ウォォォォーーー………
ワァァァァーーー………
ステージ裏からも、地鳴りのような歓声が聞こえる。
丁度前のバンドがラスサビに入り、トッドさんのギターがソロフレーズを掻き鳴らす。
あと一曲演れば、今度は私達の番。
身体が震える
口がカラカラになる
床に着いてる筈の足裏の感触が遠い
今迄、日本で数限りなくライブをやって、こんなのすっかり慣れた筈なのに…
「郁代ちゃん」
ポン、と肩に置かれた手に、過剰にビクリとする。
「ひあっ!あ…ひとりちゃん」
その空色の瞳が、不安げに私を覗き込む。
「…大丈夫?」
私の肩に置かれたその手も震えているのに。人の…私の心配なんて。
やっぱり貴女は優しい。とても。底抜けに。
肩に置かれた手に、自分の手を重ねる。ひとりちゃんはその手を眺め、自分も震えている事を悟られたと思ったらしい。
「あ…わ、わたしがビクビクしてるのはいつもの事なんで…」
下手くそな笑顔で私に笑いかけてくれる。
もう…ほんとに。貴女は…。
「うん!大丈夫よ!ひとりちゃんも頑張って!」
今夜、私はケニーさんのライブハウスのステージに立つ。
☆
遡る事数日前。
「…イクヨ。ちょっと休憩しましょうか」
メアリさんが提案してくれる。多分、私に気を使って。
「…ごめんなさい。メアリさん…」
「ううん、良いのよ。お茶、入れてくるわね」
「…ありがとう、ございます」
ここの所、自分の中で行き詰まっていた。
確実に実力はついている…筈。でも、何かが足りない…ような。その「何か」も朧げだ。
考えが頭の中でグルグル巡っていると、トレイを持ったメアリさんがキッチンから戻って来る。
「さ、冷めない内に頂きましょう。ここのスコーンは絶品よ!…って、イクヨは知ってるわよね」
ウフフと笑いながら差し出してくれる、軽く炙って蜂蜜を掛けたスコーン(私のバイト先のヤツ)。それと、ゴールデンルールで淹れたミルクティー。
お礼を伝えてミルクティーを一口。
…美味しい。やっぱりイギリスで飲む紅茶は素晴らしく美味しい。
メアリさんは茶葉に温めたミルクを注ぐ淹れ方が好みらしい。
「その方がコクが出て好きなの。私もレヴィも」
との事だ。
ウェッジウッドのカップに貯まる、グレーの液体に視線を落とす。
底が伺い知れない色の液体。…まるで、今の私の気持ちのよう。私の行き先のよう。
何を得て、何処に向かえば良いのか。こんな素晴らしい先生を得て、何をまだ迷っているのか。
…私の、これが限界なのか。
…私の、能力はここまで?
この先、幾ら教わっても私の中からどんどん零れて行くだけなんじゃないのか。
全てを取り零さず教わって来た…つもりだ。
でも、自分で気が付かないだけで、10の内1くらいしか身に着けてないんじゃないか。
「イクヨ。貴女はまだまだ上に行ける。貴女はまだ、その上に行く梯子の掛け方が解らないだけ」
メアリさんがまるで、私の心を読んだかのような言葉を呉れる。
「…メアリさん」
「イクヨ?私の事は「メア」って呼んでって言ってるでしょ?」
「でも…」
「メア」って言葉は、英語圏では余り良い意味に使われない。「牝馬」とか「夢魔」とか。ナイト・メア(悪夢)って言葉もあるくらい。
「もぉ…「メア」って呼んで良いのは、貴女とレヴィくらいよ。それにね?言葉通り、私はそんなに良い人じゃ無いのよ?」
パチリとウインクをくれるメアリ…メアさん。あぁ、格好良い人だなぁ。
「前、雑誌の取材記事で書かれた事があったの。ーーメアリの歌は、時に「サラブレッド」のように疾走して、時に「ナイト・メア」のように人を惑わせる。しかし会場から出た観客は、その言いようの無い余韻だけを残してフラフラと家路を辿り、感動の身の震えと共にベッドで眠りに就く。これこそ彼女が「メア(夢魔)」である証だーーって!何か失礼じゃない!?」
頬を膨らませて文句を言うメアさん。とても妙齢の女性には見えない少女のようなその表情に、思わず噴き出してしまう。
「あははは!…メアさん、貴女はやはり…とても素敵な女性。とても素敵な、アーティストです」
「ふふ…ありがと。でもイクヨ…メア「さん」は無し」
いたずらっ子のような笑顔で、綺麗な人差し指を一本ピン、と立て、私に迫ってくる。
「はい。…ありがとう、メア」
「うん!よろしい!」
二人して笑い合う。
お茶の時間も終わった頃、メアが何かに気が付いたように、は!と私の顔を見た。
「イクヨ!そうだわ!私と歌いましょう!」
今一何を言われているか解らない。だって、いつもレッスンで一緒に歌っているのに。
そんな疑問が顔に出ていたのか、メアが解答を呉れる。
「今度ね、ケニーの所でライブやるの。まあそんなにキャパは広くないし、それに集まるのが大体知り合い関係だから気兼ねなく演れるわ」
…キャパ広くないしったって、新宿FOLTくらいあるんですけど!?やっぱりメアって、スケールが違う!
「レヴィも演るし、何より「貴女のヒーロー」が居るわ」
ウインクひとつ。以前、ひとりちゃんの動画サイトをメアとレヴィさんに教えた事がある。
ギターヒーロー
その動画を見て、メアもだけどレヴィさんはすっかりハマって、メア曰く「レヴィったら寝る前に必ずヒトリの動画見るから、いい加減にして!って怒ったの」だそうだ。
「どうかな?貴女が「梯子を掛ける」切っ掛けにでもなればと思うんだけど」
ああ…もう、ひとりちゃんといい貴女といい
「出ます!演らせてください!」
メアは満面の笑み。
「うん!それでこそ私の妹!」
ふわりと抱き締められた。とても優しい、優しい感触。
縁の糸が繋がる人達は、皆優しい人ばかり。
ーーーーーーーーーー
トッドさん達が舞台袖に引っ込んで来る。
「イクヨ、出番だぞ」
トッドさんが拳を向ける。それに私も拳を合わせて答える。
「はい!」
先ずはメアが登壇。レヴィ達のバンドを引き連れて。
ちなみにレヴィにも「呼び捨て」を強要された。
「え…メアを呼び捨て?じゃあ何でアタシには「さん」付けるの?アタシ、仲間外れ?」
って。
静かなメロディで曲が始まる。そこにメアの歌声が乗る。
ステージ上で歌うのを見るのは初めて。舞台袖で見ていても、その圧倒的な歌声と存在感が分かる。まるで、空気中に音符が舞っているような。メアの口から紡がれた声が、色を伴って、質量を伴って…観客を包み込んでゆく。
最早、皆メアの虜だ。皆が魔法の馬車に乗り、それを引っ張るメアというサラブレッドが美しく、ひたすら美しく駆け回る。
レヴィ達のバンドは、その歌声を運ぶ風だ。誘い、背中を押し、そよ風のような、疾風のような、とても抗えない風がメアの歌と共に会場を駆け回る。
凄い!凄い!これが「歌」だ!これが「バンド」だ!
…こんなトコロに私が入って良いのか………
先程ひとりちゃんに「大丈夫」と言った手前、ここで臆する訳には行かない!…でも、身体が自分のものじゃ無いみたいなこの感覚は、無くなってくれない。
手をギュウと握り締める。普段短くしている爪が、掌に食い込むくらい。今日は、頼りの相棒のペルハムブルーもお留守番。
身一つ。歌だけでステージに打って出る。
ステージ上では一曲目が終わり、メアのMCが入る。
「皆、今夜はこの「Night•mareショウ」に来てくれてありがとう!まぁ何てテーマを掲げるんだって話なんだけど、皆が呑み過ぎたら、「悪夢」になるわね。でも、そうじゃ無ければ極上の「夢」を見せて上げる!」
素敵なMCだなぁ。何よりメアの声が全てを惹き付ける。凛々しくて、可愛くて、自信に満ちて、そしてあどけない。
このヒトは、「自分の魅せ方」を知っている。「自分の実力」を知っている。「自分が持つもの」を知っている………「自分」を、知っている。
………
…「自分」を、知る?
自分…を
「それでね皆、今夜はスペシャルゲストが来ているの!とっても、とーってもキュートで、その歌声に私も惚れた、私の…私とレヴィの、大切な、妹」
メアの続く言葉に私の意識がステージに向かう。
メア!ハードル上げないで!私、私…そんな、メアに惚れられる程の声じゃない!
「さあ!皆にお披露目よ!もし罵声なんて浴びせたら、レヴィがお尻のポケットに挿してるジョニーウォーカー入のスキットルがあなた達の頭に飛んでいくからね!」
「今日はマッカランだよ。イクヨのハレの舞台だからね」
そんなメアとレヴィの軽い遣り取りが耳に入らないくらい、身体が強張り頭が思考を放棄する。と。
後ろから、誰かに抱き締められた。ふわりと、この世で一番落ち着く感触と、香り。
「郁代ちゃんは大丈夫。大丈夫だよ」
耳元で囁かれる。その声を聞いて、まるで呪いに掛かっていたような強張った身体が解れていく。
「郁代ちゃんの、格好良いトコ、見せて」
思わず振り返り、その唇に唇を重ねる。
「…うん!」
☆
まだ怖い。怖いけど、メアが居る。レヴィが居る。ひとりちゃんが、居る。
舞台へ歩み出ながら後ろを一瞬振り返る。
ひとりちゃんは舞台袖て、まるで泣きそうな顔で見守っている。何で貴女がそんな顔してるのよ。
パラパラとした歓声を浴びながらメアの横まで歩いて行く。すると、メアに抱き締められる。
「イクヨ。貴女は此処で「自分」を見付けるの。それが見付かったら、貴女はもうひたすら登っていける。周りの誹謗も、足の引っ張りも、そんなのは鼻で笑って高みに行きなさい。そんな奴らに「ナイトメア」を見せて上げなさい」
頬にキスをひとつ。メア、結構口、悪いね。でもわかった。うん。私、貴女の弟子だもの。やれる。やってやる!
マイクに向かう。そこで後ろの方の酔客から罵声が飛ぶ。
「ヘイジャップ!ジャップがやれんのか!?」
足が竦みそうになる。舌が震える。チラリと上手を見ると、ひとりちゃんが見た事も無いような形相で飛び出そうとしているのを、トッドさんが押さえ付けている。
それを見て、何だか妙に冷静になる。
ひとりちゃん、怒ってくれてありがと。でも大丈夫。大丈夫だよ。
私の後ろから銀色の塊が飛んで行く。そして、見事罵声を発した酔客の頭に命中。
…コントロール良いなあ。
メアがマイクに向かって一言。
「だから、飛んでくって言ったでしょ?レヴィが直に掛かって行かないだけ有難く思いなさい」
そして私に向かってウインク一つ。
ありがとう。姉さん達。
息を全力で吸い込む
スタンドマイクを握り締め、眼の前のオーディエンスを睨み付ける。
これでもかと言う位、歯を食い縛る。
そして
「私の歌を、聴けぇぇぇ!!!!!」
歌声が響き渡る。
時に切なく、時に激しく。
囁くように、踊るように、駆け抜けるように、包むように。
その夜、「ナイトメア•ショウ」の舞台の上で
「メア(夢魔)」の妹
「セイレーン」が誕生した。
ーーーーーーーーーー
「わ、わたわた、わたたしのばばばばん!」
「ひとりちゃん、振動で炭酸みんな抜けちゃってるよ?」
落ち着く為に貰ったカップのコーラ、その炭酸がひとりの振動のせいで見事に抜けてただの「黒くて甘い液体」になっている。
覚悟を決める為にそれをグイと一息。ヘラッと郁代に笑い掛けるも、下半身はさっきよりも振動が酷い。
そもそも、何でそんなに緊張しているのか。ここのステージなんて何回も経験している筈なのに。
そんな郁代の疑問に、ケニーが分析する。
「多分、幾つかの要因が重なってるんだろうね。何時もプレイする時に被っていたキャップが今日は忘れた。イクヨに浴びせられた罵声がまだ気持ちを昂らせている。そして、彼女達の「凄さ」に気が付いてしまった事」
彼女達。メアリさん。レベッカさん。その仲間達。
ここで普段プレイしているバンドとは、格が違う。
定期的にここでライブをしているシクハックも凄いが(今は地方ツアーを行っている)、メアリさん達はその遥か上を行く。
正にワールドツアーの実力者。こんな人達と縁を繋げる郁代は、なんて運命の強い人なのか。
しかも彼女達から「妹」と可愛がられている。
マズイ。
マズイマズイマズイ!
このままだと、郁代ちゃんに見限られてしまう!
「あ〜後藤、さん? 私、メアとレヴィに付いて世界を廻るから、もう後藤さんとは一緒に居られないの。後藤さん、私に未練があるならローディーで付いてきても良いけど、でも後藤さん、溶けちゃうからなぁ。役に立たないわね!精々、ツアー中に泊まるホテルの壁の穴を塞ぐ位しか使え無さそう」
「いやだーーー!!!」
「何が!?」
ビックリしている郁代ちゃんに構わず、その腰に縋り付いて全力の懇願をする。
「い、いぐよちゃん!わだ、わだしカッコいいトコ見せるから、だがら…ずでないで………」
「イクヨ。ヒトリは昔からこうなのかい?」
「ええ…これでも以前に比べれば治ってきたんですけどね…」
腰に縋り付くひとりの頭をヨシヨシしながら郁代は答える。
「最初のライブなんて、段ボール箱に入ってギター弾いたみたいですから」
郁代は見ていないが、メンバーにとっては今でも語り草になっている出来事…いや最早「事件」だ。
某ファン1号2号などは、未だにその映像をネットの海から探し出そうとしている。
存在するかどうかは関係無い。自分達が「後藤ひとり」に関して、知らない事があるのが許せないのだ。
「…それは何と言うか…凄いな」
トッドさんが腕を組み、うんうんと唸っている。
ふと
「じゃあ、取り敢えず周りが良く見えなければ良いんだな」
トッドさんは言うが早いか、自分のシャツの首元に掛けていたキャッツアイのサングラスをひとりの顔に掛ける。
「わ!…あ、あれ?なんか暗くて落ち着く…」
そのかなり濃いスモークブラックのサングラスは、トッドが常に首元に掛けていたが自ら装着しているのを見た事が無い。
それを見ていたケニーがトッドに話し掛ける。
「トッド、良いのかい?」
トッドは僅かに俯き、それからまたケニーと瞳を合わせる。
「ああ、良いんだ。その方が妹も喜ぶ」
「あの…」
なにか深い因縁を感じたらしい郁代が、トッドに話し掛ける。
「間違っていたら御免なさい。そのサングラス…本当なら他人に掛けさせてはいけないモノなんじゃ…」
トッドは目を丸く見開いた後、苦笑を漏らす。
「よく分かったなイクヨ。やっぱりジャパニーズは人の機微に敏いのかな。…まぁ、その通りだ。これは元々、俺の妹がしていたヤツさ」
トッドの話しによると、妹さんはバンドをやっていたらしい。でも元来恥ずかしがりな性分で、初ステージで緊張の余り震えが止まらなくなったらしい。そんな妹を見かねて、急遽走ってトッドさんが買って来たのが、このサングラス。
余計なモノが見えづらくなった妹さんは、何とかライブをこなした。最も自分の弦も見えなくなって、演奏はボロボロだったらしいが。
「あれはケッサクだったぜ。フレット間違えは当たり前。それどころか、1弦の下を弾こうとしてたからな」
アッハッハとケニーさんと一緒に大笑いするトッドさん。
でもその笑いの中に、何故か物寂しさを感じる。
「そ、その妹さんは…今は?」
わたしは聞いてしまってから後悔した。トッドさんは眉間の皺を深め、俯いてしまったから。
「ALSでな。本人もとても頑張ったんだが…去年、天国への階段を登っちまった」
頭の中にジミー・ペイジの美しいアルペジオが木霊する。
そうか…神様に呼ばれてしまったんだ…
「じゃ、じゃあ!これはお借り出来ません!」
外そうとするわたしの手を制して、トッドさんは静かに笑う。
「いや、ヒトリが持っていてくれ。頼む。妹の分もギターを掻き鳴らしてくれ。…ヒトリは、俺の元に神様が連れて来てくれた存在だよ。どうか代わりに、世界中でギターの音を響かせてくれ」
聞けば、妹さんもギタリストで、トッドさんが今使っているギターは妹さんの形見らしい。妹さんが弾けなくなってきた3年前からギターを始めたとか。その前はベーシストだったらしい。
わたしは、まだ弾ける。これからも、いつまでか分からないが弾いていられる。
トッドさんの妹さんの気持ちを背負うなんて、そんな烏滸がましい事は出来ない。でも…
「一緒に弦を掻き鳴らす事なら…出来るかも…」
弾けなくなった辛さは、わたしにもわかる。くやしさも。
傍らのスタンドに立て掛けてあったトッドさんの…妹さんの、ギター。
その前にしゃがみ込む。左手で、その輪郭をなぞるように触れる。
「…一緒に、行こ?」
その妹さんに語り掛けるように、そおっと、撫でる。
☆
「それじゃあまた、スペシャルゲストを呼ぶわね。先程皆の耳を震わせていたイクヨの唯一のパートナー。…あなた達、その名前、その音を絶対忘れない方が良いわ。その内世界中でその名前を聞くことになるから。」
メアリさんが観客を煽る。それに続いてレベッカさんも煽る、煽る。
「お前ら、今夜は運が良いよ!セイレーンの歌声に痺れた頭をシャッキリさせときな!今夜は、世界に名を馳せるスーパーギタリストの、ワールドデビューの日だ!」
このスタジオでサポートギターとして弾いていたのは無かった事にされたらしい。…まぁ、いいけど…
「さぁヒトリ、Come on!」
二人に呼ばれて立ち上がる。フゥと呼吸を一つ。着ていたモコモコジャケットを脱ぎ、袖から出ようとして…ケニーさん?
「ヒトリ。ヒーローは格好も大切さ」
自分が着ていた黒のトレンチコートを渡してくる。
「トッドの妹…ケイティを連れて行くんだ。僕も連れて行ってくれないか」
膝の擦り切れた青いスリムジーンズにワークブーツ。アッパーは赤のボタンダウン。その格好に、黒のトレンチコートは、妙にハマって。
トッドさんから貰ったキャッツアイを掛ける。
「それなら、髪はこう、ね」
郁代ちゃんが自分のヘアゴムで後ろに一纏めにしてくれる。
その後、この格好はわたしの定番になる
皆の想いがわたしを護ってくれる。
わかったよ。その代わり、皆を何処までも連れて行くよ。
「さあ聴きなさい!今夜は伝説になるわ!「ギターヒーロー」"Bocchi"ヒトリ•ゴトウが世界に知られた日として!」
メアリさんを見ると、静かに笑っている。
レベッカさんを見ると、「カマせ!」とばかりに親指を立てる。
シールドを繋ぐ
ネックのトップに挿していたピックを摘む
エフェクターを踏む
ひとつ深呼吸
大きなストロークで右腕を振り上げる
そして
皆の想いを紡ぐように、勢い良く右腕を振り下ろす!
ーーその日、伝説は始まったーー
ひとり”ボッチ”後藤
伝説の始まり