悪食クソ女の暴食日記 作:リィン教官対ゴミカス蛆虫宮沢鬼龍
私は、非常食の瀕死の体に近づき、ゆっくりとしゃがみ込んだ。 血でぐちゃぐちゃになった非常食の顔は、恐怖と苦痛で歪んでいた。その様子を眺めながら、私は唇を舐めた。
「うふふ、良い顔ね、非常食」
私は、マウントポジションを取った体制のままゆっくりと、まるで宝石を扱うかのように、舌で非常食の眼球を舐めた。 非常食は、かすかな呻き声を上げた。
「痛いの? 苦しいの? ねえねえ今どんな気持ち? どんな気持ち?」
「あ……あ……助けて下さい……お願いします」
私は、非常食の問いかけには答えず、自分の舌を非常食の目にゆっくりと近づけた。 涙もなかなか悪くないスパイスね。そして舌で非常食の眼球に触れる。
「もっともっと痛くしてあげましょうか!」
私の舌が、非常食の眼球を優しく這い回り眼球の裏へと回った。「お、お前、もしかして! イッ! いぎゃぁ!!」
それから、眼球をゆっくりゆっくりゆーっくり眼窩から引きずり出す。 非常食は、痛みで、全身を震わせた。
奴は反射的に私を殴ったり引っ掻いたりする事で引き剥がそうとするが、悲しいかな、非常食と私の膂力の間には絶望的な差がある。たっぷり5分間かけて非常食のお目々さんは引きずり出された。
「ぎゃあああああ! 目……目が……!」
非常食の悲鳴は、森の静寂を切り裂いた。
「どう苦しいかしら? ねえねえ苦しい?」
私は、よく見えるように、非常食の残った方の目のまぶたを持ってしっかり開き、その目に見せつけるように引きずり出した眼球をゆっくりと舐めた。 その感触を楽しみながら、非常食の顔に近づき、彼の悲痛な叫び声を聞いた。
「イタダキマス」
そして私は目の前の大人としての責任も男としての責任も果たさないクズの目玉をちゅるんと飲み込んだ。
非常食は、もはや言葉にならないうめき声を上げる。
「もうだめだ……おしまいだぁ……」
私は非常食の絶望的な叫びも、非常食の苦痛も細部まで堪能していた。
「うふふ! もっともっともっと苦しめ、成長期の私から! ご飯様を奪い腐れやがった報いだわ!」
私は、マウントポジションを取ったまま頭突きを食らわせ歯を数本吹き飛ばした。 非常食は、それでほとんど意識を失ったが、そこから顔面に右ストレートをねじこんで叩き起こす
「ぶはぁ! いだっ! いっそもう殺せ! 殺してくれ!」
「うふふ……この感じ……気持ち良いわね」
私は、嬉しそうに笑みを浮かべながら、非常食の懐に手を入れナイフを手に取った。 それは、高そうな意匠が施された血塗れのナイフだ。
「さあ、もう少し遊ぼうかしら」
私は、ナイフの先を非常食の肌に当てた。 非常食は、かすかな抵抗を試みたが、もはや力など残っていなかった。
私は、ゆっくりと、丁寧に、非常食の体を切り刻んでいった。 切り傷一つ一つに、私の遊び心が込められていた。 非常食の悲鳴は、徐々に小さくなっていった。 しかし、それに反比例し私の笑顔は、ますます大きくなっていった。
やばいわね、めちゃくちゃ楽しいわ、うふふ。
そんな時、私の腹から、いつもの音が響いた。 グゥグゥ。
しまった、お腹が空いてきたわ
「はあ、私とした事が……お腹が膨れもしないお遊びに夢中になるなんて……ねえ、非常食。私、お前がとってもいい反応を返してくるせいで、ご飯そっちのけで誰かさんを殴っていたせいで、死ぬほどお腹が空いたんだけど、どうしてくれるの。成長期の子供に山程の食料を差し出すという、[大人の義務]すら果たさない重罪人ってだけで生きてる価値ないのにさらにお腹を空かせさせるなんて正気とは思えないんだけど」私の正論に非常食は物凄い顔をする。
「おい答えろよ」
そう言って私は頭突きで非常食の顔面を陥没させた。
「うふふ……お前のおかげで……物凄くお腹が空いちゃったじゃない。お遊びに夢中になってたら……すっかりお腹ペコペコになっちゃったわ! 全部、お前のせいよ。あのね、お前のせいで、今、ものすごく、ものすごく腹が減ってるの。わかる? 今、私、想像もつかないくらい、お腹が空いてるの」
私は、感情を露わにしながら、言葉を続ける。「だから……お前を食べることにしたわ。お前の料理がもう食べられないのだけは残念で残念で仕方無いけど」
そして指で非常食の頬を軽くつんつんと突いた。「ねえ! 前食べた野盗たち……あれ、すっごく美味しかったのよ。プリプリしてて、ジューシーで……噛み応えも最高だったわ。まるで、高級ステーキみたいだったわね! うふふ……そしてお目々のお味から考えると、あなたも、きっと美味しいに違いないわ!」
やばいわ。食欲が刺激されまくって狂いそう。
「私の腹の中で、あの野盗たちと再会できるのよ。よく考えたら、嬉しいじゃない? 感謝して欲しいわね! そんな素敵な体験をさせてあげるんだから!」
そういやこいつのこと非常食非常食と言っていたけど、こいつを捕獲してからず──ーっと餓死一歩手前の非常時だわ。
「さあ! イタダキマス!」
私は、涎を垂らしながら、非常食の喉笛に思い切りかぶりつこうとした
「キー! キー」
……何か聞こえるわね
私は、非常食から口をはなし、周囲を見回した。 すると、森の奥から、何かが近づいてくる気配を感じた。 私の鋭い聴覚は、その音の種類を瞬時に識別した。 それは、獣だ。 そして、それ以上に重要なのは、その獣が持つ、新鮮な肉。
「……ラッキーね」
私は、再び非常食に目を向け、足元に散らばっていたナイフを拾い上げた。 それからナイフを非常食の足に、ザクザクと突き刺していった。 非常食は、激しい痛みで悲鳴を上げた。 しかし、私は気に留めなかった。
「これでよし、と。こんだけ切っておけば逃げられないわね」
念の為足の健も切断しておく。
非常食の足を固定した私は、満足げな笑みを浮かべながら、森の奥へと走り出した。
■■
「マンドリル完食!力↑」
私が口を血まみれにして戻ってきた時、そこには非常食の姿はなかった。 辺りには、非常食が必死に逃げた痕跡、折れた枝や土が踏み荒らされた跡だけが、残されていた。 私の鋭い嗅覚は、かすかな非常食の臭いを捉えたが、それはすぐに消え失せ、森の奥へと消え去っていく。
「……っ! 逃がしたわ!」
私の怒号が、静寂の森に響き渡った。 私の腹は、再び空腹を訴え始めた。 しかし、今は、逃げた非常食への怒りが、空腹感を凌駕していた。 その怒りは、冷酷な殺意へと変わっていき、私の表情は、より一層険しくなった。 私は、ゆっくりと、鋭い視線を森の奥へと向けた。
「……絶対に、許さないわよ……」
私の低く、抑えきれない怒りに満ちた声が、森全体を覆い尽くした。 準備運動をしてから探し始めた 非常食の逃亡は、私の新たな狩りの始まりを告げるものだった。 今、私の標的は、ただ食物だけではない。私は非常食を探し歩いた。私の足取りは、重く、怒りに満ちていた。
「非常食……どこよ……出てきなさい!」
私の声が、森の静寂を裂く
「私を待たせるなんて、とんでもない罰を与えるわよ。……分かった、分かったわ。特別に譲歩してあげる。私が、あなたをどうやって調理するか、どんな風に食べられたいか、言ってごらんなさい。リクエストに答えてあげるわよ……うふふ……」
我ながらとんでもない出血大サービスだわ。 はぁ。こんなに優しい私を聖女として祭り上げてご飯食べ放題にしてくれないどころか世界最悪の悪人扱いして絞首台にぶちこみやがったあの国はやっぱ頭おかしいわ。
そして私は、声を発した。それは、以前私に喰われた非常食の仲間、野盗たちの声の真似だった。それぞれの野盗の特徴を捉えた、モノマネだった。
「非常食ー! おい非常食! 逃げちゃダメだぞ! ご主人様がお怒りだぞ!」
「非常食ー! 非常食!! お腹の中は快適だぜ! 知らんけど」
「非常食! 俺たちと一緒に、ご主人様の栄養になろうぜ!」
次々と、声色をかえて非常食を呼ぶ。そして、私は、歌いだした。
「逃げ出したご飯の歌♪ 逃げ出したご飯♪ どこへ行ったの? ご飯さん♪ 私の腹の中へお帰りなさい♪ 美味しいご飯にしてあげましょう♪ 逃げ出したご飯♪ 逃げ出したご飯♪ 逃げ出した非常食は、今頃どうしてるかしら? 美味しいご飯、待ってるわよ♪」
歌声は、森全体に響き渡った。しかし、非常食は姿を現さなかった。
私の顔は、みるみるうちに歪んでいった。
「なっ……なんでよ! こんだけ譲歩してやってんのに出てこないなんて……許せないわ!」
私は、近くにあった大きな岩を蹴り飛ばした。岩は、地面に激しく衝突し、粉々になった。
「あなたは、私の大事な大事な…ご飯なのに……!」
叫び声は、森の奥深くへと消えていった。怒りに燃える私の目は、血走っていた。 私は非常食の微かな気配を辿る。
「非常食!どこよ!」
腹の底から湧き上がる空腹感と怒りが、全身を支配する。その時左の方から、ぐうと言う、かすかな、しかし確かな音が聞こえた。そっちの方に目をやる。
そこにいたのは恐怖のあまりおしっこを漏らした中年の男
アハハ、アハハハハ
ミ・イ・ツ・ケ・タ!!!!!
私は、口角を上げて笑みを浮かべた。
「非常食! 待ってー! 戻っておいでー! 食べるからー! 美味しく頂いてあげるから! 逃げないで! 逃げないで! 逃げないで! 逃げないで! ニゲナイデ! ニゲナイデ! ニゲナイデ! ウフ! ウフフ! ウフフフフ! クケケケケ!」
私は餌の元へ全力で駆ける。私の黒髪がたなびく。非常食の背中がぐんぐん大きくなっていく
その時巨大な影が、森の薄明かりの中で、ゆっくりと姿を現したのだ。体長20メートル。高さも1メートル近くはありそうな大蛇だった。その目には確かな知性の輝きが宿ってる。
わあ! でっか♡なっが♡ふっと♡
それは、大蛇王アストラ。その鱗は、黒曜石のように光り輝き、巨大な体は、森の木々をはるかに凌駕していた。その存在感は、非常食などという取るに足らない野盗など、完全に霞ませるほど圧倒的だった。アストラの睨む視線は、私を完全に捉える。
こいつを一目見てから私のお腹からは、容赦ない自己主張が響き渡る。大蛇の体からは、尋常ではない生命力と、これまでに味わったことのないような美味そうな香りが漂ってきた。
非常食……それとも、この大蛇……
私は、一瞬の迷いを捨て去った。非常食など、後からどうとでも食べられる。今、目の前にある圧倒的な獲物、大蛇王アストラこそが、私の空腹を満たす唯一の道だ。
「ほんっとうはどっちも今直ぐ食べたいんだけど……はあ、断腸の思いってこういう事を言うのね」
私は、涎を垂らしながら、大蛇王アストラに飛びかかった。アストラも、巨大な体をくねらせ、私に襲いかかる。激しい戦闘が始まった。
アストラの鱗は硬く、私の拳では容易に傷つけられない。私は、息を荒げながら、アストラの動きを注視する。私の身体能力は、並外れている。だが、この大蛇の身体能力はそれ以上だ。この大蛇の攻撃を全て避けきるのは、不可能に近い。私は普通に追い詰められていた。
隙を見て飛んできたアストラの尻尾が私をぐるぐる巻にして絞め殺そうとしてくる。「ぶぼっ」私は吐血した。ぎゅうぎゅうと締め付けられて死にそう。そして私にはこの尻尾を振りほどく膂力もない。ただ、目の前にあるのはとってもとっても美味しそうなお肉だ。
「アハッ!」
イ・タ・ダ・キ・マ・ス
それからの十秒のうちに尻尾の肉を30回は思いっきり頬張って飲み込んだから。締め付けられてるお陰で凄く食べづらいけれど噛み締めるたびに淡白で品のある味わいが舌の上を踊る。
次の瞬間拘束は溶けた。
肉片だけでこんなに幸せになれるんだからまるまるこいつを平らげられればどれほど幸腹になれるだろう。
ぎゅうううおおと地鳴りの様な音が響く。
「ねえねえ蛇さん! あなたとっても美味しいわ! 誇って良いわよ。でもね、あなたを一刻でも早く食べたいと、外でもない尊い尊いお腹様が言ってるの! ねえ! 早く食べられてよ! ねえ!」
アストラの咆哮が、森にこだまする。木の様な尻尾がムチのようにしなりぶんっと風切り音がする。私はそれを右腕でガードする。「あら?」ぷらんと私の右腕が垂れた。
「あちゃーぶっ壊れちゃった……じゃあ脚使うわね」
ケンタウロスから得た、脚の力を大幅に上げる【健脚】と狼共で底上げした敏捷性で全力で疾走し、強化された脚力で全身全霊の飛び蹴りを蛇の腹へ繰り出す。そうすると蛇は吐瀉物を吐き出した。それはまだほぼ消化されてない狼の肉だった。私はアストラが警戒して距離を詰めてこないのを良いことに。力を底上げする為に。彼我の身体能力差を埋める為に、食欲が抑えきれずに。狼を喰らった。
「あむっ! んっ! んっ! んっ! ごっくん! ぎゅむ! あむっ! んっ! んっ! んっ!」
全力全開の早食いで。正直早食いはお味をろくに味わえ無いからやりたく無い。そもそも普通に食べていても食事ペースに食料の供給が全く追いついていないからやる意味は無い。でも今は別ね。物凄い勢いで狼の肉はお腹へと収まる。
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
そして木の洞の巣に手を突っ込んで住人をキャッチし貪り食う。
[大ムササビ完食! 大ムササビ完食! 大ムササビ完食! 体力↑]
地面にあった兎の巣にも同じ事をする。
[砂兎完食! 砂兎完食! 砂兎完食! 砂兎完食! 砂兎完食! 砂兎完食! 素早さ↑]
それからも手当たり次第に、それこそ木にも雑草にもかぶりつき噛みちぎり飲み込む。いつもは不味そうな植物を食べる事も消化に使うエネルギーの方が多くなりそうだからやらないけど今は少しでも食べて身体能力を上げないと眼の前の化け物に勝てそうに無い。ファッキンポリスの、大概の強化人間よりずっと強いわこいつ。
その鱗は、私の格闘を跳ね返し、強力な尻尾の一撃は、大地を揺るがすほどの威力を誇る。
痺れを切らしたアストラが大口を開けて私にかぶりつこうとしてくる。丸呑みにしてくるつもりみたい。はぁ私は食べる方専門だっての。食われるのは絶対嫌。
それなのにアストラの牙はもう目の前に着ている。躱すのは無理そうね。
……右腕はやるわ、もう折れちゃったから餌集めに使えないしいらないわ。
そうして私は右腕をガードに使った。私の右腕にはアストラの牙が深々と食い込む。その物理的な痛みに加え、焼けるようなとんでもない劇痛が走る。蛇の毒だ。この毒は、一度でも体内に入れば、全身に広がり、死に至らしめるほどの猛毒だと、本能が告げる。
私に効く毒は存在しないけれどそれは胃袋に入った場合。血管に入った場合は普通に効くのだ。
「痛い! 痛い! 痛い! 痛い! ウフフフフ! でもでも……」
そういいながら微笑った私を見てアストラの目に恐怖の色が浮かび、後退りした。
「それ以上にお腹が空いたわ! ウフフフフ! ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ご飯ゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハン!」
そう叫びながら、アストラの懐に潜り込み。首筋に噛みついた。私の顎と歯は、アストラの強靭なはずの鱗を薄氷のように噛み砕いた。そのまま肉片を一瞬で嚥下し、そのまま頸動脈から思い切り血液を吸い取る。
【摂食進化】は口から入れば飲み物でも効果がある。この際血液でも何でも良いから取り込んで、とにかく戦力差を埋めないと。
私が本気で早食いしても中型犬1匹食べるのに3分かかるけど飲み物なら同じ重量を5秒で取り込む事ができるのだから。
血はお肉の付け合わせとしては大好きなんだけど、単品だと正直どうでもいい。所詮飲み物だし、お腹は膨れないし。同じ飲み物でもラーメンみたいに固形物が入っている場合は大好きだけれど。ぁ……ラーメンの事考えたら凄くお腹が空いてきた。他の事を考えましょう。ええと、まるで今の私は吸血鬼ね。……吸血鬼って美味しいのかしら……もっとお腹が空いてきた。
次の瞬間視界外からアストラの尻尾が飛んで来て吹き飛ばされる。
「チッ!」
吹き飛ばされる時に左の眼球をちぎり取ってやったが私もまた木に叩きつけられる。眼球をくちゃくちゃくちゃくちゃごくん。と5口で取り込みながら仕切り直しだと考える。
しかし右腕の傷口を焼けたナイフでズタズタに抉られているかの様な激痛が、じわじわと広がっているのを感じた。
目をやると右腕中にシミの様に毒が広がっているのが目に入った。あーこりゃもう完全にダメね。私は自身の二の腕に噛みつき思いっきり首を左に捻って引きちぎる。ブチブチっと音をたてて私の腕はちぎれた。しっかし我ながら本当に貧相な腕だわ。
見てても、食欲を全然そそられない……いや旨そうね。涎が出てきた。 ……イタダキマス! バキッ! ボキン! ゴックン! ゴクリ! ゴクン!
!!! 、毒のピリッとした刺激とともに口へと広がった私の腕のお味は、正直、舌の上でとろけるようだった。様々な生物の美味しい所を詰め込んだかの様なそのお味、私がこんなに美味しかったなんて知らなかった。……追加で指の一本や二本喰っても良いかも……いやいやそんな事したらまるで私が稀代の食いしん坊みたいじゃない。
さあてどうしようかしら。肉体スペックは大差無いところまで持ち上げたけど腕一本無くなってしまったから今なお不利だわ。一旦逃げて、目についた生き物を片っ端から喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰って喰いまくって喰いまくって栄養をたっぷりと蓄えてからこいつを食べるべきなんでしょうけど……
「こんなに美味しそうなお肉をお預けなんて無理だわ…… 」
私は止まらなくなった涎と共にアストラに飛びかかった。
■■■■
結論から言うと勝ったわ。
やっぱり勝利の最大の理由は毒牙を引っこ抜いて胴体にぶっ刺してやったことかしら。
あれだけ強い毒だったし効果は覿面だったわ。
毒使いが自分の毒でやられるのかという声が聞こえそうだけど高カロリー人間……もとい相撲取りだって自分の張り手が直撃すれば昏倒した肉塊へ変わるのだ。
私と同じ様に経口摂取なら無毒でもそれ以外からは普通に毒の効果が出るみたい。
「後は空飛んでデカい石を落としたのも有効だったわね……」
空からの一方的な攻撃を最初からするべきだったかなと思ったけれど、もし蛇が毒で弱っていなければ石は全てかわされていただろうし、私もエネルギー切れで飛べなくなっていたのは目に見えてる。
まあそんなことなんて今私の目の前に食べても食べても減らなさそうなお肉がある事実に比べればゴミみたいな情報だわ!
「イタダキマス!」
頭を抱えながらひたすらに貪り食う。あれほど厄介だった毒牙も食べる分には優秀な味変スパイスにしかならない。無心で頭もろともボリボリとかじる。貪り食ってエネルギーに変え、また喰らう。[大蛇王アストラ1/4食!]
あら? もう頭が無くなっちゃった。アストラの体液を飲み込み、鱗を剥ぎ取り、内臓をむさぼり食う。アストラの肉体を、私の体へと収納していく。胃袋まで喰い進めると嬉しい事に胃袋に肉塊が三つも残ってた!
「ワイルドウルフ完食! 素早さ↑」
「ワイルドウルフ完食! 素早さ↑」
「ワイルドウルフ完食! 素早さ↑」
「味変として、悪くないわね」
それから思い切り口を開け、上半身のなくなったアストラを処理するのを再開する。
はぐっ!うっま……ばくん!おいしー!んっ!ん!ああもう褒めてる時間がもったいない!
[大蛇王アストラ1/2食!]
しかし美味しくいただきながら巨大な体を噛み締める中でアストラは少しずつしかし確実に短くなっていく。それだけならまだ良いわ。問題は減る速度に対してお腹の膨れる速度が全く追いついていない事だけれど。[大蛇王アストラ3/4食!]
そのまま残りを一気に貪り尽くし残った尻尾を啜ったらいつも通り周りには血痕しか残らなかった。驚く程あっさりあんなに長かったアストラの体は喰い尽くされてしまった。
[大蛇王アストラ完食! 全ステ↑↑↑[毒牙]習得 ]
よくよく考えてみりゃ細長いと言うことは可食部位が少ないと言うことだわ。こんなの詐欺! 虚仮威し! 細長い肉なんて直ぐ無くなって、可食部位が本当に少ない。あー! 期待していただけにイライラする! 象みたいにちゃんと肉がパンパンに詰まった肉ならこうはならなかったのに……ぐぅ
「うう……お腹空いた……」
あの! 赤いトカゲ! あいつならサイズに匹敵する程の肉が詰まっているはず。
もっと食べてもっと強くなってあいつを食べられる様にならないと……
そう決意する私に神様がプレゼントしたのか犬の集団が目に入った。
アハッ!
■■■■
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
最後にリーダー格らしき肉の上半身と下半身二分割してむちむちと噛み締める。左手の上半身の肉をみちみちと音を立てて引きちぎって食べて肉に豪快にかぶりつきお腹に納めていく。やれやれヤケ食いでもしないとやってられないわ。
[ワイルドウルフ完食! 素早さ↑]
ウフ、でもあなた達はとっても美味しかったわ。お陰様でイライラは解消できたわ。次は空腹を満たす番ね。私は近くを通りかかったハクビシンをキャッチし10口で平らげながらお腹をさすった。
[ハクビシン完食! ]
まだ……もっと!
そして隙を伺っていた軍隊熊達に私は踊りかかった。
前はそれなりに手こずったけどアストラを食べて大幅にパワーアップした私の相手にはなら無かった。
腕を噛みちぎっただけで【毒牙】の効果であっさりとバタバタ熊は死ぬ。
ガキの盾になろうとガキを抱きかかえていた軍隊日熊を身体能力の強化を確認するため毒抜きで仕留めようとしたら蹴りの一発でガキもろとももの食えぬ肉塊へと変えてしまった。
「イタダキマス!」
がぶっ、くっちゃくっちゃ、ごくん。うーん【毒牙】で毒が回ると味が落ちるわね。餌の効率的な集め方になるかと、毒を香辛料代わりに使えないかと思っていたけど残念だわ。残さないけど。
[軍隊日熊完食! 腕力↑]
[軍隊日熊完食! 腕力↑]
[軍隊日熊完食! 腕力↑]
[軍隊日熊完食! 腕力↑]
[軍隊日熊完食! 腕力↑]
[軍隊日熊完食! 腕力↑]
[軍隊日熊完食! 腕力↑]
[軍隊日熊(幼体)完食! ]
「ごちそうさまでした。…ちょっと顎が疲れてきたわね」
思い返してみればこの森に来てから今日ほど食べた日も無い。
冷静になって考えて見ればさっきはイライラでお腹が空いただけでアストラの肉は空腹を満たす十分な量あったような。
気のせいかお腹も少しは膨れて来たような……
ぐぅぅうぐっっゆうぎゅるるる……ぐぅ……
気のせいだったわ