COSMIC ERA -SPACE PIRATE-   作:天羽々矢

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短めですが、今年はこれが最後の投稿になりますかね。


PHASE-01 現実と、慟哭と

「ここは・・・どこだ?」

 

男が目を覚ますとそこは見知らぬ場所であった。天井は白く、周囲にはベッドがいくつもある。そして微かにツンとくる消毒液の匂い。男はここが病院である事にすぐに気が付いた。しかし何故自分がここにいるのか、それが分からなかったのである。

そしてもう1つ、身体が小学生相当にまで縮んでいる・・・いや、転生したのならば若返ったと言った方が正しいだろうか。

 

「先生!彼の意識が戻りました!」

 

男の意識が戻った事に気が付いた看護婦が声を上げる。そしてその声に反応するように1人の医師がやってくると、男は車椅子に乗せられすぐに様々な検査を受ける事となった。

 

「ふむ・・・特に異常は見当たらないようだね」

 

医師の言葉に男はホッとする。しかしそれと同時に不安にもなっていた。何故自分はここにいるのか、そもそもここは何処なのか?

思い切って聞いてみる事にした。

 

「あの・・・先生、ここは・・・?」

 

「あぁ、君は・・・君たち家族はブルーコスモスのテロに巻き込まれたんだよ」

 

「・・・え?」

 

医師の言葉に男は驚く。そしてそれが引き金だったのか頭の中に大量の情報が流れ込み、その情報の多さに脳が処理しきれずに頭痛で頭を抱える。

 

医師と看護師が慌てて駆け寄る中、やがて頭痛は治まり男は自分の置かれた状況をようやく理解する。

自分は転生したのだと・・・そして同時に思い出す。あの時自分は家族の仕事場だった研究所に遊びに出かけていた事を。そして両親やその同僚の研究者達と談笑していた所を、突然現れた黒服達が身体に括り付けていた爆弾で自爆した事を・・・。

 

そしてそれを物語るかの様に・・・男の頬には1本の傷跡が残っていた。

しかし自分が助かったとすれば・・・

 

「先生、父さんと母さんは・・・どうなりましたか・・・?」

 

男は医師にそう尋ねる。すると医師は言い辛そうにしながらもゆっくりと口を開くと言った。

 

「君のお父さんとお母さんは・・・亡くなったよ」

 

「・・・え?」

 

男にとってそれは信じられない言葉だった。

 

「嘘ですよね?」

 

「・・・すまない」

 

医師の謝罪に男は視界が真っ黒になるような感覚に陥った。

 

「・・・そんな・・・父さんと母さんが・・・」

 

男は絶望した。あれだけ自分を可愛がってくれて、愛してくれた両親がもうこの世にはいないという現実に。そして同時に思ったのだ。何故自分は生きているのかと・・・。

 

そんな男を見て医師は辛そうな顔をしながら言う。

 

「君のご両親はまだ幼い君を守る為に命を落としたんだ」

 

「・・・守る為?」

 

男の疑問に医師はゆっくりと頷くと言った。両親が亡くなったのは自分を庇ったからだと、そして医師は続けて言う。

 

「ご両親の遺体はこちらで預からせて貰う事になるが、それで構わないかい?」

 

「・・・はい」

 

男は小さく頷くと言った。両親の死を未だ受け入れられないという気持ちと、もう会えないのだという悲しみが入り交じり複雑な気持ちになっていたのだ。そんな男の様子を見て医師は言う。

 

「今は辛いかもしれないが・・・どうか強く生きてくれ」

 

その言葉を最後に男と医師の話は終わりとなった。それから男はしばらく病院で入院生活を送る事となった。医師や看護師達はそんな彼に優しく接してくれたが、それでも男の心の傷は癒えることは無かった。

だが、それでも男は生きなければならなかった。それが、身を呈して自分を生かしてくれた両親への手向けと信じて。

 

そして両親の葬儀が執り行われ6ヵ月後、過酷なリハビリを乗り越えた男は退院する事が出来た。

その歩けるようになった足で最初に向かったのは両親が最期を迎える事となった研究所、今は跡地となったそこだった。

規制線も外され自由に出入り出来るように

そんな時、ふと男の目にヒビの入った写真入れに入っている1枚の写真が目に入る。それは家族3人が写った写真であり、それを見た瞬間男の目から涙が流れ出す。

 

「父さん・・・母さん・・・」

 

男は写真立てを手に取ると両親の名を呟くように呼ぶ。もう二度と会うことが出来ない、そう思うと涙が溢れて止まらなかったのだ。

写真を見て涙を流していると、崩れて地肌が剥き出しになっているアスファルトの窪みに何かが光ったのを発見。気になって近づいてみると、それは銀のチェーンで結ばれネックレスに作り替えられたエメラルドをあしらっている小さな指輪であった。

 

それを見て男の身体が憶えている記憶が蘇る。

何で指輪なのにネックレスにしているのかと子供心で聞いたら、何でも父が母にプロポーズした際に誤ってサイズの合わない物を買ってしまったらしく、それでネックレスに加工したとの事。それは2人の間でも思い出の品だそうで、今でもその指輪を見る度に恥ずかしくなるがそれ以上に幸せになれると言っていた・・・だからあの時もこのネックレスをつけていた。

指輪にあしらわれているエメラルドの石言葉は幸運、幸福、希望、そしてエメラルドは愛の象徴でもあるのだ。

 

男は指輪を握り締めると静かに涙を流し続けるが、それでも堪えきれなくなり・・・

 

「うぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

天を仰ぎ涙を流しながら咆哮した。その声は悲しみに満ちており、そして同時に怒りも込められていた。

何故両親は死ななければいけなかったのか?なぜ自分は生き残ってしまったのか?それは男にとって最大の疑問であり謎でもあった。

 

しかしどれだけ考えても答えは出ない・・・いや、そもそも男に答えを出す資格など無かったのかもしれない。何故なら男は転生者なのだから・・・。

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