[ハスミ視点]
オハヨーゴザイマース
オハヨー オハヨー!
マエニウタレタトコダイジョウブ?
ウン、アノコノオカゲデコノトオリ!
コハル「あっ、ハスミ先輩おはようございます!」ペコッ
「ええ、おはようございます、コハル。今日は放課後に全体ミーティングがあるので忘れず〇〇号室に来てくださいね」
コハル「はい!」
元気に挨拶をし、足早に駆けていく後輩を笑顔で見送って、私は再び見回りに集中する。
正義実現委員会に入部したての頃の下江コハルは問題児でかなり扱いづらい生徒だった。しかし、補習授業部やエデン条約での事件などを経験し今や正義実現委員会の有名人(マスコットの方が近いでしょうか)となっています。
もっとも…イメージとしてはその姿からの愛玩としてではなく英雄、そして畏怖…としてですが
???「ハスミ…交代だ」
「あら、もうそんな時間ですか…じゃあお願いしますねツルギ」
しばらく巡回していると、我らが正義実現委員会のトップである剣先ツルギが引き継ぎの為声をかけてきた。
ツルギが来た途端に周りが静かになりました…まぁこれだけで抑止力になってくれるのでありがたいですが。
巡回の役目を交代し校舎に移動しながら本日の予定を再確認する。
トリニティ史の小テスト…負傷で休んでいる部員のお見舞い…放課後のミーティング…そしてコハルとの面談。
今日は予定が特に多く、そして山場が最後にあるとは気分が滅入りそうになるが、逃げ出すという選択肢はない。
「今日はスイーツ解禁してもいいでしょう」と自分に言い聞かせ、私は購買に行先を変更した。
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[コハル視点]
ハスミ「今から少し話したいことがあるのですが…この後予定は?」
全体ミーティングが終了し、各々が帰宅や見回りのため会議室を出ていく中ハスミ先輩に呼び止められた。
「今日は…特に予定は無いです」
ハスミ「では、私の寮室に30分後着来てください」
「…はい」
おそらく昨日のあの事…仕方がないとはいえ、先輩との【約束】を破ったことは事実。
部屋の前で落ち着きなく待っていたハナコと一緒に、私はハスミ先輩の寮室に向かった。
──トリニティ学生寮にて──
何とか一緒に入ろうとするハナコを宥め、私だけ入室した
「呼ばれた理由は分かっていますよね?」
促されて着席したところ、早速ハスミ先輩がその言葉と視線に少しの怒気を込めて問いただしてきた。
「…はい」
「……コハル、何度も言いますが私は貴方のその正義感や道徳心自体を否定するつもりはありません…ですが、自身をわざわざ危険に晒してまでも他者を救おうとする行為は褒められたものではありません。
『貴方一人では決して戦闘を行わない』…以前約束しましたよね?」
「……はい」
昨日、私はトリニティ学生寮付近で偶然暴行されている生徒を見つけた。
相手は最近校内で噂の立っている生徒達で、白いフードのようなもので顔を覆っているという特徴のみであり、正義実現委員会も見回りを強化したが犯行現場を押さえられず手を焼いていた。もともと押収品管理室担当であり、
そんな奴らが今、目の前で新たな被害者を生みだしていた。居ても立っても居られず私は
反撃を受けたが、ハスミ先輩との約束があるため応戦はせず逃げに徹して、はなれたところで私が治療した。
結局、不良生徒の銃声や怒号などにより私が通報しなくても同僚達が駆けつけ鎮圧。
現在留置所にて拘束されていると先ほどミーティングで報告されていた。
「貴方が助けた生徒から申し出ありました。『口止めされたけど、どうしてもコハルさんにお礼がしたい』と。…それに、あれだけの騒ぎを起こせば目撃者がいます。」
「あっ…」
言われてみれば、当然のことであった。キヴォトスで銃撃戦が珍しくないとはいえ、寮周辺は戦闘があまり発生しない場所だ。物珍しさに注目を浴びてしまったのだろう。
肝心の被害者への口止めも意味なかったけど…
ハスミ「…
前回は片腕だけでしたが、命を落とす可能性もあります。もしも…万が一にでもそんなことが起きれば私は…
ハスミ先輩が怒りや悲しみがぐちゃぐちゃになったような声色で震えながらも言葉を紡ぐ。
「…」
ハスミ「どれだけ言っても、事が起きれば貴女は正義実現委員会として…いや、貴方は意識に関わらず人々に救いの手を差し伸べるでしょう。
ですが、覚えていてください。貴方が傷つけば、同様かそれ以上に傷つく人がいることを。」
「…………はい」
最後に私の左手を優しく握り、ドアまで連れ添ってくれた。
「今日はこれでお終いにしましょうか。…ああ、そういえば、これ…コンビニスイーツです。外のハナコさんと一緒に食べてください。」
「え、あ、ありがとうございます…失礼いたしました。」ペコッ
最後にお辞儀をして部屋を出る…と、ドア横で待機していたハナコが勢いよく抱きついてきた。
ハナコ「ああッ!コハルちゃん!こはるちゃんこはるちゃんこはるちゃんこはるちゃんこはるちゃん…」ギュウウウウウウウウ
痛い程抱きしめながら、ハイライトの消えかかった眼でうわ言のように私の名前を連呼する。
過去の私なら、抱き着いてきた時点ですぐに抵抗し死刑判定を下していたが、今のハナコにそのようなことをすれば本当に首をくくりかねない。
「は、ハナコ…ちょっと痛いから離しt「あっああっごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」…うん…」
今度はパニックになりながら必死に謝るようになってしまったハナコをなんとか落ち着かせ、手を引きながら私達の寮室へ歩き始めた。
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外から聞こえてくる会話に溜息をつきながら、私はスイーツに手を付ける。
彼女の問題行動に火をつけた自覚がある手前、こんなこと言っても今更なんだと思われるだろう。
しかし、だからといってこの思いを捨てるわけにはいないのです。彼女の身に火の粉が降りかかるなら、火の粉の原因さえも消しましょう。
ハスミ「コハルは…私達の大切な後輩ですから…」