金持ちレズ女はニコに付き纏う   作:──

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「……さて、これで私の血みどろの過去は終わり。それで、これを聞いた上でまだ私を見捨てないのなら、あなたたち邪兎屋に一つ依頼がしたいの」

 

語り合えたレイアは恭しくスカートを摘んでカーテシーをするとともに、過去の回顧の終わりを告げ、それと同時に本題を切り出した。

 

「…依頼?」

「えぇ、私の屋敷を燃やして欲しいの」

「…は、はあぁぁ!?」

 

突然の放火宣言に素っ頓狂な声をあげたニコ。

レイアはしばらくの間ニコの反応の理由がわからなかった様子だったが、しばらくしてようやくその理由に思い至り、情報を捕捉した。

 

「屋敷って言っても今は使っていない旧邸の方よ。零号ホロウの内側に今なお存在する旧邸には、私たちの知られてはならぬ過去が残っている。だからね、私の断捨離を手伝って欲しいの」

「……ソレ、断捨離ってレベルの話じゃないわよ」

「あら、そう?でも報酬は弾むわよ」

「……考えさせて頂戴!」

「えぇ、いくらでも待つわ」

 

ニコは大いに悩んだ

彼女の財産のスケールはニコも痛感している、そんな彼女の()()()報酬がどれほどのものか、それはもはやどれほど想像してもそれを超えてくるレベルだろう。

しかし、零号ホロウ内部の旧邸とはおそらく彼女の過去の舞台となった屋敷だ。

殺し合いの因習の跡地である屋敷、そこに眠る過去とは一体どれほどの危険が伴うか、それもニコが考慮すべき点である。

 

「……邪兎屋への依頼っていうなら、仲間に相談してもいいのかしら」

「えぇ、許すわ。あなたが信頼する相手なら、さっきの話も伝えて構わない。なんなら邪兎屋じゃなくても、私の依頼を手伝うなら構わないわ」

「わかった、なら持ち帰って考えさせて頂戴」

「えぇ、いい返事を…………いつまでも、首を長くして待ってるわ」

 

レイアはやけに重たい声でそう答え、踵を返してその場を去っていった。

……さて、彼女が去った後もしばらくの間その場で悩み続けたニコ、彼女はふと足元を見て、一冊の本が転がっていることに気がついた。その本にはレイアのドレスから香るものと同じ匂いがこびりついており、これが彼女の本なのだろうと容易に想像ができた。

本人に届けようかと思ったニコだが、ふと魔が刺してブックカバーに覆われた表紙を、カバーを外して覗き見た。

その中身は

 

【一冊でわかる人間関係 ──気になるアノ人と距離を深めよう──】

 

タイトルこそ怪しいが、それは心理学やその他いくつかの分野で名を馳せる教授の本だった。

 

彼女が何度も読んだのだろう癖のついたページに目を通すとそこには

 

【自分のことを伝えよう】

 

という大きな見出しと、相手に自分の属性や性質を伝えることの重要性について、その場の人間性と関係の将来性の観点から長々と記述されていた。

彼女は天才だからと言って努力をしないわけではない、ニコはまた一つ彼女の秘密を知ったのだった。

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