金持ちレズ女はニコに付き纏う 作:──
パエトーンの指示の元、いくつかのエーテリアスを退け裂け目を超えて、ニコたちはデッドエンドブッチャーがいるはずの領域へと足を踏み入れた。
「…雑魚たちが逃げてく──」
「来るわ」
「デカブツね?」
「BGM」
「は?」
「映画なら悪役のBGMが─────」
ズレたことを言い始めるアンビーの言葉を遮ってビリーが前へ出てポーズを取る。
「安心しろアンビー!俺はスターライトナイトに必勝法を教わった!悪役相手にルールは無用!開幕必殺キックだ!十秒で倒せば、BGMが流れる隙なんて─────」
「退きなさい!」
レイアがビリーを蹴り飛ばし、ビリーを狙っていた飛翔体へと鞭状にした蛇腹剣を巻きつけ、そのままの勢いで相手へと投げ返す。
飛翔体──自らの武器──を投げつけた張本人は、投げ返されたそれを空中で掴み取り、四人の目の前に着地する。
「お出ましね」
「─────!!!」
デッドエンドブッチャーが叫び、レイアへと自らの武器を振り下ろす。
レイアが後方へ飛び退くと、着地に合わせてドレスからこぼれ落ちた丸い物体を足でデッドエンドブッチャーへ蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされたそれは手榴弾であり、器用に蹴りと共にピンを外されていたそれはデッドエンドブッチャーの顔へ炸裂する。
怒りと共にさらに叫び声を上げるデッドエンドブッチャーを前にレイアは蛇腹剣を構えた。
先ほどの爆発で完全に激昂したらしいデッドエンドブッチャーはより素早くより致命的な一撃をレイアへと何度も振り下ろす。
しかし、その度にレイアはひらりとそれを躱してデッドエンドブッチャーへと一撃を叩き込む。
よろめいたデッドエンドブッチャーは雄叫びと共に己が武器を垂直に振り下ろしたが、そんな単調な一撃が通じるわけもなく、それを避けた彼女の蛇腹剣の分割された刃一枚一枚が体を削り、抉り取ってデッドエンドブッチャーを大きく後退させる。
デッドエンドブッチャーはその体の各所に傷が目立ち、今にも倒れそうなほどの様子だったが、レイアは汗一つ流さず冷ややかな目で目の前の敵を見据えている。
その様子に自らの危機を悟ったのか、それとも単なる消耗による形態変化なのかは定かではないが、デッドエンドブッチャーはその両肩から追加で二本の腕を生やし攻撃の手数を増やして脅威に対抗しようとした。
しかし
「そろそろね。ニコ、お仲間を下がらせて」
『まもなく、列車が到着いたします!線の内側までお下がりください』
壊れかけのスピーカーから流れるアナウンスと共に、エーテル爆薬を積み込んだ列車がデッドエンドブッチャーに飛び込んで下敷きにした。
Fairyがカウントダウンを開始すると、ビリーがエーテル爆薬へと銃弾を撃ち込み、アンビーが自らの刀を投げて突き刺す。
そうした後に邪兎屋の面々とレイアは物陰に隠れた。
『2 1 ─────』
「ズレてるわ。4、3、2、1、ゼロ」
Fairyのカウントダウンを遮ったレイアの言葉通りに雷が落ち、デッドエンドブッチャーは吹き飛んだ。