コボルト飯から始まる私の商売道 作:コボルトの餌
「遥か遠くの国に、大富豪がいたにゃ! 大富豪の可愛がるペットは5匹! ちびっこい犬のルルちゃん! 賢き猫のフォルテくん! 小さい犬のリップちゃん! 真ん中ぐらいのシバッチくん! 大型犬のスマイル君! ペット様に何かあっちゃあ大変だにゃ! それぞれのペット達にはそれぞれ、五つの班がつき、そこで料理人がリーダーになって、競って食事を用意しているそうにゃ! しかーし! 美味しい物を食べ飽きたリップちゃんは、この食事じゃあ満足できぬと食べるのをやめちまったにゃ! 三日食事をしなかったなら殺される! そこで神様に願って、遠い獣人の寂れた村に道を繋げて頂いたにゃ! ああ! リップちゃんが美味しく食べるヒントを教えてくださいにゃ! 是非とも食べてご感想を! こうして獣人達は食事をもらい、どの食事が一番だったと教えたにゃ! おかげでリップちゃんも大満足! その料理人は大喜びして、大量の保存食をくれたにゃ! そーの至高の犬の餌、猫の餌、もひとつついでに大富豪の友人の富豪の飼ってるトカゲの餌がこれにゃ!!! 富豪のペットのご飯、ぜひ一口ご賞味にゃ! 一袋が銀貨一枚、一杯なら銅貨三枚! 銅貨三枚でどうにゃ!」
ウナーがどどん! とふくろを捧げ持った。
「おい、出鱈目言うな! そんなの王様よりも贅沢じゃねぇか!」
「そーにゃ、王様よりも贅沢に育てられているペットの食事にゃ! 犬の舌、猫の舌、トカゲの舌には絶品にゃ! お子様用、お年寄り用、具合の悪い時用、ダイエット用、各種取り揃えてるにゃ!」
「試しに一個食ってみるかぁ」
「勇気あるな、お前」
「ん、うまい。結構うまい。絶妙な味加減だわ」
「おお?」
「俺にも一杯!」
「この鉄の丸っこいのは?」
「それはこうやって開けるにゃ。缶詰にゃ。数年もつにゃ。銅貨5枚にゃ」
「すげー!」
「こりゃすげぇ! うめぇ! めちゃくちゃうめぇ!」
「こっちも見てにゃ! あまねく猫を狂わせた魔法のおやつ、ニャール! 銅貨2枚、銅貨2枚にゃ! こうやって食べるにゃよ」
1日かけて、全部売れた。
待ってもらっていた借金とりの人に、その日の売り上げを渡す。
人前で渡した方が、金がなくなったことがわかって都合がいい。
「確かに返したにゃ」
「おお。出来れば魔石の方がありがたかったんだがな」
「料理人が食材をよくするのに使えそうって根こそぎ買ったにゃ」
「豪気だなぁ」
「全くにゃ。でも、あの村はあと五年は大丈夫にゃ。……よかったにゃ」
借金を返したら、手元に残ったのはたったの銀貨一枚と銅貨5枚分。
それでも、役目を果たせた安堵の方が強かった。
1人でも、なんとか生きていける。
「さあ、ここからウナーの真の商売が始まるにゃ!」
その日の夜。父親が盗賊に殺され、仁義を守るために借金して獣人村に食糧を届けに行く冒険譚がすでに吟遊詩人に歌われていた。
情報が速すぎである。
それから、ウナーは一週間、宿屋でバイトした。
一週間後、尋人が来た。
「ニャールはどこで買えるの? 雇うから案内して」
懇願するのは、ニャール中毒になったSランク女冒険者、ニャニャリー。
ウナーの冒険は、これから始まるのだ。