に向かって話し始めた。
「いいえ。それが今の世の中ですから。事実、賊に襲われたほとんどの村が壊滅しています」
「はい。そして俺たちの村は貴方が守ってくれた。本当にありがとうございました!!」
そして、男が深く頭をもう一度下げた。その後頭を上げ、信長も含め、桃香たちに嬉しい話をし始めた。
「それで、俺たちは貴方たちにお礼がしたい。だから今日はこの村に泊まっていってください。おいしい料理もだしますので」
「おいしい料理!?ごちそうなのだーー!!」
その言葉を聞き、鈴々はヤッター!っと両手を上に突き上げながら飛び跳ねた。
「こ、こら鈴々、あんまりはしゃぐな。みっともない」
「だって久しぶりのごちそうなのだー」
「確かに・・私たちもあわよくば御使い様が見つかったらご相伴にあずかろうとしてたもんね・・」
どうやら、この三人は全然路銀(お金)をもっていなかったようだ。食事もいつも狩りをして、その日暮らしのようなものだったのだろう。
そして、愛紗が信長へ告げた。
「ご主人様。彼らの好意に甘えましょう。そして今後の方針なども話し合いましょう」
「ふむ・・確かにその必要があるな」
「わーい♪今日はお布団で眠れる~♪」
「ごっちそっう♪ごっちそっうなのだ~♪」
「こ、こら!桃香様も!」
鈴々と桃香がハイタッチをして喜びあっている。その様子を見て、愛紗が二人を咎める。
なんともほほえましい光景であった。
それは、とても乱世とは思えないようであった。
その様子に信長は・・・・
「ハッハッハッ」
「ご、ご主人様も笑ってあげないでください!」
(ふむ・・見た目は女であるが・・先ほどの決意やまなざしを見たら真に劉玄徳や関雲長、張翼徳であると思ったが・・その実やはり女であったな。しかしそれもまた一興・・ぞ)
「それで信長様、劉備様。今後はどうされるおつもりですか?」
村人が四人へと問いかけてきた。
「え?え~っと・・・・ご、ご主人様?」
しかし、桃香は何も考えていなかったのだろう。困った表情で信長へと問いかけてきた。
「・・まずは旗揚げをするために名や風評、そして兵が必要である。しかしワシはまだこの地の文化や状勢、風習。どれをとっても知らぬ」
「確かに・・ご主人様は異国のお方。そしてこの地に来てまだ日が浅いのでしたね。この地にいつごろからいらしたのですか?」
愛紗は顎に手を当てて、信長の現状を考え納得したようだ。そして、気になっていたことを聞いた。
「今日・・ぞ」
「え?」
「先ほどである」
「ま、またまた~、ご主人様ったら意外と冗談がお好きなんですね」
「真実である。本能寺で光に導かれ気がつけばこの地で眠っておった」
「・・・・・・・」
その場に一瞬の沈黙が訪れた。三人は口を開けたまま時が止まっている。
そして、動き出した・・・・
「えええええーーー!!!!!」
「そ、それは誠ですか!?」
「うむ」
信長は当然だと言わんばかりに腕組をし、答える。
「話だけを聞けばご主人様が天の御使い様でもおかしくないよね~」
「はい。しかし天の御使いは流星を乗り物とし、そして光り輝くお姿だと聞きました。しかしご主人様は黒い鎧。そして気づけばこの地で眠っていたと」
「流星に乗ってきたけど、寝ていて気づかなかったとかは考えられないかな?」
「しかしそれでは光り輝く姿とは?」
「そんなことはどうでもよい。この信長では不満である・・か?」
「い、いえ!失礼いたしました!!」
「そ、そうだね!今はこれからのことだよね!」
桃香や愛紗はまあ、いっか。と、いった様子でこの話を収めた。
その様子を見た村人がタイミングを見計らって、話をかけてきた
「信長様、劉備様、それでは公孫賛様のところにいってみてはいかがでしょう。最近、近隣を荒らし回っている盗賊どもを懲らしめるため、義勇兵を募集しているとか」
「公孫賛・・あー!!!そういえば白蓮ちゃんが納める地がこの近くにあるんだった」
桃香が、今まで忘れていた様子で声を上げ、懐かしい友のことを思い出した
「桃香様・・そういうことは早く教えてください」
「ごめ~ん、すっかり忘れてた」
「では・・決まり・・であるな」
「はい!次は公孫賛殿の所へ参りましょう!!」
そして・・・・
「これが桃園かーすごいねえ・・・」
「美しい・・まさに桃園という名にふさわしい美しさです」
「そんなことより早く酒なのだーー!!」
「まったく鈴々め。雅というものがわからんのか」
4人は昨日助けた村人たちからお礼として大量の酒をもらっていた。そしてついでに綺麗な桃園があると教えてもらいここへ来たのであった
「ご主人様は本当にいいの?」
「うむ。姉妹の中に男はいらぬ。うぬらだけで契りを交わすがよい」
「そっかー、じゃあしょうがないよね」
三人は三角形の形で並び、ここに誓いを果たす。
「それでは・・・我ら3人!」
「姓は違えども、姉妹の契りを結びしからは!」
「心を同じくして助け合い、みんなで力無き人々を救うのだ」
「同年、同月、同日に生まれることを得ずとも!」
「願わくば同年、同月、同日に死せんことを!」
そして3人が杯を天に掲げ、信長のほうを見る
「乾杯・・ぞ」
信長の合図に全員が一斉に杯の酒を飲み干した
こうしてこの4人は深く絆を深めたのであった。