悪食クソ女の暴食日記   作:リィン教官対ゴミカス蛆虫宮沢鬼龍

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熊を喰ったわ

ぐぅうううううううううううううううううううううううううぐぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううぐぎゅるるるるぐっっぎゅうぐっぎゅぎゅうぐぎゅうううううううううううううううう

 

 と言う凄まじい轟音が鳴り響いた。……相変わらずうるさいわね。そもそも私のお腹の音だけれどもうちょっと慎みってもんをもってくれないかしら。ハァ……お腹空いた。少しはマシになるかとお腹を撫で回したら薄っぺらい私のお腹から再び轟音が鳴り響いた。ハァ……

 

 ええと、それより先にやることがあるわね。状況を整理しないと。まずついさっきクソ共に私は処刑されかけていた。光に包まれた。この森の中に現れた。OK、訳が分からないわ。

 

 ぐぎゅるるるるとまたお腹が叫ぶ、そんな事はどうでも良い、豊かで食料がいっぱいありそうな所にこれた。考えるのはお腹を満たしてからでも遅く無い。

 

 お腹の諫言に私も同意する。手近な野うさぎを掴みかぶりつく。あーんもぎゅもぎゅバキバキゴックンクン。バキバキもぎゅもぎゅごっくん…

 

30秒もかからず平らげたけれどこれっぽちじゃ喰った気がしないわ。

 

[野うさぎ完食!]

 

 もっとでっかい餌が食べたい……お腹が空いたわ……

 

 新たなる獲物を求め森の中を進む私。耳に入るのは枯れ葉を踏みしめる音だけだ。 涎を垂らしながら進むと朽ち果てた骸骨が現れた。なにこれ、おばけ? おばけを食べるのは初めてだわ! 私は素早く駆け寄り、骸骨の首根っこを掴み引き倒し大口を開けて頭蓋骨にかぶりついた。

 

「ふふ 骨は硬いわね」 私はその骨の噛み砕き、飲み込み。噛み砕き、飲み込み。噛み砕き、飲み込み噛み砕き、飲み込み。噛み砕き、飲み込み。噛み砕き、飲み込む

「スケルトン完食!防御力↑」

 

 しかし、私の表情はすぐに曇る。

 

 

「美味しくないわね。味薄くて、肉が無い! もっとジューシーなものが食べたいわ!」

 

 空腹感は、少しも満たされていない。カルシウム如きでお腹が膨れるかっての。 むしろ、その不味さが、更に私の空腹感を増幅させる。 腹からは、ぐうぐう音が鳴り響き、私はため息をつく。 「お腹が空いたわ」

 

 私はくるりと後ろを向く。

 

そこにいたのは緑色の姿をしたガキ。ガキと私の目が合う。

 

「ウフフ」

「ギャッ! ギャッ! ギャッ! ギャッ! ギャッ!」

「待ってー! ご飯さん! 食べるから! 美味しく頂いて上げるから! 逃げないで! 逃げないで! 逃げないで! ウフフ、ヒヒヒヒ、クケケケケ」

 

 緑ガキは私を見た瞬間化け物でも見たかのように怯え始め逃げ出し始めた。

 

 ()()()()もあったので何故か逃げ出したゴブリンさんと平和的に話をつけようと平和的な鬼ごっこをしつつゴブリンが落としたこん棒を構えて平和的に追いかけ回した。しっかしなかなか追いつけないわね。ここまで弱体化してるのかよ私は

 しかしその鬼ごっこも終了の時が近づいたようだ。

 

 ついに追いついた私は平和的に棍棒を振った。

 横なぎにふるわれる棍棒がゴブリンの脇に直撃しゴキリという音がなる。ゴブリンは体勢を崩し転げ回るがそんなの私には関係ない。「グギャッ!」倒れたゴブリンを踏みつけながら私は大きく棍棒を振りかぶった。ゴキリ、その音と共にゴブリンは絶命した。ああ、残念残念。平和的にお話したかったのに誰がこんな酷いことを。哀れな哀れなゴブリンさんの元に屈んで喉を掴んで持ち上げる。

 

 口からは涙が、お腹から泣き声が止まらない。

 私はゴブリンの頭を口へ運んだ。 

「あーん」

 そして思いっきり大口を開け歯を突き立てた。くちゃくちゃくちゃ。ごくん。うむうむ、臭みが強いけどなかなか悪くないじゃない。見直したわ。

 

 私は生前は成長するたびにより強力な獲物を求めて狩場を変えていた。《消化吸収》によって強い肉を食べる程私も強くなる。強くなれば食べられる獲物の種類も増える食事速度も速くなる。良いことずくめだわ。

 

 何より肉は強ければ強いほど美味しい。特に武装警察とか言う餌は狩るのは大変だったけど一つの例外もなく絶品だった。あいつら清廉潔白純真無垢温厚篤実な私を世界の敵呼ばわりして殺しにかかってくるクズ共だったけど味だけは本当に良かった。でも奴らの様な群として強いタイプの餌よりも個として強いタイプの餌の方が美味いし大きいのだけは残念ね。

 

 そいつらのおかげで肥に肥えた舌で下級肉を喰えるか心配だったけど全くの杞憂だったわ。淡白で全く飽きがこない。旨っ旨っ。これなら幾らでも喰えるわ。とは言え武装警察の

最高級のお肉と比べれば何十段も劣るのもまた事実。

 

 あいつらの肉が恋しいわ……くちゃくちゃ……あの全身の細胞が天にも昇るようなお味を思い出したら余計に空腹が酷くなってきた。

 

 ああ、もう我慢ができない。

 私は既に足だけになった緑ガキを骨ごとバリバリ噛み砕き胃袋に納めていく。

 

 この程度のサイズの肉、私の食欲にかかれば5分と持たない

 

《ゴブリン完食! exp53習得! 《ゴブリンの一撃 習得!》》

 

「ご馳走様。悪くないお味だったわ。しかも特殊技術(スキル)持ちとかあって悪くなかったわ」

 

《ゴブリンの一撃》は打撃かつ初撃の威力を1.5倍にする効果であると脳裏に浮かんできた。理屈ではなく直感で食らったものの能力を理解できる様になってるからね。こん棒もきっちり回収したし餌集めにはまあまあ使えるでしょう。そして私は新たなご飯を求めて駆け出した。

 

「ごはん……ごはん……お腹空いた……」

 

 そう心情を吐露しながらも、必死で獲物を探す。死ぬ前だったら、 《生命探知(ディテクトライフ)》とかでお肉を見つけられたのに、今では五感に頼らないと見つけられないだなんて最悪の気分だわ。必死で次の獲物を探し駆ける事3分。待ちに待った餌が見つかった。その餌は体長一メートル程の蜘蛛。ラッキーね。死ぬ前のまだ弱っちかった頃に……今も弱っちいわね。ともかくよく食べていたわ。ボリュームはクソ未満だけれど味はいけるしこいつを消化吸収した事で使えるようになる能力が便利だったわ。

 

 

 私は足跡を殺して後ろまで近づき、棍棒を思いっきり振りかぶって《ゴブリンの一撃》が乗った一撃を繰り出した「ピギィィィィ!」「ウフフ、こんにちは。そしていただきます」

 

 美味しそうな脳漿を撒き散らしながら小気味いい悲鳴を上げる蜘蛛を私は何度も叩き潰した。

 

 20回ほど棍棒を叩きつけついにピクピクと動くだけになった大蜘蛛に四つん這いになり口を寄せ、思い切りかぶりつく。旨っ、エビみたいで普通に美味しい。私に噛みちぎられるたびに「ピギャ! ピギャアア」と心地よい悲鳴をあげる蜘蛛は必死で抵抗するが、瀕死になるまで殴打された事で、その抵抗はとんでもなく弱々しい事になってる。

 

「ほらほら頑張って抵抗しないとすぐに食べ尽くされちゃうわよ! がんばれ! がんばれ! あむっ! がぶっ! ごっくん!」

 

 しっかし本当に並の海老より美味いわね。海老のプリプリさは無いものの高級感漂う芳醇な海老の風味に鶏肉みたいな食感が相まって本当に美味い。世間の肉どもはなんでこんな美味しい食べ物を気味悪いとか言って食べないのかしら。もったいないったらありゃしないわ。絶対にあげないけど。

 

《ジャイアントスパイダー完食! exp10習得! 《蜘蛛糸操作》習得!》

 

「抵抗失敗ね。御愁傷様、ウフフ、さ・あ・て・お次はお・ま・え・だ!」

 

 そこら辺を通りかかった兎に蜘蛛糸を射出してみると馴染みのある強力な粘着力で身動きを取れなくさせた。そのまま戻ってこいと命令すると兎を捕らえた蜘蛛糸は私のもとに戻ってきた。やっぱり便利、便利ねこれ。

 

 蜘蛛糸は存外強力なようで特殊技術(スキル)で強化してやれば中位武装程度の相手にも普通に通じていた。私は初動の弱っちい期間さえ乗り切れば爆発的に強くなれる。それは前世で学んだ通り。そしてこの蜘蛛糸は弱っちい期間を凌ぐための大きな武器となるだろう。

 

 もぐもぐと兎を食べながらそう思っていると視界の端に新たな餌の狼が見つかった。

 

「むぐ……ちょっと待っててね狼さん。今すぐ片付けるから」

 

 そう言って一気に残りの肉を口内に押し込んだ。 《林兎完食 exp1獲得!》

 

 次の瞬間狼は何かを察して身を翻そうとしたようだがもう遅い。私は蜘蛛糸を狼に射出した。

 

 並大抵の肉なら素の糸の力だけで容易く拘束できるのは経験上よく知ってる。かわされたりしたらその限りじゃないけど低レベルの狼程度なら適当に射出するだけで動きを止めてやる事が可能だ。

 

 着弾後手元に引き寄せられる糸に地面を引きずられながらも必死で抵抗する狼の姿は滑稽極まりなかった。そしてそれ以上に美味しそうだった。

 

 私の元まで手繰り寄せた後、食欲に任せて首根っこを持ち上げとりあえず右前脚を噛みちぎり一気にのみ込む。「ごくん。悪くないわ! 悪くないわよ! ……あら」なんと私に前脚を噛みちぎられた狼はいつの間にか絶命していた。

 

 経験上、これだけで絶命するような生物はなかなかいないし何か原因があるはずよね。なんでかしら。そう思いながらも野性的な旨味のある狼を味わう手も口も止まらない。バリバリと骨ごと噛み砕いて頭からバクバクと喰らっていく。犬死因に気がついたのは狼の上半身が消失してからだった。「むぐ……ああなるほど……はぐ、むぐむぐ……恐怖よるショック死か。あむ……ぎゅむぎゅむ……ごくん」

 

《ウルフ完食! exp53獲得!》

 

「チッ……コイツは“スカ”ね。もっと便利な《特殊技術(スキル)》持ちだったら良かったのに。あなたはどう? 私の期待に応えられるかしら?」

 

 狼を食べている最中捕獲した70センチはありそうな蛇を頭からずるずると飲むようにして胃袋に納めた。んっんっんっんっんっんっゴックン

 

「甲殻大蛇完食! exp49獲得!」

 

 お前もかよ。

 

 いや、そんな事どうだって良いわね。お腹が空いた、お腹が空いたわ。お腹空いたわ! 

 お腹空いた!! 

 

 辺りをキョロキョロと見回すがもう既に肉はない。クソがっ。これっぽっちじゃ全く足りない。足りない! 足りない! 足りないのよ! 

 

 私は棍棒を強く握り直し餌を求めて駆け出した。

 ■■■

「大王バッタ完食! exp3獲得!」

 

「甲殻大蛇完食! exp49獲得! LVup! LV2上昇!」

 

「コボルト完食! exp32獲得!」 

 

「ジャイアントスパイダー完食! exp64獲得!」

 

「ジャイアントセンチピート完食! exp47獲得!」

 

「甲殻大蛇完食! exp49獲得! 」

 

「ジャイアントスパイダー完食! exp100獲得!」

 

「パープルアント完食! exp40獲得!」

 

「グレイリンクス完食! exp44獲得!」

 

「コボルト完食! exp43獲得!」

 

「ウルフ完食! exp49獲得!」

 

「ウルフ完食! exp49獲得!」

 

「ウルフ完食! exp45獲得!」

 

「ウルフ完食! exp47獲得!」

 

「ウルフ完食! exp62獲得!」

 

「ウルフ完食! exp40獲得!」

 

「ウルフ完食! exp44獲得!」

 

「ウルフ完食! exp43獲得!」

 

「ウルフ完食! exp49獲得! LVup! LV3上昇!」

 

「ご馳走様でした」 

 

 ふぅ……これで人心地付いて……ぐううううううううううぅぅぅぅぅ……ないけど。まあ考える余裕がでたこともないことも無いというか。肉体の空腹を満たすには全く足りなかったけど精神の空腹はまあまあ満たせたわ。

 で、そもそもどこよここ、目に映るのは鬱蒼と茂った木と植物要は大森林ね。ご飯に夢中で気が付かなかったわ。私

 

「んで、ここからどうしようかしら」

 

 まず考えるのはご飯の事。

 ここでも最低限は取れるけどもっと大きいもっと強くもっと美味しい肉が欲しい。しかし残念ながらこの周辺にはそんな肉はなさそうね。

 

 

今はどこいるのか……。この森とその周辺の情報も。美味しい餌場、危険な肉、餌集めに使えるアイテム。とにかく情報が欲しい。

 

 後はちゃんと調理されたご飯も食べたいわ。

 

 まずは森を出る、そして近くの町に言って、そこから考えましょう。

 

 最終的には私を殺しやがった連中も喰い殺してやりたいんだけど……まあ、時間がかかりそうね。

 

 

 で問題は……どうやってこの森から出るかだわ。

 

 方角も出口も分からないのにどうしろと。

 

 ……考えてたらお腹が空いてきた。

 

 仕方無い。真っすぐ進んでいればそのうち出るでしょ。

 

 そうして走る事15分、私は餌にありつけてなかった。

 

 ひもじいが、それもすぐ終わりそう。

 

「お腹が空いたわ……」と私は呟き、視線を辺りに巡らす。 まだ薄暗い森の中、視界に捉えたのは、大きな木に寄りかかるようにして休む、一匹の熊だ。 体毛は黒く、ずっしりと重そうな体躯。 私の瞳孔は一瞬で開き、涎が自然と溢れてくる。 うふ、うふふ、と低い笑い声が森に響く。

 

 熊は私に気づいていないわ。 チャンスね。私はゆっくりと、熊に近づいていく。足音は驚くほど静かで、枯れ葉を踏む音さえ聞こえない。 それは、長年の殺戮で培われた、狩りの本能。

 

 熊の背後へ回り込み、鋭い爪を研ぎ澄ます。 私は熊の首筋を狙う。 一撃必殺。 一瞬の隙を突き、鋭い爪を熊の首筋に突き立てる。 熊は悲鳴にも似たうなり声を上げ、大きく体を震わせる。 しかし、私の爪は深く、確実に熊の生命を奪う。

 

 熊は大きく崩れ落ち、地面に激しく体を打ち付ける。 私は、その上に跨がり、熊の毛皮を剥がす作業を始める。 私の動きは、まるで解体作業に慣れた熟練の職人のよう。 素早く、確実に、熊の肉を解体していく。

 

「ふふふ…… これは、期待できそうね」

 

 私は、熊の心臓をまず口にする。 狼やゴブリンの心臓とは違い、熊の心臓は、より大きく、力強い鼓動を感じさせる。 濃厚な血の味が口いっぱいに広がった。 続いて、熊の肝臓、そして、腕肉、モモ肉と次々に食していく。 私は熊のあらゆる部位を、余すことなく味わっていく。 ああ、幸せだわ……

 

 私は無我夢中で貪って貪って貪り尽くした。

 

 熊の肉は、狼やゴブリンとは全く異なる風味。 濃厚で、野性的で、それでいて、どこか甘みを感じる。 私は、何度も喉を鳴らし舌鼓をうちながら、熊の肉を貪り食らう。

 

 

[ツキノワグマ完食!腕力↑]

 

 綺麗に食べ終えた後熊のいた形跡は血痕以外残らなかった。美味しすぎて毛皮まで胃袋送りになったわ、「ごちそうさま、悪く無いお味だったわよ」私は満足げに伸びをする。 しかし、その瞬間、またしても、けたたましい空腹音が私の腹から響き渡る。

 

「……お腹が空いたわ……」

 

 その時目に入ったのは小熊二匹。きっと今美味しく頂いた熊のガキね。ああ、かわいそうかわいそう。親もいないまま、このまま野垂れ死に確定だわ。でも私は優しい、女神の様な聖母の様な慈悲深い性格だから親としっかり再会させてあげるわ。

 

「イブクロノナカデネ……イタダキマァス!!」

[ツキノワグマ(幼体)完食!]

[ツキノワグマ(幼体)完食!]

 美味しいっ!!

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