金持ちレズ女はニコに付き纏う 作:──
彼女の依頼から数日後
以前と同じ場所でレイアはニコを待っていた。
「待たせたわね」
「えぇ、首を長くして待っていたわ。さぁ答えを聞かせて」
「邪兎屋はアンタの依頼を引き受けるわ。ついでに、プロキシも一緒よ」
『よろしく!』
「えぇ、よろしく。」
レイアはその目尻をわずかに緩めて柔らかく笑った。
「それじゃあ、屋敷を探すところから始めましょうか」
「探すって……アンタの屋敷じゃないの?」
「零号ホロウの中なんだから、座標が変わってて当たり前でしょ?」
レイアはそう言って、一行を手招きして近くの共生ホロウへと入って行った。
「……ここに零号ホロウに繋がる裂け目がある。中に入ってからは油断しないで、屋敷の中は特にね」
彼女は道中のエーテリアスを蹴散らしながら前に進んでいく。
その時、ニコが彼女の変化に気がついた
「あら?アンタの武器、いつもの蛇腹剣じゃないのね」
レイアが握っていたのは、赤い宝石の嵌め込まれた華美な装飾の片手直剣だった。
「えぇ、これは父の遺産の一つで、一族の儀礼剣でもあるわ。屋敷に入るには必要になるから持ってきたの」
「……へぇ、儀礼」
「そ、儀礼。また血生臭い話を聞きたいのなら教えてあげるけど?」
「遠慮しとくわ」
「そ、じゃあやめとくわ」
そう言って、レイアはパエトーンのボンプに目線を向ける。
「近くの建物を探したりできる?」
『できるよ』
「そう、じゃあ頼むわ。地上三階建てで地下に五階の大型建築、周囲のエーテル活性が異常だからすぐわかるはずよ」
『検索……、発見しました。ナビゲーションを開始します』
ボンプは機械音声を発すると、ひとりでに歩いてゆく。
レイアと邪兎屋の一同はそれを追って、目的地である旧邸へと向かった。
「……ほえ〜」
レイアの旧邸を前に、ニコは間抜けな声を出すしかなかった。
それほどに巨大で異様な木製の豪邸、そこに紅いエーテル結晶が纏わりつくように発生し、不気味な光を放っている。
エネルギーを溜め込んだエーテリアスに見られる桃色のような赤ではなく、血のような鮮やかで濃い紅色だ。
異常なほどの量のそれらは屋敷の門すら覆い尽くしていた。
「さて、これからアンタたちには地上三階の……この箇所に向かってデータのデリートと機器の破壊を頼みたいの。私は地下に向かうわ」
レイアはニコに地図を手渡すと、儀礼剣を手に門へと向かいその剣を掲げる。
ギイィィ、と耳障りな音と共に剣に嵌め込まれた赤い宝石が光り輝き、エーテル結晶にヒビが入ったかと思うと、瞬く間に崩れ去った。
「…データの削除さえしてくれるなら、閲覧しても何しても構わないわ。さ、行きましょう」
レイアの言葉と共に、一同は異様な雰囲気に包まれた旧邸へ足を踏み入れることとなった。