悪食クソ女の暴食日記   作:リィン教官対ゴミカス蛆虫宮沢鬼龍

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村を喰いたいわ!

遠くから、かすかな煙が視界に飛び込んできた。私は、息を呑んだ。村だ。煙が立ち上り、家々が、いっぱいある。 私は、その光景を見て、目を見開いた。私の腹からは、いつものように、ぐぎゅるぐぐぎゅぐううううううううと音が響き渡る。しかし、それは単なる空腹の音ではない。期待に満ちた、興奮の音よ。

 

「村だわ!」 私は、嬉しそうに、唇を舐めた。「あそこに、美味しいものがいっぱいありそうね!」 非常食は、私の言葉にゾッとしたようだ。美味しいもの……私の言葉の中の「美味しいもの」とは、村の食材だけを指しているわけではないだろうと言う事を察したようね。村人自身も、私のメニューに含まれていることは、容易に想像できたようだ。

 

「非常食!!」

 

 私は鋭い声で非常食を呼び止め、彼の顔を見据えた。彼は私の怒りを察してか、すでに青ざめている。

 

「あのね、非常食。今、あなたのお腹はどうかしら?」

 

 非常食は怯えながら「空……空いております……」と震える声で答えた。

 

「そうでしょう? 私もよ。あなたなんかよりよっぽどね。だから、あなたに村の料理を全部奢ってもらうわ」

 

 私はにやりと笑った。非常食の顔色はさらに悪くなった。

 

「な……何を言っているのです? 私にはそんなお金払え」非常食は、言葉を探しているようだった。

 

「あ?何か問題でも?」私は、少し眉をひそめた。

 

「いえ……ただ……あなたの場合……」非常食は、私の考えを理解したかのように、言葉を詰まらせながら言った。

でもね、非常食。私はね、最近すごく気になることがあったのよ」 私は、真剣な顔で話し始めた。

 

「この世界の、あの……『割り勘』っていう文化ね」

 

 非常食は、私の言葉に困惑したようだ。割り勘? まさか、この子が、そんなことにこだわるなんて……と言わんばかりの顔をする

 

「男と女が一緒に食事をするのに、なぜお金を分けるのよ?!」私の声は、次第に高揚していった。

 

「食事くらい、当然おごるべきじゃないの?! それが、男の務めじゃないの?!」

 

 私の言葉は、まるで怒りの鉄槌のように非常食を打ちのめした。彼は、私の「男は奢るべき」という思想に圧倒され、反論する言葉さえ見つけることができなかったようね。

 

「この『割り勘』っていう考え方は、女を卑下しているのよ! 尊厳を踏みにじっているのよ! こんな不平等な文化、絶対に許せないわ!」私は、手を叩きつけ、怒りを露わにした。非常食が、恐る恐るこちらを覗き込んできたが、私は全く気に留めなかった。そしてにっこりと笑う。

 

「だからね、非常食。私の食事代は、もちろんあなた持ちよ。そして、この『割り勘』という、とんでもない文化を根絶やしにするためにも、これから出会う全ての男に、その愚かさを教えてやるわ!」

 

「そして……ねえ、非常食」

 

私は、低い、冷酷な声で言った。私は非常食の首からぶら下がっている、きらびやかな装飾品に目をつけた。それは、明らかに高価なもので、宝石が散りばめられていた。私の視線を感じ取った非常食は、小さく身震いした。「それ、何よ? 結構いいアクセサリーじゃない?」

 

 非常食は、恐る恐る答えた。「こ……これは昔、“これはお母さんの形見なんです、これだけは見逃してください”となんだと泣き叫ぶ金持ちのガキをボコボコに殴って殺してパクったものです……」

 

「盗んだもの? ふふふ……そうね。あなた野盗だったわよね。結構稼いでる系の。つまり金はあるってことよね?」私は、ゆっくりと舌舐めずりをした「あなた、こんな高価なアクセサリージャラジャラぶら下げてるんだから、私におごる金、十分あるでしょ?」

「わ……分かりました、奢らせていただきます」

 

 

 

「当然よ! 当たり前じゃない!」私は、大きく頷いた。「男は、女に尽くすべきなのだから。特に、私のようにかわいい女の子に尽くすのは、あなたの義務よ」

 

 私はナイフをちらりと見せた。非常食は、私の冷酷な眼差しと鋭いナイフに言葉を失った。

 

 しかし村の全貌が視界に飛び込んできた時、私は計画を変更した。特特特特特特特特特特特特特特特特特特特特特特特特特特盛りの料理を非常食に奢らせる、という当初の計画は、この小さな村では非効率だと判断したのだ。金銭のやり取りよりも、直接的な暴力による略奪の方が、はるかに容易だと。

拉致によって一人一人食べるよりまとめて物言わぬ食材に変えてお腹に納めた方が楽だと

 

「ふふふ……非常食」私は笑みを浮かべ、非常食に囁いた。「あのね、さっきの計画、ちょっと変更だわ」

 

 非常食は、私の言葉に身構え、震える声で尋ねた。「ど……どういうことですか?」

 

「この村さ、小さすぎるわ。金を集める手間より、全部奪っちゃった方が早いじゃない?」私は、鋭い眼光で村を見渡した。「あなた、この村の人達を……ウフフ、言わなくても分かるわね」

■■■

 

 

村まで200メートルというところまで辿り着いた時、私はハッとした。変ね、静かすぎる。住民の姿も、動く家畜も、何もない。あるのは倒壊した家屋に破壊痕だけ。ただ、不自然な静けさが、辺りを覆っていた。

 

嫌な予感がするわね……。慎重に、一歩ずつ村の中へと足を踏み入れると、そこは既に廃墟と化していた。倒壊した家々、崩れ落ちた壁。 かつて人々が生活していた痕跡は、残っているものの、それは既に、過去のものになってた。

 

廃墟と化した村の光景は絶望そのものだった。炎の跡、破壊された家々、そして…何も残されていない。食べ物は、家畜は、人々は、全て消え失せていた。

 

「………………………………………ああああああああ、なんで私のごはんが消えてるの?!お腹空いた!!ごはんごはんごはん!」

 

頭をわしわしとかき回しながら私は叫んだ

 

「クッ、クソがあぁぁ!」

 

私の近くでプルプルと震えている非常食を八つ当たりで殴りつける。

 

「ぐげぶっ!」

 

奴は、地面に倒れ込んだ。私も荒々しく地面を叩きつける。

 

「…何もない…何もないじゃない…!」

 

行き場を失った食欲が体内で荒れ狂って死にそうだわ!

 

「何か…何か食べるものは…あるかしら…」

 

私は、村の周辺を歩き始める、必死で食べものを探して。小さな虫、野草、あるいは…何か食べられるもの…小さくても我慢してあげるから、美味しく食べてあげるから、出てきて!空腹という最高のスパイスを嫌になるほど振りかけて世界で1番美味しく平らげて、尊い尊い私の糧にしてあげるのだから、幸せでしょ!

 

そして私は、廃墟となった家の片隅で、小さなネズミを発見した。それは、焼け焦げた家の中で、奇跡的に生き残っていた。私は、そのネズミを素早く捕まえ、生きたまま口に放り込む。[ネズミ完食!]

小さなネズミの生命は、一瞬で消え失せた。しかし、私の空腹は、当然ながら満たされなかった。

 

 

 

「全っ然足りない!」

 

息をするのも辛いほどの倦怠感に寄って視界がぼやける

 

「ごはん… 」

 

呟きは、風の音に消されそうになる。

 

だが、私は怒っていた。かつて無いほど。 誰かが、この村を襲い、人々を殺したのは確実だわ。私が村襲った時も大体最後はこんな感じになっていたから。そして私はその犯人への、私のごはんを奪った相手への復讐を誓った。「丸焼きにして喰ってやる…」

 

 

復讐のため、戦いのためにはまず食べ物が必要だわ、よく言うじゃない、腹が減っては戦は出来ぬって。次の獲物を探し、お腹を鳴らし村を探索した。非常食は、ただひたすらに、私の後ろをついていく。でも……だめね、獲物が見つからない。空腹困憊の私は、廃墟の片隅に倒れ込んだ。かすれた声で、ただ呟くのみ。

 

地面に広がる灰色の風景は、まるで私の心のよう。 絶望と空腹とともに視界はぼやけ始め、意識が遠のいていく。

 

非常食は、私の傍らで、怯えて身を縮めている。 彼の目には、恐怖がはっきりと映っている。

 

食欲が私の脳裏を掠めた。 人間一人では、この焼け付くような空腹を満たすには到底足りない。

それでも、目の前にあるのは唯一のタンパク質源。必死で手を伸ばそうとするが視界が滲む。体が動かない。空腹は、もはや痛みを通り越し、意識の淵を蝕むような感覚だわ

 

「…ご…は…ん…」

 

絞り出すように発せられた言葉は、風の音に掻き消されそうになる。 ぐぅぅぐぅぅぐぉきゅるぐうぅというお腹の悲鳴はもはや騒音ね

 

 

私は、よろめきながら、地面に這いつくばった。

 

「…もう…無理…」

 

視界は真っ暗になり、意識は、薄れていく。 空腹は単なる生理的な欲求ではない。それは、全身を蝕む、想像を絶する苦痛。胃袋は、空虚な穴となり鋭い痛みとなる。その痛みは、脈打つように、じわじわと広がり、全身に広がる激しい痙攣を引き起こす。

 

 頭はぼんやりとして思考がまとまらない。目の前がチカチカと光り、視界は歪み、現実と虚構の境目が曖昧になる。

 

体は、まるで砂のように、力が抜けていく。筋肉は萎縮し、骨と皮だけになったかのような苦しさを覚える。

 

 

心臓は、弱々しく、不規則に鼓動している。 まるで、この世の終わりが近いことを告げるかのように。

 

それでも、私の意識は、まだ残っている。 それは、生き残るためというより食べるため、空腹を満たすため、という本能的な衝動だけが、私を支えているからだった。 その執念だけが、私を死の淵から引き戻す。

 

もっと食べたい。もっともっと、この満たされない空腹を埋め尽くしたい。 この世界には、まだ食べたことのないものが、山ほどあるはず。 未知の生物、珍しい食材、想像を絶するほどの美味…それら全てを、私のものにして、この底知れない空腹を、少しでも満たしたい。

 

その想いによって、私は、ゆっくりと立ち上がった。

 

 

さらに燃え上がるような怒りが、私の全身を駆け巡る。復讐の炎だ。村を襲い、食料を奪った、忌まわしき存在への怒り。それは、私を突き動かす、新たな原動力ね。

 

 「私のごはんを奪ったお馬鹿様はたっぷりたっぷりたーっぷり痛めつけてから…丸焼きにして…喰ってやるわよ…ウフフフフ」

 

非常食は、私の顔を見て、「ヒッ」と叫んだ。当然だわ。彼はこれまでにも幾度となく私の怒りを目の当たりにしてきたが、今回のそれは、次元が違う。

 

私は歩き出す。焦土と化した村を後にし進んでいく。美味しいご飯と、更に、私のご飯様を奪った愚か者の丸焼きを求めて。

 

「……しかし村襲撃して住民皆殺しにして全部略奪とか人の心が無いのかしら」

そう私がぽつりと漏らすと非常食は信じられない物を見る目を向けてきた、なんでかしら

 

 

 

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