金持ちレズ女はニコに付き纏う   作:──

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激しい光と衝突音が場に響き渡る。

(天才)レイア(天才)の激しい剣戟の応報は邪兎屋にも、雅以外の六課にも横槍を許さない。

突然、剣戟が止み両者が後方へと退がる。

雅は沈痛な面持ちで

 

「……やはり、お前は亡霊だ」

「馬鹿の一つ覚えみたいにそう言っていれば私が納得すると思ってるワケ?」

 

その時、彼女に隙を作る為、悠真が邪兎屋の面々へと弓を向けた。

レイアがそちらへ目を向けた途端、雅の刀が彼女の右腕を肩から切り落とした。

 

「──っ、お前……!」

 

握られていた剣がニコのちょうど目の前に、握っていた右腕がぶら下がったまま突き刺さる。レイアはほんの一瞬怒りに満ちた表情を浮かべたが、次の瞬間には何かを諦めたようにため息を吐き、力無く俯いた。

 

「計画は前倒しになるけれど、仕方がないわね。……ニコ、選択は任せるけれど─────できれば目を閉じていて」

 

瞬間、突風と共に凄まじい量のエーテルがレイアの周囲を満たし、霧のように充満した。

同時に、ニコの目の前に突き刺さった剣を掴んだままだった彼女の右腕からエーテルが湧き上がり、触手のように霧の中へと伸びていった。

 

「あなたがここまで追い詰めなければ、私は二度目の人生を穏やかに生きていたのに。……──お前たちは、こうして()()()()私を殺すのね?』

 

触手によって引き摺り込まれるように、右腕とそれが握っていた剣が霧の中へと消えてゆく。

そして、霧が晴れるとそこには先程のレイアと同一人物とは思えない女性が立っていた。

アンビーと同じくらいだったはずの身長は170cmほどまで伸び、黒い髪は腰まで伸びて風に靡いている。

そして何より目を引くのはその右半身、先ほど切り落とされた右腕から生じたエーテルの触手のような物体は彼女の右肩に繋がり、剣を持った右腕を肩に引き寄せて繋げる。

右肩に腕が繋がった途端にエーテル結晶が右半身を覆い、その顔すら右半分はエーテルに覆われ、窪んでエーテルのエネルギーによって光っている眼球部分のみがそこに顔があった面影を残している。

雅はすぐさま切り掛かるが、咄嗟の一撃は軽くいなされ、二人の間に再び距離が開いた。

 

レイアの背後に回り込んだ雅へレイアが振り返ると、背を向けられた柳と悠真、そして蒼角が一斉に彼女へ攻撃を仕掛けた。

しかし、彼女が腕を振ると、それに応えるように地面からエーテル結晶が隆起し、それらを全て吹き飛ばしてそのまま壁となった。

彼女の体が宙に浮かび上がる。

 

『…私は亡霊じゃない。私は自分の意思で生き延びて、蘇った。それなのに、どうしてもう一度死ぬ必要があるの?』

 

彼女の声は大きく歪み、エーテリアスのような異音が混じっていた。

その言葉に雅が目を見開く。

 

『なにより、私のニコ(愛しい人)に、弓を向けたわね?』

 

彼女を中心としてエーテルが渦巻く。

彼女の肩口から皮膚を突き破ってエーテル結晶が伸びる、それはまるで折れた翼のようだった。

 

『──後悔させてやる。許さない……逃がさない、粛清を、血を…私に勝利を──戴冠を!』

 

エーテル結晶に包まれた右腕が握りしめた剣を高く掲げる。

彼女の全身からエーテル結晶が発生し、彼女をさらに人の形から遠ざけてゆく。

右の前腕が剣と一体となり、剣はより太く長いものへと姿を変え、左腕の前腕は銃器のような円筒へと姿を変える。

左胸にエーテリアスのコアのようなものが見えたと思えば、その直後にはコアを守るようにエーテル結晶が覆った。

 

そして、彼女の館を覆っていたエーテル結晶がエーテリアスと化した彼女に呼応するように輝く。

そして、館の内側からいくつものコアが浮遊し、彼女の体に取り込まれてゆく

 

『─────九十九の血を以て、私に勝利を。裏切り者に粛清を』

 

彼女に取り込まれたコアが彼女の体からばら撒かれ、地面から人の姿をしたエーテリアスが湧き出る。

 

「……これが、レギオン」

 

空中に浮かぶ怪物へと、誰かが呟いた。

 

『──そう、()()()こそレギオン。一にして万の軍勢、全てを飲み込む死者の軍勢。──あの日のように容易く殺せるなどと思うな』

 

エーテル結晶がヘルムのように彼女の顔を覆う。

それでも、彼女の怒りに満ちた視線が悠真を射抜いていることがわかる。

その時、一発の弾丸が彼女のヘルムを掠め、レギオン(レイア)は咄嗟に振り返って下手人を見下ろす。

 

『……ニコ?何故──』

「どうしたもこうしたもないわよ!アンタねぇ──あたしに報酬も払わず死ぬつもり!?」

『……あぁ、そういうことか。安心しなさい、私に敗北はない。許されない』

「ああもう!そういう話がしたいんじゃなくて……一回降りてきなさい!」

 

ニコは目の前に浮かぶ、レイアの原型をとどめていない怪物を相手に臆せず叫んだ。

すると、なんと彼女はその言葉に従って地面に降りると、一つ前の──成人した女性の──姿に戻ってニコの前に立った。

 

「あのお武家ギツネを殺す!?そんなことしたらアンタは今日から生死問わずの指名手配犯よ!そんなこと許すと思う?」

「ニコ、聞いて。私はアイツらにツケを──」

 

その時、その場に更なる第三者が現れた。

それは執事服に身を包むオオカミのシリオン、その手には通信端末が握られていた。

 

『──それは、私と当時の防衛軍のツケであって、星見家のものではない。どうか矛を納めてはくれないだろうか?』

「……お前──」

『私も、君に行ってしまった仕打ちについては悔いている。だからこそ、出来るならば十年前の君の要請に今応えたい。だからどうか、教えてくれないか?十年前、何があったのかを』

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