王の帰還   作:サマネ

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閑話3

「ナイト・メア ショウ」から3日程経った、ある日の深夜。

 

 

「ぼっちちゃーーーん!帰って来たよぉーーー!」

 

ひとりの寝室の扉が、突然ガバリ!と開かれる。

 

「帰って来たお祝いに一杯やろぉ………ぅ、ぜ?」

どう考えても一杯どころか十杯はやっつけてきたような赤ら顔で、廣井きくりは勢い良くひとりの部屋の扉を開け………その場でフリーズ。

それは何故か。

ベッドの上には、確かにひとりが寝ていた。胸の辺りから下に毛布を掛けて。

窓から差し込む月明かりで、白い肌が光っている。肌が直に見えるという事は、裸…いや流石にショーツ位は履いているか。

 

それは…まあ良い。

 

問題は、そのひとりの背中から抱き締めるように腕が見えている事。

扉の方向からは、ひとりがこちらの方を向いて寝ている。その本人の腕は、ちゃんと肩から生えている。

その腕の下に、後ろから生えているような腕。こちらも肌が眩しい。

妖怪?、いや、若しくはひとりの腕が増えた?

日本に居る時のひとりだったら腕を増やす位造作も無い事だろう。

でも、イギリスに来てから溶けたり崩れたり外れたりはとんと見なくなった。

それだけひとりが精神的に成長した証なのだろう。喜ばしい事だ、うん。

と、言う事は…だ。うん。ポルターガイスト?ホラーハウス?イライザの奴、人様になんて家を貸しやがる。いやまてまて、イライザはそんな性根では無い。志麻ならわたしに対してやりかねないが。日本の我が家だって似たようなもんだし。孤独なのに五月蝿いし。暑いのに寒いし。

いやまてまてまて、考えろ名探偵きくり!

そういえば、隣の喜多ちゃんの部屋の扉、少し開いてなかったか?

あの子の事だ。扉を締め忘れて寝てしまうなんて事はまずしないだろう。わたしだって日本の我が家は常に玄関は閉めていた。鍵まで。借金取り(志麻)が来るし。

まあまてまて、思考を戻そう。

まずは確認だ。現場百回だ。

一度部屋の外に出て、扉が僅かに開いている喜多ちゃんの部屋を覗き込む。

………本人、ベッドの上に確認出来ず。

いやまて焦るな。考えろ名怪盗きくり。

…トイレかも?

そのまま一階まで下りて、トイレのドアをノック。

…反応無し。

一応ドアを開ける。

姿無し。

…いやまだまてまて。考えろ名官房長官きくり。

…風呂かも?

え?、こんな夜更けに風呂は、君の言う「美容の大敵」じゃないのか。

風呂場に向かう。

…灯り無し。

念の為、風呂のドアを開ける。

姿無し。

うーん………母屋の方に行った?

いやちょっとまてまて。考えろ名将軍きくり。

わたし、母屋から来てるよね?

行き違い?いや、一本道だし。ここまで2、3分だし。

湖に向かった?…何をしに?

ご飯が足らなくて、魚でも採りに行った?

いやいや、わたしじゃあるまいし。

まてまてまてまてまて!考えろ名球会きくり。

犯人は、必ず現場に戻って来る!

 

 

「と、言う訳で戻って来たら、やっぱり喜多ちゃんかぁー!」

何故かぼっちちゃんの後ろに隠れるようにして、プルプル震えている。

月明かりに照らされた肌が赤く染まって、きれいだなぁー。

良かったよー、ぼっちちゃんの腕が増えたんじゃなくて。

あいやまて!そうすると、ツインネックなんか簡単に弾きこなせそうだなぁ。

凄いぞぼっちちゃん!ひとりツインギターだよ!

あ、そうすると喜多ちゃんのギター要らなくなっちゃう?

「でもね喜多ちゃん!ぼっちちゃんはそんな事で喜多ちゃんを見捨てたりしないよ!安心して良いよ!」

 

 

「廣井さん…」

「ん?どした?」

 

「…勝手な妄想で、居座らないで下さい!!!」

 

身体を起こしたと思ったら、枕が剛速球で飛んできた。

 

わたしの顔面にヒット!

 

意識を失う寸前、それだけは確認出来た。

 

 

「あ、パンツは履いてた…」

 




しょうもない話ですみません…
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