悪食クソ女の暴食日記 作:リィン教官対ゴミカス蛆虫宮沢鬼龍
何者かの焼き討ちにあった村を去る。俺には分かった この襲撃は村の人間を奴隷として連れて行くのが主な理由なのだろう。
クソ女がポツリと言った
「しかし村襲撃して住民皆殺しにして全部略奪とか人の心が無いのかしら」
てめぇが言うなと突っ込んだ。おめぇさっき住民皆殺しにして全部略奪しようとしてただろう。……どうせこいつにとっては村焼きする事なんて日常茶飯事なのだろう。俺の様な村焼きやっても美人は生かすし略奪にしても金目のものだけしか取らない小市民を見習って欲しい。
ぐぅと俺の腹が鳴る。腹減った。もう三日も何も食べてない。なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないんだ。俺が何をしたって言うんだよ。俺は理不尽に苦しめられる可愛そうな弱者、まるでマッチ売りの少女の様な儚げな存在……
そう思っていると前の方からぐぎゅうううううううぉぉぉぐぎょぎゅるぎゅるぐるぐるぐうと恐ろしい重低音が聞こえた。発生源はもちろん、儚げという言葉から程遠い、期待していた飯が食えず腹ペコのクソ女だ。
その直後、馬鹿のクソデカ空腹音につられたのかドスドスドスドス音がする。茂みをかき分け俺の視界に現れたのは5頭の軍隊熊。しめたと俺は思った。目の前のメスガキの姿をした怪物は、これまで数多の敵を圧倒してきた。だが、今回は違う。五体もの魔物化して強烈な戦闘能力を得た熊だ。しかも高い知能を持つ。人より遥かに強力な生物が、剣よりも弓よりも銃よりも強力な人間の最強の武器である連携を使うのだ。連携して襲ってきた場合その能力は大蛇王アストラを抜けばこの森で最強である事は疑いようが無い。
今まで、クソ女の恐怖政治の下で生きてきた俺にとって、これは絶好の機会だ。あの怪物が死ぬかもしれない。そうすれば、自由になれる。この森から、この呪われた関係から、解放されるのだ。胸に湧き上がるのは、希望と喜びだ。頑張れ熊さん、そのファッキンサイコパス女をぶち殺すのだ!!
熊が襲いかかる。 クソ女は、ケンタウロスの足並みの速さで、その攻撃を避け、熊の脇腹に飛び込む。
「いっただきまあああああああああああああああす!!」
彼女は、熊の腹をえぐり、内臓を引きずり出す。 鮮血が、クソ女の顔に飛び散る。 彼女は引きずり出した内臓を、まるで甘露のように味わうかのように、頬張った。
「ここ来た初日に味わってからまた熊肉を喰いたくて喰いたくて辛かったわ」
残りの熊は、恐ろしい咆哮を上げた。そしてクソ女に襲いかかる。 最初の熊が、咆哮と共にクソ女に襲いかかった。巨大な爪が、クソ女の首筋に振り下ろされる。 しかし、クソ女はそれを軽々とかわし、同時に、驚くべき速さで熊の背後に、回り込む。 ケンタウロスの俊足は、彼女の動きをさらに加速させた。そしてハーピーの羽は、空中での戦いを可能にした。回り込みつつ文字通り飛び上がったクソ女は「ドッカーン!」と笑いながら踵落としを熊の頭に叩き込み頭蓋骨を爆散させた。残り四匹が怯んだ瞬間地面に降り立ち助走をつけて飛び蹴りを繰り出す。
ケンタウロスの脚力は、加速による威力増加的な意味でも直接的な意味でも彼女の蹴りに凄まじい威力を加えている。
一撃ごとに、熊たちの骨が砕ける音が聞こえる。 血しぶきは、周囲の木々を染めていく。クソ女の動きは、もはや人間業とは思えない。王都のBランク冒険者でもこのレベルの動きはできない。
「ウフフフフ、こんなにお肉が集まってきてくれるなんてこの森にきて初めてだわ!」
クソ女の拳は、熊たちの頭蓋骨を粉砕する。 彼女の蹴りは、熊たちの肋骨を折り曲げる。 彼女は、まるで、生きた兵器、破壊の化身と化した。 鮮血が飛び散り、熊たちの断末魔の咆哮が、森全体にこだまする。
熊さん達は見事な連携を取るもののクソ女は本能なのか連携の起点となる襲撃を見抜き強烈な打撃で起点を潰す。その動きは俺の目には残像として映る。 さらにクソ女は、細い指で素早く、正確に、熊の急所を攻撃する。 その動きは、まるで、熟練の殺し屋のような、いや、それ以上に洗練されていた。
頑張れ熊さん頑張れ熊さん俺の為にそのクソ女をぶっ殺して。勇者に祝福を与える聖女の様に俺は祈った。その姿は宗教画になるほど美しかったと思う。
次の熊が襲いかかる。クソ女は、その熊の攻撃を、体勢を地面に張り付くほど、寝転がるように地面に伏し避ける。 さらにそこから、伏せた体勢のまま強烈な、蹴りを放った。 そして、今度は、一切の躊躇なく腕で、熊の目を抉り出す。 熊は悲鳴を上げ、地面に倒れ込む。クソ女は嗜虐的な笑いを浮かべた
残りの熊は、クソ女の圧倒的な力に、一瞬、躊躇する。しかし、本能に従い、再び襲いかかってくる。
クソ女は、素手で戦う。 彼女の拳は、熊の頭蓋骨を砕き、肋骨をへし折る。 血しぶきは、彼女の顔や体に飛び散るが、彼女は全く動じない。 むしろ、その血しぶきは、彼女の食欲をさらに刺激するかのようだった。 彼女の動きは、もはや人間のそれではない。 それは、飢餓に駆られた獣の、狂気じみた踊りだった。
俺は、ただただ、その光景を、恐怖と驚きを持って見ていた。 クソ女は、圧倒的な力で、軍隊熊5匹を、次々と倒していく。
一匹、また一匹と、熊たちは倒れていく。 クソ女は、まるで鬼神のごとき勢いで、熊たちを次々と殺していく。 彼女の体は、血でまみれ、傷だらけだが、その目は、まるで何かを貪欲に求めるかのように、輝いていた。
決着はついた。半死半生の熊もいるようだが。
となればくるのはいつものアレだ。
「イッタダキマース!」喜びにあふれた悍ましい声が鳴った
この巨体、しかも5匹も…… 怪物さえも、さすがにこれだけの獲物には四時間以上はかかるだろう。そして少なくとも、少しばかりの残飯、おこぼれが、自分にも回ってくるのではないかと、淡い期待を抱いていた。これでクソ女の食欲も、さすがに少しは満たされるだろう……と、俺は密かに願っていた。
しかし俺はクソ女の食欲を甘く見ていた。彼女の大きな口は、血でべっとりと濡れ、鋭い牙が光る。引きちぎられた熊の手は、骨と肉が混ざり合ったグロテスクな姿だが、クソ女にとっては、喉を通るご馳走の一つに過ぎないのだろう。熊の巨大な掌が、一飲みでクソ女の口の中に消えた。正確には、そうではなかった。実際には、鋭い歯で肉を裂き、豪快に食いちぎっていたのだが、あまりのスピードと、彼女の口を開けたその大きさ、そして、むさぼり食らう勢いから、まるで熊の掌を丸ごと飲み込んだかのように見えた。
血が滴り、肉片が飛び散る。その光景は、凄まじく、かつ、どこか滑稽だった。彼女はパンパンに膨れた頬から肉が漏れ出さないように手で押さえながら熊の足を掴み、そして嚥下音が響いた直後に豪快にかぶりついた。骨を砕くような音と共に、大量の肉を口の中に詰め込む。彼女の顎は、驚くべき柔軟性と強さを持ち、容易く骨を砕き、肉を引き裂く。彼女は、まるで機械のように、効率的に熊の肉を消費していく。
五匹の熊。普通なら村一つを一月もたせられるほどの食料だ。しかし、クソ女は
骨が砕ける音が、絶え間なく奴の口の中から響き渡る。それは、まるで、不協和音のオーケストラが奏でる、狂気じみたBGMだ。時折、ゴクリという、喉を通る肉の塊の音だけが、その騒音に割り込む。 一つ一つの音が、俺の精神を蝕み、狂気に誘う。
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[軍隊熊完食!【統率】習得]
[軍隊熊完食!腕力↑]
[軍隊熊完食!体力↑]
[軍隊熊完食!腕力↑]
[軍隊熊完食!体力↑]
1時間半後
五匹の熊は、全て跡形もなく消えていた。骨も、毛皮も、内臓も、全てが。残されたのは、血痕と、クソ女の満足げな、そして、どこか物足りないような表情だけだった。
クソ女は、熊の肉を、まるで山盛りの菓子を食べるかのように、あっという間に平らげていた。その食べっぷりは、もはや人間離れしていた。俺は、彼女の横で、心臓が口から飛び出るかと思うほど震えていた。 今まで見てきた光景の中で、これが一番恐ろしい。熊五匹。それは、想像を絶するほどの量の肉だ。それを、全て食べ尽くしてしまう彼女の異様な食欲に、俺は恐怖を通り越して、呆然としていた。
「うふふ、軍隊熊さん、意外だったわ。もっと、脂っこくて、野性的な味を想像していたんだけどさっぱりとしていて脂がしつこくなくていくらでも食べられそうだったわ。ご馳走様」
そして口周りの肉片を舌舐めずりで舐め取ると言った
「
「……でも、まだ足りないわ。おやつは、おやつ。次は、ご飯ね」
彼女の目は、既に次の獲物を探している。熊の肉は、あくまで「おやつ」だったのだ。 本来の「食事」には、まだ程遠い。
クソ女の唇は、不気味な笑みを浮かべていた。俺は、新めて、クソ女が本当に恐ろしい存在であることを、骨の髄まで理解した。
「美味しかったわ……」
おれは殺される。そう遠くない未来に、こいつに喰い殺される。そう思い、おれはとある計画を立てた。
このキチガイの支配を解き、逃げ出す計画を。