コボルト飯から始まる私の商売道 作:コボルトの餌
その日も接続した。
「ニャー! 魔石がないってどういうコトだにゃ!」
「ねこたん!!」
「はうあっ」
私は突き飛ばされる。理子先輩に優しく助け起こされ、プルプルとする。
私達は、ねこたんもとい商人と村人の会話を見守った。
「仕方ないだろ。お前、来るの凄く遅いんだよ。他の商人から食料を買えてなかったら、村が全滅してたぞ。大体、親父さんはどうした」
「にゅぐぐ。盗賊に襲われたにゃ。父様は亡くなったにゃ。それで、アチシが食料を運びにきたにゃ。この村が無事なのは良かったけど、アチシも借金してきたにゃ。どうすればいいにゃ。そういえば、あんた達はなんにゃ? 祠に陣取るとはなんとも不敬にゃ」
「そうか……どうするかな。あ、こいつらは一応商業神様の使徒だ」
「ねこたん!!! ねこたん!!! ねこたん!!!!」
猫部は人語をはなせ。
「商業神の使徒様にゃ!?」
「神様から商売権を任されているらしい、主に犬用高級食材を売ってる。獣人用じゃないけど、この際わがままは言わないって思って」
「そうなのにゃ」
「ねこたん! 困ってるなら商品全部買う! 買うよー!」
「ほんとにゃ!?」
「ちょちょちょ、待ってください。検疫が、検疫が!」
猫部の人達は直ちに取り押さえられて、理子先輩は社長から100万円の予算の認可をもらった。
「猫ちゃんは何が欲しいかな?」
「ウナーにゃ」
「うなーちゃん! 可愛いお名前!」
そうか?
「ねね、感想を教えてくれれば、一口だけ美味しいのあげられるよ。これは公正な取引なの!」
「んにゃ? それって猫の餌にゃ? 猫の絵が描いてあるにゃ! アチシは獣人にゃ!」
「まぁまぁ、まずは、一口」
「はにゃー! うまいにゃー! あっ……」
ウナーちゃんは、匂いに釣られてパクリ。一口で終わって悲しそうな顔をした。
「まだまだいっぱい種類があるからね。さっきの味はどうだった?」
「うまいにゃー! ふわぁっとして、じゅわぁっとして、最高にゃ!」
ウナーちゃんのキャットフード宣伝動画を取り、キャットフードを色々と渡す。
ウナーちゃんの護衛の冒険者の皆さんにも、ご馳走した。
狼獣人のロウ。猫獣人のアリサ。リザードマンのティラ。人間族のレオンとマリカである。
「ううっ 私が味見できるものはないんですか? レビュー頑張りますよ?」
「犬用ジャーキー美味い」
「竜用の餌とかもあるのか?」
そこで、他社のトカゲの餌を作ってる人を呼ぶ。
「トカゲ様からレビューを頂けるとは、光栄の極み! 弊社の総力を持っておもてなしさせていただきます!」
「トカゲ用……でも美味そう……」
「ありがとうございます!」
葛藤するティラ。喜ぶ他社の営業マン。
「うう、人間差別……」
「猫用ささみうまい」
「一食魔石一個でーす」
無慈悲に人間から魔石を巻き上げ、料理をご馳走する。
宣伝動画や研究に協力していただき、たらふく食料品を融通させていただく。
ウナーは食料品を中心に色々な物を売っていて、研究所の人達がフィーバーしていた。
「珍しくて保存がきく食べ物をいっぱいもらったにゃ。魔石の代わりにこれを貰っていくにゃ。ウナーの商品の代金は、売掛にゃ。生きてここに戻ってくるにゃ。馬車にはもう乗らないし」
「ウナーちゃん……。うちはニコニコ即時払いで掛け禁止なので」
「そうかにゃ……」
その時、ケルちゃんが吠えた。
そして唸る。
「ケルちゃん、なるほど!」
「どういうこと?」
「良質な包丁やナイフなら嵩張らないし、目立たないし、咄嗟の護衛用品になるかなって」
「でもウチ、そういうの売ってないし」
「そういう事なら自衛隊からも自衛用の品をいくつかお売りします。100万円もあれば照明弾とナイフと煙幕と、まあ自衛するのに十分な品をご用意出来ますよ」
「ありがたいですにゃ!」
そんなわけで、冒険譚やウナーちゃんの踊りや歌を堪能し、動画に撮って対価の食料品を追加。
缶詰やドッグフード、犬猫用ミルクを沢山乗せた馬車は、村を出た。