Dance with our Kivotos   作:スフィラ

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(プロローグなのでブルアカ要素は)ないです


プロローグ

「わぁ…」

 

のどかな昼下がりのグレースメリア空軍基地

日に照らされ暖かい格納庫の中に置かれた機体を見て、私は感動の声をあげていた

 

GMのテイルコードとガルーダ隊のマークをつけ、Dance with our angelsとの言葉と共に天使のシルエットを象ったノーズアートをもったF-15EX『イーグルⅡ』

 

E・E(エメリア・エストバキア)戦争を経て限界を迎えてしまったF-15Eに代わる、私の新しい愛機

 

新造されたばかりでぴかぴかな機体の周りを、辺りにある整備士さんの間を縫いながら、まるで新しい玩具を買い与えられた子供みたいに見て回る

ちなみにこうやって機体を眺めて回るのは4回目ぐらい、機体に乗る前はいつもこうしてる、多分この子に慣れるまで続く

 

でも本体の見た目はF-15Eとほぼ変わらない、電子戦機器のフェアリングがコクピット両側と尾翼の付け根に追加されたぐらいか

やはりわかりやすい変化は、追加された主翼下ハードポイントに吊り下げられた対空ミサイルのレールランチャーだろう、これのおかげで対空ミサイルの搭載数が8から12へと増えている

これが戦争中にあったらもう少し楽になってたかもしれない、搭載できる兵装が増えれば、やれることに大きな余裕ができる

 

後部座席抜きでの実弾運用試験を控えた現在のロードアウトは、主翼外側のハードポイントに対地ミサイルと対空ミサイルを1発ずつ、内側のハードポイントに標準ミサイルと対空ミサイルを1発ずつ、そして3連装ランチャーを介して対地ミサイル3発ずつを搭載

そして最後に胴体コンフォーマルタンクに対空ミサイルを両側合わせて4発、エアインテーク下部に航法ポッドや照準ポッド、そして中央に備えられた新型の多機能ポッド

 

合計して18発のミサイルと3つの照準ポッドを搭載したフル装備

 

「かっちょえぇ〜…」

 

壮観だ、写真を撮れないとういうのがものすごくもどかしい

 

「相変わらずだなタリズマン」

 

「わっ」

 

急に話しかけられて体が跳ねる

声のした方を見れば共に戦争を生き抜いてきた戦友である「アバランチ」が立っていた

この後の試験内容の撮影は彼の機が行うことになってるが、合流地点は空の上だったはずだ

だが、ハンガーの外にはアバランチのスーパーホーネットが駐機してある

 

「久しぶりだな」

 

「久しぶり…だけど、どうしたの?」

 

「いや、撮影のことなんだがな、お偉いさんが広報映像も兼ねてお前さんのことも撮ってきて欲しいんだと」

 

「なんでさ」

 

「そりゃエメリアを救った天使のように美しいパイロット以上の宣材なんてないだろう、戦争で減った兵力も回復したいしな」

 

「なるほどね、でも撮るって言ったって何をすれば」

 

「簡単なことさ、バニーガールの服でも着てポールダンスでも…」

 

私の平手打ちがアバランチの顔面に直撃すると同時に、周りにいた整備士からの非難がアバランチに殺到する

 

「最っ低!!」

 

「そうだそうだー!」

 

「ふざけんじゃんねぇ!!」

 

「殺すぞ海軍のボケが!!」

 

「ガルーダ1に殴られるとか羨ましいなちくしょう!」

 

「コンクリートに詰めて海に沈めてやろうか!!」

 

「じょ、冗談!冗談だ!」

 

「うるせぇ!パイロンにくくりつけて模擬弾の代わりにしてやる!」

 

閑話休題

 

「お前はいつも通り戦闘機に乗って飛んでくれりゃいい、それだけで絵になるだろうって話だ」

 

「あっそ」

 

「……悪かった、今度一杯奢るから許してくれ」

 

「…3杯」

 

「…ウィルコ」

 

「よし!、じゃあ行こっか」

 

アバランチで遊んでたらいい時間になったのでブリーフィングを済ませてからフライトスーツに着替えてハンガーへと戻る

ハンガーではアバランチがカメラを構えていたので、それに向かって微笑みながら手を振ってやったあとは、いつも通りエンジンを始動、フラップを離陸位置にして滑走路へと移動する

 

《タリズマン離陸を許可する、離陸後は高度5000ftへ上昇、アバランチの離陸を待て、事後は空中管制機の指示を受けよ》

 

「了解」

 

管制塔から離陸許可が降りたので、ステアリングブレーキをかけつつスロットル全開、アフターバーナーに点火

ブレーキが推力を抑えきれず少しずつ前進し始めたのを確認してブレーキをリリースすると急加速によるGで身体がシートに沈んでいく

 

2発の大推力エンジンにより、あっという間に離陸に十分な速度を得ると、操縦桿を少しだけ引いて機体を浮揚させる

でもギアを上げるだけで高度は上げない、滑走路に沿って速度を稼ぐ

 

「ちょっとしたサービスだよ」

 

滑走路端手前で急上昇に移行、カメラを構えるアバランチに見せつけるようにハイレートクライムで一気に高度を上げていく

大量の武装と燃料を積んで、かなりの重量になっているにもかかわらず、イーグルの新型エンジンはグングンと機体を空へ持ち上げていった

とはいえ管制を無視してはいけないので4000ft辺りで基地の周りを周回しつつ、緩やかな上昇に転じる

 

周回を始めてから3分程でアバランチが上がってきた

 

「相変わらずスーパーホーネットなんだね、ウィンドホバー達はF-2に乗り換えてたよ」

 

《俺はこいつと添い遂げるつもりだからな、タリズマンこそ、イーグルが好きだな》

 

「そうだね、上からの命令ってのもあるけど」

 

《象徴か、相変わらず、軍のプライベートダンサーだな》

 

「アバランチの言う通りバニー着てポールダンスしたほうがよかったかも」

 

《やめてくれ、俺が殺される》

 

《こちら空中管制機ゴーストアイ、2人とも私語はやめろ》

 

アバランチと談笑をしていると、空中管制官であるゴーストアイからお咎めが入った

 

《おっかないママが来たな》

 

「おしゃべりはここまでか」

 

《全く…始めるぞ、高度20000ftまで上昇しつつ、訓練空域に向かえ》

 

「タリズマン了解」

 

《アバランチ了解》

 

沖に設定された訓練空域に向かって進路を取り、上昇を始める

眼下に広がるのはまだ戦禍の癒えぬ首都

戦争終結から一年、未だところどころで復旧作業が続いている

湾内の中心に至っては、後回しで放置されたエストバキア軍の艦艇がいくつも残っていた

 

その中でも目を引くのは老体に鞭打って戦っていた戦艦だ

大破着底し、使い物にならなくなってしまったそれは、戦争遺構として保存しようする動きがあると聞く

 

正直、やめて欲しい

あれを見る度に爆弾を落とす直前、甲板で逃げ惑っていた乗組員の姿を思い出してしまう

 

そうでなくてもたまに夢をみる

 

戦争だからしょうがないと割り切っていたつもりだったけど、どうやらそうではなかったようで悪夢を見るようになってしまった

 

私が殺してきた人たちが、バラバラになった身体を引き摺りながら群がってくる夢を

 

《2機とも待機しろ!何かがおかしい》

 

「え?」

 

ゴーストアイの警告で、思考が現実に引き戻され、操縦桿を握る手に力が入る

 

《おかしいってどういうことだ?ゴーストアイ》

 

《お前らの進路上、約100km先、高度16000ftを起点に、そこから先が何かに遮られたようにレーダーに何も映らない、気象レーダーもダメだ》

 

「なにそれ」

 

《まるで世界がすっぱりと無くなったようだ、現在情報を収集している》

 

《レーダーの故障は?》

 

《機体の方位を変えても結果は変わらない、本機が原因では無いようだ…今ブランクの起点をマークした、共有する》

 

ゴーストアイから送られてきた情報がディスプレイに表示される

 

「ここがそうなの?」

 

《何もない海のど真ん中だぞ》

 

《ああ、それにレーダーを遮る何かがあったとしても、このようには映らない》

 

「つまり確かめる方法は光学か目視だけと、アバランチ、武装は?」

 

《生憎何も持っていない、増槽が二つだけだ》

 

「了解、ガルーダ1よりゴーストアイへ、本機はこれより単機でブランクの起点へ向かう」

 

《了解した、訓練中止、これよりブランクの起点をボギーとして対応する。ゴーストアイよりアバランチへ、貴機は現地点にて待機せよ》

 

《了解》

 

オートパイロット解除、マスターアームON、レーダーが効かないらしいので武装は機関砲を選択

 

アフターバーナーを炊いて目標地点へ急行する。音の壁を越えれば100kmはあっという間だった

 

「ガルーダ1よりゴーストアイ、目標地点付近へ到達」

 

《了解、可能であればボギーは接近し、情報を収集せよ》

 

もう少しでボギーの姿が見えてくる、位置からしてユークトバニアの兵器だろうか、ただ、レーダーに巨大な空白を作る兵器なんてものは想像がつかない、自身の位置を自ら晒すかわりに、その空白の中にどれだけの敵機が潜んでいるのかわからないのだ

そして、レーダーが効かないということは、こちらの武装は必然的に機械の助けを得られない機関砲のみとなる。せっかく載せてきたミサイルは使い物にならない

 

そんな心配は杞憂に終わることになったけど

 

「何…これ…」

 

空に浮かぶぽっかりと開いた穴

蓋から紫色を中心とした光を放つそれは、どう考えても人が作り出したものではなかった

 

《ゴーストアイよりガルーダ1へ、状況を報告せよ》

 

「…こちらガルーダ1、ゴーストアイの言ってた世界が無くなったって表現、あながち間違いじゃないみたい」

 

《なんだと?詳細に報告しろ》

 

「今画像を送る」

 

照準ポッドで捉えた光学画像と、胴体中央の複合ポッドで捉えた赤外線画像と共にゴーストアイとアバランチへ送信する

 

《受け取った…、待て、これは…》

 

《おいおい作り物じゃないのかよこれ、もしくはカメラにゴミでも詰まってるとか》

 

これが何かの見間違いとか幻覚というならそうであってほしい

肉眼でこの光景を見ている私も信じられない

 

監視のために穴の周りをぐるぐる回っているつもりだが、常に穴がこちらを向いているように見える、平らなのか球状なのかも判別がつかず、見てれば見てるほど不気味さだけが増していく

 

《ゴーストアイよりガルーダ1へ、グレースメリアよりスクランブルで飛び立ったウィンドホバー隊がそちらへ向かっている、彼らが到着次第、帰投せよ》

 

「了解、監視を続行する」

 

ゴーストアイが要請したのか、グレースメリアからウィンドホバー達が飛んだらしい。先の戦争ではアバランチ達と同じく戦争初期から共に飛んできた。彼等なら余程のことがない限り大丈夫だろう

 

なるべく情報を得ておこうと視線を穴から計器に落とした時だった

 

《ガルーダ1!そちらにボギーが移動を開始した!速いぞ!》

 

「え?」

 

計器から視線を上げたときには、もう視界は黒一色だった

 

《逃げろタリズマン‼︎》

 

「っ⁉︎」

 

操縦桿を捻ったときには、すでに私は穴に飲み込まれていた

計器の光すら見えなくなり、意識がどんどん闇に沈んでいく

 

《タリズマン!》

 

《ガルーダ1!応答しろ!、ーー!ーー!》

 

遠のいていくアバランチの焦った声と私の名前を呼ぶゴーストアイの声を最後に、私は完全に意識を手放した

 

 




なお更新は投稿者のブルアカの進捗による
データが消滅したので現在チュートリアル終了直後

完凸ミカが消滅した悲しみ
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