COSMIC ERA -SPACE PIRATE- 作:天羽々矢
何時までもスーパーの前に陣取る訳には行かない為、3人とリョウマの助けた箒を持った少女は近場の公園で休息を取る事にした。
「本当にありがとうございました」
黒髪の少年、タスク・ウォーカーはそう言うと深々と頭を下げる。そんな彼にリョウマは言う。
「さっきも言ったが、気にするなよ」
「ですが・・・」
それでも納得のいかない様子のタスクにリョウマは苦笑するが・・・ふと思い出したかのように黒髪の少年ことシュウが口を開く。
「そう言えばさ・・・」
リョウマの視線の先には箒を持った少女がいる。
男子高校生グループが言うには彼女はコーディネイターらしいが、リョウマにその違いの実感は無い。
・・・が、1つだけ明らかに違っており、1番気になっている事がある。
「あのコーディネイターの子、掃除当番って訳じゃなさそうなのに何で箒なんざ持ってんだ?」
「・・・確かに」
リョウマの疑問にシュウも同意して頷く。そして2人の視線は箒を持った少女へと注がれる。
今の彼女の服装は制服ではなく私服。様子から考えて恐らくは小学校高学年位だろうか、仮に彼女が小学生であるなら今は放課後である為掃除当番の筈が無いのだ。なのに何故彼女は箒を持っているのか?リョウマはそれが気になったのである。
そんな2人の疑問の視線に気付いたのか、答えるかのように箒を持った少女は口を開く。
少女の特徴としては艶のある綺麗な亜麻色のセミロング丈の髪と、青い瞳。
「さっきは助けてくれてありがとうございます。私はネージュ・リースフェルト」
「あ、ああ。俺はシュウ・オオヤマ」
「・・・リョウマ・M(ムサシ)・ハーロックだ」
少女・・・ネージュの自己紹介に2人は名乗ると、今度は逆にネージュが質問する。
「ねぇ?何で箒なんて持ってるのか気になる?」
2人の疑問を代弁したかのような内容に2人共頷く。するとネージュは何やら胸を張り、更に胸に手を当てフンスとドヤ顔をして口を開く。
「簡単よ、私がかの有名な魔女スピカ・リースフェルトの娘、つまり魔女だからよ!」
「・・・魔女?」
そんなネージュの言葉に2人は首を傾げる。しかしそんな様子に更に胸を張りドヤ顔をするネージュ。だがそんな彼女に口を挟んだのは苦笑しながらネージュを見るタスクであった。
「よく言うよ、魔法以前に箒で飛ぶどころか浮く事も出来ないくせに」
「あ、ちょっと!それ言っちゃダメでしょ!」
まさかの暴露にネージュは顔を赤くし慌ててタスクに詰め寄るが・・・どうやらそれは遅かったようだ。
「事実じゃないか、俺の家と君の家のを合わせて今まで何本の箒がダメになったと思ってるのさ?」
「だって箒は魔女の必須アイテムでしょ!なら飛ぶ為の訓練をするのは当たり前じゃない!」
「いや、だから飛べないって言ってるじゃないか。大体君は・・・」
会話中の態度からどうやらタスクとネージュはもっと幼い頃に出会い関わってきているようだが、2人の会話に割り込むタイミングを失ったリョウマは2人の様子を見ながら思う。
(何か妙な事になってきたな・・・)
「へッ、バカバカしいぜ、魔女なんている訳ねぇ」
だがシュウのその一言でネージュとタスクの2人の会話は止まる。
「何よ、馬鹿にして!」
そんなシュウの言葉にネージュが食って掛かる。そうなれば荒っぽい性格のシュウには売り言葉に買い言葉。
「ホントに魔法なんてもんがあるっつーなら、さっきの5人組全員纏めてぶっ飛ばしゃ良かったろうがよ」
「な!?何であなたにそんな事言われなきゃならないのよ!」
売り言葉に買い言葉でヒートアップしていく2人。その内ネージュは瞳に涙を溜め始めるがシュウの口撃は止まらず、歯止めがかからなくなっているシュウは遂に・・・
「どうせ大魔女とかいうお前のお袋さんも、中二と思春期を拗らせた痛いオバサンなんだろ?」
それは言ってはならない一言だった。その言葉が放たれた瞬間ネージュの瞳から涙が零れる。そして・・・
「お母様を馬鹿にするなぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
激昂したネージュがそう叫びながら持っていた箒を振り回すと、その穂がシュウの顔面にクリーンヒットしシュウを吹っ飛ばした。
まさか反撃を受けるとは思っていなかったのか、声を上げる間もなく吹っ飛ばされたシュウは地面を転がる。そんな光景にリョウマとタスクは呆然とする中、ネージュは箒を握り締めたまま怒鳴る。
「お母様がどれだけ凄い人かも知らない癖に!馬鹿にして!バカッ!!大っ嫌いッ!!!」
それだけ言うとネージュは泣きながら走り去ってしまった。そんな様子に2人は呆然としていたが、その中でタスクが我に返り慌てて後を追うのだった。
取り残されたシュウは先程まで傍観していたリョウマの手を借り起き上がる。
「・・・オオヤマ、今のは流石に言い過ぎだぞ」
「・・・悪かったよ」
殴り飛ばされた事で冷静になったのかリョウマの指摘にバツが悪そうに謝るシュウ。その暗い表情からどうやら流石に反省しているようだ。
「謝る相手が違うだろ」
「・・・」
謝罪しようにも公園の時計は既に午後6時を回っている。帰らなければ親が心配するだろう。
「・・・帰って頭冷やすわ」
「そうか、なら気を付けてな?」
そう言うとシュウは公園を後にする。そんな様子にリョウマも溜息を吐くと帰路に就く。
それから5日が過ぎた頃の日曜日の昼・・・事態の進展も見られず、リョウマは今日もスーパーで買い物をしていた。
買い物の帰りにふと喧嘩の起きた公園に寄ってみる。
「・・・」
しかしそこには人影は無く、ただ公園に植えられている植木の葉が風で揺れるだけだった。
(まぁ、当たり前か・・・)
そんな様子にリョウマは自嘲気味に笑う。とその時だ・・・
「あ・・・」
「・・・ん?」
公園のベンチに1人の少年の姿がある事に気付く。よく見ればその少年はシュウだった。
「よう、奇遇だな」
「・・・ハーロックか。まぁな」
そんな短い会話の後2人はベンチに腰掛ける。そして最初に口を開いたのはシュウだった。
「・・・悪かったな、この前はあんたに助けられた癖に気まずい空気にしちまって」
「気にすんなって、俺はもう気にしてねぇよ」
そんなシュウの様子にリョウマは苦笑しつつそう言う。すると人の気配を感じリョウマとシュウが公園の入り口の方を向く。
そこにはあの2人・・・タスクとネージュが居た。
「あ・・・」
「・・・よう」
2人の姿を見たネージュが声を発するとシュウは気まずそうにしながらも軽く手を挙げる。そんな様子にリョウマは苦笑するとシュウの背中を叩きながら言う。
「ほら、行くんだろ?」
「・・・ああ」
そんなリョウマの言葉にシュウは頷くとベンチから立ち上がりネージュとタスクの方に歩を進める。そして2人の前に立つと・・・
「その、悪かったな、頭に血ぃ上ってお前とお前のお袋さんを馬鹿にして・・・」
そう言って頭を下げた。そんな様子にタスクも慌てて頭を下げる。どうやら彼も反省している様子だが・・・肝心のネージュはと言うと俯いておりその表情は見えないが僅かに肩が震えているように見える。その様子に思わずたじろぐシュウだったが次の瞬間・・・
「私も、ごめんなさい、その、カッとなってつい叩いちゃって・・・」
「あ・・・いや、俺も悪かったよ」
互いに謝る2人。そんな様子にようやく顔を上げたネージュは笑顔だった。
いつの間にか隣に来ていたタスクと共にその様子を見て微笑んだリョウマは、2人に近づき頭を少し乱暴に撫でる。
「仲直り出来て良かったよ、いつまでもギクシャクされてちゃな」
2人にそう言ったリョウマの笑顔は、とても晴れやかなものだった。
それから4人は時間を取り戻すかのように色々な事を話した。
リョウマの予想通りにネージュとタスクが幼馴染みである事、3人が通う中学校に通う為にネージュが勉学に励んでいる事、そしてそんなネージュの勉強にタスクが付き合わされている事・・・
そうしている内に4人は、お互いに名前で呼ぶ程には仲良くなっていた。
それでも、シュウとネージュは少しでも火種があればすぐ口論になり、そんな2人を止めるのは何時もタスクとリョウマだった。
何でガンダムというSF作品に魔女なんだ出したんだってツッコミはお控え下さい。
コレ、二次創作小説ですので( ̄▽ ̄;)